699: 弥次郎 :2022/01/29(土) 18:48:03 HOST:softbank060146116013.bbtec.net
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「煌武院、立つ」9
宵星作戦の完遂。さらにその後に続く本州奪還作戦(帝国側呼称:天川作戦)の完遂。
結果として、中国地方および四国地方の解放と制圧、さらには拠点化を完了し、最前線として防衛ラインの再構築を果たした。
無論、解放した地域の多くはまだ戦闘の余波とBETAの活動に伴って地形も自然も何もかもが荒れ果てた状態である。
取り急ぎ設置されたのは各所の拠点であり中継基地であったり、あるいは監視施設などであったりする。
とはいえ、最前線が大きく西進したことは言うまでもなく、再度の侵攻があろうとも距離的な防御を期待できるということであった。
β世界においては、BETAとの戦いが始まって以来、G弾を用いた明星作戦以上の大戦果であった。
しかも、G弾などの戦略兵器を使用していない、通常兵力と機動兵器による合同での作戦の結果だ。
この事実は、他の地域---極東ロシアおよびイギリスで発生した大侵攻とその反撃としての反攻作戦---と合わせ、まさに革命的であった。
これらの勝利は該当国家によって広く喧伝され、国威発揚に大きく貢献した。まだ人類は負けていないと、そう宣言するがごとく。
だが、その立役者たる連合はいったん動きを止めた。
確認できたBETAの脅威度査定を基に、戦力の再編や再配置などを行い、最適化をすまさなくてはならなかった。
何しろ、地球連合は融合惑星各地で戦力を展開し、外交などを展開している状態。
本土というか母星の存在するC.E.世界に押し寄せる侵略者などへの対抗も行わなくてはならないのだ。
よって、取り急ぎ派遣した一線級の戦力を本星にある程度呼び戻し、二線級の戦力を配置して余力を確保する必要があった。
連合の視点からして、BETAは比較的弱い侵略者であり、10の力で叩き潰すより、4か5程度の適度な力でも余裕で対処できると判断されたのもある。
加えて言えば、その協力対象であった日本帝国が流石に息切れを起こしてしまい、これ以上の軍事行動に追従できないというのもあった。
ただでさえ、G弾の炸裂による情勢の変化、融合惑星への転移など、対処すべき事案が多すぎたのだ。
連合から見ても、各国の体制はガタガタで吹けば飛ぶような風前の灯火にしか見えなかったのもある。
かくして、軍事行動はそこそこにしつつ、国体の立て直しと整理を優先するという方針で一致するに至ったのであった。
だが、同時にAL5推進派にとっては悪夢ともいえる結果だっただろう。
G弾によりハイヴに打撃を与え、戦術機により攻略するというドクトリン。
1979年に提出され、密かに受理と実行が許可された「ML理論に基づく戦略的破壊兵器に関する覚書」に始まるG弾計画。
20年という時間と天文学的国費、さらには人員や物資といったあらゆるリソースを費やして行った国家の威信をかけたプロジェクト。
それが、G弾の副作用や影響が不明と反対していた国々によって真っ向から叩き伏せられてしまったのだからなおのこと。
確かにG弾の使用によるハイヴ攻略は成功したのは確かだ。それによって作戦が成功したのも事実。
さりとて、その影響がとても想定しきれていたとは言えないほどに大きかったのだし、米国のその権威が落ちたのもある意味当然だった。
というか、G弾炸裂後、破壊されたハイヴが確認されるかと思ったら、なぜか国連基地ができていたのだから目を白黒させるしかない。
後にジャンパーやレセプターの一例として説明がついたのであるが、
アメリカ的にはG弾の効果を実戦で確かめそこなったという面もある。
ついでに言えば、国連も大きくその権威に傷をつけられていた。
1999年9月の大侵攻に際し、国連はその軍を一気に引き上げ、撤収させたのだ。
それは各地に展開していた米軍と同様であり、もはやどうしようもないと見捨てたということに他ならない。
それは確かに侵攻が確認された時点ではまだ正しい判断ではあった。空前絶後の規模であるがゆえに、どういう結末なのかは明らかであったのだし。
700: 弥次郎 :2022/01/29(土) 18:48:39 HOST:softbank060146116013.bbtec.net
ただ、そこに予想外の参戦勢力が現れて、予想された結末をひっくり返したのだ。
故にこそ、その時の対応について取沙汰されてしまった。
建前的ではあるにしても、国連軍というのは、そして国連というのは人類が団結してBETAと戦うためのものだ。
その実情や実態としての影響力やらはともかく、そのお題目を自ら捨てたというのは覆しようがない。
その国連や米国が、一連の軍事行動が完了した後に、各国に対して接触してきたのだが、どのような対応をされたかは語るまい。
最前線国家にとってみれば、米国も国連も、これまでのことを考えて何とかこらえてきていた相手であった。
政治的なアレコレはあるとしても、経済支援や技術支援、あるいは戦力の融通などなど後方国家にしかできないことをしてくれたのは確かであった。
米国などすでに戦後を見据えてアレコレと画策し、動きを作っているのも確かだ。
第一、最前線国家に対して、戦後に国債やこれまでの援助の見返りを求めれば、それは奴隷にさえ近づくだろう。
それは各国とて分かっている。さりとて、その支援の手を振り払えるほど自立しているというわけでもない。
つまるところ、完全な味方ではないが、敵でもないという厄介な相手だったのである。
彼らの活動がなければとっくの昔に、それこそBETAと戦う以前に敗北して組織的抵抗さえもできなくなる可能性があったのは事実。
国連にしてもそうだ。
ルールが通用しないBETA相手の生存戦争と言えども戦う人間同士のルールや折衝は必要であった。
人類は完全に一つではなく、国家や共同体という形、あるいは思想や主義主張で分かれているモノである。
そんな状態でいきなり仲良しこよしできるわけもない。けれど協力しなくてはどうにもならない。
だからこそ妥協の結果として国連というものが生まれ、これまで機能してきたのだった。
とはいえ、今回ばかりは、戦後に助かったことや戦後にぬけぬけと現れたことも加えて、看過しきれなかった。
連合も、そういった最前線国家の実情や感情に同情したこともあり、国連に対しては余り良い感情を抱けなかった。
必要であるとの存在意義は認めたし、これまでの功績などは消せないものだと判断していた。
しかして、天川作戦後の日本帝国への進駐の許可を求めてくるなど、その態度は良くなかったのだ。道理に合わぬ、無理難題なのだと。
さらに、国連の外に存在する国家連合である地球連合に対してバンクーバー協定への批准を求めたというのも後押しした。
国連としては建前を整えてほしいというのもあっただろう。だが、連合からすれば、それは国連に従えという要求に他ならなかった。
当然であるが、地球連合の国家はβ世界の国連になど属してはいない。代表を送っているわけでもなければ、従うべきルール自体が存在しないのだ。
如何に、融合惑星へ介入する前に連合構成国において現地の法や秩序を尊重すると取り決めていても、従えないものは従えない。
よって、保留という形で連合はその要求を跳ねのけた。
加えて、地球連合各国は国連とは別の形で、この世界に存在する国家に手を貸し、BETAとの戦いに加わることも宣言した。
当然、これに米国などは反発した。米国のロビー活動は活発化し、地球連合を非難する論調を展開していったのだ。
むしろ非難するだけというより、排除しようとする動きさえも見られた。国連としては、影響力の大きい米国の声は無視しえなかった。
しかして、そのような国家の主権の枠組みを超えた動きを展開する米国の動きを歓迎できなかった。
こうしたグダグダな対応については、凋落した国連の権威を、さらに落としてしまうこととなる。
いずれにせよ、これまでの国家の枠組みの外側から強大なプレイヤーが出現したことは間違いなかった。
必要なのはアドリブ力であり、同時に、如何にして情報を集め、整理し、方針を決めていくのか。それこそが問われる時代となったのだ。
701: 弥次郎 :2022/01/29(土) 18:50:28 HOST:softbank060146116013.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
あれで終わりといったな、あれは嘘だ(大佐並感
この帝国での動きの裏側で、欧州で起きていた出来事を描く「The Down of Wild」(仮)までしばし短編などを投下予定です。
キャラ設定とか背景の調査とか色々とやることは多いですが、昨年の宣言通り実行に移しますのでお待ちいただければと。
最終更新:2022年02月08日 11:09