104: 弥次郎 :2022/01/20(木) 00:22:03 HOST:softbank126066071234.bbtec.net


憂鬱SRW 融合惑星 α世界編 前日譚「化学の基礎です」




 融合惑星にα世界---フルメタルパニック世界が融合する少し前。
 ミスリル残党であるTDD戦隊は、母艦であるTDDを起点に、世界を裏から牛耳るアマルガムとの戦いを続けていた。
 その戦力はARX-Xレーヴァテインを筆頭に、魔改造されつくしたM9ES、さらには例のアレことボン太くん!
 おまけにD系列ファルケとかモブたちの乗る通常のM9もいたりするが主力には数十歩劣っていた。
 何しろ、異世界・未来・並行世界の技術盛りだくさんのASの形をした化け物揃いなのだ。アマルガムがなんぼのもんじゃい!といったところ。
 そも、これまでの戦い、ACE:R世界へと転移した後の戦いにおいて、ミスリルは戦闘や戦術レベルでの敗北はほぼ0だったりするのだ。
理由?アーバレストやM9でも宗助やマオやクルツが強すぎたからである。そのためにアマルガム戦力がマッハで溶けたのは言うまでもない。
ついでに言えば、クルーゾーが宗助にメタクソに凹られたというのも良い思い出だったりする。

 さりとて、彼らTDD戦隊にも弱点はある。
 金が、ないのだ。
 膨大な資金をはじめとしたバックアップを要求する高級機を多数抱えながらも、その実態として資金などがアマルガムより貧弱であった。
無論のこと、テッサが予めプールしていた資産などを活用しているものの、湯水のごとく資金を使う軍事行動にいつまでも付き合えるわけではない。
そも、これまでアマルガムが最終的になんだかんだで目的を達することができたのも、やたら悪だくみのうまいどこぞの兄者のせいだったりする。
それも、綿密な計画と準備をしたうえでだ。そういった手回しや次善の策などの点において、アマルガムに優位をとられていた。
逆に言えば、それほどしなければアマルガムでもミスリルを止められなかったということでもあるが。

 閑話休題。
 ともあれ、そんな中にあってTDD戦隊は軍人としてはあるまじき、金稼ぎに終われたのである、
 働かざるもの食うべからず。さりとて食うものを買う金がないのは大問題なのである。
 しかしながら、軍人というのは金食い虫だ。何をするにも通常の人間よりも金を必要とする。
そのくせ、他のことに関しての技能は関連があるものはともかく、世間一般で求められるものがあるとは限らない。
地道に金を稼いだところで、一日当たりの出費が収入を上回ることは確定であり、そういったものはナンセンスと判断された。
そも、世間一般の常識に疎いどころではないTDD戦隊撃墜王も混じっているので、そこら辺の質は推してはかるべし。
 それに加え、アマルガムが表でも裏でも付け狙っているというのは、彼らの行動を著しく制限してしまっていた。

 だが、テッサは、TDD戦隊の司令官たるテレサ・テスタロッサは一計を案じた。
 アマルガムの資金源は世界経済そのものから抽出される利益そのもの。
 ならば、ちょっとくらいかき回してもいいのである。多少の犠牲はやむなしだ。

「ということで、サガラさん。やっちゃってください」
『了解しました、大佐殿』
「なあ、テッサ……確かにウチに余裕はない。けれど、これは……」
「いいんです。相手が相手ですから。それに、こうやって稼がないと運転資金が賄えません」

 ARX-Xレーヴァテインのコクピットに収まる宗助に、テッサは合図を出す。
 レーヴァテインの前には、調達してきた木炭やら石炭が収まったコンテナが存在していた。

105: 弥次郎 :2022/01/20(木) 00:22:35 HOST:softbank126066071234.bbtec.net

 ここで化学の基礎的な話をするとしよう。
 一般に物質というのは原子から構成されている。
 一見性質が違うものも、実はその構成する原子は同じだったりするわけで、世の中は案外単純にできているのである。
 そして、この手の炭というのは、いろいろと化学式自体は複雑だったりするのだが、根本的にはC、すなわち炭素から構成されている。
基本的に地球の生命というのは炭素を根幹とする。

「というわけで……錬金術、ではなく化学の基本にのっとり、ダイヤを作りましょう!」

 テッサの言葉に嘘はない。
 ダイヤモンドは炭素の結合により構成される宝石だ。あの美しさ、実は炭である。夢ぶち壊しである。
 しかし、その結合が通常と異なるのが事実だ。一般的に分子間力により結合する炭に対し、ダイヤは共有結合により美しく整列して結合する。
故にこそ、ただ炭素を用意したところで、ダイヤモンドを作るなど不可能。
これを実現するには、その分子間力をほどき共有結合させることだ。それに必要なのが、最低でも6000気圧と1600度の高熱である。
圧縮しながら熱を加え、分子の構造を大きく変容させるという苦労が必要なのだ。
当然、そんな必要な設備をまともに用意したらTDD戦隊の財布には穴が開く。いや、穴が開くどころか底が抜ける。

 だが、ここに例外が存在する。レーヴァテインとそのラムダ・ドライバである。
 超常的な物理現象を引き起こせるラムダ・ドライバ搭載のASならばやれる、というテッサの発現の元、実行されることになった。
これに先立ち、テッサは宗助に対して化学の授業を行い、その必要なイメージを涵養していた。

 そして、今に至るのである。 
 幸いにして、宗助も過去の経験からこの手のイメージはまとめやすかった。
 ACE:R世界に転移した際に見知った異世界の機動兵器の武装が、彼のアシストとなったのだ。
紅蓮弐式はその腕から輻射波動を放つことで高い威力を発揮した。キングゲイナーは分子を加速させることで熱を生み出した。
そのイメージと化学の知識を合わせ、ラムダ・ドライバにそのイメージを叩き込むのだ。
 どうやるか、ではない。やるという意志を貫けばよいのだ。

(そうだ……ダイヤモンドの分子構造をイメージする……それが出来上がる過程を、強く、強く)

 そして、レーヴァテインは腕を突き出す。
 ラムダ・ドライバの力場に包まれたその腕は、尋常ではない圧と熱を生み出し、木炭をつかんだ。

 その結果がどうなったのか---これに関しては言うことはない。
 ただ言えるのは、α世界の世界市場に突如として大量のダイヤモンドが流入。大混乱が発生したこと。
 そして、その混乱に乗じて、何者かが膨大な利益を貪ったということである。

106: 弥次郎 :2022/01/20(木) 00:23:06 HOST:softbank126066071234.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
力士が握力でダイヤモンドを作ったというマンガを読みまして…w
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最終更新:2023年06月18日 22:36