426: 635 :2022/01/24(月) 07:23:30 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその六十九
向こう側、銀河連合日本のある世界。
何処までも氷に覆われた平原、人型機動兵器が腰に付けた推進機より光を曳きながら航空機に手足が生えた様な機動兵器、
加え艦艇故の火力を抑える為の局地陸戦用艤装(オルテナウス)を纏う数名の艦娘とともに氷原を滑走する。
TSF-1閃電(注1)とVF-0EX烈風改、とある理由で南極観測艦宗谷率いる神崎島南極観測隊へと派遣された軍の機体だ。
昭和基地を出発しドームふじ基地経てある場所へと向かっている。
閃電に乗る神宮司まりもは僚機の烈風改に乗る坂本美緒へと通信越しに声を掛ける。
「しかし変な命令よね。"南極横断山脈を調査"だなんて。」
『ああ、しかも提督よりの直接のものだ。』
「それに南極横断山脈に行くならバード基地やアムンゼン・スコット基地を経た方が近いのに…。 」
『それだけ他国に知られたくない理由がある、ということだろう。島風、長波、雪風何か聞いていないか?』
美緒は並走していた三隻に問いかける。
何故この三隻かと言えば幸運艦にキスカ撤退時の艦だからだとか。
『オゥ!?』『話しちゃっていいんでしょうか…?』『いいんじゃねえの?』
島風は驚き、雪風は悩み、長波はやり投げだ。
そして長波の言葉を受け雪風は口を開く。
「実は…今回の件、先帝陛下からの御依頼なのです。」
フェル達を見下ろすビルの屋上、高下駄を履き水干を着た少女…龍驤が式神の様なものを浮かべそれらを次々に放ち小さな機動兵器へと姿を変えていく。
「ほいほいっと7番隊はうちらのフェルさんの援護して指示に従ってや?5番隊はこっちのフェルさんを直掩、
同じく6番隊はマシュの嬢ちゃんの直掩、南海(注2)と旭光Ⅱアウルドは浜風と護衛に逐次情報を転送っと…。」
「リュウジョウ、マシュ達の様子はどうてすか?」
「ん…?ああアルトリアかいな…今別個に逃げて阿呆共撹乱しとるところや。」
声に振り向くと銀の鎧を纏う向こう側のアーサー王本人、アルトリア・ペンドラゴンがいた。
龍驤はモニターを見せ返答するとアルトリアはそうですかと答えた。
そんなアルトリアに龍驤は後頭部で腕を組みながら話す。
「アルトリアもマシュの嬢ちゃんが心配で来たんか?」
「ええ。電と同じ私の騎士を継ぐ者であり、『私』が迷惑を掛けた相手ですから…。」
「過保護やなあ…でその『私』ってんは十三世紀のエルサレム…キャメロットの獅子王かいな。」
「ええ…。」
ちなみにその事実を知った時にアルトリアはどうしてそうなったと頭を抱えた。
無理もないカルデアに阻止されたが並行世界の自分が世界崩壊の引き金を引きかけるとか想像の埒外である。
まあ、他にも頭抱える要素はたくさんあるが…自分の別側面(多数のアルトリア顔)とか、
円卓の騎士達が実は奇行種だった(幕間とかぐだぐだと化しているイベント)とか。
ちなみにこのアルトリアは存命してるアルトリア・ペンドラゴン御本人なので御年は神崎島でも神様除き上から数えた方が早い。
流石にオリュンポスの市民(一万歳)には負けるが。
そして暫く、龍驤は頭の先から爪先までアルトリアを見回すと微妙な顔をしていた。
427: 635 :2022/01/24(月) 07:24:07 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「でな…色々と言いたいことあるんやけど…。」
「何でしょうか?」
「後どうしてここでお馬さんに乗っとるんや!?」
「神崎提督も言っているでしょう常に常在戦場の気持ちでと。貴女達が常に艤装展開出来るようにと騎士は愛馬に騎乗すべきでしょう?」
「カルデアのあんたかいな!?こんな所で原作再現すんなボケー!!」
「いえ原作ならば別側面でもなく本人な私が原作と言うべきでは?」
「ぬがー!!あー言えばこーゆー!!天然かいなこのオンナは!!そこまで馬が好きなら提督の前でも馬耳と尻尾でも付けとれぇぇぇぇ!!」
「何でそれ知ってるんですか!?」
「付けとるんかあぃぃぃぃぃ!?ていうか何で人の旦那の前で付けてたぁぁぁぁぁ!?」
何かもうこうわちゃわちゃと騒ぐ龍驤とアルトリア。
龍驤は卑しかなんたら杯とかなんとか叫んでいる。
馬なので表情からは分からないが何してんだかというの感じのドゥン・スタリオン、
そんな時に龍驤が造成していたモニターの一つが警告を発しているのにこのお馬さんは気づいた。
「大人しくしろっ!!」
「は、離して下さい!!」
狂った表情をした者達に取り囲まれ腕を掴まれたマシュは振り解こうとする。
身体を強化すれば簡単に振り解けるがそれで相手を怪我させてしまえばヤルバーンに迷惑を掛ける為にそれも出来ない。
そしてこの騒ぎに周囲の者達は何だ何だと集まりスマートフォン等を片手に警察を呼んだり撮影を始める者までいる。
だが狂人たちはそれを意に介さない。
「さあ我々に力を貸してカルデアの役目を果たすんだよ!!マシュ・キリエライト!!」
「ッ!何で貴方達に力を貸す必要があるんですか!!」
「あの世界、銀河連合日本は戦争出来る日本は異聞帯、空想の世界なんだから否定して滅ぼさなきゃダメだろ?」
「貴方達こそ何を言ってるんですか!!あの世界は異聞帯でも特異点でもない現実に存在して多くの人々が住む世界です!その世界を滅ぼすなどと…。」
マシュの反論に何を言ってるんだと言わんばかりの顔をする狂人。
「空想の世界を消すのの何が悪い?」
「貴方達何を…。」
「だって今まで多くの世界消して滅ぼしてきたんだろ?空想なんだからお前らが滅ぼした世界一つ増えたくらいで問題ないだろ?」
「ッ!!」
狂人の言葉に反論できないマシュ、それを肯定と取ったのか狂人は話を続ける。
「そういえば先輩とかいうマスターは何処だ?向こうにもサーヴァント?がいるから戦力は必要だろ」
「男か?女か?まあどちらでもいう事聞かせる手段はある…。」
男も女も下卑た表情をする。
周囲の者達は狂人らとマシュの会話を聞いてざわつき始め、ネットに今の会話を流し始める者もいる。
そしてマシュはマスターの話を聞いて。
428: 635 :2022/01/24(月) 07:24:47 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「先…輩…?せんぱいは私のますたーで、女性でいっしょにおふろはいって…でも男性で…あれ…?」
「何ブツブツ言ってんだ?」
「とりあえず連れて行くわよ。」
その時パトカーのサイレンの音が響き渡る。
狂人達は焦るが、
「警察だ!逃げる『ゴス!』カハッ!?」
「お、おい『バシュン!』アババババ!?」
「ナニしやがってんデスカ!!」
「ワタシの妹分に手ェ出しマシタネ!!」
天沼矛の様なモノを狂人の頭目掛けて振り下ろした銀河連合日本のフェルとスタンブラスターを撃ち込んだこちら側のフェルが怒り心頭といった感じで立っていた。
残りの狂人達は仲間を見捨て逃げようとするがその行く手を巨体が阻む。
カタクラフトを纏う巨大な白馬とそれに乗った騎士、アルトリア・ペンドラゴン。
「ふぅ…動物達の方が余程仲間を大切にしますよ…これが畜生にも劣るというやつ…いやトトロットより聞いたあの島の妖精達に近いと言うべきか…。」
「英霊!?」
「相手が幽霊なら神社の御札や銀の武器が聞くはず!!」
そんなことを言って狂人達は御札やらお守りやら銀食器やら投げてくるが全て馬上槍の一振りで振り払われ、騎馬が狂人達に突進し蹴散らされる。
そして蹴散らした者達を一瞥すると呟く。
「そもそも残念ですが私は生身の人間ですのでそういったものは効果ありませんので悪しからず。神秘の濃さの違いで英霊にはそんなもの効きませんが…。」
そして残りの者達も駆け付けた浜風やラフム=ヤクザに叩きのめされた。
フェルやアルトリア達の活躍、その光景に周囲の者達はヤンヤヤンヤの大喝采だ。
褒められたものではないがこういった上から目線で持論を無理矢理押し通す様な輩が成敗されるというのは日本人の好む所である。
傲慢ちきがその鼻をへし折られるというのはスカッとするものだ。まあそもそもこいつら悪人なのであるが。
そこへおっとり刀で警察が駆けつける。
浜風や銀連日本のフェルは警察に事情を説明を始め、後から来た龍驤は機動兵器を出すと狂人達を一箇所にまとめ逃げない様に見張り警察へ引き渡す。
そしてこちら側のフェルは一息吐くとマシュの安全を確認するためにマシュへと声を掛けた。
「マシュサ「嫌あああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」、マシュサンッ!?」
その場の空気を裂く絶叫、全員が何事と振り向けば頭を抱え喉が裂けんばかりの声を張り上げるマシュの姿。
「第六…点はエルサレムでキャメロット…?初めて戦ったビースト…あれはネロさん…?
いえ妖妃ドラコー…私はティアマト神と戦った筈…ラフムにウルクは襲われ…黄金の都市バビロンは津波に飲まれてッ…!!
何で、何で、何で…!?どうして幾つも記憶があるのッ!?」
「マシュサン!!マシュサン!!」
ブツブツと呟き時に叫びを上げるマシュにこちら側のフェルはマシュの身体を揺すり声を掛けるが反応は薄い。
狂っている、そうとしか思えないマシュの姿に周囲は困惑する。
「せんぱいは女性で男性?何で何で!どっちもホントだと私は感じているの!?」
再度の狂乱、マシュはフェルの手を払い除け、操り人形の糸が切れる様にマシュの身体が傾く。
その姿に手を伸ばそうとするフェルよりも先にマシュの身体を抱き上げた者がいた。
429: 635 :2022/01/24(月) 07:25:44 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「毅き子よ、いまは眠りなさい…。」
白い神代の衣に巨大な双角に銀の髪、向こう側のティアマト。
加えこちら側に来ていた艦娘アルテミスの身体を借り月女神アルテミスが降りる。
「ありがとうアルテミス、この子の狂乱を鎮めてくれて。」
「まあ、狂いは私の十八番だしね。はあ…全く…あの子(艦娘アルテミス)の目を通して見守ってたら狂乱に陥るとかね…。」
アルテミスは溜息を吐くとジロリと今回の騒動とマシュの狂乱の原因である狂人達をその視線で射抜く。
警察官に取り囲まれた者達は視線に晒された。ただそれだけで全員が顔を青くし脂汗を流し中には失禁する者もいる。
「安心なさい私は裁きを下さないわ…。それはこの国の人間の仕事…でも…。」
アルテミスはパチリと指を鳴らしそれだけで何人もの人間が倒れる。
「貴方達の狂気を無くして普通の感性にしてあげるわ。精々戻った普通の感性で自分達がして来たことを振り返ってみることね。」
そう言い鼻を鳴らすと興味を無くした様にマシュの方へと歩みを進める。
後にはアルテミスの言葉を聞き引き攣った顔をした警察官や周囲の一般人が残された。
猛吹雪の中立つ烈風改と閃電、二機はある一点を見つめる。
烈風改の中で坂本美緒はぼやく。
「途中探知した無線通信と思われる電波を逆探してみたら調査場所と同じ場所、そこにこんなものがあるとは…。」
『これが提督の命令、いえやんごとなき方が出された依頼の正体…か…。』
時折雪の風の向こうに除く影に呆然と呟くするまりもに長波は補足する。
『より正確に言えばあの鳩が陛下に語ったんだよ。向こうに来てたマシュの嬢ちゃんとの縁でこっちに"座礁"するってな…。』
そして美緒は疑問を呈し、雪風がそれに答える。
「しかしどうして陛下なのだ?聖座もあるだろう?」
『神代に近くなった今の世でさえ神の言葉を聞ける方は限られています。
故に例えそれが異教であろうとも、いえ…陛下は日本全ての教えの総元締めかつ庇護者でもあらせられる。故にその資格があり声を伝えたのです。
かつてのエル(神)の名を与えられた民の王の如く。』
そして吹雪が途切れソレが姿を現し島風が言葉を発す。
『うんまあアレだよね。確かにあの鳩さんと繋がりは深いよね、ドクター的な意味でさ…。』
目の前より発せられるノイズ混じりの通信が烈風改のコックピットに流れる。
『ザ…聞こえ…ザザ…こち……国連…ザ…人…ザザ…継続…ザザ…関……フィ…ザザザ………デア。』
注1:TSF-1閃電
所謂戦術歩行戦闘機、当初は不知火の名で呼ばれていたが艦娘と被るという理由から名前が変更された。
主兵装は35mmチェーンガン・超高速斥力砲兼粒子ブラスター複合兵装システム、粒子トーチ(渾名ビームサーベル)、超高度太刀等。
注2:南海
ティ連ではアウルドタイプと呼ばれる斥力推進や空間振動波機関搭載のVF-0EX烈風改の早期警戒偵察型。
背中のレーダードームがトレードマーク。空自内ではエントリーシーカーの渾名がある。
430: 635 :2022/01/24(月) 07:26:51 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
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最終更新:2022年01月24日 20:36