876: 加賀 :2021/12/05(日) 19:23:48 HOST:softbank126243173150.bbtec.net




「それで『伊勢』型の改装は進んでいるのかね?」
「はい、藤本少将らの協力で」
「魔改装なんだろうなぁ……」
「魔改装が無くて何が日本海軍か!!」
「ちなみにどう言った改装で?」
「…………………」
『おい、此方見ろよ』






 時を少し戻す。1934年2月の事だ。その日、戦艦『伊勢』『日向』は『扶桑』『山城』を相手に対艦砲撃訓練を実施中だった。
 事件が起きたのは2203、夜戦に突入し二隻が第三斉射目を砲撃した時である。突如として『日向』は揺れた。

「な、何事だ!?」

 艦橋にいた『日向』艦長の沢本大佐は衝撃で床に倒れそうになるも踏ん張って倒れなかった。

「ほ、報告!!」

 そこへ艦橋に駆け込んできたのは一人の水兵だった。

「状況知らせ!!」
「こ、後部第四砲塔が爆発!! 四番砲塔全員殉職!!」
「イカン!? 全弾薬庫に注水!! 引火しそうなところには全て注水しろ!!」

 沢本は爆沈だけは避けようと全弾薬庫への注水を優先させた。しかし、三番砲塔が間に合わずに爆発した。それでも『日向』は爆沈だけは避ける事が出来たのであった。
 しかし、その代償として二砲塔と第三、第四砲塔の爆発と誘爆により機関室にも火災が発生し避難が間に合わず機関員が大量に焼死する事案も発生してしまうのである。
事故調査の結果、原因は主砲弾装填後、尾栓が完全に閉じないうちに火管から電流が流れて装薬に点火、弾丸を前方へ飛ばすはずの圧力が砲塔内に逆流したためであった。火管から突然電流が流れることは、四番砲塔に特有の「癖」だったという史実に関連する爆発事故がこの場面で発生し、しかもその余波は大きかったのである。
 なお、二隻の修理に待ったをかけたのが宮様だった。宮様は東郷からの意志を継いで橋本ら夢幻会に協力していたのだ。そこで宮様は大破した『日向』と姉『伊勢』の二隻を大規模改装しようとしたのだ。そしてそれを聞き付けて乗っかったのが藤本少将である。

「宮様、『伊勢』型は航空戦艦にしましょう!!」

 設計図と模型を持って突撃してきた藤本少将の服装が瑞雲の法被だった事もあり宮様は松田が何かいらん事をしたなと思いつつ藤本少将の話を聞くのである。そして藤本少将の話を聞いた宮様は二つ返事で改装案に応じるのであった。
 なお、それを聞いた松田と日向はこう語ったという。

877: 加賀 :2021/12/05(日) 19:24:38 HOST:softbank126243173150.bbtec.net
「瑞雲神は言っている……『伊勢』型を改二にしなさいと……」
「まぁそうなるな」
(馬鹿ばっか……)

 そう語る二人にマリアは溜め息を吐くが手元では瑞雲の模型を作っていたのでどっこいどっこいかもしれない。

「まぁそれはさておき……陸さんも新型兵器の開発には余念が無さそうですな」
「いやいやお恥ずかしい限りです」

 百武の言葉に畑はそう言う。

「第一次上海事変の戦訓も在りますからな。特に重機の生産と開発はね……」

 畑らも大陸の戦闘で三年式や十一年式軽機関銃の力不足は前回と同様に痛感していた。そのため開発速度は躍起だったのだ。

「前回の上海事変にはチェコ機銃……輸入していたZB26軽機関銃の好評価がありました。なので今やチェコ機銃は準制式兵器ですよ」

 第一次上海事変時、海軍陸戦隊はZB26軽機関銃を10挺程輸入して参加しておりZB26に高い評価をしていた。陸もそれを聞き付けて演習等で三年式よりZB26のが良いと判断され陸軍も準制式兵器として輸入してたりしたのだ。

「取り敢えず弾丸も史実の99式普通実包を92式実包として採用していますから何かと大丈夫でしょう」

 92式重機開発時に実包も史実の99式普通実包を開発採用した事で後の小銃や軽機、重機等の開発もしやすくなるのである。

「それと陸戦隊にはハ号たん等も譲渡しています」
「いや本当に助かります。第二次上海事変を想定したら89式よりハ号たんのが良いですからね」

 ハ号は史実通り生産をしていたがただのハ号ではなくむしろ史実の九八式軽戦車ケニである。なお、主砲は94式37ミリ戦車砲だったが後に98式37ミリ戦車砲が開発され(史実1式37ミリ戦車砲)94式から交換されるのである。

「中戦車についてはやはり前回と同じくyukikaze様案のチハだな」
「メタイ事はやめてください」
「それと……試作ではあるが回転砲塔型のも開発はしている」
「……チヌやチトをですか?」
「やはり……ねぇ?」
「まぁそこは……ですな」

 百武と畑はそう言って茶を啜るのである。なお、本日の給士ーーメイドはラム酒の飲み合いに負けたガングートだったりする。(コノシゲ様のガングート)

「やっぱり恥ずかしいぞシンタロー!!」
「まぁまぁ……可愛いよガングート」
「~~~用件は何だ!? 早く言え!!」
「お茶お代わりで」
「ダー!!」

 そう言って新しいお茶を用意するガングートである。それを見守る百武らの視線は暖かいのであった。

「微笑ましいなぁ……」
「このためにカメラ、モノクロからカラーにするよう予算付けません?」
『異議無し』
「異議有りだゴラァ!!」

 古賀達が満会可決だが一人ガングートは納得しない表情で叫ぶのである。

878: 加賀 :2021/12/05(日) 19:27:49 HOST:softbank126243173150.bbtec.net
久しぶりの本編投下。
  • 伊勢型フラグしてないよなと気付き慌てて改装フラグへ。
  • ZB26ことチェコ機銃は此処でも無敵機銃ですはい。
  • ハ号たん→98式ケニたんへ。これで映画もちゃんと正しいぞ(そうじゃない
  • ガングートのメイド(コノシゲ様のメイドガングート、可愛いですし……)

漸く次回は226にいけそう

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最終更新:2021年12月14日 09:11