922 :SARU携帯:2012/02/13(月) 17:20:34
ネタを二神合体させてみたw
――197x年、帝國某所
カタ、カタカタッ、カタタ……
クッチャクッチャ、クチャ……
受像機の排熱と入力者達の人いきれの攻勢を空気調整器がどうにか押し止めている室内に、入力鍵を叩く音と何かを噛む音が静かに木霊する。
煙草を吸いたいと思ってもこの種の部屋から機械の敵として永久追放されて幾星霜、代わりの口慰みとしてある種の甘味が流行し体重の増加を促進している。
天使の意匠が描かれた紙の小箱へ手を伸ばし、最後の一粒を口にして包み紙を捨てる。
「おい」
押し殺した、それでいてドスの効いた声に驚く。先程包み紙やら空き箱やらで一杯になりかけたゴミ箱を持って出た先任が、隣席の若手に怒っている。
「な、何すか?」
「室内で食うのはキャラメルかグ●コにしろとあれほど言っただろ」
件のゴミ箱の内側にはガムが汚く貼り付いていた。
あっ、と声を挙げかける若手。加洲帰りの彼はその経験を生かし、帝國圏の電算機遊戯を欧米向けに変換する仕事をほぼ専業でこなしていたのだ。ガムも向こうで覚えた悪習なのだろう。
バツの悪い表情でマクリーの板ガムを懐へ仕舞った若手に森●ミルクキャラメルの箱が渡された。
※マクリーの板ガム
加洲サンセット・エンタープライズの創設者、マック・リー(Mac Lee)が現地で最初に手掛けた商品。大量のチクロとメキシコの低い生産コストで北米を席巻した。
最終更新:2012年02月15日 18:57