517: 弥次郎@お外 :2021/12/29(水) 21:34:22 HOST:p2570027-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp

憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「Dive Into Dark」



 地球連合軍に出向、あるいは雇用という形で戦力を展開している企業連合は次なる動きを着実に行っていた。
 すなわち、BETAが展開してきた地下侵攻への対処であり、あと始末であった。
 地下を通過してきたということは、そこに侵攻のための通路があることに他ならない。
何もBETAは地面をすり抜ける超能力があるわけではなく、物理的に地中を掘り進め、そこを通過してきたのである。
なればこそ、その地下通路内のBETA掃討及び地形探査、さらには必要に応じて防衛体制の構築をしなくてはならない。
それこそ、どこまで伸びているかもわからない地下侵攻ルートだ。放置しておけばいつ何時BETAが底を使って攻めてくるかは分かったものではない。
 よって、帝国は即刻の埋め立てを求めてきたのであるが、地球連合はその調査を行うと宣言した。
 BETAの習性や能力を推し量るにあたって、この地下侵攻ルートというのは一種の基準となりうるのだ。
まして、地下侵攻に適している新型のBETAが確認されたということは、地表面だけに意識を向ければよいというわけではなくなったのだから。
 しかして、地下侵攻路は決して広いとは言えず、それでいてどこまで伸びているかも不明で、BETAとの会敵も予想される。
戦術期では大きすぎて不可能であるが、かといって戦車や歩兵などではBETAに太刀打ちが難しい。
なればどうするのか?そのための戦力は当然のことながら連合は抱えていた。
そして、後顧の憂いを断つために惜しみなく投入することにしたのであった。




  • C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 旧神奈川県西部 富士防衛ライン跡地




 一時間足らず前までBETAがいた富士防衛ラインの跡地はいまだに戦闘の跡が色濃かった。それこそ、BETAの死体は雑に隅に寄せられて残っている。
窮地に陥っていた帝国軍の救援のため、少々手荒な方法を使ったため、地面はめくりあがり、穴が穿たれ、砕かれたのがうかがえる。
 だが、いちいちそれに斟酌している時間もないのも事実。BETAはこちらの事情を鑑みてくれないのだから。
 そして、ひときわ大きな地下道---母艦級が通ってきた巨大な穴---の前に、それは勢ぞろいしていた。

『フォーミュラ・ブレイン正常に起動。セクション01から77までオールクリア』
『グループα1からグループπ7まで全グループのデータリンク状況を確認』
『設置型リコンユニットおよび敷設型装備UNAC、各グループいずれも問題なし』
『先行偵察に赴いたUAVより映像とマッピングデータの受信確認。反映させます』
『各機武装チェック完了』

 そう、UNACである。
 全長5m程度という小柄で数が揃えられ、なおかつ無人化されているUNACというのは、この地下侵攻ルートの探査に向いていたのだ。
サイズこそ小さいものの、戦闘能力は戦術機など比較にならないほど高いし、火力に関しても極めて高い。
そして、無人機ということもあって、自己判断で的確に尚且つ疲れ知らずで活動が可能なので、下手な人間より向いているとさえいえる。

 そんなUNACがずらりと並べられ、出撃の準備を行っているのを遠めに見守る帝国の兵士たちは、興味半分恐怖半分であった。

「あの小さな機体で乗り込むのか…?小型種はともかく、戦車級でもあぶないのでは?」
「いや、あれでも突撃級を真っ向から撃破した…らしい。見たやつが言うにはな。火力が段違いなんだとさ」
「そうだな。舶来もので聞く光学兵器まで使っているのだというから、存外やるかもしれんぞ」
「我々にはろくな戦力がないしな……」

 最後の衛士の言葉に誰もがうつむく。
 防衛ラインということもあり、ここには多数の戦術機が控えていた。
 しかし、突如として出現したBETAに奇襲を食らい、必死の抵抗をしたものの、その部隊構成の3分の2以上が撃破されてしまったのだ。
残りに関しても多かれ少なかれ損傷したり、あるいは戦闘を行う武器弾薬の不足などもあって、稼働できる機体は少ない。
そんなわけで、帝国の戦力は実質的に待機するしかなかったのだ。悲しいことに手伝いもできない。

「情けない限りだな、我らは……」

 祖国への忠誠・愛がある彼ら。それこそ、命を惜しまず戦う彼らであったが、そうであるがゆえに、歯がゆい時間を過ごすしかなかった。

『UNAC部隊、出撃せよ』

 そして、指揮所にいるオペレーターたちの指揮のもと、無人のACたちは穴の中へと飛び込んでいく。
 闇の先、広がっているであろうBETAの掘った地下の世界へと。

518: 弥次郎@お外 :2021/12/29(水) 21:35:01 HOST:p2570027-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
以上、ウィキ転載はご自由に。
この話は短いですが、続きはあるのでお楽しみに。
全3話くらいを予定しております。

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最終更新:2022年01月20日 10:28