484: ホワイトベアー :2021/12/15(水) 22:19:24 HOST:163-139-167-186.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日米枢軸ルート 現代ネタ 東京事変編その1

「・・・私達の仕事は暴徒の鎮圧ですよね? あんなものまで持ち込んでいいんですか?」

「上からの命令だよ。知事や財務局は隊員に犠牲者が出ることが怖いんだとさ。まあ、コイツラを見れば暴徒たちも大人しくなるだろうし、いざという時には現場の奴らも心強いだろう」

二人の東京都戦闘警備隊隊員はそんな事を話しながら、東京都戦闘警備隊の主力戦車である70式戦車2型SEPV3を搭載した特大型運搬車が、完全装備の歩兵を乗せた45式軽装甲機動車や49式装輪装甲警備車、76式装輪装甲車などと共に次々と駐屯地正面のゲートを通過し、都市部に向かって行くのを彼らの持ち場である基地司令部も兼ねる建物から見送っていた。

70式戦車2型SEPV3、大陸の平野部において欧州連合の戦車を撃破し、都市部においては歩兵の頼れる友として開発された第4世代主力戦車である70式戦車の最新バージョンであり、
都市部での運用も見込んで51トンと言う比較的軽量な車体でありながら、50口径130ミリ電熱化学砲と言う強力な火力と、火薬式の44口径130ミリ滑腔砲の零距離射撃相当の攻撃を食らっても何ら支障なく戦闘を継続できる正面装甲防御力を有する大日本帝国の第四世代主力戦車であり、近年は新型戦車である10式戦車の登場で最強戦車の座こそ譲ったものの、依然として強力な陸の王者であることには変わりなかった。

そんな70式戦車を乗せた特大型運搬車達が歩兵を乗せた車両と列を組んで向かう先は、軍閥が群雄割拠し、小規模な戦乱が耐えない旧中華民国や、小規模な武装勢力によるテロが散発的におきる中東や東南アジア、強力な戦車が大量に蠢いている欧州などの彼の戦車の力を欲している大地でもなく、大日本帝国においてもっとも堅牢な護りの中にある帝都 東京、その中心部である23区と呼ばれる場所であり、彼らが砲を向ける相手は、本来なら守るべきとされていた国民の一部であった。

「しかし、警備活動に使うにしてはデカくて取り回しがしにくいですし、指揮官を除いて操縦するのも周りの歩兵も全員ただの隊員、必要以上の重武装で送り込んで、万が一にも実際に戦闘を開始すれば被害は暴徒だけに限定されないですよ。それこそ、無辜な市民に被害が及べば知事や行政府、なにより現地で活動する戦闘警備隊隊員が非難を浴びる事になるんじゃないですかね。正直、基地業務隊の消防車のほうがまだ使えると思うのですが」

「知事や安全保障局、それに幕僚監部の連中もそれぐらいわかっているさ。だが、内務省と警視庁、それに都警の馬鹿どもが初期鎮火にしくじり、メンツのために俺たちや帝国軍の治安出動に抵抗しまくったせいで都内の治安は最悪だ。
ゆえに断固とした態度で治安を回復するという姿勢を都民や暴徒に示す必要があるとの司令長官が判断した。それがマスコミ対策の典型、一種のパフォーマンスであっても、一度決まった以上、我々は従うしかない。それに戦闘警備隊特殊部隊(※1)と第一空挺団(※2)、南機連(※3)も動員されるようだし、時間を稼げば帝国軍の応援も来る。そうなれば俺たちの仕事は帝国軍の後方支援に移行するから、彼らが実際に戦闘を行うことはないだろう」

「・・・そうなることを願うのみです」

それは、この駐屯地に限らず多くの駐屯地から出動する、あるいは駐屯地で活動する戦闘警備隊隊員が、そして行政府の人間が、実際にはそう上手く物事が進むだろうとは心のそこではわかってるものの、不安に押しつぶされそうな心を落ち着かせるために考え、願っていたことであった。

戦闘警備隊が次々と出動している一方で、東京市の地方行政の中心たる東京都庁庁舎、その記者会見室では、東京都知事である井ノ瀬尚樹知事による緊急の記者会見が始められていた。

「先ほど、内務省より管轄内非常事態宣言を承諾するとの連絡を受け、私は東京都知事の権限に基づいて都内全土における非常事態宣言の布告をここに実施いたします。
合わせて、公安委員会ならび安全保障局、東京都戦闘警備隊幕僚監部等の関係機関との十分な協議と検討の結果、もはや現在の都内の警察力のみでは、予想される最悪の自体に対応できないとの判断、予測される最悪の自体に備える為に東京都戦闘警備隊の動員を命令。現在、部隊の展開を進めております。
東京都行政府の目的は、法と秩序を回復する事であり、都民の危険を最小限に食い止めることです。」

彼の会見は、都内の様子と合わせてテレビやラジオ、動画投稿サービス、SNSを通して都民はもちろん全国民に知らされ、あらためて世界最強の列強の首都が再び混乱の中にあることを広めてしまう事になる。

486: ホワイトベアー :2021/12/15(水) 22:28:10 HOST:163-139-167-186.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
2020年後半、日米同時多発テロから20年も経つと、世界は一定の安定を見せており、日本ではテロの脅威は薄れ、平和な日常が取り戻されていた。しかし、いや、それ故にテロ後に生まれた世代は、それ以外の世代が怯え、声高にさ叫ぶテロの脅威に実感を持てず、世論の動きや学生と大人たちのジェネレーションギャップ、学生らの思春期故の大衆や社会、常識への淡い反発心、自己肯定感の低下、言葉にはできない胸のモヤモヤ、さらにこの世代特有の自分を含めた人間という種族に対しての価値観の低下とそれに対する危機感が、対テロ戦争の反動や既存の価値観への反感により若者を中心とした反戦平和運動や反人種差別運動、環境保護運動、既存のキリスト教的価値観への反発などが活性化し、各地でデモや暴動がおきていた欧州の状況がインターネットを通じて日本にも流れ込んできた事と合わさり、夢幻会により歴史の済みに追いやられていた耳障りの良いリベラルの思想が一気に日本の学生らにも蔓延。

全国各地の大学では雨後の筍のように政治団体が現れ、それらの連絡組織たる全学共闘連合が立ち上げられ、そして、彼らは人種差別反対、男女平等、生活保護の拡充、大学の民主化、人権の擁護などを掲げたデモや暴動が各地で見られるようになった。

当然、日本最大の大学数と学生数を擁する東京は左派系団体の最大の活動場所であり、他の都道府県と比べても圧倒的にデモが発生する数や参加人数が多かった。
しかし、学生らの運動も虚しく、大学の学費値上がりや、東京都教育委員会が主導した都立学校における学生への科学的理由のない特別扱いの禁止と従わない学生への厳罰化
、日本国籍を有する都民以外への生活保護支給禁止、東京帝国大学地政学部での女子入試拒否などがあいつで最高裁判所で合憲判決が出されるなど世論は依然として保守的であり、学生らの中に日本社会に対して諦めにも似た絶望が広がっていき、東京各地でのデモ活動も過激化を見せていた。

そして、国際女性デーにあたる3月8日、東京帝国大学を学生らが抗議の為に封鎖、それにあわせる形で都内各地で大規模な抗議デモが行われるにいたり、後に東京闘争、または東京動乱と呼ばれる事件の幕が上がった。

487: ホワイトベアー :2021/12/15(水) 22:30:23 HOST:163-139-167-186.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
485は誤投稿でして、これをもって投稿が終了となります。
485は削除要請を出しますので無視していただけたら幸いです。

wikiへの転載はOKです。

498: ホワイトベアー :2021/12/16(木) 11:14:38 HOST:163-139-167-186.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
489
そういえば南機連や第一空挺団などに書かれてる※印の説明がないようですが(汗が)

アッ、
※1 戦闘警備隊特殊部隊
陸軍特殊部隊の予備部隊で平時は戦闘警備隊に属し、有事は帝国軍特殊作戦軍隷下になる部隊。文字通り特殊部隊であり、所属隊員は通常の戦闘警備隊隊員とは違いフルタイム勤務となり、身分も現役軍人となっている。
帝国軍の現役特殊部隊がほぼ全て自動人形化している事から、表向きは動員される事はなくなったとされているが、実際には人間の特殊部隊が必要な作戦に数多く動員されており、戦闘警備隊で唯一実戦を経験している部隊でもある。
その為、書類上は各都道府県戦闘警備隊の所属となっているものの、実際には特殊作戦軍の管理下に置かれており、給料等の人件費も通常の隊員とは違い国防総省の予算(つまり軍事予算)から支払われている。
総定員は5295名で、東京都戦闘警備隊特殊部隊にはうち1382名が所属している。

※2 第1空挺団
東京都戦闘警備隊に所属している団の1つで、事実上、帝国軍特殊作戦軍の管轄下にある戦闘警備隊特殊部隊を除いて2つしかない戦闘警備隊に所属する空挺作戦を可能としている部隊の1つ。

こちらも戦闘警備隊特殊部隊と同様にフルタイム勤務の隊員から構成されており、その身分も現役の軍人とされているが、人件費等は東京都の予算から出されている。

隊員は2個連隊戦闘団相当の3800名で、立川駐屯地をその拠点としている。

※3 南洋方面機動歩兵連隊
東京都戦闘警備隊に所属している歩兵中心の混成部隊で、島嶼防衛・奪還の為の東京独自の部隊として編成された。その主な任務として隠密裏の潜入、遊撃による陣地構築の妨害、通信の遮断、情報収集および橋頭堡の確保・逆上陸部隊の誘導などを想定している。

上記2つとは違い、こちらは極めて珍しい自動人形で構成された部隊でもあり、その規模は1200名で構成されている。

余談であるが、東京都は独自の大規模な揚陸艦を保有しておらず、実際に大規模展開を前提とする運用を行う場合は、帝国海軍の補助が必要不可欠となっている。

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最終更新:2022年05月26日 17:07