171: モントゴメリー :2022/01/14(金) 16:57:27 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
M7/T-50戦車

重量:約20トン
全長(車体):5.0m
全幅:3.0m
全高:2.4m
エンジン:液冷ディーゼル(500馬力)
懸架装置:リーフ式
武装:41.5口径76.2㎜砲×1
   7.62㎜機関銃×1
   14.5㎜重機関銃×1
装甲:50㎜(砲塔及び車体前面)
   25mm(砲塔及び車体側背面)
乗員:5名
(上記の数値は「標準型」のもの)

漆黒合衆国陣営が開発した戦車。
生産性を極限まで追求しながらも、必要最低限の性能と1世紀以上も生産され続けるほどの発展性・汎用性を併せ持った車両。
漆黒合衆国を象徴する作品とも言える。

戦前、合衆国及びソ連の陸軍上層部はあることについて悩んでいた。
T-34/M4シリーズの生産が予定より遅れているのである。
合衆国とソ連本国については、ほぼ予定通りの生産数を達成していたが、その他の同盟国——ブラジルやバルカン連邦など——での遅延が著しい。
約半世紀前に合衆国陣営に参加し、それから延々と各種工業インフラを育成してきたブラジルはまだマシであったが
バルカン連邦などは各国の国営工廠でしか生産していないのが主な理由である。
T-34/M4シリーズはまさに「革命的な」戦車であるため、生産には多少技術力が必要であることは承知していたが
同盟国の工業力、特に民間資本がここまで貧弱だとは想定外であったのだ。

実をいうとその想定、日英両国はおろか合衆国の経済官僚から見ても「甘すぎだヴァーカ!!」と一蹴される代物だった。
とは言え、その想定を基に戦力整備計画を作ってしまったのだから仕方がない。
何か「修正案」を考える他に無かった。
まず考えられたのが「各国の工業力育成」である。
しかし、これは王道ではあるのだがその成果が表れるまでに何十年かかるかわからないので即座に没となる。
そして次善の案として提出されたのが「同盟国でも生産できる戦車を開発する」である。
同盟国の貧弱な民間資本でも生産できるほど簡略化された戦車を生み出すということだ。

早速、その新たな戦車に対する要目が討議された。

  • T-34/M4シリーズの補助として戦場で使用できる最低限の能力
  • 状況によっては、主力戦車として各種任務に対応できる汎用性
  • 同盟国や国内の中小メーカーでも製造できる生産性
  • 同盟国でも十全に活用できる運用性
  • 今後10年程度は運用できるだけの発展性

1~4番はまあ異論はない。しかし、5番目はどこからやって来た?
さらに、上記を基に技術的要目も定められた。

  • 重量は20トン前後
  • 主砲及びエンジンは、T-34/M4シリーズと同一とする
  • ただし、生産者側の事情を考慮し様々な砲やエンジンを搭載可能な構造とする
  • 操作性と発展性を向上させるため、可能な限り砲塔及び車体内部容積を確保する
  • 生産に関する難易度とコストを極限まで低減する
  • なお、難易度とコストが相反した際は前者を重視すべし

これらの要目をまとめると「粗製濫造できてかつ最低限の能力を持つ戦車」ということになる。
なお20トンの重量制限については、同盟国のインフラや地形を考慮するとT-34/M4シリーズ(28トン)でも重すぎるかもしれないという懸念が浮上したため設定された。

設計は当初ソ連の設計チームに任される予定であったが、その彼らの推薦により合衆国のチームが任命された。
彼ら曰く、いい経験になるだろうとのことだ。
決して、要目がひど過ぎるから逃げたわけではない。決して……。
(ソ連設計チームを擁護するならば、この時彼らはT-34/M4シリーズの後継中戦車や各種重戦車の設計で手一杯であったのだ)
こうして「先生」たちから課題を与えられた合衆国の若手技術者たちは、フロンティア・スピリッツを全開にして取り組み——見事に成果を出した。

172: モントゴメリー :2022/01/14(金) 16:58:03 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以下に本車両の特徴を記す。
まず、車体構造は可能な限り垂直面を使用した直方体である。
傾斜装甲は生産効率の面で不利であり、さらに「傾斜面同士の接合」など一流の工場でなくては不可能であった。
また、内部容積の圧迫にもつながる。だからこその直方体構造である。
ただし、車体正面に関してのみ45度の傾斜が採られた一枚板で構成されている。
砲塔に関しても同様、こちらに関しては上から見たらほぼ完全な正方形である。
20トンという重量制限に関しては、車体長を短縮することにより達成している。

武装とエンジンに関しては、T-34/M4シリーズと共通化している。ただし、耐弾性確保と工程削減のため車体前面機銃は廃止された。
また、同盟国の事情を考慮し、上記以外の武装やエンジンが搭載されることを最初から考慮されている。
そのために砲塔やエンジンルームは余裕を持って設計されている。
(これがなければ、より全高と重量を抑えられたであろう)

履帯や転輪もまたT-34/M4シリーズのものを採用しているが、懸架装置に関してはリーフ式(板バネ式)に変更されている。
これはトーションバー式よりも旧世代であり、性能も低いものであるが構造が単純かつ堅牢であり、かつ安価であった。
さらに一般の自動車やバス、建設重機などに広く用いられている方式であるため取扱い経験がある工場が各地にあった。
これらが採用の決め手である。
なお、将来の重量増大を見越してサスペンションの性能は敢えて過剰なものとなっている。
T-34/M4シリーズより3割ほど軽いのにエンジン馬力は同じであるため、T-34/M4シリーズを凌ぐ機動力を発揮する。
しかし、サスペンションの違いにより高速時の安定性は劣る。

装甲は車体及び砲塔前面はT-34/M4シリーズと同じ50㎜を確保した。
ただし、他の箇所は重量軽減のために半分の25㎜に削減されている。
(生産効率確保のため全て同じ厚さとした)
とは言え、25㎜であっても日英同盟軍が用いる13㎜クラスの重機関銃に対しては100m前後まで安全圏を確保できるので相手をする場合は専用の対戦車兵器が必要となる。

合衆国及びソ連陸軍上層部はこれら諸元に満足し、M7/T-50戦車として制式採用された。
採用後は同盟諸国の町工場に技術指導団が派遣され、まずはノックダウン生産が開始された。
そこで生産に習熟し、可能と判断された暁にはライセンス生産に移行する。
またソ連や合衆国の中小メーカーも参加し、主に輸出用に回されたがある程度は両国陸軍にも配備された。

なお、開戦時には同盟国にも十分にT-34/M4シリーズが供給されていたため、軍上層部の心配は杞憂で終わることになる。
(もっとも、その頃にはT-34/M4シリーズは旧式化していたが)
だが本車両はその扱いやすさと軽さからくる運用の柔軟性から主に同盟国戦線で活躍。
本国でもその生産性から戦争全期間を通して生産され、補助線力として活用される。
例を挙げると、周辺警戒などには本車両を配置し、重点地域にT-44やISシリーズを集中させるなどである。
汎用性も十全に活用され、様々なタイプが生み出された。
火力強化として真っ先に107㎜榴弾砲が搭載され、122㎜榴弾砲や90㎜戦車砲を積んだタイプも作られた。
それにとどまらず、状況に応じて山砲から高射砲まで積める砲は片っ端から積まれることになる。
エンジンも同様である。こちらは、バスやトラック用のエンジンや旧式航空機の星型空冷エンジンが多く用いられた。

そして本車両の真価は、ある意味では戦後に発揮されることとなる。
生産の難易度が(装甲車両としては)格段に低いため、世界中の反政府勢力やテロリストたちが運用したのである。
これは21世紀になっても変わらず、ある地域では英国製105㎜砲を積んだタイプまで確認された。
本車両はまさに、世界を悩ませる漆黒合衆国の残光そのものであるのだ。

173: モントゴメリー :2022/01/14(金) 16:58:39 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
やっぱりね、何事も地に足のついたものでなくてはダメよね……。
ということで、以前発表した強化プラン(試案)より大幅に方針転換させていただきました。
コンセプトは

「町工場でも作れる戦車」

下町ロケットならぬ下町戦車でございます(もしくは「会いに行ける戦車」)。
見た目は「四角」です。豆腐です。豆腐(車体)の上に串が刺さった豆腐(砲塔)がのっております。豆腐ハウスならぬ豆腐戦車です。
(まあ、車体は横から見ると片側が45度で切られていますが)

しかし、それこそ豆腐のように様々な食材(武装・エンジン、etc…)と組み合わせられる汎用性が売りでもあります。
そして一番の売りである生産性の高さは、T-34/M4シリーズの2/3程度のコストで生産可能だと思います。
史実を基に計算すると、T-34/M4シリーズの生産コストが15~16万ルーブル(≒5万ドル)です。
なので、1両当たり10万ルーブル前後ですね。
ちなみに、史実Ⅳ号戦車長砲身タイプやパンターが30~32万ルーブルほどですのでⅣ号戦車1両分のコストで3両作れますね。
肝心の性能も豆腐じゃないか、と思われるでしょうが正面から撃ち合った場合はⅣ号戦車G型とH型の間くらいの性能はございます。
(機動力は確実に上)
ぶっちゃけ、主砲とエンジンを調達できれば本当に町工場で作れますので戦後世界中で愛される商品となるでしょう。
(その二つだって自力生産できるところはあるし)
T-34/M4シリーズが「戦車界のAK-47」ならば、本車両は「戦車界のステンサブマシンガン」です。

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最終更新:2022年01月20日 12:41