695: 名無しさん :2022/01/29(土) 20:19:48 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp


近似世界において戦艦というモノは、教科書の中の存在か、もしくは博物館でしかなかった。
空母艦載機の性能向上やミサイル技術の発展、小型砲の威力と射程、精度の向上等によって、海上において戦艦という重厚長大なプラットホームを必要としなくなったからだ。


故に、ゲートを通して他の大陸日本世界と接触した際、それらが持つ“超戦艦”を目の当たりにして戦慄した。


なんて労力注ぎ込んでるんだ、と。
明らかに常軌を逸した性能を前に、自らの空母航空隊を全力で叩きつけても有効打を与えられないかもしれないと理解し頭を抱える上層部。
無論、駆逐艦か巡洋艦しか存在しない海軍水上部隊での水上戦闘などは無謀でしかない。

研究を重ねて技術を集約することで、それらへの“対抗策”を作り上げることは不可能ではないと考えられた。
しかし、戦艦はおろか水上砲戦の概念も埃を被った状態の我が方では、その前に“超戦艦”の概念について多大な研究・理解を行わなくてはならなかった。
もしもそれを怠れば、マジノ線のフランス軍、もしくはハルファヤ峠のイギリス軍の如くとなるのは必定である。

とはいえ、研究には長い時間が掛かる事が予想された為、今すぐ使える方法で何らかの対抗策を生み出し、その間に本命を研究開発しようという発想に至ったのは自然な事だった。





【北極星型特設ミサイル巡洋艦】

全長:380~420m
全幅:61~68m
排水量:25万トン前後
機関:ディーゼル
速力:18ノット前後
乗員:30名前後

武装:
通常型VLS:732セル×6基(計4392セル)
大型VLS:24セル×14基(計336セル)

57mm軽ガス砲:10基
レーザーCIWS:6基
12連装対潜ロケット砲:2基

LAMPSヘリ:2機搭載可能



世界各地から完成間近、もしくは退役寸前のタンカーを購入し、ちょっとした被弾などで簡単に船体が破断しないように各所に補強、改装を施して建造されたミサイル巡洋艦。
マラッカマックス以上のVLCC石油タンカーという共通点はありつつも、元が民間船で全く別な船である為、同級とはいえ大きさや形状に微妙な違いがある。
運用にあたっては船そのものが大幅に省力化・自動化されており、乗員は全員が対爆装甲化された脱出艇兼用のCICに搭乗する。
総じて速力18ノット前後と現代戦闘艦としてはかなり遅い為、積極的な行動は控えゲート付近で門番の如く浮かんでいるだけに留められる予定である。

一番の特徴は、油槽上部に敷き詰められたVLS(垂直発射システム)の群れだ。
8セルを1ユニットとして装甲キャニスターに納められており、小規模な誘爆なら爆圧を上に逃がす事で被害を最小限に抑えることができる。
また、油槽内部にも幾つかの隔壁が追加されており、一回の誘爆によってすべての発射機が無力化されることのないような構造となっている。

搭載されるミサイルは、基本的にSSM(艦対艦ミサイル)が主であり、最悪の場合僅か2~5分で4300発全弾を撃ち尽くす想定が為されている。
アメリカ海軍が本気で固めた空母打撃群のガチガチの防空網の相手を前提にした、飛行経路プログラムおよび高度な回避運動を繰り返す亜音速ミサイル、超音速ミサイル、極超音速ミサイル等による飽和攻撃を行う。
戦略原潜のSLBM発射管を流用した大型VLSには、大気圏上層部で回避運動を行いながら突入する極超音速滑空誘導弾等の低軌道対艦ミサイルなどが搭載されている他、寿命1週間程度の小型衛星打ち上げロケットが搭載されており、自前で衛星偵察・観測システムを構築することができるようになっている。

なんとも思い切りの良い力業だが、これだけの斉射を行うにあたって全ミサイルを管理・制御しきる自信があるあたりに、高度な電子技術の粋を凝らしていることが伺えるとかなんとか。
面倒極まりないミサイルの装填作業にあたっては、既存のドローンを改造した全自動ミサイル装填UAV/UGVが幾らか製作された。

防御火器で特筆すべきなのは、57mm軽ガス砲である。
高速衝突実験に使用されるライトガスガンを応用した砲で、液体装薬で動くピストンとヘリウムガスによって57mm高速徹甲弾を初速10.5km/sで発射する。
弾速や弾種、搭載している艦の関係上、高速で飛来する重質量弾体を迎撃する事だけに特化した兵器といえる。


総評としては、間に合わせでお茶を濁した奇形兵器。
建造経緯故か、民間船時代の名前が流用されるままになっている



同型艦

1番艦:北極星
2番艦:日章丸Ⅴ
3番艦:エクラ・ドゥ・ソレイユ
4番艦:常磐

696: 名無しさん :2022/01/29(土) 20:23:12 HOST:M014009102000.v4.enabler.ne.jp
以上です。
あくまでもネタですので大分個人的な好みが入ってます…()

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2022年02月08日 13:20