69: 635 :2022/02/11(金) 16:32:30 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその七十一
戦艦大和医務室、マシュはそのベッドで点滴を受けながら眠っていた。
世界で一番安全だからこそここに運び込まれた。
その側では電がマシュの手を握り続ける。
マシュの心を包み込むようにただただ優しく。
夢を…。
長い長い…夢を見た…私ではない【私】の、私の生よりも長い長い物語…。
夢の中、【私】は穏やかな内海の潮の音を聞きながら産声を上げた。
生まれて数年、地震と津波に襲われた故国の北東部へと共に向かう。
倒れた家屋、押し流された瓦礫が全てを覆う大地…。
物資を抱えて上陸すると人々から神様仏様と呼ばれた。
そして戦争が始まった…。
多くの【彼女達】が沈んでいく…。
『沈んだ敵も出来れば助けたいのです…。』
敵であろうと助けていく【私】。
肌を指す風の吹く北の冷たい海を、太陽照りつける暑い南の海を『私』は駆け抜ける。
戦いが起きるたびに友人が、先達が、姉妹達がいなくなっていく…。
そして【私】も…姉の眼の前で…
『今度生まれて来る時は…平和な世界がいいな…。』
だけど生まれ変わった先は…戦火の輪舞曲、戦争の輪廻。
沈めて沈めて沈めて沈めて…………。
鎮めて鎮めて鎮めて鎮めて…………。
沈めて鎮めて沈めて鎮めて沈めて鎮めて沈めて鎮めて沈めて鎮めて沈めて鎮め…その繰り返し。
70: 635 :2022/02/11(金) 16:34:17 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
懐かしさを感じる潮の香りが鼻を満たし、頬を冷たい風が撫でる。
朦朧としていた意識が覚醒し少女は身を起こす。少女、マシュは島々に囲まれた何処かの内海の穏やかな海の上で目を覚ました。
しかし身体は濡れることなく水面に横たわっていた。
「起きましたか、マシュちゃん?」
聞き慣れた声の方を向けばいつもは後ろで纏め上げた茶色い髪を解き海風に靡かせる少女、電の姿があった。
電が陸地に目をやりマシュもそちらを向けば山々は白く染まっている。
「電さん…ここは…?」
「電が生まれた大阪湾、和泉灘の海を模した私の精神世界なのです…。マシュちゃん…貴女が倒れてからもう数日が経っているのです。」
「電さんの精神世界…ってあれからそんな時間が経ってるんですか…直ぐに起きないと…!」
電の言葉に驚くマシュ、加え直ぐにでも目覚めないとと言うマシュに電は首を横に振る。
「マシュちゃんは今起きれる状態じゃないのです…分かっているでしょう?自分の中に幾つも記憶があるのが…。」
「ッ!!」
「同調してるので電の記憶をマシュちゃんが見たように電もマシュちゃんの記憶を見てしまったのです。」
電のその言葉に幾つもの異なる記憶がフラッシュバックする。
思い出したくない記憶と自分の内からの溢れ出そうな何かの圧力に飲まれそうになるが電に抱きしめられ直ぐに落ち着く。
自分の全てが何かに、いや目の前の電に包まれている、そう感じた。
「今は電が同調しマシュちゃんの【器】の肩代わりしているから大丈夫なのです…が、マシュちゃん…このままだと貴女はこれから生きていくのが難しいのです…。」
「どうして…!」
狂乱するマシュを見つめながら電は口を開く、電の言葉を聞く度にマシュの口から出る悲嘆、怒り。
荒れるマシュの心情表す様に荒くなった波の音が二人の声を掻き消す。
そして、電が口を閉じ言葉を終えるとマシュは覚悟を決めた表情で電に向かい合う。
電の口が再び開く。
「マシュちゃん、もう一度聞きます。マシュちゃんはどうしてもどんなことになっても生きたいですか?」
「はいっ!もう一度私として先輩に…あの先輩【達】に会うまで死ねません…!!」
71: 635 :2022/02/11(金) 16:35:05 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
同じ頃の銀河連合日本のある地球、その南極大陸の地下深く。
「ハァ…カルデアスに触れ消滅して、他にも色んな記憶があるけど気づいたらカルデアの所長席に座ってたってどういうことかしら…。」
「それはボクも同じですよ所長、完全に消えたと思ったらカルデアスの前に立ってたんですから。」
「で、何でこんなことになったのかしら…?
外には今の西暦2017年の科学では説明のつかない巨大ロボットや霊基外骨格(オルテナウス)らしきもの装備した銀河連合日本を名乗る集団がいるけど…。
日本はそんな国号ではなかった筈よね…。」
機能の停止した巨大な地球儀の様な物の前で三人の男女が話をする。
一人は所長と呼ばれた銀色の髪の女性、白衣を着た柔和な顔をした男性そして万能の人の描いた絵の如き美貌の女性が口を開く。
「多分だけど私の推測だとここは並行世界だね。」
「並行世界…第二魔法で移動したとでもいうの…!?」
「そこがおかしなところでね…確かに私はグランドオーダー後、カルデア襲撃時に殺された記憶もティアマトじゃないビーストが出現した特異点のある世界の記憶もあるんだよ。」
美貌の女性が顎に手を当てて暫し何かを考え口を開く。
「多分私達は…。」
「所長、ドクター。銀河連合日本の方々をお連れしました。」
美貌の女性の言葉はその部屋のドアが開き入ってきたスタッフの言葉に遮られる。
入ってきた者達は茶髪の女性は二十代、黒髪の長髪の女性でさえ二十歳前後、その他の者達は十代の少女にしか見えない。
装備していた武装解除の要請にも応じ、この場にいるが不安げな素振りも見せない。
そしてなにより施設のシステム、一部機能が使用出来ず閉鎖も出来ないが彼女達が何者であるかを端に示した。
純粋な霊長に非ずと…そして少女達の一人エラく肌色面積の多い金髪ウサミミぽいリボン付けた少女を見てドクターと呼ばれた男性が驚愕の声を上げる。
「駆逐艦島風!?」
「おぅっ!?」
「ああそっちにも艦これってあるんだってまあ2017年じゃもう存在するしレイテの始まる年かあ…。」
黒髪に桃色の入った少女が呟く。
「レイテ、ってレイテ沖海戦のイベント!?今何年なの!?人理焼却で出来なかったんだけど!!」
「ドクター、提督だったんか…。」
「ロマニ!彼女達について何か知ってるの!?」
「ちょっとキマってます!キマってますよ!?」
銀髪の女性がドクターと呼ばれた男性に詰め寄り襟を締め上げる。
それを諌める白いセーラー服状のワンピース着た少女。
美貌の女性は黒髪に桃色の入った少女に近づき尋ねる。
72: 635 :2022/02/11(金) 16:36:05 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
「それで今は西暦何年、そして君達は誰だい?」
「今は西暦2020年だよ。それからあたしは夕雲型駆逐艦長波、在りし日の軍艦の魂を持つ娘、艦娘さ。」
「霊基規模からサーヴァントかと思ったが違うのか…。」
「ん?まあ、ボイジャーなら似たようなもんか?」
少女、長波は女性の方を向き答える。
「あっちでオゥオゥ言ってるのが同じ艦娘の島風、ワンピ着てるのが雪風。あっちの茶髪編み込んだのが神宮司まりも、眼帯付けてるのが坂本美緒、二人共妖精さ。」
「妖精、あの気まぐれの…かい?」
「あんたらの世界のとは色々と勝手も何もかも違うさ、それこそ神秘もね…。ま、改めて宜しく頼むよ、【ダ・ヴィンチちゃん】。」
長波の言葉に知らぬ筈の自分の名前を出した少女に女性、ダ・ヴィンチは目を鋭くしながらも面白そうな表情をした。
73: 635 :2022/02/11(金) 16:36:49 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
最終更新:2022年02月13日 12:07