636: 陣龍 :2022/01/26(水) 23:56:13 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

無幻世界に置ける第二次世界大戦 ~(米仏人への)乱心と(短期決着不能確定への)傷心と(味方軍の精強さへの)心強さの総統閣下~




「現在、我が軍は攻勢をかけていた二方面のマジノ線の突破に成功」「事前の作戦通りに旋回を行い、混乱するフランス・ベルギー軍諸共マジノ線を包囲しました」「現在、敵軍は指揮系統の断絶や混乱を起こしているのか、一部で士気崩壊した兵員が降伏し、また順調に撃破の継続も行えている状況です」

「要塞線の多方面正面突破と言う困難な任務を成功させた事は極めて大きい。これであのフランス人も頭を冷やすだろう。短期決着への大きな一歩を踏み出せたな」

「……(目くばせ)」「……総統閣下……実は……」「……先程報告が入りました。フランス内で凱旋門やエッフェル塔が『爆撃』され、フランス政府はこれをドイツ軍の凶行と喧伝。フランス人根こそぎ動員で徹底抗戦すると表明しています」


「(硬直)…………将軍。あの困難な任務を達成したから疲れているのだろう。悪いが、もう一度確認して来てくれないだろうか」


「……(目くばせ)」「……総統閣下……その……(脂汗滝の如し)」「……三回先の報告を確認中に続報が入りました。アメリカ海軍が日本の横須賀に奇襲攻撃を仕掛けて英戦艦を王族諸共撃沈させ、尚且つ先の凱旋門等の破壊行為に『悪逆非道なドイツ人』を非難し、日本と共に我が国へ宣戦布告、イギリスは英戦艦の撃沈と王族殺害、並びにオーストラリアと南アフリカのクーデター助力を理由に対米宣戦を実行しました。
尚、アメリカの言う戦争終了条件は【無条件降伏】です(顔色新雪の如し)」


「…………(ワナワナしつつ眼鏡外し)……今から儂は思いの丈をぶちまける。これから言う部門の責任者は残ってくれ、後で迷惑料は出す。外務、陸軍、空軍、海軍、内務……」


(ぞろぞろ他の人員が退室した直後)


「まるで、意味が、分からんぞ!一体何がどうしてそうなるのだ!?そもそもだ、我がドイツの戦力は全てに置いてマジノ線への撃破に注ぎ込まれていたのだ、そんな中で凱旋門だのエッフェル塔を爆撃する余力なんか何処にも無いのは誰にだって分かるだろう?!」

「と言うか王族諸共英戦艦をアメリカが撃沈した直後に英連邦の二国がイギリスに反逆するとか全く持って訳が分からんぞオイ!これだからフランス人とアメリカ人なんだ!自身の因果のツケを全部他人に押し付けて、コメや味噌を踏み躙る様なクソ共や自分勝手な正義の酔っ払いなんか心の底からダイッキライだ!!」


「総統閣下、現在外務は総力を挙げて無実を世界に向かって……」


「外務の努力は感謝するが、あの正義狂いのポピュリズム共がわしらの言葉を一言でも聞き入れる筈が無いだろうがあのバカが!」


「総統閣下、しかしこのままフランスソ連アメリカと戦争するとなると正気の沙汰では…」

「もう既に我らはルビコン川を渡らせられたのだ!最早ここまで来たら、日本やイギリスと共に徹底的に戦うしか我が民族が、ヨーロッパが生き残る道は無い!!」


「総統閣下、お願いですから少し落ち着いて下さい!」

「この状況で落ち着いて居られるヤツが居たら儂がお目にかかりたいわ!日英との妥協と協力で、こちとら戦争する気は無いって言うのにあの戦争狂いと正義狂いのバチクソ共がぁ!!」


(ペン叩き付け)

「チィィィクショョョョーーーーメェェェェーーーー!!!(超エコー)」



――――某動画サイト投稿・大体合ってる嘘字幕シリーズ動画『総統閣下の一ヶ月』より抜粋。

637: 陣龍 :2022/01/26(水) 23:58:05 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

【状況整理とロシアの近況】…本来あるべき最後通牒と宣戦布告の流れを完全に吹っ飛ばし、アメリカ軍による横須賀奇襲攻撃にて強制的かつ唐突に幕開けさせられた第二次世界大戦に対して、日英独側の国際連盟所属各国は当然混乱したが、一方のアメリカが音頭を取って結成された国際連合でも、反独が正義となり且つドイツ軍に敗勢のフランス以外のほぼ全ての国と政府が混乱状態に有った。
国際連合の結成を主導したアメリカですらも、能天気かつ無邪気に『正義の戦争』にのめり込んで行った民衆とその世論に忠実に乗ったホワイトハウスはいざ知らず、奇襲攻撃を敢行したアメリカ軍は王族乗艦の英戦艦の誤った撃沈とそれを理由としたイギリスからの宣戦布告と言う余りにも想定外極まりない展開に加えて、半ば茫然自失状態の国務省等を他所に、ホワイトハウスはそれに対し自己正当化をするばかりで交渉や謝罪等を殆どする事無く、また大した思慮も無しにトップダウンで戦線拡大を決定し、尚且つ半ば強引にアメリカ陸軍にカナダを占領させた上で、反対する国務省の尻を蹴り上げるが如く強引に命じ、退位した前イギリス国王を元首とした新生イギリス王国なる傀儡政権を樹立すると言う政治的暴挙を敢行。オーストラリアと南アフリカが、一部陸軍部隊のクーデターにより自国の総督である英王族を殺害しての英連邦離脱と国際連合側への合流と合わせて、アメリカ軍が事前に想定して居た全ての戦略の前提と根幹を完全にぶち壊された為、泣きながら大戦略を一から構築し直す羽目になっていた。

中華民国も大量の軍事的援助は兎も角、まさか対日奇襲攻撃と言う事をアメリカが仕出かすとは夢にも思っていなかった為、アメリカ民衆と同じく『東夷』が劣勢にある事に図に乗った中華民衆を他所に、中華民国政府は白い顔をしていた。
無知な中華民衆は兎も角インテリである彼らは、歴史的事実から本気で怒り狂った日本人の恐ろしさを知っていたからだ。

 そしてそれらに輪を掛けて世界で最も大混乱して居たのが、共産主義を掲げる北方最大の大国、ソビエト連邦であった。
フランスによる対独戦争が始まった時は『愚かな帝国主義者同士の殺し合い』と高みの見物と洒落込み笑っていたのが、そのフランスから行き成り【密約に則り対波・対独攻撃を直ちに実行されたし】と寝耳に水で言われ、要求されたソ連外交官も報告を受けた同士書記長足るスターリンもフランスからの唐突な要求に目が点になっていた所に、過去ソ連国外へ追放したトロツキストが、ソ連本国の意思とは無関係の策動の結果、ポーランドやバルカン諸国に対して各種工作をしていた事が露見。ポーランドでの工作はトロツキストがポーランド軍の急襲を受け壊滅するも、バルカンではヒトラー総統個人の趣味嗜好で貿易額が増え、経済的に比較的良好だったブルガリア等一部を除いて共産革命や暴動・反乱行為が多発し、ソ連が掲げる共産主義のテーゼとしても介入する事を余儀なくされる羽目になっていた。同時に、フランスがひた隠しにしていたが、今まで弱体と目されていたドイツ軍が再建されている事もフランス・ベルギー軍を相手に優勢に戦っている事が知られた事からも、ソ連と言うよりロシアの地政学的に『恐れるが故に膨張する』と言う心理的状況にハマり、将来の侵攻を防ぐ為の予防行動として『共産主義者への不当な圧迫の抑止』『早期の戦争停止と対話による解決』と言う最後通牒を経由して、ソ連も泥縄的に宣戦する形となった。


だがそもそも戦争に参加する予定の無かったソ連は、日本との対立状態が続いていた極東方面は兎も角ヨーロッパ・ロシア方面は冬戦争等で兵器の開発や生産体制は事前にある程度整っていたものの、政治や軍の体制は殆ど平時状態と変わりなく、戦時動員も戦時生産も慌てて計画を立案し始めると言う有様で有り、常備軍を用いたポーランド侵攻で戦術的敗退が目立ち、相対的戦力差の優位の割にかなりダラダラとした進撃にならざる負えなかったのも、ドイツ・ポーランド軍の奮戦もさる事ながら、戦力的にも精神的にもロシア人が戦争をする体制以前に心構えすら碌になかったのが最大の要因だった。そんな有様の中で、最後通牒も無く行われた唐突過ぎるアメリカによる対日奇襲攻撃とその後の英連邦二国の反逆、そして米・ソ・仏・豪・南アという呉越同舟にも程がある国際連合の設立と言う流れは、後に回顧録を執筆したモロトフ元外相曰く『何時もは冷徹で心底恐ろしい同士書記長が、この日ばかりはウォッカをしこたま飲み干し護衛の者すら含めた周囲の人間全員に酔い潰れるまで飲まさせていた。こんな事はこの時だけしか無く、そして居合わせた者共は同士書記長の酔い切った口から流れ出る仏米そしてトロツキストへの怒りと呪詛、そして未来のロシアへの懸念の言葉を聞かなかった事にした』と後世に残している。

638: 陣龍 :2022/01/26(水) 23:59:46 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


 第二次世界大戦の総決算となった講和会議に置いて、敗戦国であり首都モスクワを独波連合軍により失陥すると言う特大の失点が有りながらも、徹底して解体させられたアメリカとは全く真逆の、最終的にはソ連自身の国体には触れられる事無く、今後もソ連勢力圏である事が認められているウクライナやベラルーシの形式上の独立と、ポーランドとの国境地帯と日本への極東シベリア地方、オスマン帝国への国境地域の一部領土割譲を除く過半の占領地の返還、そして一定期間の明確に区切られた節度ある軍備制限、また秘匿下だがソ連の持つ対米諜報網の協力体制や情報の全提供程度と言う極めて【温情】溢れる決着となったのは、アメリカとそれに与した豪州や南アフリカが余りにも酷かった事への対比やアメリカの残骸と完全に決別させる為と言う面も有るが、反共産国家である日本すらも一部同情した程に、ソ連自身に最初から明確な侵略の意思が有った訳では無く、半ば交通事故的に巻き込まれた被害者でもあると国際的に見られていた証拠でも有った。そもそもの話、名分は兎も角真っ当に最後通牒を出し、三日間の期限を開けた上で正式に宣戦布告を交わした国際連合側の国は、事実上ソビエト連邦ただ一国であったのだから、扱いが違うのは当然の事でも有ったが。



【ドイツ側状況】…映画撮影の為に一部改変されているが大筋の言動は基本的にそのままだったと言う、冒頭のヒトラー総統の激昂と混乱そのままに、フランスとソ連に加えてアメリカ合衆国が宣戦布告して来た事は、ドイツ政府や軍部も同じく想定外に余りある状況で一時混乱の極致であったが、政府や国民に対しては余りの事態に完全に開き直ったヒトラー総統の一世一代の大演説(二回目)で如何にか落ち着くように誘導し、軍部に関してはドイツ最良の将軍と言われる事も有るマンシュタイン将軍の一喝で、短期間での引き締めが行われていた。また戦略状況の激変に伴い、Z艦隊計画と称された水上艦増強計画は、現状の日本製ドイツ戦艦として著名なシャルンホルスト級巡洋戦艦二隻、就役直後のティルピッツを含めたビスマルク級戦艦二隻、ネームシップは就役して間もなく、二番艦は建造進捗7割ほどだが続行が決まったグラーフ・ツェッペリン級空母の二隻、自国建造のヒッパー級重巡洋艦三隻、日本から輸入した艦も含めた軽巡八隻、その他駆逐艦と大型水雷艇で新規の水上艦建造は事実上打ち止めとなり、残りの余力は陸空軍、そして比較的戦力整備コストが安い潜水艦隊を柱に注力する事が決定した。

仏ソの相手だけでも死力を尽くさなければならないと言うのに悠長に大艦隊建造に勤しむ暇が有る筈が無く、そもそもドイツ自身の建造力は海洋大国では無い陸軍国家らしく、大型水上艦を余り大量建造するだけの能力が前提として無かったと言う問題と、同盟国に日英と言う世界に名だたる海軍超大国が居た事も有り、理詰めで諭されたドイツ海軍水上艦派閥も受け入れざる負えなかった。
また別視点から見ると、ドイツに取って見ればこの規模の海軍でも水兵等の供給や予算、建造施設規模の限界で割と一杯一杯な部分も多く、仮にとち狂ってZ艦隊計画が続行されても、艦艇用の資材供給や建造速度、艦の全てを十全に動かせるだけの水兵の供給と訓練等を考えた場合、戦争中に計画通りに終わる見通しは不確かだと言う説も有った。

戦略状況と海軍軍備計画の変更に伴い、総指揮官がこれまでの水上艦閥の重鎮と言われていたレーダー提督から、潜水艦に精通しているデーニッツ提督へと人事異動で交代し、半ば降格人事に近い形でレーダー提督は前線指揮にて水上艦を率いて戦う事となる。
ただこの人事異動が面白い形で功を奏したのか、後に米仏海軍の主力部隊を相手に幾度となく夜襲や船団攻撃、艦隊決戦で類稀な大立ち回りを演じ、アメリカ側の突然の侵攻で立て直しに時間を必要としたイギリスに対して貴重な時間を齎すと同時に、水上艦が悪目立ちした結果目くらましとなってドイツの潜水艦部隊がアメリカの輸送船団に幾度となく大打撃を叩き出す遠因も生み出していた。特にドイツ艦の殆ど全てが高速艦で統一されて居た事で、近代化改装が施されているとは言え低速戦艦を多数抱えていたイギリス海軍に取っては、数的には少数では有るが極めて有力な友軍艦隊としてとても心強く思われていた。

639: 陣龍 :2022/01/27(木) 00:01:36 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

実績としてもイギリスの参戦直後に発生したドーバー海峡海戦にて、襲撃を図るフランス艦隊に対しイギリス潜水艦が発射した英国産酸素魚雷の雷撃が旗艦の戦艦リシュリューに二本命中し混乱に陥る中、スタンドプレーの結果によるチームプレーにてドイツ海軍はシャルンホルスト級二隻を基幹とした小艦隊の夜半突撃を成功させ、そしてフランス海軍の貴重な空母を砲撃戦で
爆沈せしめると言う大戦果や、前大戦に引き続き通商破壊戦で活躍するUボートの姿無き雄姿は、アメリカに行き成り押し込まれた様な状況に心細さを感じていたイギリス人に『勇気』を与えていた事は、間違い無かった。
一度喪失したら再補充はほぼ見込めないドイツ側の水上艦部隊に取っては、引き寄せられるかの如く敵主力艦隊や大船団と夜間戦闘等で殴り合いや叩き合いをする羽目になっていて全く笑い話になっていなかったが。


【イギリス側状況】…外交的常識その他諸々をぶっちぎったアメリカによる宣戦布告無き対日奇襲攻撃。それに巻き込まれた巡洋戦艦タイガーと共に撃ち沈められ、行方不明となったイギリスの王族。アメリカの暴挙と裏で綿密に連動したとしか思えないタイミングでのオーストラリア・南アフリカでのクーデターと両国の総督たる英国王族夫妻の殺害と独立宣言。そして極め付けの、巡洋戦艦の撃沈と王族殺害、そして濠・南アでのクーデターを扇動した(実際は違うが当時はそう考えられた)事を理由とした対米宣戦に対する、国際連合の設立と侵攻したカナダで樹立された、アメリカ人を妻として王位を投げ出した元イギリス王族を元首の傀儡とした新生カナダ王国の建国。
怒涛の如く雪崩れ込む想定外の異常事態の連鎖にイギリスは階層の上下問わずに情報の飽和で大混乱していたが、そうこうして居る内に臨戦態勢を整え出したイギリス軍の間隙を突くかの如く行われた、アメリカ軍によるポルトガル領、そしてフランス領西アフリカを経由してのジブラルタル要塞の占領並びに電撃的イベリア半島侵攻と、オーストラリア・アメリカ連合軍によるニューギニア等への大々的な侵攻は、既存の戦略想定を完全に外れた戦況の為に、強大なイギリス本国艦隊も情報不足と【とある国内事情】が相まって安易に動けなかった。

東南アジア方面では、クーデターを引き起こした青年将校達に反発・反抗し、キャンベラ級重巡洋艦四隻の内、この時偶々ニュージーランドに遠洋航海演習で向かっていた『シドニー』は、クーデターでの混乱に紛れて英本国に属する事を宣言して離反しニュージーランドに逃げ込み、『オーストラリア』に至っては本土の軍港に入港していたが、状況を知るとすぐさま自らの艦砲で入港して居た港湾施設を脅迫し、手当たり次第にオーストラリアに居た日本人と英本国人を可能な限り乗艦させて共に従った駆逐艦一隻と共に共に脱出し、ユニオンジャックと白旗を掲げ、そして無線で英語と日本語で自らの状況を送信しつつ日本のスカパフローとも言われるトラック諸島に死に物狂いで逃亡を成功させると言う珍事が起きていたが、現実を見れていた一部オーストラリア人の映画化されそうな逃亡劇は兎も角として、本国では少しばかり意思統一をする為の面倒ごとが起きていた。


 当時、イギリス帝国は日本のスタンドプレー染みた対独支援の内容、そして長年の同盟国関係にて自然と波及して来た日本的な融和主義的政策に影響を受け、既存の植民地統治の方法から段階的に脱却し、英連邦に属する事が大前提だがイギリス植民地の国々に対し一定の権利や独自性を認めたり、また第一次世界大戦の敗北で崩壊寸前の危機に有ったオスマン帝国も、また日本が国民感情論に流されるがまま場当たり的に支援し出したのを補完する形で介入し、トルコ帝国を列強には及ばずとも中東の雄に至るまで再編させたりもしていた。その結果、今まで高止まりしていたイギリスの植民地統治コストは、現地の経済発展や現地国家の統治力の増大により多くが削減され、そして影響圏が比較的平穏に発展を始めるに連れて工業製品を輸出するイギリス本国の利益は増加し、国内開発を始めたイギリス影響圏がイギリスから輸入した工作機械等で少しずつ発展を始めると言うサイクルが生まれ、二度目のパックス・ブリタニカが視界に入り出した頃合いだった。

640: 陣龍 :2022/01/27(木) 00:02:51 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

だがその一方で、未だ世界的に根強い、と言うより世界的主流であった白人至上主義の思想を持ったイギリス人は、主に資本家や貴族等の上流階級を中心に多く居残っており、そう言った面々は近年のイギリスの『有色人種如きに阿り過ぎている』政策に不快感を抱いており、『古き良き正しき時代』と称する、有色人種を完全に支配して居た過去を羨望していた。若しかすれば、過去ドイツで一時流行りそして近代ドイツの黒歴史と化した黄禍論を、順調に発展する日本に当てはめて、何時か白人を支配しに来るとでも思っていたのかも知れないが、当の日本人は別に『アジアの解放』だの『白人支配の打破』だのと言う理想的妄想は、羽虫の如き存在感の理想主義者でも無ければ殆ど考えてたりはしていなかったのだから、何とも杞憂で滑稽な話である。それだけ、日本の事を知ろうともして居なかった、とも言えるかも知れないが。

水面下で人種観による意識的な断絶が起こっていた事を、イギリス政府は良く認識できていない…そう言う最中で突如勃発した横須賀奇襲は、日本との友好関係にて体感的に景気が良くなった事をなんとなしに実感していて、尚且つ開戦時の嗚咽をかみ殺す様な悲嘆溢れる国王陛下の演説により、何の問題意識も持つ事無く植民地人(アメリカ人)とそれに与する連中に敵愾心を高ぶらせ、被害者足る日本へ哀悼の意を示した一般市民や、此処で日本を切り捨ててアメリカに擦り寄る等言語道断で有り得ない事を理解し、そして一般市民と同じく植民地人に激昂して居るイギリスの上層部とは別に、奇襲されて且つ全て旧式戦艦であったとは言え、当時の戦略兵器であった戦艦を四隻も撃沈され、また英国王族が乗艦する巡洋戦艦タイガーも巻き込まれて撃沈された事に対して、白人主義の資本家や貴族、そして対米交易等による利権を多く持って居た経済人の一部は『日本人如きに阿った結果』『頼りにならない極東の後進国』等と断じ、またアメリカがタイガー撃沈に付いてはホワイトハウスが公的かつ大々的に『日本による謀略であり、アメリカは関知していない』と喧伝して居た事から、直ちに対米宣戦を撤回し、アメリカと同盟して対日宣戦すべしと発言し、複数の議員に対して政治工作するに至った。

宣戦後の状況説明をする謁見中の場で、政治工作を受けた議員が着替える間も惜しいと私服で王城へ飛び込んで来て、詳細の報告を受けた英国国王と政府首班は揃って天を仰いだと言う。だが結局対米宣戦の流れを変えられる程の大勢になる事は無く、イギリス人は矢継ぎ早に繰り出される米軍の攻勢と、先の大戦を上回る根こそぎ動員で対独、対英攻撃に狂うフランス軍への対処に苦慮し、不屈のジョンブル魂で抗い続ける事となる。

――――余談だが、白人至上主義等の思想が染み付いて居たり、自らの国と王家に対する反抗心を露わにした件の面々は、イギリスによる宣戦布告より十日後に、一家全員が突如消息不明となる。そしてその後、開戦日より十五日後にはハドソン川とフランス沿岸の某所で正体不明の水死体が複数発見されているが、世は『第二次世界大戦』、そしてイギリスは『第一次バトルオブブリテン』と言う空前絶後の大イベント真っ只中で有る為、新聞の隅に記載されただけで忘れ去られていた。

641: 陣龍 :2022/01/27(木) 00:05:00 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp


【スペイン・ポルトガル側状況】…地力の差から混乱しつつも戦略の練り直しを並行しつつ準備を整えることが出来る列強諸国とは違い、良く見積もっても中堅国と小国が精々なスペイン、ポルトガル両国は、戦略もへったくれも無く場当たり的に目の前に押し寄せて来た『敵軍』に対して、乏しい国力から乾いた雑巾を絞り切るが如く戦力を抽出して必死に防衛体制を整える事に終始して居た。スペイン内戦に介入したドイツ義勇軍の活躍後、引き上げが面倒と言う適当過ぎる理由で供与された旧世代のドイツ兵器を保有し、内戦による戦争経験者を相応に抱えていたスペイン軍は程度問題とは言えマシだったが、そもそも過去の栄光等完全に消滅した明々白々な欧州の小国であるポルトガルは、矢継ぎ早に攻めて来る米軍に対して、まともな抗戦が出来る余地は無かった。一応スペイン・ポルトガル連合軍側の優位な点を一つ上げるとすれば、イベリア半島はまっ平な平原では無い地形であり、尚且つスペイン領内では先の内戦で敵味方が各地に作った防御拠点や塹壕が一部残されており、それを流用する事で早期にアメリカ軍への防衛体制を整えられた事位だった。だが内戦終結から数年が経って尚内戦の遺物が残っていると言う事は、即ちスペイン全体の復旧、復興が未だ途上であった証拠でもある。

戦場の習いとして、イベリア半島に侵攻して来たアメリカ兵の一部が多数の戦争犯罪を仕出かした事で、スペイン内がアメリカへの怒りと憎悪で団結し、既存の民族対立問題を忘却した事はある意味好材料だったが、『道案内以上で役立つ事は無い』とすら口の悪い兵に言われたポルトガルへの手当の事も含めて、イギリス軍とドイツ軍がフランスの激烈な抵抗を押さえつけ、海路でスペインへ援軍が送り込まれてくるまでには、未だ時間が必要だった。
物資と航空支援こそスペインに届けられはしたが、陸上では今までにあった民族間の事など頭から吹き飛んだスペイン陸軍将兵と現地義勇兵が、苛烈な攻勢を仕掛けて来るアメリカ軍を相手に必死に民間人の後送と決死の遅滞戦闘を強いられ続けていた。内戦で疲弊したスペインを率いるフランコ将軍の血圧と心労が治まり、イベリア半島の民衆に平穏な日々が戻りくる時は、未だ遠い。


【アメリカ側状況】…国際連盟側の英独の初動が遅れた間隙を突き、一気呵成に攻勢を仕掛けて短期決着を目論んでいると、日英独の情報分析班は常識的に分析していたが、戦後の情報収集で『同じ事ばかり繰り返してんじゃねぇ!!』と揃って机を引っ繰り返し壁を殴り付けた事から分かるように、深謀遠慮の末の大攻勢では無く、ホワイトハウスと世論に急かされるがままに行われた拙速拙攻の攻勢だった。
実際、前提とした状況の完全崩壊で戦略練り直しをする最中に行われたホワイトハウスからの命令は軍部に取って迷惑千万以外の何物でも無かったが、無責任に部数のために世論を煽る記事を書き立てるメディアや、無邪気に『アメリカン・ジャスティス』を信じて多数が志願した若者達の熱狂、何より軍人としての責務から命令に背く事は出来ず、渋々だが連邦軍と一部州兵を用い、ポルトガル領の大西洋の諸島、スペイン植民地の西アフリカを経由し、イギリスそして世界的戦略の要衝であるジブラルタル要塞を電撃的に占領し、イベリア半島への侵攻とイギリス本土への航空攻撃を開始する。相対的戦力と初動の差が相まって、此処までは想定以上にスムーズに侵攻出来たが、メディアの過激な扇動で訓練期間を無理矢理縮められて最前線に練度未了のまま送り込まれた挙句、戦場の血の気に侵されたアメリカ軍の新兵が複数血に酔うがままにイベリア半島住民に戦争犯罪を仕出かし、スペイン人が過去の民族対立を忘れて大規模な対米軍レジスタンス組織が結成される頃には、アメリカは拙速拙攻の代償を支払わされる事となった。

642: 陣龍 :2022/01/27(木) 00:06:21 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

 具体的に言えば、ドーバー海峡海戦にてドイツ海軍の『蓋』になっていたフランス海軍が、イギリス海軍の潜水艦とドイツ海軍の水上艦隊に撃破されてから進出を開始した、ドイツ海軍が誇る潜水艦隊がアメリカの輸送船団に殺到し、護衛艦の数は兎も角装備と戦術が当時列強海軍の中でも低空飛行だったアメリカ海軍の対潜能力では対応出来ず、攻撃して居るドイツ側が若干憐れみを覚える程に恐ろしい勢いで輸送船が物資諸共大西洋の波間に沈められていったのだ。一気呵成の勢いで纏まった陸上戦力を送り込んでしまったが為に現地アメリカ軍が必要とする物資は膨大であり、戦時生産で輸送船が大量に建造されて居るとは言っても現時点での外洋航行型輸送船は、太平洋戦線にも半分程度はオーストラリア向けへの支援に振り分けられており、そちらでも日本海軍の潜水艦によって酷い事になっている為、現地へ送り届けられる物資の量は、本国から進発する量と比べると目が眩む程に減少していた。

その上追い打ちを掛けるように、後に太平洋戦線にて大敗しアメリカ本国の目がイベリア半島から太平洋へと注目される様になるとイベリア半島方面軍に届けられる各種物資は更に目減りするようになり、おまけに大量に建造された戦時標準船が戦列に加入する頃には潜水艦隊のみならず水上艦部隊や空母機動部隊もアメリカ輸送船団を攻撃するようになった為、食糧等自活可能な物資は可能な限り現地調達する事が非公式に横行し、イベリア半島の惨禍とアメリカ人の不名誉の数は更に加速する事になる。




【フランス側状況】…世界で唯一アメリカによる突然の参戦劇に混乱せず諸手を上げて称賛していたフランスであったが、裏を返せばそれだけドイツ軍の想定を上回る強大さに心底動揺し、怯えていた証拠でも有った。何もかもが自業自得だが、散々ドイツに対してありとあらゆる形で妨害や外交の場で口汚く罵り続け、そして一方的な開戦時の名分も相まって、この頃になるとフランス人はドイツ人がフランスその物を滅亡させに来ると思い込んでいた。『自らの他者への言動は身を写す鏡である』等と言う格言が有るが、この時のフランス人も例に漏れず、自分達の叫んで居たドイツ解体論が役を変えてフランスで行われると、自らを鏡に思い込んだのである。
戦後数十年経った発掘による日誌発見でようやく真実が判明した『フランス世界遺産攻撃事件』も、もしフランスがドイツ領内に侵攻した場合復讐の為に行われる事は規定路線でも有ったのが、余計にそのドイツ人によるフランス殲滅論の根拠を補強して居た。ドイツ人やイギリス人、序でに日本人は正直アメリカとソ連への相手が本当に危ういので出来れば即座にフランスと講和して黙らせたいのが本音だったのだが、フランス人はその様なドイツ人やドイツに与する人間の言葉を決して信じようとはしなかった。講和要求の解答が、フランス人の根こそぎ動員で答えたように。

 そして徹底した根こそぎ動員でドイツ軍へ応戦し、マジノ線と共に壊滅した主力軍の再編成を必死で行う傍らで、フランスは『ドイツに一粒の小麦も、一発の銃弾も、一滴のガソリンも、一件の家も、何もかも渡しては成らない』として、軍服すら来ている事も稀な民兵の攻撃に苦慮するドイツ軍の進撃方面に対して、徹底した焦土作戦を展開。民間も含めた全ての物資の持ち去りや焼却、インフラ破壊から民間施設も含めた爆薬設置と破壊に至るまで兎に角徹底しており、通常の戦争の範囲内で行われる妨害行為をある程度予測して大規模な工兵部隊を揃えていたドイツ軍の対処力を超える規模の破壊であり、追加で本国の工兵部隊の編制が追加されていた。だが結局のところ、一線級の装備を誇り、マジノ線での戦闘で経験を積んだ精鋭の常備兵を揃えたドイツ軍に対し、間に合わせの二線級か旧式装備、練度も経験も不十分で指揮官すら足りないフランス側民兵は明らかに役者不足であり、戦闘開始前のドイツへの憎しみを溢れさせた意気も、ドイツ軍による多連装ロケット砲や重砲の砲撃、戦車の突撃にあっと言う間に戦意を萎えさせて大敗をする部隊が過半であり、マッピングすら碌にせずに設置された地雷処理の方が
ドイツ軍の足止めに役立っている有様だった。そして一歩一歩、確実にフランス中枢への歩みを進めるドイツ軍に対し、フランス側は更に徹底した焦土戦と根こそぎ動員の人海戦術で応戦。最早『勝つ為の苦渋の戦術』から『一人でもドイツ人を苦しめる為の作戦』にまで換骨奪胎、本末転倒の状況に陥りながらも、戦争のはらわたと言うには悲劇的過ぎる殺し合いが、フランス各地で展開される事になる。

643: 陣龍 :2022/01/27(木) 00:07:43 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp

そしてその焦土戦の対象はフランス人のみならず、当時明確な軍需物資の一つであった馬たちにも向けられ、平時には欧州各国からその速さを競った競馬界の聖地、ロンシャン競馬場に物資の流れアリとの事にてドイツ・イギリス合同空挺部隊が降下した際には、当時の欧州競馬で名を鳴らした名馬が、名馬を産み落とした種牡馬・牝馬が、彼の馬たちを育て、レースを走った調教師や騎手たちが多数無造作に殺され積み上げられるのが発見されると言う、後世に言う所の『ロンシャンの惨劇』が発見された。そしてお約束と言うべきか、パリのエッフェル塔爆撃事件の様に、フランス政府はこのロンシャン競馬場の事件を性懲りも無くイギリス・ドイツ軍によるものと公表。数十年後の墓場からの種明かしにて、フランス政府が受け取っていた情報は確かに英独軍によるものと報告を受けていたが、実際はフランスを廃滅に追い込んだ【何者か】の手によるものだと分かるのだが、そんな事等分かる訳がない当時の人間たちは、先の『大戦』とは全く異質で激しい『敵意』『殺意』を掻き立てられながら、更なる激しい戦争に突き進んでいく事となる。



【イタリア側状況】…ドイツ軍のマジノ線突破に合わせて、イタリアが抱えていた『未回収のイタリア』問題解決のために、ドイツの尻馬に乗る形で宣戦した結果、アメリカの横須賀奇襲で世界大戦に巻き込まれたイタリア王国。
一気呵成の攻勢でジブラルタル要塞やイベリア半島の南東部が陥落する等の戦略環境の激変に収拾が付けられるのに時間が掛かったが、ジブラルタルを根拠地としたアメリカ海軍の艦艇が地中海に侵攻して来たのに対し、イギリス地中海艦隊と俄かに合同艦隊を結成し、流される様に世界大戦に突入して行く羽目になった。軽い戦争になる筈が何故か二回目の世界大戦に突入する事になった事に完全に納得していたイタリア人は少なかったが、アメリカが突き付けた『無条件降伏』と言う宣言は、否応無しにイタリアが戦わなければ悲惨な事になると言う事を明確にした事に加えて、イベリア半島の民衆がアメリカ兵に戦争犯罪の被害を受けている事が知られるに連れて『次は我が身』と言う事を直視されたが為に、白目を剥きそうなムッソリーニ総統の下で総力戦に突入して行っていた。ジブラルタルが占領された為、インドやオスマンからの物資や石油は地中海からイタリアの鉄道を経由してドイツやイギリスに送られる経路になる為、ムッソリーニ総統が既に進めていた正確な鉄道ダイヤは思わぬ形で貢献していたが、それよりもジブラルタル方面のみならず、裏切った南アフリカを拠点としたアメリカ艦隊の一部がインド航路に通商破壊を仕掛けだしており、本来地中海の事しか考えて居ないイタリア海軍も、イギリスの地中海艦隊と歩調を合わせて通商護衛に奮戦する事となる。また同盟国となった為に英独の兵器や装備の供与は急速に行われた為に、イタリア三軍の戦闘力は想定以上に飛躍し、アメリカ軍に対抗する有望な戦力として戦いの渦中に飛び込んでいく事となる。

644: 陣龍 :2022/01/27(木) 00:09:15 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 超絶長くなって申し訳なかったですが纏めたらこうなった()

|д゚) なのでお休みなさい、返信等はまた何時かに

|д゚) 後色々ぶち込みまくってますが影真似氏不都合在りましたらハラキリます(白装束)

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最終更新:2022年02月08日 12:42