551: 名無しさん :2021/12/19(日) 02:46:43 HOST:sp110-163-11-93.msb.spmode.ne.jp
流れを切って申し訳ないのですが、思いつきで投稿します。
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とある大陸日本がある世界で。
1962年、キューバ。
アメリカの目と鼻の先にあるこの島国は、今世界で一番“ホット”な場所と化していた。
発端は、ソビエト連邦によるキューバ国内へのミサイル基地建設と、戦略核兵器配備である。
ソ連にとっては、中距離弾道弾でアメリカ国内を直接攻撃できるキューバに核ミサイルを配備できれば、600:5000という圧倒的な核戦力の劣勢を埋め合わせる事が可能だと考えて。
アメリカとしても、市場や利権の為に親米政府を建てた朝鮮や中国を共産勢力に荒らされている以上、更に裏庭たる中南米にまで手を伸ばされては堪らないとして。
事態は、キューバ沖にてソ連船籍の貨物船がアメリカ海軍によって拿捕されたことをきっかけに急展開する。
輸送途中の中距離弾道ミサイルを核弾頭、そして隠滅を免れた機密書類を入手したアメリカは、キューバへのソ連核戦力の配備が予想以上に進んでいる事を知る。
この事実を前に、ケネディ大統領がキューバ爆撃を実行しようとホワイトハウスに詰め寄せる軍首脳部を抑えることが極めて難しい状況となっていた。
一方ソ連、今まで弱腰と非難されながらも穏健な対応に努めてきたフルシチョフ第一書記も、自国船が最大の敵アメリカに拿捕されたことで、いよいよ後には退けない状況となってしまっていた。
フロリダ州、マックディール空軍基地にアメリカ空軍戦闘爆撃部隊が集結。
ソ連、軍に戦備体制への移行を指示し動員を開始。
それに呼応してNATO軍の召集が始まる。
西ドイツ前面にWTO軍が展開を開始。同時にキューバのミサイル基地が発射準備に入る。
トルコ領内のアメリカ軍ミサイル基地が発射準備に移行。
デフコン2、米ソ両軍の核爆弾を搭載した爆撃機が空中待機状態に。
加速度的に状況が悪くなり、このままでは世界を巻き込んだ核戦争まで突き進んでしまう……そのような悪夢が見え始めた中で……
「失礼します!日本が…遂に日本が動きました!」
その情報が、睨み合う両大国の首脳達へと真っ先に届けられた。
「日本が…!?間違いないのか!」
「はい!日本の外務省から正式に届けられた情報です!」
「そう……か」
日本。
それは三大超大国の一角、第三世界の盟主、東洋の番人、太平洋の壁……等々。
ユーラシア大陸の東、西太平洋上に存在する島や亜大陸群から成る島嶼型大陸国家であり、俗に内地と呼ばれる
日本大陸をはじめとして布哇州や新須賀州、台湾州、南方大陸(オーストラリア)にある南方州にて構成されている連邦国家である。
東西に別れた米ソと同じように、日本も自らの陣営の盟主であり、その勢力は東はマオリ(ニュージーランド)から西はイラン、クウェートにまで及ぶ。
552: 名無しさん :2021/12/19(日) 02:48:14 HOST:sp110-163-11-93.msb.spmode.ne.jp
第二次世界大戦にて連合と共同で枢軸国を叩き潰した後は、米ソどちらにも加担せず勢力圏に引きこもって東西冷戦を外側から静観していただけであり、米ソも自国に匹敵または凌駕する敵を増やしたくないとして日本との関係は慎重に構築していたのだが……
『米ソ両国の対決は、既に二国間や欧州の前線だけの話ではない。
もし戦争になれば前後関係無く、無差別に核を撃ち合う凄惨なものとなるだろう。
世界のどこでも、所構わず核ミサイルが降り注ぎ、そしてその脅威の前には我々とて例外ではない。我々は、その惨事を許容できない───』
日本政府の声明と共に、米ソの仲介を行う旨の外交文書がアメリカ合衆国第35代大統領ジョン・F・ケネディに届けられた。
「さて、バンディ補佐官。仮にこの申し出を無視したら、日本はどう動くと思う?」
「恐らく、直接的な戦争行為に出るということはまずないでしょう。しかし、軍の展開準備と戦備体制の引き上げは行われるでしょうな。我々としては、来ないと分かっていても対応はしなければなりません」
「では日本は、どちらの味方に着く?」
「日本は、米ソのイデオロギー対立には関心が薄く……これ以上の国際情勢の緊張化を望んでいないだけだと思われます。恐らく、先に手を出した方の敵となるかと」
「ふむ……」
ケネディ大統領は、キューバ空爆を主張する軍幹部に向き直る。
「……で、だ。もしそうなった場合、我が軍は日本に対応できるのかな?」
「それは……」
結論から言うと、かなり困難である。
海空軍の量的規模から見れば対抗は可能と思われるが、日本の軍事技術は常に一歩先を行っている。
おまけにアメリカ海軍は大きく太平洋と大西洋に分けられているが、日本海軍はその全てを太平洋に向けられる。
もし戦端を開けばアメリカ海軍は各個撃破されて北米に閉じ込められ、そのうち布哇や新須賀からやってくる日本陸空軍のソ連地上軍とすらも真正面から殴り合える強大な戦力によって国土を蹂躙されることになるだろう。
核戦力に関しても、アメリカは約5000発の核を有するが、このうち大多数を占める航空爆弾や中距離弾道ミサイルでは日本本土を攻撃するのは不可能に近い。
また、唯一の頼みであるICBMにしても、アメリカのそれは発射まで数時間の準備が必要かつ電波指令誘導の為同時多数発射が不可能な欠点を持つ。
対して日本は、既に即時同時多数発射が可能な個体燃料式の慣性誘導ICBMやSLBMを多数配備している。もし核の撃ち合いになったら、アメリカが1発撃つ間に100発の核弾頭が帰ってくるだろう。
これでは戦争にならない。
「そして、最悪の場合共倒れした米ソを尻目に、復興した日本が世界の覇者となる」
ソ連指導部も、これとほぼ同じ結論を導き出して更なる行動を断念。
両国首脳は日本の仲介によって、新須賀州にて直接会談を行い和解を表明。
核戦争の危機は未然に防がれたのだった。
553: 名無しさん :2021/12/19(日) 02:50:19 HOST:sp110-163-11-93.msb.spmode.ne.jp
以上です、ありがとうございます。
ここでは16世紀末から日本が好きにアラスカや東南アジアに進出したものの、歴史の修正力か何かで日本影響下の地域以外は史実そっくりに推移しちゃった仮定です。
最終更新:2021年12月20日 13:44