519: 弥次郎 :2022/01/09(日) 19:21:20 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「強襲せよ、黒き翼」
トヨアシハラから発した地球連合の戦力は、前線だけにとどまらず、より奥地へと進出するグループも存在していた。
当たり前の話であるが、敵の進行を食い止めるには、前線を構築するとともに、後続の戦力の漸減が必須だ。
いつまでも前線が持ちこたえるとは限らない関係上、後続を可能な限り減らし、あるいは足止めすることによって前線の負担を軽くする必要があった。
その為に輸送艦や輸送機が艦載機を満載にして西へと赴いたのだが、その中には、ネクスト専用の黒い翼が混じっていた。
そう、長距離侵攻ブースターと火力プラットフォームを兼ねるV.O.B.Ⅱであった。
それらにより音速の壁を遥かに超えた彼らの目標は、後続のBETAの群れであり、その侵攻の中核をなしている中型以上の個体であった。
面で支え、押し返すという家庭の前段階、点で突き破り、突破を仕掛ける。そのためにこそ、ネクストとリンクスという個の力が必要となった。
数としては20機あまり。
一見少なく見えるが、トップランカーや新鋭リンクスたちほどでないにしても、これまでの戦いを潜り抜けた猛者たちばかりである。
あるいはトップランカーに薫陶を受けたり、その戦術や技術を学んだというリンクスたちもいる。
いずれにせよ、少数に見えてもその戦闘能力の総合値に関しては下手な戦力より上ということになるのだ。
それに、V.O.B.Ⅱの発揮可能な火力などを鑑みれば、これでも過剰なほどだった。
元より圧倒的多数の相手を掃討するための兵器なのだから、クリティカルなどというものではない。
そのほかにも、連合正規軍の戦力なども次々と飛び立っていく。
何もリンクス達だけではない。MSやMA、その他多数の機動兵器に、それらを支援するための戦力が様々に。
陸海空、いずれかのルートで次々と飛び出していく。それは、まさしく大進撃。
人の営みと、その英知が生み出した力が奔流となって溢れていく光景。
あるいは、はた目にもはっきりとわかる命の力強い鼓動。
「その時、光が見えた。まだ人類は、この国は負けていないのだと、はっきりとした希望が」
その光景に、帝国軍人の誰かが思わずそのように漏らしたそうだ。
じわじわと追い詰められていき、いよいよをもって絶望が迫ってきた時に見えたそれに、感涙さえしたとか。
520: 弥次郎 :2022/01/09(日) 19:23:22 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
- C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 旧近畿地方 上空
帝国の旧都「京都」の存在した旧近畿地方に差し掛かった空中の一団は、光線級による歓迎を受けていた。
連合などはまだ知らないが、BETAからすれば空を飛翔するものというのは厄介な「災害」ということで、優先対処の対象なのであった。
だが、この世界では通用していた出力のレーザーを撃たれたところで、地球連合の戦力にとっては怖くはない。
本格的な照射までに時間がかかり、インターバルまであるのだから回避できないわけがないし、当たったところで所詮レーザーでしかない。
まあ、一々当たってやる義理もないので、多くの戦力が回避運動をとりながらも加速し続けていた。
「来たわね……一気に決めてやるわ」
そして、先頭を行くV.O.B.Ⅱの一つにまたがるネクスト「ガンドライド」を操る女性リンクス「刹那」は歓迎のレーザーの嵐の中に真っ向から飛び込んだ。
当然、光線級のヘイトを稼ぐことになるし、膨大な数のレーザー何発かは直撃をもらう。だが、それはPAにより弾かれるのみだ。
何発も食らっていては危ういかもしれないということで増速と回避運動は続行したが、早々に抜かれはしないと分かっただけでも大きい。
相手がこれまで侵略してきた侵略者のような強力なレーザーを放ってくるならばそれはそれで対処を変える必要があるし、そのように想定してきた。
だが、ここまで弱いならば、多少強引にでも突っ切った方がよほど簡単にケリをつけられるというもの。
「一番槍、もらうわ」
すでに有効射程にはきっちり収まっている。
そして、面倒な光線級の位置のマッピングとデータリンクによる共有も完了した。
ならば、あとは打ち放つだけである。操作と共に、機首のレールキャノンがいきなり火を噴く。
数瞬という時間さえ飛び越え、着弾と結果が生じた。
『刹那お嬢様、少々やりすぎでは?』
「……帝国から許可はもらっているからセーフ」
オペレーター兼実家からのお目付け役の言葉に、刹那は言葉を詰まらせながらも返答する。
控えめに言って、隕石が着弾したがごときクレーターがBETAの群れの中央付近に出来上がっていた。
V.O.B.Ⅱの速度で加速しながらのレールキャノンだから、これくらいは当然というべきか。
しかしながら、許可はもらってあるとはいえ、他国の領土で後々まで響きそうな破壊を行ってしまうのはどうか、となってしまうのである。
明らかにこちらを狙い始めた光線級のレーザーを掻い潜りながらも、刹那は反撃のため威力の低めなガトリングやレーザーキャノンを放っていく。
BETAよりもより強力な侵略者や機動兵器を排除するためのそれらは、いとも簡単にBETAの群れを蹂躙していく。
一番にとびかかった「ガンドライド」に続くように他のネクストやブースターを装着したハイエンドノーマル達も攻撃を開始していく。
ある程度ばらけているとはいえ、それらの砲火は瞬く間に濁流の如く進撃してくるBETAの集団に小さくはない穴を穿った。
「……」
だが、なんだか時間がかかる。刹那はそのように判断した。大火力で一気に排除していることは確かである。
普通ならば重量機に搭載するようなものを複数使用して火力を投射していることも確かだ。
かといって、レールキャノンを盛大に撃ちまくってもよろしくはないし、使っている弾薬などに関しては連合持ちとはいえ金がかかっているのであるし。
ならば、と即座の操作で地形データの取り込みを行う。
(殆ど地形は平らね……)
ならば、今自分の考える「それ」ができてしまうのではと刹那は考える。
機体の性能についてはよく理解しているし、相手がさほど強くはないという情報は入ってきている。
それに信頼するネクストならばその無茶にも応えてくれるのではという期待も。
521: 弥次郎 :2022/01/09(日) 19:24:28 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
『お嬢様……?』
「少々試したいことがあるわ」
『は……?』
「PA出力安定。テスラドライブ正常稼働中。重力フィールド形成機構、問題なし」
『まさか、お嬢様!』
「止めないで頂戴」
一体何をするつもりなのか、察したのだろう。
だが、そんな慌てたオペレーターの声を無視して、「ガンドライド」を載せたV.O.B.Ⅱは加速した。
レーザーの嵐を潜り抜け、一度急上昇をかけてから進路変更。機首を下げ、高度を急激に下げていき、地面すれすれで一気に引き起こす。
その際には一切速度を下げない。むしろ、増速させる。だって、これからやることには速度も大事だから。
「んくっ……!」
あらやだ、淑女らしからぬ呻きが。だが、すぐに刹那はそれをアジャスト。意識を前方に向ける。
目の前、ネクストの速度の感覚では1秒とかからずたどり着くルートにBETAの集団がいる。
そのまま直進してしまえば迎えるのは激突だ。PAなどによってネクストは無事ではあろうが、万が一が怖い。
だが、それよりも前に刹那の操作は完了した。
「重力フィールドの力場を前方に集中!」
そして、機体に備え付けられたテスラドライブの働きにより、T・ドットアレイが発生。強力な重力フィールドとして形成される。
それは、防御としてもつかわれるものではあるが、同時に、速度と質量を伴うことにより強力な矛ともなり得るのだ。
まして、V.O.B.Ⅱによる圧倒的な推力を得ている状態でこの重力フィールドで吶喊すれば、何が出来上がるかは明白。
即ち、V.O.B.Ⅱという形をとったソニック・ブレイカーを発生させる巨大な質量弾頭である。
刃のように形成されたそれを纏い、一体化した刹那は叫ぶ。
「貫きなさい、ガンドライドォ!」
そして、V.O.B.Ⅱごとガンドライドは激突した。
最初にぶつかったBETAは、突撃級であったが、吹っ飛ぶというよりも砕け散った。発生した運動エネルギーが一瞬で体を粉砕したのだ。
そして、それは一体に激突した程度では決して止まることなどはない。むしろ、さらに叩き込まれる加速でさらに威力を増した。
そこからは、圧巻の破壊だった。質量と加速とフィールドの合わせ技は、強力な刃のままに地上のBETA集団を切り裂いていったのだ。
ソニック・ブレイカーだけではなく、その加速により空気を切り裂くことで強力無比なソニックブームまでも発生したのだ。
それは音と衝撃と破壊を伴い、地面ごとBETAを薙ぎ払う。
空から見れば、ピンと張った布を鋭利なハサミが切り裂いていくがごとき光景であっただろう。
そして、空中から攻撃を仕掛けていた同じリンクスたちはその大胆な行動に驚きを隠せなかった。
『大胆に行ったなぁ、あのお嬢さん』
『チマチマ打つよりはるかに効率的だ……素晴らしい』
『いや、まあ、あれはあれでいいと思うが……』
『弾薬を抑えつつ効率的に撃破するならば一番じゃないか?
弾薬費は保証するといわれているが、それを浮かせれば……』
ネクストを操るリンクスたちは、思考と一体化しているCPUを無駄に活用し、一瞬で試算する。
リンクスたちとて、金が付いて回る職業だ。報酬は多い方がいいに決まっているし、その為にチマチマと節約したり、自助努力するもの。
そして、今回の依頼は基本報酬にプラスして出来高払いだ。より多くを、より安いコストで倒した方がいいに決まっている。
『……先取りさせるかァッ!』
そして、その戦場にいたV.O.B.Ⅱを装着したネクストたちは、目の色を変えて目の前のBETAの集団へと飛び込んで行った、文字通り。
旧近畿地方での戦闘は、蹂躙へと変化していった、とだけ記しておくとしよう。
522: 弥次郎 :2022/01/09(日) 19:25:24 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
以上、wiki転載。
ゲーミングお嬢様ならぬ、マーセナリーお嬢様。
キャラ設定などはオイオイネー
最終更新:2022年01月20日 10:52