847: 弥次郎 :2022/01/30(日) 23:46:22 HOST:softbank060146116013.bbtec.net

憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「Break The Worm」




 母艦級という新種BETAの出現。それは、当然のことながらβ世界において真っ先に着目されることとなった。
 地下を掘り進め、地中侵攻を主導し、大量のBETAを吐き出して展開してくるという能力は、まさしくBETAの母艦。
BETAを積載可能なBETAというのは要塞級が知られていたが、そんなものとはスケールが違いすぎたのだ。
それこそ、師団規模の群れをその体内から吐き出すのだから、地中侵攻で前線を飛び越えられたらたまったものではないというわけだ。
 特に大量の母艦級が出現し、そして撃破された国においてはその問題は切実であった。
 何しろ最前線国家というのはリスクが付きまとう。もしも防衛線を下から潜り抜けて後方に入られては、前線崩壊があり得るのだし。

 よって、その死体を回収し、その能力の査定が行われた。
 幸いにして地球連合の戦力が現れた個体を悉く撃破していたため、サンプルには困らなかった。
 その結果判明したのは、母艦級BETAのふざけた能力であった。

 まずはその大きさ。直径は100mから300mと、この時点でとても大きい。まあ、要塞級が内部を歩行できるくらいなので当然といえば当然だった。
続いてその長さであるが、最低でも1㎞、長い個体では3㎞から4㎞ととんでもない長さであることが確認されたのだ。

 続いて、その素体の耐久力。これまで存在していた中では突撃級という固いBETAも存在していたが、それ以上の耐久性を備えていることがわかった。
外科的な解剖も加えて推測された原理としては、頑丈な外皮に加え、運動を行うための筋肉やそれを支える骨格などに由来する複合装甲になっているのだ。
つまり、外部から与えられた運動エネルギーはその巨体の内部で分散させられてしまい、十分に効力を発揮できない。
シミュレーションされた限りでは、戦艦級の艦砲の直撃弾を以てしてもその体を貫通するには至らないという結果が導き出された。
徹甲弾をまとめて打ち込めばなんとか、と希望的観測はされたものの、戦術機は愚か、存在しうる火力では撃破しえないという絶望が待ち受けていた。
これを撃破するには戦術核クラスが必要であるとの見方もされたが、防衛線においてそんなものを使えばどうなるかは明白だ。
母艦級を攻撃したら、周囲にいる味方もろとも吹き飛ばしかねない。

 そして、発覚したのはその掘削(ボーリング)能力だった。
 先端部に存在する牙のような部位が運動してボーリングマシンやドリルのように稼働することで、地面をかなりの速度で掘り進めることが可能と推測された。
その巨体が、機械のボーリングマシンと異なり、うねるように運動することによって掘削した土を後方に送り、あるいは固めることで道を形成するのだった。
それこそ、硬い岩盤であろうとも穴を穿ち、広げ、掘り進めるだけの能力があると推測されるほどに。

 最後に戦闘能力。こちらに関してはほぼ0と判断された。
 まあ、その巨体が動くだけでも十分危険ではあるが、能動的に攻撃を仕掛ける部位や器官を持ち合わせていないと判断された。
そうでなくとも、吐き出される大量のBETAに関しては脅威というほかないのであるが。

 だが、分かったことを悲観しているわけにもいかないのがβ世界各国だ。
 新種のBETAが確認された以上、その対抗策を検討し、広めておかなければならないのだから。
 多くの戦場でこの母艦級の撃破をなしたのは地球連合に属する戦力ばかりであった。
彼らの兵器のスペックは傍からわかるほどに隔絶しているとの推測がなされ、それを即座に求める声もあったが当然のことながら断られることもあった。

848: 弥次郎 :2022/01/30(日) 23:47:38 HOST:softbank060146116013.bbtec.net

 よって、自前で撃破したケースを参考にしなくてはならなくなった。
 そこで着目されたのが、宵星作戦において、自力で母艦級BETAを撃破して見せた衛士である椎葉重三の行動であった。
 つまり、人類がもちうる中でも高い威力を持つS-11という電子励起爆薬をその体内に放り込み、起爆するというものだ。

 母艦級の調査では、外皮と比較して内部は柔らかい構造であると判明した。
 加えて、体内がある種の密閉空間ということもあり、内部において爆薬が爆発した場合、反射することで威力が増大すると計算された。
最も生半可なものでは内側から爆発で食い破って撃破、というのはできないとも推測されたが。
実際、件の衛士にしてもその場にあったもので最適と思われる行動をとっさにとって結果を得た、半ば偶然だった。
とはいえ、それが実際に成果を出したのだから、それを参考にするというのは規定事項であった。何しろ、他に例がないのだし。

 しかして、そうなったらそうなったで次の問題が発生する。
 如何にして乱戦の中で母艦級に取り付き、内部にS-11を放り込むかである。
 爆発に指向性を持たせてあるとはいえ、迂闊な使い方をすれば友軍にまで被害が及びかねない。
 かといって、母艦級を内側から破る程度の威力を出すには数発はほしいところであり、数を揃えねばならない。
 そもそも、激戦の最中にBETAの群れを飛び越え、ピンポイントで巨大な口部に放り込むというのは難易度が高い。
光線級哨戒の方がよほど成功率が高いのではないかと推測されたほどにである。
 成功者である椎葉のケースも、比較的近い距離に母艦級が出現し、尚且つアンチレーザーフィールドで飛行制限が取り払われた状態での話だった。
光線級の影響下においてそんな自由飛行を暢気にできるわけもないし、ともすれば遠距離から狙うしかないのだ。

 そんなわけで、採取されたデータをもとにシミュレーションを繰り返す中で、とりあえず各国はS-11を射出する兵装の開発を進めた。
 確かに地球連合に頼ると言う手もあるのだが、自前で防衛手段を持たないというのは軍事的にも政治的にもまずい話である。
ついでに言えば、母艦級BETAを撃破した地球連合戦力の技術が傍から見ても真似できなかったというのも大きな問題であった。
椎葉重三のケース、通称「椎葉ケース」を参考にせざるを得なかったのは、そういう問題も存在したが故。

 とはいえ、そのS-11兵装を装備した対母艦級戦術機は、まさしく決死というべき姿にならざるを得なかった。
 自己防衛力もそこそこに、機動力と速度を実現し、尚且つBETAの群れを飛び越えS-11を安全に運搬しなくてはならない。
控えめに言って自殺行為であり、それを実行に移すように命じるのは自殺命令に等しい。
 しかして、そのシミュレーションや研究に、各国は力を注いだ。
 自らの国を、国民を、自らの力で守る。その意志は、果てしない道のりであろうが苦難であろうが超えるという、強さを備えていた。

849: 弥次郎 :2022/01/30(日) 23:48:37 HOST:softbank060146116013.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
β世界において初見で撃破できたのは椎葉さんのみだった模様。
これは鳥の有力な候補者ですよ。

開発された装備についてなどの設定はまた後々に。
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最終更新:2024年07月30日 23:12