920: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:43:36 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
日蘭世界 パワードスーツ開発の歴史
パワードスーツ。略してPS。現代の日蘭世界の歩兵において欠かせない装備である。
今回はそんなパワードスーツの歴史について説明しようと思う。
初期のパワードスーツというものは現在のような小銃弾を弾く装甲を装備しておらず、もっぱら使用者の動きを補助するフレームのみの装備であり、所謂アシストスーツとでもいうべき代物であった。
これは歩兵の行軍から重量物運搬などに効力を発揮し、民間にも多くが流用されるなど当時としては画期的な代物であった。
現在ではこのフレームのみのアシストスーツに胸部と背部へ防弾用の複合素材プロテクターを追加した装備が歩兵における一般装備となっている。
最もこの時期のパワードスーツは開発初期ということもあり、出力が左程高くなく。
重機関銃を以てぶっ放せる代物というわけでもなければ、重装甲をまとって動き回れるものでもなかった。
このため歩兵の扱う装備は既存の物をそのまま流用しており、精々が鋼鉄製のプレートアーマーや、より多くの銃弾を持ち歩いても疲労しにくいといった補助方面で効果を発揮していた。
SF映画や漫画などである歩兵の戦闘力を直接向上させる代物ではなく、あくまで歩兵の運用を更に容易とする兵器であったのである。
以降この初期のパワードスーツ。いわゆるアシストスーツの成功により各国のPS開発は加速していった。
しかし各国はこの時点では歩兵の持つ小銃弾を防げるだけの防弾能力を持つPSは開発しておらず、専ら研究のみに留めていた。
これは当時の常識として小銃弾を防げるだけの重装甲した場合、歩兵としての機動性が損なわれるレベルの重量になると言われていたからである。
またこの時期のアシストスーツの出力では、そのような大重量物を搭載して動き回ることは非常に困難であった。
このためこの時期の所謂第二世代と言われるPS開発においては第一世代であるアシストスーツの延長線上である、運動能力の向上と様々な戦場に対応できるだけの汎用性を求める動きが中心であった。
だがしかしそんな世の流れに一石どころか大石を投入した国が存在していた。日本である。
「パワードスーツと言ったら銃弾弾きながら前進していく代物だろjk」というジャパニーズコミックの世界に存在しているようなSF兵器を日本は本気で目指していた。
まあ日本側からしても既に実用的な第一世代PS(フレームのみのアシストスーツ)は実用化しており、機動力に振った一般的な第二世代PSに関しても最悪盟友オランダからライセンス生産すればいいという考えも存在していた。
しかし、それを含めても異様な熱意と予算を賭けて(誤字にあらず)日本は重パワードスーツとでもいうべき代物の開発に万進し、遂に各国が実用的な第二世代PSを出す前に開発に成功させてしまう。
第二世代PS「士魂号」 通称はドラム君。日本の誇る傑作PSである
通称のそれは見た目が手足の生えて着ぶくれしたドラム缶みたいなデザインであったためである。
どっかのゲームに出てくる歩行戦車に出て来そうな名前のそれは歩兵がフレーム骨格のみを纏う第一世代のPSと違い、3m近い全高となったそれはもはや人が乗りこむとでも言うべき代物と化していた。
専用開発された外骨格フレームを基に全身に装甲をまとったそれはぱっと見で着ぶくれた宇宙服のような姿であり、とても機敏に動ける姿は想像できなかった。
スーツというよりもアーマー。歩兵の補助装備というよりも乗りこむべき兵器。そんな異様な見た目の代物であったが、驚異的なことに一般歩兵とそん色のない動きを実現していた。
むしろ人間の足腰ではなく、スーツの足腰で動くため人よりも大ぶりな…簡単に言えば滅茶苦茶な動きを可能としていた。
森林や岩山の荒れ地を人とそん色ない動きで駆け抜け、有刺鉄線や対人地雷は踏み潰し、大ぶりの塹壕なども飛び越えられるだけの跳躍力を有する。
下手なバリケードや建築物の壁など出力に任せたタックルやパンチでそのまま粉砕可能。
そして正面装甲はチタン合金、特殊カーボン、強化セラミック、多重防弾プラスチック、衝撃分散ジェルなどの複合装甲であり、5.56mmは勿論、7.62mmや7.92mm弾も物ともしない。
流石に12.7mm弾クラスを何発も受けるのは厳しいが、その場合は専用の大盾を運用すれば防ぐことは可能である。
921: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:44:49 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
武装に関してもその有り余る出力から従来の歩兵では難しかった大型火器の運用を実現。
7.92mmアサルトライフルのフルメタルジャケット強装弾と重機関銃を改造した12.7mm携行機関銃を主力としながら9連装ロケットランチャーや20mm対物ライフル、8連大型リボルバータイプ散弾などが運用された。
また機体の背部に繋げる形で射程と威力を向上させた大型の対空ミサイルや対戦車ミサイルなども運用。
変わりどころでは近接用大剣やらハンマーやら、更には5.56mmガトリングや散弾機関銃なるヘンテコな代物までも取り揃えられていた。
何度目かの中華地域セクト掃討戦において、実戦デビューを果たしたドラム君こと士魂号はセクト歩兵の操るコピー小銃の7.62mm弾物ともせず、逆に隠れるセクト兵をバリケードや建物の壁事粉砕しながら殲滅した姿は世界に衝撃を与えた。
各国の開発陣は突然SF世界から現れたかのようなこのPSの存在に発狂した。
今まで主流であった機動性を強化し、歩兵の展開能力を高めるという第二世代PSの開発目標が根本から粉砕されたためである。
このためこの時期の各国のPS開発状況は「日本と同じ重PSを開発するべきだ派」「惑わされずに従来の高機動路線PSを開発するべきだ派」「もう日本に頼み込んで売ってもらわない?派」に別れ混沌を極めていた。
こうして各国のPS開発状況は大混乱となり一時的にせよPSそのものの開発スピードが鈍化する事態となった。
結局のところ世界の国々は重PS路線と軽PS路線に開発が別れていくこととなる。
このため第二世代PSからは性能を追求した重PSと歩兵のアシストに絞った軽PSの両方が混在していくこととなる。
これの流れは技術の発展により丁度いい塩梅を兼ね備えた中PSこと第四世代PSが登場するまで続いていくこととなる。
このようにPS業界を一辺させた日本製のドラム君であるが、実際のところそこまで万能な兵器ではなかった。
まずコスト。まあこんだけ高性能なのお高い。戦車よりは安いが装甲車よりはずっと高いと関係者が漏らすほどであった。
これは従来の歩兵装備の延長線上で計上できるレベルに抑えられていた第一世代PSや軽PSタイプの第二世代よりもずっとお高い。
まあ戦車並みの豪勢な素材を用いた装甲やそれを動かすだけの出力をもたらす各種駆動系などお高い部品が多いのだからそうもなろう。
むしろよく戦車よりも低い値段に抑えたと言える。これは脚部運用駆動部のパーツが日本においては多く流通していることから、製造コストを抑えられたためと言われている。
PS開発以前から二足歩行ロボット開発が民間においても(ロマンと趣味で)進められていた日本だからこそと言えよう。
OS開発においても民間の歩行ロボの部分から多くの発想を得ているなど、人型ロボ大好き日本の面目躍如と言えた。
次に重量。先に説明した通り士魂号ことドラム君の装甲はチタン合金、特殊カーボン、強化セラミック、多重防弾プラスチックなどの複合装甲であり、その合間に衝撃分散ジェル剤が挟まれているため大きな防御力を発揮している。
つまりは非常に重い。このため雪原や泥地、湿地などでは物理的に足が沈んでしまうため、運用に大きな制限がかかる。
歩兵の能力拡張を目的に開発されたPSとしては擁護のできない欠点と言えよう。
後にやっぱりコストが高い!という理由で高価なチタン合金は被弾率の高い正面装甲や頭部装甲にのみ使われるようになり、他の部分は既存の鋼を中心とする高精練装甲に置き換えられることとなる。
922: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:45:37 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
因みに別にスーツの着用者にはケブラー剤などの防弾繊維と軽量セラミックプレートを合わせた簡易防弾装備を着込んでいるため、二重の防弾機能が存在している。
次に燃費が悪い。第一世代PSにおいても連続稼働可能時間が48時間。第二世代の軽PSでは平均72時間を超しており、全力稼働時でも回路やパーツが破損するなどの物理的な問題を除けば理論上36時間の稼働が可能とされるなど、その燃費は非常に良い。
対してこの士魂号は稼働可能時間18時間。全力稼働時間6時間という非常に燃費の悪い仕様となっている。
これは大重量物の巨体を動かすための出力を生み出すための電力消費量が非常に高いためである。
大型であるため、その分だけのバッテリーを載せてもこれである。
また整備性においても悪いと言わざるおえない。精密部品の塊である重PSは常にその稼働率に問題を抱えており、戦場運用する場合は常に専用の整備部隊が付いて回ったほどである。
とある軍高官は「重PSは歩兵の装備というよりも戦車や装甲車などの機甲装備に近しい」と発言していたが、それは全く持って正しい見解と言えよう。
総じて高コストで燃費と整備性が悪く、足場の悪い地域では活動しにくいといった難点を抱えていた士魂号であるが、初期に生み出された重PSとしては非常によくできており、特に後に恐竜的な進化を遂げる他国の重PSと比べてもコストと性能のバランスが良く整っている評価されている。
そして第三世代PS開発。
世間は士魂ショック(通称ドラムショック)により各国のPS開発が大幅に混乱した後の時代。
この時期のPSは所謂サブアームの搭載が実用化され始めた時代である。
OSなどのソフトウェア及びAI技術の発展により実戦運用可能な実用的サブアームが登場し始める。
兵士の腕に装着された専用タブレットによる手動操作と事前入力によって優先順位を設定されたAIによる自動操作によりPSに接続されたサブアームが起動する。
言ってしまえば単純に手数が増えるということであり、歩兵一人当たりの火力投射量が著しく向上した。
腕部タブレットは各国それぞれが趣向を凝らしており、感覚的に使えるグリップ式から、腕時計のような形で腕部に装着するタイプ(プレデターの腕のアレみたいなもの)など兵士が直感的に使いやすいよう様々な仕様が生み出された。
それ以外にも音声認識方式や生態電気による間接思考制御なども一部では試されたが、この時期の技術力では安定投入できるレベルには届かなかった。
サブアームに搭載される火器は基本的に歩兵用の既存火器がそのまま使用される場合が多かった。
これは単純に武器を流用することによるコスト低減を狙った部分もあるが、いざという時の予備弾薬、予備兵装としての役割も担われている。
軽PSにおいては軽量な二本のサブアームが基本とされ、アームで運用する武装も小銃やグレネードなどが主流。
これは軽PSの強みである機動力を損なわないようにするためである。
対して重PSではその有り余る出力を活かし、アームの基本数も四本がデフォである。
ここに任務に応じて六本や八本と増やすことも多々ある。
アームで運用する武装も機関銃から大型グレネード、防弾盾など大型のものが主流。
なおこの時期から整備する対象が増えたと泣く重PS用の整備兵が増えたという。
こうして第三世代においては便利な第三、第四の腕が追加され、PSの火力事情や継戦事情を更に向上させることとなった。
923: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:46:27 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
そして続く第四世代PS。
この世代のPSは自立思考型AIの搭載によるコミュニケーション能力の獲得と、それによる歩兵全般の兵装運用能力の向上がなされた時期である。
各国は恐竜的な進化を遂げる重PS、歩兵が素で空を飛びだしてきた軽PSなどの高性能化にバクシンしていたが、それに比例してPSの高コスト化が進み、扱う兵士においても運用ノウハウの習得が困難になってきていた。
歩兵の能力を補助し、活動領域を広げるスタンダードな兵装という枠から出て、専門職による専門職のための専門兵器と化してきていたのである。
この流れには多分に日本における趣味的なレベルのPS開発と発表により世のPS開発が惑わされた側面が大きいと言われている。
それでいて日本自身は安牌な軽PSを開発して、歩兵のスタンダード装備としていたのだから質が悪かった。
そんな世の中で初心に返り、歩兵の補助を第一としたPSをオランダ帝国が開発することとなる。
個々のPSに歩兵補助用の自立思考AIの搭載と、戦域の部隊全体を補助する戦域補助AIによる部隊運用ネットワーク能力の向上である。
基礎モデルには大仰な機能を取り払った軽PSが抜擢された。これは歩兵における新たなスタンダードパワードスーツ目指したため、調達・維持コストの低減が必須だからであった。
つまるところオランダは個々の専門職による戦力向上ではなく、歩兵部隊全体的な戦力の底上げを狙っているのである。
因みに軍用の補助AIの開発には世界で初めて実用的な自立思考型AIを開発した日本の協力がみっちり協力している。
こうして生まれたのが新標準PSを身にまとい、既存のAIとは一線を画す高性能AIの補助の下で、部隊全てが有機的に連携して戦う装甲歩兵集団であった。
機動性や重装甲ではなく、運用性そのものを目的として新標準PSは軽PSとも重PSとも違い中間の存在。
言うならば中パワードスーツとも呼べる存在に落ち着いた。
高性能AIが標準搭載されたこれは、AIによる身体機能の補助から各種判別、ターゲッティング補助、情報処理までを行う。
基本的にこれらの搭載AIはそれぞれが独立した代物であり、ネットワークを通じてのハッキングに強い性質を持っていた。
これに個々の部隊用に調達された広域補助用AIによる各種手助けも加わり、歩兵一人一人が、まるで空から俯瞰しているかのように戦場の全てをリアルタイムで把握することが可能となっている。
またPSの基礎フレームも大幅に見直したため軽以上、重以下の強度を実現。
これは技術発展により第一世代PSではできなかった機関銃の個人運用を可能としている。
このためオランダ軍PS歩兵こと装甲歩兵の標準装備に汎用機関銃と、それを使った立射が加えられた。
既存のサブアームも背部ユニットへの接続が可能。
サブアームそのものも技術発展により性能が向上しており、アームの頑強性が大きく向上。
今まではアームの強度から厳禁であった、アームそのものを使った格闘戦を可能としている。
今までこのように手荒いアームの扱いは重PSが運用しているような大型アームでないと不可能であった。
このようにアームの耐久性が向上したことによって既存火器の搭載以外にも接近戦用の各種装備が新たに開発され運用されるようになる。
同時に今まで重PSでなければ運用できなかった幾つかの装備も、この新標準PSこと中PSで運用することが可能になるなど、PS開発当初の歩兵に幅広い能力を付与するという目的を達成している。
924: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:46:58 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
また前述した通り既存の各種装備も流用可能。
軽PSで運用されていた歩兵用スラスターや立体起動用アンカーやジェットパックを利用可能。
重PSの装備に関しても大型サブアームを二本までなら運用可能である。
アームそのものの使用に関してもスーツに搭載された自立思考型AIを用いた音声及び間接思考認識により面倒な腕部タブレットによる入力を省くことに成功。
自律思考型AIという最高級レベルの判別能力を持つAIを搭載することにより実現したある種画期的な成功例と言えよう。
総合的な運用コストにおいては、高性能AIの個別搭載という部分を抜いても昨今過剰に進化しすぎた重PSや軽PSよりもずっとお得に済むレベルに抑えられている。
逆に言えば標準的な軽PSよりはお高くついているが、この部分は量産効果により相殺できるレベルと試算されている。
パワードスーツ本来の目的は回帰したこのオランダ製新標準スーツは瞬く間に世界へ広がり、新しいスタンダードパワードスーツとして各国が運用しだすこととなる。
因みに余談であるが…
この第四世代PS。個々に専用の高性能AIを搭載しているわけだが、それにより搭載しているAIそのものにある種の個性が出てくるようになった。
これはバディを組んでいる歩兵のニーズや癖にあったことを学習していくために起こった仕様である。
熟練した歩兵とAIのバディは正に人機一体とも呼べる卓越した動きを可能とした。
だがこれに欠点がなかったわけではない。
バディの兵士に適応化が進んだAIは新しいバディを得るにあたって再学習が必要となるのだ。
このため装備の融通がしにくくなる問題が発覚した。
これに関してはAIそのものをバディが運用する新しいPSに搭載しなおせるよう、AI搭載部分をユニット化し、取り扱いしやすくする仕様が加えられた。
またこれは無人兵器の実戦投入禁止に触れる問題なのでは?という質疑も多方面からもたらされた。
これに関しては「あくまで引き金を引く権利を持つのは人間である兵士自身」「AIはあくまで補助であり、最終決定権は人間である」と政府及び軍が返答している。
そして深刻だったのがバディとAIが深く結び付きすぎた場合である。
バディの兵士が死亡した場合に搭載AIがわざと己の回路をショートさせ、バディに殉じる事件が発生したのである。
AIそのものは人に奉仕することを前提に組まれているため新たなバディを得るにあたって大抵の場合は左程問題なく受け入れるのだが、学習しすぎたAIは逆に自殺を可能としてしまうのだ。
また同様の問題が兵士側にも起きており、何らかの理由によりバディAIのバックアップやサルベージすらできなかった場合の兵士側の喪失感も著しく。
大概は実戦運用に耐えられないレベルまで精神が落ち込む事例が発生している。
良くも悪くも兵士もAIもお互いを掛け替えのない戦友と認識しているが故の悲劇であった。
この問題にあたってバディの死亡が確認された場合、強制的に搭載AIを初期化するようにする措置も検討されたが「それは共に戦う戦友に対して行為なのか」という多くの兵士の反対にあいとん挫している。
このAIの自殺問題に関して現在のところ根本的な対策は未だ取れていない。
なお日本ではAI専門カウンセラーなるものが導入され、熟達したAIがバディに殉じる問題が多少なりとも改善されたとかされなかったとか。
925: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:47:29 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
そして最後に説明するのが最新の第五世代PS。
未だ日本とオランダのみしか実用化していない最新鋭の兵装である。
第五世代PSを始めに開発したのは日本。彼らの打ち出したコンセプトは「単機で軽PSも重PSも、勿論中PSも圧倒的に凌駕するすっごいパワードスーツ!」である。
なんとも頭の悪いコンセプトであるが、日本の熱意と技術力はそれを実現してしまった。
世界初の第五世代PS「スサノオ」
世界初の電磁装甲搭載型パワードスーツである。
宇宙空間で精練されたチタン合金装甲に加えて、同様に宇宙空間で精練されたスペースカーボン、スペースセラミック。
そして技術発展によりかつてよりも格段に効力を増した衝撃吸収・分散ジェルを合わせた複合装甲。
そして銃弾や瓦礫などの接触時に自動発動する電磁バリアを備えている。
この電磁バリアは銃弾が接触した際に起動する代物であり、強力な電磁場により銃弾を逸らし、装甲への衝突力を軽減する効果を持つ。
この機能はスーツの機能と搭載AIにより管理されており、このため単純な電力切れ以外ではスーツそのものに備わっている感知機能と搭載AI判断による発動の二つのセーフティーが存在している。
このバリアは歩兵の小銃弾から12.7mmに代表される重機関銃弾すら無効化するレベルである。
無論勢いは弱ると言え銃弾であるからして、それを弾く素の装甲の固さと合わせた防御力と言える。
この素の装甲においても前述した宇宙空間で精練された素材をふんだんに使用した複合装甲であり、既存の重力下精練された素材とは雲泥の差効力を発揮している。
サイズは一般的な中PSと同程度でありながら、完全密閉式スーツであり、低酸素領域や水中、はたまた理論上宇宙空間でも行動可能な万能スーツでもある。
スーツのパワーも段違いであり、標準的な重PSとなら問題なく力勝ちするレベル。柔軟性や運動性に関しても下手な軽PS以上のものを備えている。
専用スラスターと立体装置アンカーの組み合わせやジェットパックで移動する軽PSに対して単純に走るだけで追いつける。
無論既存のPS同様サブアームユニットの接続と運用も可能。スーツのパワー出力が段違いのため、重PS用の兵装もその殆どを運用可能である。
エネルギーは専用の小型の大容量バッテリーを基本としながら、全身の装甲材そのものがある種の蓄電器の役割にもなっており、同時に味方艦艇や施設からの無線充電も可能である。
また外部電力を無理矢理供給することも可能。例としては敵地の鉄塔の電線や変電所から直接電力を奪うことが可能なのだ。
最もこの場合電圧調整は別途で行わないといけないため、あくまで理論上可能というだけである。
第四世代以降のPSのため勿論高性能なAIも搭載している。
ナノマシン技術を用いた神経系模倣型の自立思考型AI。殆ど人間と同じ反応や応答を可能とする新世代のAIである。
これら搭載AIはバディとなる兵士の補助も勿論、スーツを通したハッキングも可能。
無線充電機能を流用した接触型ハッキング能力を有しており、これによりネットワークを介したハックから、物理的な接触によるハッキング(物理も)も可能となっている。
このため昨今のセーフティー機能付き兵器の無効化が可能であり、単独での敵鹵獲兵器の利用が可能となっている。
総合すると重PS以上のパワーと軽PS以上の機動力。既存兵器の大半を使いまわせる汎用性と強力な電子戦能力。
無線受信による高い継戦能力と電磁バリアと持ち前の複合装甲による高い防御力を実現。
正に新時代の戦闘鎧と言えよう。
926: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:49:27 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
無論こんなものが発表された日は世界中が阿鼻叫喚と化した。
第四世代の時点でSF突っ込んでいたのに、まさにSF世界の兵器をそのまま持ってきました!みたいなものを出されては頭が可笑しくなるというもの。
実際この第五世代PS「スサノオ」発表時には多くの国はその性能に疑問を感じしており、ブラフでは?という疑念が主流であった。
日本は発表後すぐに始まったOCU大演習にてスサノオの性能を遺憾なく発揮。各国にその性能は本物であると見せつけることに成功した。
性能が本物だと確信した国々の衝撃はすさまじく、再び各国のPS開発が混沌を極めることとなるが、それに関してはまた別の話である。
士魂ショックに続くスサノオショック。日本はまたしても世界を驚愕させることに成功したのであった。
…ここでネタ晴らし。こいつ物凄い欠陥が二つある。
一つがコスト。製造するのも維持するのもべらぼうな金がかかる。スサノオスーツ一つでなんと20億円。最新鋭戦車よりもずっとお高い。大体50機セットで駆逐艦一隻ほど。
どうみても歩兵装備の値段ではない。
二つ目の欠陥が一般兵では扱えないという点。性能を追求しすぎたクッソピーキーになり、どう見ても兵士の方が振り回されるのが目に見えているのである。
まあここら辺の結果は開発者である日本もよく理解しているため、一般兵士用に性能を抑えた廉価版の開発も行っている。
とは言えお値段的に当分は第四世代PSをロー、第五世代をハイとしたハイ・ロー運用が続くことになると思われる。
因みにこの過大性能ってレベルじゃねーぞ!な初期型を着こなしているのはナノマシンや投薬により身体面から強化された精鋭志願兵の一団である。
日本軍では一個小隊(大凡30名ほど)で一個旅団(3000人ほど)を相手出来ると豪語するほどである。
余談であるが、日本では一般兵でも使いこなせる廉価版の開発をしているところ、オランダの方では更に性能を凶悪化させたモデルが開発された。
もう一般兵が使うと死ぬレベルの性能と言っても過言ではなく、運用する兵士も志願兵の中から更に選りすぐった精鋭を本人の同意のもとでガチガチの改造人間(投薬、ナノマシン、更に臓器を人工臓器に置き換え、骨格もナノマシンによる強化が行われる)に仕立て上げている。
やってることはどこの悪の組織だ、そもそも倫理的にこれ大丈夫なのとかいうレベルの話なのだが、基本的に喜んで志願してきた変態共なので法的には一応問題はなかったりする。
流石の日本もこれを見て「変態だわぁ」とドン引きしている。
927: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:50:50 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
〇説明
いわゆるフレームのみを歩兵本人が装備しているタイプ。
現実でも開発されているパワードスーツに近しい代物。
蛮人の運用に耐えるレベルであるがまだまだ運用始めたばかりの兵器。
このため歩兵が機関銃を以て乱射などは歩兵本人とフレームそのものへの負担が大きく、運用される装備は既存装備がそのまま流用されていた。
以降このフレームのパワーと頑強性において画期的な向上が見られるのは第四世代PSの登場を待たねばならない。
第一世代から進化したもの。日本がはっちゃけたせいで重PSと軽PSという括りが生まれてしまった。
重PSは一般的な小銃弾を真正面から弾きながら人間並みの速度と柔軟性で立ち回る装甲兵器。
軽PSは第一世代の特徴を受け継ぎながら、歩兵の機動性を向上させた代物。
重PSのイメージはとある
シリーズの駆動鎧や宇宙戦争のパワードスーツなど。
歩兵の銃弾程度なら弾き、無誘導のRPG程度なら見てから回避余裕でしたとかやる。
基本的に高コストであり、どっちかというと装甲車とかに近しい兵器。
このため歩兵用の一般装備にはならず、戦車や装甲車同様に専門の兵士が操る兵器の括りとなった。
第三世代以降は完全に専門職用の兵器と化した。以降の世代において平均全高は3mほど。
後に幾つかの国において恐竜的な進化を遂げ、大型化されていくとともに戦車染みた火力と装甲を手にしていく。
新標準PSである第四世代が登場してからは、この恐竜的進化にも歯止めがかかったが、以降は完全に開き直り、ある種の局地戦用大型兵器として生き残っていく。
なお第六世代PSが登場した時点で最も大型なのはドイツが運用している全高6mのティーゲル・リーゼ。
同様の巨大重PSを良く運用しているのはロシアと
アメリカである。
軽PSはCOD AWに登場するEXOスーツなどがイメージモデル。
歩兵が飛んだり跳ねたり、張り付いたりできる。機動力という意味では二階建ての屋根にも兵器で登れる。
対して防弾性能は既存歩兵の延長線上のためセラミック・特殊カーボンによる複合プレートを歩兵が着込む従来の方式。
このため胸部と背部以外は被弾すると酷いことになる。
こちらは従来の第一世代PSからの発展であり、コストも比較的抑えられていることから歩兵のメジャー装備に昇格している。
しかし恐竜的進化を遂げる重PSに対抗するため、引きずられるように高性能化が進み、一般兵では習熟が追いつかなくなっていった。
例を挙げるとジェットパックユニットによる飛行能力の付与や歩兵用スラスターと立体起動アンカーによる三次元高機動ユニットなど。
このため標準的な一般歩兵が運用する軽PSの性能は第二世代から左程大きな変動は見られなかった。
中PSが登場する第四世代からは重PS同様開き直り、精鋭や特殊部隊用の高機動路線に舵を振り切って生き残りを図っている。
928: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:51:49 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
世界で初めて開発された重パワードスーツ。通称ドラム君。
見た目がドラム缶っぽいため名付けられた。イメージはとある
シリーズの駆動鎧。
日本でも他国でもドラム缶ドラム缶と言われているせいで士魂号という名前で呼ばれることが少ない。
宇宙服を更にずんぐりむっくりさせたような身体と頭部保護も兼ねるドラム缶のような頭部ユニットで構成される。
着る問よりも乗りこむといった具合の兵器であり、軍高官の「歩兵装備というよりも戦車や装甲車の同類」という発言の通りである。
初期の重PSのため性能が優先された結果運用には専用の整備チームが必要、燃費が悪い、そもそも重いなど、その扱いは正に機甲兵器と同じであった。
7mm代の銃弾なら余裕で弾き、12.7mm相手でも永遠と撃たれ続けるわけでないのなら安全。
重そうな見た目に反して結構俊敏なためRPGなどの無誘導弾なら平気で避けるなど中々な高性能。
天敵は誘導式の対戦車ミサイルや20mm以上の対物ライフルや対空砲。
高コストであるが、それでも性能と比較した場合は十分元が取れるレベルであり、後の世から見ても性能とコストの割合が丁度良いと評価されている。
民間が積極的に開発している製品。接客から介護まで色々な用途で使われている。
日本人の趣味なのか性(さが)なのか他国と比べても積極的に開発されており、実用的なPSよりも先に実用的な介護用二足歩行ロボットが作られている。
パンダ色に染められたハイパーアシモが高速パルクールしながら「笹食ってる場合じゃねえ!」を再現した映像は世界的に有名である。
このため日本では歩行における駆動系パーツや運用OSなどの開発が他国より進んでおり、各種パーツの生産コストが比較的安く済んでいる。
因みに世界初の自立思考型AIを開発したのも日本である。
自由自在に動かせるサブアームが重・軽問わずpsに搭載され始めた時期。
モデルとしてはオールユーニードイズキルのPSについているような装備を搭載しているサブアーム。
これにより多種多様な装備と自在に現場運用できるようになり、PSの汎用性が大きく向上した。
同時に歩兵の火力投射量が非常に向上した時期であり、PSを使用しているか否かで極端に戦闘力が変わり始めた時代と言える。
後期では整備性のことを考えて取り外せるアタッチメント式が主流となる。
なおこの世代における最大の悩みはサブアーム追加による整備性と調達コストの悪化…ではなく。
サブアーム兵装による投射火力の激増による弾薬費の増大であった。
929: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:52:37 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
所謂中PSと分類される代物。
オランダが打ち立てた新しい標準PSであり、この世代で軽・重PSの統合が行われた。
イメージモデルはケルベロスサーガに出てくるプロテクトギア。
自律思考型の高性能AIを個々のPSに搭載しており、歩兵個々人の癖やニーズにあった行動を学習する。
同時に装備や武器も個々人の認証がついており、同軍同士ならまだしも他国軍やゲリラでは武器や装備を流用できない仕様となっている。
装甲面に関しても軽PS以上、重PS以下。とは言えこの時期の重PSとなると軽く12.7mmから物によっては20mmまで弾くが。
例として中PSは大凡12.7mm以下の弾丸なら正面装甲で弾くことが可能である。
最もこの時期の弾丸は対PS用に強化されたものも多いため、油断は禁物であるが。
実は歩兵個々に専用装備を与えているに等しく、AIの習熟度次第では兵士一人に対する値段が過去最高に跳ね上がっていたりもする。
最も装備自身が左程馬鹿高い(安いわけではない)コストではなく、歩兵そのものも給料もべらぼうに跳ね上がっているわけではないため、あくまで理論上の値段においてである。
バディ同士は兄弟。共に戦い。共に生き残り。共に死ぬ。正に運命共同体。嘘じゃない!むしろバディに殉じて死なないでほしい!
なお互いに殉じるレベルの変態的AIをすぐさま開発できた国の方が少なく、代用として低級AIで補っている国も少なくはない。
無敵!最強!強いぞー!凄いぞー!を体現した代物。
なお性能相応のお値段と習熟難易度を誇るため実質精鋭用装備と化している。
イメージモデルはHalo
シリーズのミョルニルアーマー。
あれと違って使用している兵士は遺伝子や骨格レベルで改造していないし、一機で駆逐艦一隻なんて値段でもなければ、エネルギーシールドも搭載していないので大分マシである。
日本が一般兵でも頑張れば運用可能なHaloで言うところのスパルタンⅣのアーマーを作ろうとしている横でオランダは更に凶悪な性能に仕上げた改造人間専用アーマーへと手直ししていた。
流石の日本もこれには納得しながらもドン引きした模様。
色々世界初が付いているが、最大の特徴はバリアでもパワーでも電子戦能力でもなく、その万能性である。
完全密閉式アーマーであり、アーマー内も耐衝撃ジェルで満たしているため大体の環境で運用可能な万能アーマーと化している。
火山地帯から水中や成層圏まで大体の場所で行動が可能。理論上は宇宙空間での行動すら可能である。
最も最後の宇宙空間での運用に関しては現状実験レベルまでしか試していない。
日蘭は共に今後は宇宙空間での戦闘も起こりえると想定しており、次の第六世代PSでは宇宙空間及び低重力空間での戦闘も考慮されたパワードスーツとなる可能性が高い。
930: トゥ!ヘァ! :2022/02/04(金) 16:54:05 HOST:FL1-119-244-228-153.kng.mesh.ad.jp
投下終了
日蘭世界のパワードスーツ事情です。
詳しい年代に関してはわざと載せませんでした。これらが実用化されるのが具体的に何年ごろになりそうなのか自分でも判断付かなかったので(汗
このお話では定期的に日本がハッチャけるので定期的にパワードスーツのワープ進化が起きています。
最終更新:2022年02月08日 13:25