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銀河連合日本×神崎島 ネタ ミコモリコンゴウさん



金剛山地金剛山


「もう足がああっ!」

「ホラ、もう一息デース!」

「マサトサンちょっと運動不足デスヨ。」


たまの休日我らが凸撃バカ夫妻+ヒメチャンは金剛に連れられ山登りに来ていた。
柏木P企画、艦娘の案内によるフェルさん艦内神社参拝ツアーの一環である。
因みにヒメチャンは金剛に背負われているが、金剛がその気になれば姫迦を抱えたまま生身でヒマラヤ山脈すら縦走可能なので却って安全だ。
此度は戦艦金剛が艦内神社である金剛山鎮守建水分神社への参拝である。

そのついでに大阪湾や奈良の山々を見渡せる金剛山にも登ろうということになったのだが当初柏木はロープウェイで登る腹積もりであった。
しかし、最近フェルさんより柏木の運動不足を嘆いていることを知っていた金剛により強制的に運動不足解消の為に徒歩による登山と相成った。
柏木の身体を心配した金剛の心配りである。しかしどんだけ柏木が声を上げようとも登らせる当たりは流石は鬼金剛である。
ようやく山頂の展望台に到着すると柏木はベンチに倒れ込むように座り込んだ。


「良く頑張りましたネー。」


ニコニコ笑う金剛から冷たいスポーツドリンクを手渡され偉い偉いと頑張った子供の様に褒められて柏木は気恥ずかしくなった。
大人になってから褒められたことなど数える程しかない。

柏木から見た艦これの金剛というキャラは提督LOVE勢筆頭であり、日本人から見た間違ったイメージの外人か日本語の怪しい帰国子女かという人物像である。
しかし実際に接してみた金剛という艦娘の人物像は提督に対する愛はブラックホールより深く白色矮星より重いのは当たり前だが他者への母性もエラく強い。
貴婦人や令嬢というより日本のカーチャンというかオカンと言った方がしっくり来るような気がする。

金剛自身の地位と知名度、そして自身の影響力から鎮守府関連で柏木夫妻とのやり取りや個人的な付き合いも多い。
それ故、地球世界の外交の場に出ること多いフェルさんや柏木の為に各国艦娘や政治家妖精を巻き込み上流階級や国際的なマナーや礼儀を仕込み、
柏木家を訪れては柏木家の台所を借りフェルさんに金剛式肉じゃがとか仕込んだりしてる。(実際戦艦金剛内で肉じゃがを作った記録がある)
そんなこんなで柏木夫妻は金剛に対して頭が上がらない。

フェルさんは金剛が柏木家を訪れた際に膝枕されて子守唄歌われながら眠ってしまったことあるそうな。
それを見た柏木は「なんか、お母さん、って感じがした」「案外、金剛って主婦とか似合ってたりして」と言ったとか。
なおフェルさん、「マサトサン…コンゴウサンはアヤナミサンというよりキリシマサンなのデスヨ。鋼鉄な彼女的な意味デモ…。」と謎のコメントを残している。


軍人としての金剛は用兵家、戦略家として優れているばかりか豊富な知識と経験に裏打ちされたウィットに富んだジョークと言い回し、
政治家としても見習うべき所も多い。
知識人を自称するタレントやら自称専門家やら、野党議員が金剛と相対するとマウントを取るどころか煙に巻かれたり、無知を晒したりと実に痛快な光景だ。
そんな金剛を見て「あのぐらいのジョークで外野共を煙に巻けりゃもう少し政権長かったかもな。」と笑いながら話したのは某閣下の言葉である。

そんな金剛なのであるがしれっと全自衛隊の自衛官から崇められてたりする。
自分の郷里に関係したり、特別な幸運艦や武勲艦、大和や長門のように日本という国を代表する艦として自衛官から崇拝される艦娘は何人かいる。
しかしそれとは関係なく全自衛隊の自衛官から信仰されているのが金剛という艦娘である。
というのも戦艦金剛の艦内神社は金剛山総鎮守であり楠木氏の氏神を務める建水分神社である、
多聞天の化身、日本開闢以来の名将とも称される楠木正成公の氏神でもあるのだ。
そして摂社にはその公本人を祀る日本最古の南木神社が存在し則ち建水分神社は武神としての側面も有する。
故に優れた軍人でもあり武人でもある艦娘たる金剛は公とも同一視され一部では女大楠公、女兵衛尉殿等と称されたりもしている。
なおそれに対し金剛は「ワタシはレディダヨー!?」という反応を返している。

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そして彼女は他にも農家や治水関係者、子供が欲しい或いは小さな子供がいる者からも手を合わせられている。
建水分神社の主祭神、天之御中主神以外は天水分神、国水分神、罔象女神、瀬織津媛神とまあ川神、水神揃いであり、
神社名にも入っている水分神はみくまりのかみと読むがこのみくまり(水配り)がみこもり(御子守り)と解され子授け、安産、子供の守護者とされまているからである。

ウソかホントか金剛の行こところ日照りが続けば雨が降り、雨が続けば晴れ渡るという噂が存在し、
土砂崩れや洪水、大雨が降る前には金剛らしき女性が現れ高台や安全な場所に避難する様に言われたという話がある。
また、金剛が巫女として呼ばれたところで臨月の母親が破水、救急車が間に合わず金剛が現地で産湯を用意して赤子を取り上げたりしている。
それらの場所には水分神や罔象女神、瀬織津姫が祀られ、赤子を取り上げた産湯もまたそれら水神が祀られた清水が用いられたという。

なので信心深い年老いた者からはコンゴウさんとかミコモリさんとか呼ばれているとか、そんな考えがを柏木のぼんやりとした頭に流れる。



(全くヒメチャンのおとーさんはダメダメデスネー!)

(デスネー!)

(あうーあ!)


疲労困憊で山頂のベンチに横たわる柏木、段々と金剛とフェル、姫迦の声が遠くなる。



そういえば…神崎島で重要視される祓いの神として速佐須良比売媛と共に信仰されてる祓戸大神の一柱の瀬織津媛って…
天照大神の荒御魂、災いの化身大禍津日神或い八十禍津日神であるともされてたっけ…



姫迦を高い高いする金剛を見ながら瞼が落ちた。





気づけば柏木は暗い暗い映画館、その中央の座席に座っていた。
何処か古めかしい映画館の内装、そして柏木の視線の先には白く大きな銀幕。



またか…。



そんな考えが頭を過る、あの日爛れた女を見た黄昏時の続く彼岸花の花畑を思い出す雰囲気。
その空間にただカラカラ、カラカラと映写機がフィルムを回す音だけが響き渡る。

砂嵐が銀幕に映り幕を開ける。
始まった、酷く粗い古い古いモノクロームのフィルムの様な、セピア色の写真の様な誰かの記憶。



『垂れる稲穂ぉ?ありがたやぁぁ?田のカミさんよおぉ?。』


どこまでも続く稲穂、麻の貫頭衣を着た人々が『彼女』が見える場で謡い舞い祈りを捧げて、



『その鏡は?』

『これを持っていきあの御方として祀れとのことだ。』


『彼女』は自身である鏡を託して、



『これが超弩級戦艦か…!』

『これで我が国も西欧に並べます!』


英国で建造された『彼女』が日本にやって来て…



『どうかこの子をお助け下さい!!』


青い顔をした赤子を抱く虫垂れ衣の女性が『彼女』の前で必死に手を合わせて…

571: 635 :2021/12/30(木) 23:53:40 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

『クソ!海面が死体で埋まってる!』

『急げ!臣民達が助けを待っているんだよ!!』


帝都を襲った未曾有の大災害に『彼女』は救助に向かって…



『畏み申し上げる。』


『彼女』は常世の浪の寄せる地で祀られて、



『このままじゃ一揆をするしかねえ…どうか日照りを止めて下せえ…。』


鍬や鎌を持つ丈の短い着物を着た者達が『彼女』の前に集まり祈りを必死に捧げて…



『総員!敬礼!!』


観艦式で尊き御方の乗る『彼女』の妹に乗員全員が敬礼を送って…



『アレが帝ってやつかい?』

『ああ将軍サマに代わって天下を治めるんだと。』


『彼女』は東の京へとやって来て、



『母ちゃん熱いよお…。』

『早く早く!走って!』


燃え盛る街、赤子を背負い子供の手を引くモンペ姿の火達磨になった女性が『彼女』の泉に飛び込んで…



『前方の空母に砲撃を加えろ!』

『決して逃がすな!!』


人類史上最大の海戦で『彼女』は奮戦して



『耐え難きを耐え…忍び難きを忍び…。』

『ううう…。』

『ヒック、ヒック…。』


『彼女』は鏡越しに子孫の治めた國の終わりを見届け、

572: 635 :2021/12/30(木) 23:55:59 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

第二の故郷となった國を前に『彼女』は海の狼の手で沈められて…


『彼女』はおおいくさを超えてなお濁世全てを遍く照らし…


禍津陽である『彼女』の下から深海棲艦が顯れて…




『彼女』は『彼女』で『彼女』でなくて、でもやっぱり『彼女』で
『彼女』も『彼女』でなくて『彼女』で『彼女』の『彼女』が


『彼女』は、


『彼女』の、


『彼女』に、


『彼女』が、


『彼女』で、


『彼女』も、



『彼女』……『彼女』


『彼女』…『彼女』…『彼女』『彼女』…


『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』


『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』



『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』
『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』『彼女』




パンパン




映写機が止まった。




(ハイハイここまで、ここまでって何だってここまで来るんですか!コンチクショー!)

(アオーン!)

573: 635 :2021/12/30(木) 23:58:57 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp






(…きなさい。)


(…サトサーン?)


(あうーあ!)


意識が急速に覚醒する。


「柏木サーン!さっさと起きるデース!!」


大声に瞼を開ければ太陽を背負う人影が目に入る。
それは最期に見た人影に似て。


「ア…ラス…サ…マ…?」

「?何言ってるデース?」


はっと柏木が起き上がり辺りを見回すとそこは疲れで瞼を落とした金剛山の山頂。


「俺何か言いました?」

「いや今アマ…って覚えてないならいいデース…。」


不思議そうな顔をする柏木に金剛は口を閉じる。
柏木が起きたのを見届けるとフェルは姫迦を抱き上げた。


「マサトサンも起きたしワタシはヒメチャンと展望台に行ってきマスネー!」

「だうー!」

「ああ…。」

「行ってラッシャーイ。」


柏木は自分がないような気の抜けた返事を返す。
そしてその柏木の側で屈んでいた金剛は立ち上が駆けていく二人の方を向くと手を振り二人を穏やかな笑みで見送る。その微笑みは慈母の様で。
柏木から見えた二人を見送るその横顔にはで尊き方の紅い紅い……が浮かんで、臀部には九本の…がゆらゆら、ゆらゆらと…。


「!?」

「 ? 」


柏木は目を擦った。
しかしそこにいたのは疑問符を浮かべ振り向いたいつもの金剛だ。


「どうしたデース?」


金剛の言葉に今の事を言葉にしようとするが言葉が出ない。
何を言おうとしていたのか何を感じたのか…。
そんな柏木にふわりと微笑むと金剛は柏木の隣に腰を下ろしした。


「うわっ!?」

「フフ、きっと慣れない運動と普段の野党の子守で疲れてるデース。」


金剛は再び柏木をベンチに横にさせるとその頭を自分の膝へと置き柏木の顔を覗き込む。
その顔は記憶の片隅に残る幼き日に駄々をこねた自分を寝かしつけた母のようで。


「時間が来たら起こして上げるから少し眠るデース。」

「……お言葉に甘えさせて貰います……。」


自然とその言葉が口から出て柏木は瞼を閉じ意識が闇に落ち、金剛なそんな柏木の髪を優しく撫でながら遠い山々を見つめる。
その姿は母のようで、その紅い唇はいつの間にか子守歌を口ずさんでいた。

574: 635 :2021/12/31(金) 00:00:19 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp





………………。



(♪~~~~♪~♪~)



歌が聞こえる、暖かな暗闇には『彼女』の声が響き渡る。
歌詞も言葉も分からぬ遠い遠い海の向こうの異国の子守歌…そこに込められた言霊が伝わって来る。



(眠りなさい私の愛し子、天つ神が貴方の夢路を見守っています…)



………………。



(眠りなさい私の愛し子、瞳を閉じて楽しき夢路をいきなさい…)



………うん………。

575: 635 :2021/12/31(金) 00:00:52 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2022年01月24日 20:30