593: 194 :2021/12/31(金) 20:15:30 HOST:ai126162034133.56.access-internet.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件セカンドシーズン?番外編その45 とある馬が超大陸世界のUMAに転生したようです・番外編その4


そして当日、厩務員に引っ張られて牧場に出て来るとその二人・・・イラストで見たウマ娘とかいう少女達がそこに居た。
彼女達を見て瞬時に理解した。理解出来てしまった。「ああ、あの二人は・・・・・アイツと、俺自身だ」と。
魂のレベルで理解出来ても、どう接すればいいか悩む二人と一匹。意を決して、トリーが近づいて話しかける。


トリー「はじめまして・・・じゃなくて久し振り?・・・どういえばいいかよく分かんないけど、また、会えたね」


彼から彼女へと生まれ変わった強敵(とも)が、そう話しかけて来る。引退後、二度と会う事が無かった彼と、こういう形で再開する事になるとは夢にも思わなかった。


トリー「まさかこんな形で再開するとは、夢にも思ってなかったけど・・・ね。元気そうで、何よりだよ・・・」


      • UMAの時よりも、何というか・・・儚い感じだな。
トリーを見て、そんな印象を抱くカナリハヤイネン。


トリー「そりゃあ、三度目の生涯だしね。人間で換算したら余裕で百歳を超えてる計算になるし、丸くもなるよ・・・」


      • まぁそんな物か。でも、元気そうで何よりだ。


トリー「・・・うん。誰も知らない世界での三度目の生涯は大変だったけど、それでも折れる事無く頑張れたのは・・・ターボお姉ちゃんとウマ娘となった貴方のおかげなの」


自分が?


トリー「・・・ターボお姉ちゃんは私が転生者だって事を、証拠が無いのに信じてくれた。そして、カナは同じ境遇って事で、何かと気にかけてくれた・・・」


      • そうか


トリー「それにね、UMAだった時も貴方は特別な存在でもあったんだよ」




トリー「何せ貴方は・・・ツインターボだった頃も含めて、たった一人のライバルだったから。『負けたくない。勝ちたい』って思ったたった一人の・・・」




トリー「本当に・・・貴方が居てくれて本当に良かった。有難う。・・・これからも、頑張って長生きしてね」

594: 194 :2021/12/31(金) 20:16:01 HOST:ai126162034133.56.access-internet.ne.jp
      • ああ、そうか。
自分にとっても大きな存在であったように、お前にとっても、俺は大きな存在だったんだな・・・。
かつてのライバルの言葉に、胸が熱くなるカナリハヤイネン。気付くと、トリーの顔をペロペロと舐めまわしていた。


トリー「きゃっ!?・・・フフ、有難う」

カナ「・・・何というか、ウチもちょっと泣きそうになったわ。そこまで思ってくれてたとはな」

トリー「カナ・・・」

カナ「そろそろ変わろか、トリー」

トリー「うん・・・」


トリーが離れ、今度はカナが、かつての自分自身に近付き話しかける。


カナ「あ~・・・・・なんて声かければええやろな。んー、まぁ取り敢えずお久し振りって事にしとこか」


      • まぁ、それに関しては同意しておく。正直なんて言って挨拶すればいいか分からん。
にしても、アイツだけでなく俺までそういう存在になるとはな・・・。


カナ「まぁな。流石のウチも最初は混乱したで。ま、最後は『なる様にしかならんやろ』って開き直ったけどな」


      • まぁ、そうするしかないな


カナ「あ、最初に言っとくけど『何時まで生きられるか』ってのは答えられへんで。未来が変わったらアカンしな」


      • そうか。


カナ「・・・ま、最初は孤独やったけんねど、トリーと再会して以降はボチボチやっとる訳や」




カナ「ともかく、まだまだ元気に生きるんだけは確かや。・・・そんな訳やから、これからも元気で頑張りや」



595: 194 :2021/12/31(金) 20:16:32 HOST:ai126162034133.56.access-internet.ne.jp
少々しおらしい感じで話すカナ。そんな彼女を見て、カナリハヤイネンは思った。

『らしくないな』と。

今の年老いた状態ならまだしも、明らかに若い少女なのだ。もっと元気に活発で無いといけないだろうに。
よし!ここで一発、喝を入れよう!そう思い立ち行動に移すカナリハヤイネン。
いきなり後ろ足二本で立ち上がり、前足でどつこうとしたのだ。まぁ当てるつもりは皆無だが。


カナ「おわっ!?」

トリー「カナ!?」

厩務員「ちょ!?」


カナリハヤイネンのいきなりの行動に驚く一行。すんでの所で躱したカナが、驚きながらカナリハヤイネンに怒鳴りつける。


カナ「おまっ!?いきなり何すんねん!!」


だが、そんな怒鳴り声程度でビビったりしない。寧ろ舌を出して挑発までしてきたのだ。※ttps://www.pixiv.net/artworks/69658707の体毛を栗色に変更したのをイメージして下さい
その顔を見たカナは、完全に・・・・・キレた。


カナ「・・・お、おま・・・!!お前大概にせーよ!!その性根叩き直したるわ!!そこに直れー----!!!!!」


激怒しながらカナリハヤイネンを追いかけ始めるカナ。『捕まってたまるか』とカナリハヤイネンが逃げ出し、追いかけ合いに。


トリー「カナ!?あーもう滅茶苦茶だよ・・・」

厩務員「・・・あー、あれはアイツなりに未来の自分に喝を入れようとしたんだな」

トリー「え?か、喝!?」

厩務員「ゲームとかでの紹介でも『よくネタな行動に走る』って書かれているよね」

トリー「は、はい・・・。そんな状態のカナを止めたりするのに、結構苦労してます・・・(汗)」

厩務員「だけど、今の彼女は何ともしおらしかったからね。『そんなの自分のキャラじゃないだろ』って思ったんだろう」

トリー「そ、そうなんですか・・・。というか、よく分かりますね・・・」

厩務員「そりゃあ、自分が20代の頃からの付き合いだからな。かれこれ30年余り。大体の事は分かるよ」

596: 194 :2021/12/31(金) 20:17:07 HOST:ai126162034133.56.access-internet.ne.jp
苦笑しながら、トリーにそう答える厩務員。色々と苦労してきたであろうその表情に、トリーは苦笑いするしかなかった。
そして一人と一頭の追いかけっこだが、カナが捕まえる事が出来ないまま進み、徐々にバテ始めているのが目に見えて来た。
幾ら若いとはいえ、カナの体はウマ娘であり、その最高速度は6~70㎞/h。多少無理しても、短時間限定で80㎞/h位までしか出せない。
それに対して、引退して久しくすっかり衰えたとはいえ、カナリハヤイネンはUMAなのだ。平均速度では100~110㎞/h。短時間なら、120㎞/h位なら今でも出せるのだ。
言うまでもなく全く勝負にならず、それでもなお小回りを生かして捕まえようとするが、全て見破られる。
何せ自分自身なのだ。考える事は全てお見通しなのだ。最終的に30分以上追いかけっこが続いたが、とうとうスタミナを使い果たしたカナが、牧場の草むらに大の字で倒れて終了した。


トリー「カ、カナ・・・大丈夫?」

カナ「ゼェ・・・ハァ・・・す、スタミナを使い果たしたのは久し振りや・・・」


息を荒げながら倒れているカナ。そこにカナリハヤイネンが近づき、顔をペロペロと舐めた。


カナ「わっぷ!?・・・ったく、元気づけようとするんはええけど、ああいう危ない真似、二度としたらアカンで」

トリー「カナ・・・この子が本当に言いたかった事、分かったの?」

カナ「・・・そりゃ、自分自身やで。流石に分かるわ・・・」


その後一旦放牧地を離れ、建物内で休憩する二人。そこで厩務員から体験乗馬が出来ると聞き、一度乗ってみようという事になった。
厩務員に二人用の鞍と鎧・・・ではなく鐙を取り付けてもらい、補助してもらいながら跨る二人。先頭はカナで、その後ろにトリー。厩務員は二人の後ろに跨り、手綱を握る。


トリー「思った以上に高いね・・・・」

カナ「ウチ等の鞍上は、こういう光景を見ながら戦っとったんやな・・・」

597: 194 :2021/12/31(金) 20:17:38 HOST:ai126162034133.56.access-internet.ne.jp
UMAの馬上の光景に圧倒される二人の後ろで、手綱を握りながらカナリハヤイネンに指示を出す厩務員。だが・・・。


厩務員「二人は初めての騎乗だからな。ゆっくりゆっくり・・・・ってゆっくりって言ってるだろうがぁ!?!?」


厩務員の言う事を無視して、思いっきり全力で走りだしたのだ。


トリー「きゃ、きゃあああああああああ!?!?!?!?!」

カナ「おわぁぁぁぁぁぁぁ!??!?!?!?!」


必死に手綱を引く厩務員を無視して爆走するカナリハヤイネンに、乗馬素人の二人は実に20分もの間、翻弄される事となったのだった。


厩務員「・・・全く、いくら何でもはしゃぎ過ぎだ。二人とも、大丈夫?」

トリー「な、何とか・・・」

カナ「ほ、ホンマに今更ながらに鞍上を尊敬するわ・・・」


かなりぐったりとしているが、取り敢えずは大丈夫そうな二人。カナリハヤイネンも流石にやり過ぎたと感じたのか、心配そうに見ている。


カナ「大丈夫や、そう心配するなや。・・・これからも、元気で暮らしや。見守っとるからの」


カナリハヤイネンの頭を撫でながら、そう語りかけるカナ。すると


ボトッ
ボトッ


という音が。見ると・・・自身の糞の上に新しい糞を乗っけて上書き()していた。


カナ「コラ!良い感じで終わろうとしていたのに、何台無しにする事しとんや!!」


かつての自分のやらかしにツッコミを入れるカナ。トリーと厩務員も苦笑いするしかなかったのだった。

とある馬が超大陸世界のUMAに転生したようです・番外編 終わり

598: 194 :2021/12/31(金) 20:18:08 HOST:ai126162034133.56.access-internet.ne.jp
以上です。今年最後の投稿となります。何とか今年中に終われた(汗)
今年も色々と有りましたが、相応に楽しみながら色々書けたのはよかったと思います(小並感)
さて、このシリーズはこれをもって終了となります。次回は、もう1年も止まっている「絶対に笑ってはいけないシリーズ」の制作舞台裏にしようかなと考えております。
流石に超大陸シリーズにかまけ過ぎたので(滝汗)、進めていかないと。では皆様、短いですがよいお年を。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2022年01月24日 22:09