4: 弥次郎 :2022/01/19(水) 00:16:55 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」3.5
幾多の戦力が展開するβ世界日本列島。
その中には、戦闘のためではない別な役目を負った後方支援役も多く含まれている。
例えば、病院の機能を搭載した航空艦艇と輸送機のコンビ。
膨大な数発生した負傷者を収容し、程度によっては緊急救命を行い、後方へと輸送するのだ。
何しろ、戦場にいるのは戦術機に乗った衛士ばかりではない。歩兵、整備兵、戦車兵、砲兵といった生身にならざるを得ない兵士たちが多いのだ。
むしろ、適性が必要な衛士などよりもよほど多いとさえいえる。適性で撥ねられた衛士の受け皿ともなっているほどだから。
そんな彼らにとって、戦術機にとっては脅威ではない歩兵級や闘士級でさえ死神となるのだ。
勿論、適切な武器や強化外骨格などを装備していれば対処は可能となるとはいえ、それはあくまでも歩兵サイズだからこそ。
そんな彼らが戦車級などに遭遇すればどうなるかなど明白である。
そういった事情もあり、多くの負傷者が発生しがちであり、あるいは急性PTSDなどの発症で衛士がまともに動けなくなることもある。
そんなのが広い範囲で発生しているのだから、余力の乏しい帝国軍に代わって連合が担当するのも当然と言えた。
ほかにも、設営部隊があちらこちらで動いている。
連合とて、地上の拠点がなければ二進も三進もいかないことだってあるのだ。
物資の蓄積や通信中継、迅速な部隊の展開、あるいは前線から帰投した機体の整備補給などなど、そういった設備はいくらあっても足りないということはない。
なまじ、BETAの支配地域であった場所が戦闘やら何やらで汚染まみれということもあり、その手の設営部隊はかなり苦労を強いられた。
つまり、安全に生身の人間が活動するレベルに周辺の浄化を進めねばならなかったのだ。
そして、意外な後方支援役もまた、日本列島各地の戦線を飛び回ることとなった。
戦うため、というよりは、伝えるため。
ものを集めるためというのは正しいが、それは物理的なものというよりももっと別なもののため。
そう、広報部隊である。
5: 弥次郎 :2022/01/19(水) 00:17:51 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
- C.E.世界 融合惑星 β世界 日本列島 旧近畿地方上空 ホエールキング艦隊周辺
航行していくホエールキング艦隊に一定の距離を置いて小型機が追従する。
それは、広報を担当する組織所属のMTだ。
一応の自衛火器を搭載しながらも、主眼はカメラによる撮影とするヴォイスシミターと呼ばれるもの。
民間の報道機関「VoW(ヴォイス・オブ・ウォー)」の用いるスーパーシミターであるがゆえに、ヴォイスシミター。
背部の大型レドーム型カメラによる俯瞰的な撮影や、ハードポイントに据えられた多数のカメラによる多角的な撮影を可能とするものだ。
彼らは、地球連合からの依頼を受け、この日本列島に、そしてβ世界の各地に展開している。
その依頼内容というのは単純。地球連合のあらゆる活動をカメラに収め、この世界の報道のネットワークに乗せることだ。
地球連合は確かにこの世界に存在する敵対的な侵略者であるBETAの存在に憂慮し、手を貸してはいる。
だが、それだからと言って手を貸しているだけでは時に敵を作ってしまうものなのだ。
だからこそ、イメージを変える必要がある。戦場では勇ましく戦い、後方では兵士たちを助け、守るべき民にも手を貸している。
そう言った事実を広め、心証を良くして、地球連合がより活動しやすくしていく必要があるのだ。
現地勢力の協力を抜きにして活動していくなど、とてもではないがやれたものではない。
助けに来たのであって、窮している相手と戦いをするために来たのではないのだし。
やがて、キングホエールの艦隊は砲撃戦を開始する。
事前に通達を受けていたヴォイスシミターは、その巨砲の影響圏から離れていく。
しかし、それでいてカメラはしっかりとその砲撃の様子を捉えていた。別なカメラは、放たれた砲弾で消し飛ぶBETAの群れも。
『---以上、航空艦隊の上空から、フレッド・ナカノがお送りしました』
やがて、レポーターはカメラに乗せる言葉の羅列を止め、〆の言葉を発した。
次に出番があるとすれば、最前線に到着後、旧京都市街地の解放であろうか。
日本帝国民の誰もが望んでいた、旧帝都の奪還なのだから、その映像の価値は高くなるだろう。
ましてやその戦いには武家の頂点たる政威大将軍の煌武院悠陽が自ら親征するということもあって、なおのこと貴重なものとなるであろう。
だから、地球連合もメディア戦略の一環として力を注いでいる。自軍の広報部隊も動員し、帝国の人々に見せつけるために。
そして、その映像などの価値はそれだけにとどまらない。
それは希望なのだ。
幾多の苦難の中であっても、先が見えなくとも、手のひらにそれがあるだけで、まるで違う。
BETAに負けてばかりではない。将軍は飾られているだけではない。人は、国は、まだ負けていないとそう思わせる説得力がある。
世界の各地で同じように報道にかかわる人々は活動する。
情報を伝えることで、未来を明るいものと捉えられるように。苦しむ人々が、その苦しみに屈しないために。
戦うことで未来を繋いでいこうとする防人たちの戦いを届け、希望を見出してもらうために。
日本列島だけでなく、欧州、ユーラシア極東地域などで、彼らは自らの役目を果たすのだ。
諦めるな。立ち止まるな。屈するな。絶望するな。人はまだ、戦えるのだと。その叫びを、届かせるために。
6: 弥次郎 :2022/01/19(水) 00:18:37 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
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寝ます…
最終更新:2022年01月20日 11:08