144: ライスイン :2021/12/12(日) 21:19:35 HOST:g133-247-64-052.scn-net.ne.jp
1942年4月1日、大西洋のラ・パルマ島を起点に発生した超巨大津波が大西洋岸各国に破滅的な被害を与えていた。
それと時を同じくして、オアフ島真珠湾・サンディエゴ・延安・重慶・キャンベラ・ニューデリーで汚い花火が炸裂していた。これは衝号作戦に合わせて原爆を搭載した富岳を
空中給油型富岳を用いて事前に送り込み、津波発生と同時に原爆を投下したのだった。これにより
〇アメリカ太平洋艦隊と集結していた各国の艦隊(イギリス東洋艦隊・オランダ東洋艦隊・フランス極東艦隊・中南米諸国の艦隊など)が消滅。
〇真珠湾とサンディエゴが壊滅し、太平洋側の主要海軍拠点が機能損失。
〇国民党(+張学良軍)と共産党の首脳部が蒸発。
〇オーストラリア首脳部(と訪問中のニュージーランド首相)が蒸発およびオアフ島に向けて出港するためキャンベラ沖で閲兵中のアンザック合同艦隊も消滅。
〇インドのイギリス総督府が消滅したことにより統治機能損失。ついでに総督府で対日戦協力の為の会議に参加していたガンジー ネルー ボース ジンナーら独立派首脳部も蒸発。
これらの被害により、地球連合軍は日本に対して積極的な行動をとるどころか、統治機能の立て直しに注力せざるを得なかった。
なお当初はモスクワ ベルリン パリ ロンドンにも原爆を投下する予定であった。しかし原爆の数が少なく生産が軌道に乗るまで温存を決めた事や目標がスイスやフィンランドに
近い事などの理由で中止されたのだった。
覚醒「漆黒日本」中編
津波と各国への核攻撃の翌日、日本はついに積極的な攻撃を開始した。中国大陸と反旗を翻した朝鮮半島(※1)において、とある目的から人狩りを開始。
そして租界と遼東半島の防備を固めつつ、連山を使って主要インフラに対する高硬度無差別爆撃を敢行(毒ガス弾も使用)。そして特務機関を使って
「上海疎開の白人らが中華市民へ渡るはずの物資を不当に奪って隠匿している」 「米軍基地内には有り余るほどの食料がある」
等の噂を広めた。これに爆撃によって疲弊した市民や呼応した国民党・張学良軍・各軍閥らが上海租界や米軍基地になだれ込んだ。無論応戦する米軍や租界警察だったが
数百万にも及ぶ人民の海には対応できず、モノや金だけでなく命を奪われたり、若い婦人を中心に”ラブロマンスされる”といった恒例の悲劇が発生していた(※2)。
同時に極東ソ連に対して麻薬入りウォッカなど、麻薬入りの食料品の密輸を開始。効果は徐々に出始め、共産党員や軍人だけでなく、一般市民にも麻薬中毒者が続出していた(※3)。
これら一連の攻撃や策謀の後、日本は補給の為に大規模な行動を停止。次に動き出したのは2か月後であった。
1942年6月5日、その日・・・世界は震撼した。
「我々は裏切者や差別主義者、そしてそれらに追従する愚か者たちを許しはしない。その命をもって償うのだ。我らは虐殺や民族浄化も躊躇うことは無い。」
怒りに満ちた嶋田首相の宣言の後、日本軍は一斉に行動を開始した。
比較的近いフィリピンには連山や連山改を用い、サリンやVXガスなどの神経ガスを無差別投下。この攻撃は延べ1か月も続き、駐留米軍だけでなく現地住民も
巻き込み、最終的にはフィリピンの全人口の8割が命を落とす結果となった。
また東南アジア各国も悲惨であった。外交官を含む駐在日本人を連合に引き渡したタイ王国は首都バンコクに原子爆弾が投下され、主要な王族や政府関係者が軒並み死亡。
インドシナ半島のフランス植民地へは潜水艦を用いた艦砲射撃(毒ガス弾)および伊400型潜水艦による安価な飛行爆弾(V1相当 毒ガス弾搭載)を打ち込む。
そして悲惨を極めたのがインドネシア及びオーストラリアとニュージーランドであった。
145: ライスイン :2021/12/12(日) 21:20:05 HOST:g133-247-64-052.scn-net.ne.jp
1942年6月10日、バレンバン ジャカルタ ダーウィン ケアンズ ブリスベン オークランド など主要都市の沖合に雑多な輸送船の群れが姿を現した。
大小新旧様々な輸送船は乗員が脱出するや、海岸に向かって突進。接岸もしくは乗り上げると、恐るべき存在を次々と吐き出した。
「勇敢なる大陸戦士、そして半島戦士の諸君。君たちは自らの力で未来を勝ち取るのだっ!!・・・人道輸送作戦を開始せよ。」
現れたのは大陸や半島で狩り集められた大陸人や半島人であった。そして彼らは豊富な食糧(麻薬入り)を与えられ、化学の力(各種薬物)で強化されたバイオソルジャーであった(※4)。
彼らバイオソルジャーは剣や槍に日清戦争もしくはそれ以前の旧式火器で武装していたが、恐るべき士気の高さと数で現地独立派各組織やアンザック軍を蹴散らして
破壊と略奪にラブロマンスを撒き散らしていく。制海権はほぼ日本側が握っているため、鹵獲船や急造した粗末なつくりの専用輸送船で次々と送りつけられ、1942年度中に合計で
500万人前後が送り付けられた(※5)。
なお
アメリカ西海岸に対してもこの”人道輸送作戦”は行われた。しかし残存の駆逐艦や魚雷艇及び航空機の妨害が予想された為、自動操縦の輸送船を分散させて送りつけた。
これらは半数近くが米軍の迎撃で沈められたが、それでも8万人近くが上陸に成功。工作で武装蜂起した黒人独立組織の存在も相まって、西海岸はカオスな状況になっていた(※6)。
ここで一旦世界連合の状況を確認してみよう。
〇アメリカ
1:東海岸諸州が完全に壊滅。またニューヨークの某研究所から強化型ペストが漏れ出し、物資不足や衛生環境の悪化もあって急速に感染が拡大していた。
2:西海岸もサンディエゴが原爆で吹っ飛ばされた挙句に送り付けられたバイオソルジャーや武装蜂起した黒人組織の存在もあって治安が急速に悪化。
3:辛うじて生き残ったガーナーがユタ州ソルトレークシティで大統領に就任するも碌な政治家や後援者もおらず、対応に遅れが出ている。
4:軍も指揮統制機構および補給体制の消滅で、動きが取れず。辛うじて残存艦艇や航空機で人道輸送作戦の阻止を行っている状態。
5:軍需企業も各種資材の不足や治安の悪化に伴う工場襲撃などで兵器の生産体制が崩壊しつつある。
※アメリカ海軍で大型艦の残存は太平洋艦隊所属の戦艦ワイオミング 護衛空母ロング・アイランド オマハ級軽巡デトロイト 同リッチモンド及び
アジア艦隊所属の
軽巡洋艦ブルックリン 同ホノルルのみ(アジア艦隊所属の戦艦・空母は真珠湾で消滅済み)。
〇イギリス
1:極東・インドの有力艦艇が真珠湾で消滅。
2:インドは手が付けられない状態までカオス化(総督府側及びインド側有力指導者消滅により)。インド駐留軍も補給途絶と自然災害及び疫病・暴徒化したインド人との戦闘により
物資不足もあって全滅は時間の問題。
3:カナリア諸島攻略に向かっていた本国艦隊が津波で壊滅。本国のドックも大きな被害を受け、本国艦隊残存の大型艦は戦艦アイアンデュークと空母アーガスのみ。
(地中海艦隊は無事)。
4:オーストラリア・ニュージーランド及びインドと連絡途絶。また救援を出す余裕もなく、インドからの物資も入ってこなくなり深刻な物資・資源不足に陥る。
5:南アフリカで現地総督府・植民地政府・軍司令部が爆発して各首脳部はほぼ死亡。同時に現地独立派が武装蜂起。アイルランドも同様に治安が悪化。
〇ドイツ
直接的な被害は無し。ただし傘下のヴィシーフランスとスペインへの救援で多額の出費。手に入れた日本人を強制労働させつつ、イギリスから譲渡された戦艦バイエルン(元日向)の
戦力化を急ぐ。
146: ライスイン :2021/12/12(日) 21:20:42 HOST:g133-247-64-052.scn-net.ne.jp
〇ソ連
未だ伝わっていないが極東方面は日本の工作でほぼ無力化。また日本による亡命皇女を使った極東方面の独立工作も進展中。
〇ヴィシー・フランス
大西洋沿岸がほぼ壊滅、同時に地中海沿岸も大きな被害。ブレストが壊滅したことで大西洋側の海軍がほぼ消滅。
(自由フランスはドゴールら首脳部が船舶でロンドンへ移動中に津波に巻き込まれて全滅、傘下の各部隊はヴィシーに帰順)。
〇イタリア 平常運転。ただし津波の影響で小麦粉の輸入が途絶した為、パスタの価格が大幅に上昇。
〇中国 主要勢力の指導者が核で蒸発。また日本による爆撃や各種工作に人道輸送作戦用の人材募集(人狩り)で全土でほぼ無政府化。
〇朝鮮 激怒した日本により国家解体中。王族は江華島に幽閉し、人道輸送作戦用の人材募集(人狩り)と抵抗勢力討伐が進行中。
〇他
ポルトガルは津波で国家自体が消滅。スペインも辛うじて生き残ったが無力化。オランダは東インド植民地を喪失し困窮化。
カリブ海諸国も国家自体が消滅し、南米も大西洋側が壊滅。また日本を裏切ったタイ王国や一部北欧諸国にトルコは苛烈な日本の攻撃に恐怖のどん底に陥っている。
という有様だった。
日本は42年度中はこれらの攻撃や工作に専念。そして43年になり本悪的な遠征及び攻撃に着手した。
大陸側は満州や遼東半島など拠点の守備に専念しつつ空爆や各種工作に人材募集を継続。ただしソ連方面では日本皇族と結婚した亡命皇女を旗頭としたロシア解放軍を
派遣。短期間のうちに極東方面を占拠してロシア王国を建国した(※7)。
また増産した原爆をサンフランシスコ、シアトル、バンクーバー、メキシコシティ、モスクワに投下。特にモスクワでは運悪く共産党や軍首脳部が集まって会議を開いていた為、
スターリンやベリヤにジューコフら各首脳部が蒸発し、その後は騰勢が取れずに軍閥化した各軍区やコサック勢力に残存白軍系や少数民族勢力が入り乱れて国家崩壊に向かいつつあった。
フィリピンの米軍へはアジア艦隊排除後に侵攻はせず、定期的な毒ガス爆撃を敢行。
そして日本軍は電撃的にシンガポール及びセイロン島に侵攻。保有する工作艦/特設工作艦を用いて短期間で根拠地化した。そして有力な艦隊や大規模な輸送船団を終結させる。
その事態に世界連合各国は遂に欧州侵攻が始まったと判断。これを迎え撃つべく保有する全ての艦艇の派遣を決定した。その中にはバイエルンと名を変えた日向の姿もあった(※8)。
147: ライスイン :2021/12/12(日) 21:21:16 HOST:g133-247-64-052.scn-net.ne.jp
※1:反日勢力の武装蜂起。また朝鮮政府も世界連合の勝利を見越して偽装した正規軍を派遣していた(反対派は事前に粛清)。
※2:大陸恒例行事。各租界警察や駐留米軍も果敢に抵抗して多大な被害を中国側に与えたが、周辺住民すら含んだ圧倒的な数の前に全滅。あらゆる物が奪われ、
男性は殺されるか強制労働。女性はラブロマンスの末に”中国男性を癒す職業”に就職させられたり、有力者に”嫁がされ”たりした。
※3:横流しされた食料を闇市で高値で購入するなどしていた為。なお事前に内応している者たちには警告を発していた。
※4:麻薬や興奮剤で強化(狂化)された大陸/半島系の兵士(男女問わず)の事。採用後~輸送中にすべて重度の中毒となっており、輸送後の戦闘力維持のため、ある程度の薬物も
持たされていた。なお必要な麻薬は大陸からの密輸のほかに満州で特務機関を使って栽培されたアヘンや、大量生産されたヒ〇ポン(錠剤)が用いられた。
※5:最終的には各地方合わせて2000万人以上とされる(輸送中に撃沈や沈没で失われた数を含めて)。
※6:黒の騎士団(黒人至上主義)を始めとした黒人武装組織が銀行や学校を襲撃し、KKKなどが派手に応戦。人道輸送されたバイオソルジャーやどさくさに紛れて略奪する中華系に
暗躍し始める共産主義者など州政府や臨時連邦政府でも制御できない事態になっていた。
※7:あくまで日本の傘下(属国)としての独立。なお亡命皇女を始めとしたロシア系は日本の工作についてよく思っていなかったが、日本の怒りを鎮めるための犠牲は必要と割り切っていた。
※8:主砲口径は小さいがそれ以外は自国のビスマルクよりも性能が高く使い勝手が良かった為、優先して優秀な人材を配属するなど最優先で戦力化がなされた。なお戦力化以降に
艦内では虚ろな身をした”短髪の巫女服女性”が彷徨う姿を目撃する者や”短髪の巫女服女性”が東を向いて泣きながら「みんな、姉さん・・ごめんなさい」と懺悔する悪夢を見る者が続出していた。
いかがでしょうか。予想よりも量が多くなったので中編としました。以前の作品からの使い回しもありますがご容赦願います。
平然と無差別での原爆投下や毒ガス攻撃に人肉特攻を始めるなど敵に対する情けを捨てた拙作の日本ですが、変異種誕生による制御不能を恐れて炭そ菌屋天然痘など生物兵器は使用しない方針です。
またフィンランドやスイスへの配慮から西欧での核や化学兵器の使用も控える方針です(使わないとは言っていない)。次回の後編では紅海付近での艦隊決戦から始まる予定です。
掲載お願いします。
最終更新:2021年12月13日 23:25