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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその七十二



注:以下暫し某鉄腕ナレの音声で再生下さい。


神崎島常世神宮、男達はその祈祷所にいた。
男たちは頭を垂れ神職が行われているがお祓いを受けているのは男達ではない。
そしてその男たちの先でお祓いを受けているもの…それは鉄の塊…。


「いやあ驚いたね。島の反射炉で鉄作って使わせて欲しいって撮影中に島にいきなりティアマト様現れたの。」

「島もティアマト様の一部やからね。」

「でもリーダーどうしてうちの反射炉なんだ?もっと良い鉄は神崎島や本土の工場、ハイクァーンでも作れるだろ?」

「島の反射炉はこの国の歴史と先人たちの夢と魂、それにボクらの血と汗が籠もった代物やそうや。それだけのものが詰まった炉で作った鉄が必要なんやと。」

「マシュちゃんだっけ?助けられるといいね…。」

「うん…。」


もうじき五十肩に苦しむ男を筆頭とした中年男達の血と汗で生まれた一塊の鉄は一人の少女を救えるのか!?






「マシュはまだ起きない……?」

「あ、トトロットさんにマカリオスさん…キリシュタリアさんまで…精神は起きてますよ、身体は動かせませんが。」


戦艦大和の医務室、声に振り向けばトトロットにマカリオス始めマシュの知人達が勢揃いしている。


「電、そろそろ寝たほうがいいぜ?昨日からずっと寝てないんだろ?」


トトロットが電を心配するが電は首を振る。


「いえ電はマシュちゃんの側にいなくちゃ駄目なのです…今のマシュちゃんは魂の状態が不安定かつ飽和した状態、
マシュちゃんの魂と同調し私を錨としなければマシュちゃんは自分を維持出来ないのです。」

「マシュがどうしてこうなったのか分かるのか!?」

「その為に今までマシュちゃんの魂と精神に同調して潜ってたのです。」


電は息を吐く。


「対馬で応援に駆け付けたタカオさんやイオナさんと同じ、世界の間に漂っていた可能性の集合体。
その身体は純粋な人間ではありますが魂はハイサーヴァント、いえ核となる魂を中心に複数の魂魄を身体という器に撚り集めた魂の撚り糸。
艦魂を中心に乗員、戦争の犠牲となった魂達を艦体という器に撚った艦娘に近い状態…それが今のマシュちゃんなのです。」

「可能性の集合体…?」

「魂の撚り糸…?」

「艦娘に近い…だと…。」

「…皆さんに聞きますがマシュちゃんのマスターさんは男性でしたか?女性でしたか?」

「いやマシュのマスターは女だろ?」


電の問いになあと周囲に聞くトトロットに対しキリシュタリアは顔を振る。

140: 635 :2022/02/13(日) 09:11:39 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


「いや私の知るマスターは男性だ…。」

「どういうこと?」

「キリシュタリアさんのいた星間都市山脈とトトロットさんの元いた妖精國のあった地球は別の地球なのです。」


同じ白紙化された地球ですがと電は言う。


「他の方も違う世界の可能性があるのです。」

「ちょっと待ってくれ!じゃあマシュは別の俺達と一緒に戦ったマシュじゃなく、俺たちの知らないマシュなのか!?」

「いえ、マカリオスさん。
マカリオスさんと出会ったマシュちゃん、トトロットさんと出会ったマシュちゃんの記憶もちゃんと持っているのです。」

「確かに…妖精國の話にボクの知らないとこはなかったなあ…。」

「こっちもだ報告で聞いていた各異聞帯でのカルデアの情報とも齟齬はなかった。」


トトロットとキリシュタリアは電の話に同意する。


「いささかややこしいのですが皆さんの知るマシュちゃんでもあり、知らないマシュちゃんでもあるのが今のマシュちゃんなのです…。
そして…これが一番の問題なのですが…マシュちゃんはマシュちゃん達が敗れた世界の記憶もあるのです…。」

「敗れた世界…?」


アデーレが電の言葉を反芻する。


「カルデアの爆発で…騎士王に敗れ…ティアマトさんのケイオスタイドに呑まれマシュちゃん達は命を落としました。
マスターさんの方が同様に亡くなられた…或いは心壊した。
全ての手立てを失い特異点が成立、異聞帯が定着してしまった世界もあります…。
守護(まも)りたかったものも守護れず、救えた筈のものも救えなかったマシュちゃんもいます…。
あの人達がマスターさんの話に触れた時にそんな異なる世界の記憶を思い出してしまったのです。」


マシュを撫でる電、だがトトロットはわからないような表情をしアデーレも同調する。


「だけどボクと妖精國やマスターの話してた時なんともなかったぜ?」

「私達の時もそうです。」

「多分それは各々の世界の話しかしなかったからだろうな。あの者達はマスターが女か男か分からず彼女に問うた…それが引き金になったのだろう…。」

「ちっ!あいつらろくなことしねえ…!」


キリシュタリアは二人の疑問に答え、マカリオスは悪態をついた。

141: 635 :2022/02/13(日) 09:12:33 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


「それによって急激に思い出した自身の死、大切なものを失った記憶の濁流に呑まれ精神(こころ)が耐えきれず…。
そして記憶が呼び水となり揺蕩い微睡んでいた可能性の世界のマシュ・キリエライトの魂達が一斉に目覚めました…。
それに器が耐えきれず、魂と肉体との繋がりも不安定となり自己防衛の為に自分の殻に閉じこもった…それがマシュちゃんが倒れた原因なのです。」


今は電と共にあり電が魂の受け皿となることで安定、精神世界でならば会話も出来ると電は言う。
しかし現状ではその安定、現状維持がせいぜいと言う。少しでも何かあれば魂がギチギチに詰められたマシュ・キリエライトとという器が破綻する。
そして魔術師で"あった"キリシュタリアは疑問に思う血の繋がりのない赤の他人、種族すらも違う電に魔術的にも高度なことが出来るのか。


「だって電は魂が、ですけどマシュちゃんにとって唯一の家族、双子なのです…。」


騎士ギャラハッド、電が魂を受け継いだ円卓の騎士。マシュはその霊基を受け継ぎ電とはある種の双子とも言える。
そして電の魂は人を乗せる船の魂にして人の魂を乗せるカンノムスメ、それ故にこんな荒業が可能となった。
それにと電は言葉を続け、人間で"ある"キリシュタリアは同意する。
それこそヒトの…意志ある者の輝きだと。


「電は救える命を救いたいのです…それに…姉妹とは助け合うものなのです。」


電のその言葉に同意するオリュンポスの双子、眩しいものを見る表情をするキリシュタリア。
その時病室のドアが控えめにノックされる。


「はい、どうぞ。」


電の返事とともに大勢の人間が入ってくる。
こちら側の柏木や白木、フェルにシエそして日本国民の代表である総理に副総理、向こう側の者達も同様にいる。
こちら側のフェルやシエはさっさとマシュの眠るベッドへと駆け寄る。


「皆さん揃ってなんなのです?」

「マシュ・キリエライトさんのお見舞いに参りました。我が国の国民や野党の行動について厚顔の至りながら…。」


そう切り出したのは日本国内閣総理大臣、手に持った花を電へと差し出す。
電は花を受け取るとその香りを吸い込み、副総理はマシュの現状を尋ねる。


「いい香り…。」

「それでマシュの嬢ちゃんの状態は?」

「現在は小康状態なのです。だけどこちらのティ連の技術でも治療は無理なのです。そしてもし何かあれば…。」


副総理はそうかと言葉を漏らし、こちら側のフェル達は電の言葉に泣きそうな顔をする。
そして向こう側、銀河連合日本の柏木が口を開く。


「後、大和の前でウロウロして俺ら待ってから連れてきたんだけど…。」


その言葉と共に柏木達の後ろから声がして人集りが割れる。

142: 635 :2022/02/13(日) 09:13:39 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


「いやあ急いでいたので世界の間を光速を超え移動したのに身分証明書を忘れてしまうとは、玉藻一生の不覚ゥッ!!」


エラくハイテンションな声が部屋に響く、
まあもう分かるが魔人加藤モドキと戦いを繰り広げたキャス狐こと良妻狐カッコガチである。
あいも変わらぬハイテンションにこちら側の者達は引き気味だ。
ついでにこれで金剛と双璧を成す祖神の分御霊であったりもするから驚きだ。


「コヤンスカヤぽいの来ていたのか。」

「キリシュタリアさんッ何という暴言を!?実装は私の方が先!つまりは私こそがオリジナル!!
タマモ2.0等と宣うパクリモンを先に並べやがらないで下さいませ。」


キリシュタリアの呟きにもしっかりと反応を返す玉藻。
こんなんが英霊百騎退ける大妖怪なんかとこちら側の柏木や白木は思う。
その様子を見て電は溜息を吐く。


「それで玉藻さん、なんの御用なのです?」

「ああそうそう私としたことが忘れておりました。これを…。」


玉藻は開いた胸元より紙を一枚取り出し電へと差し出す。
それを見て鼻の下を伸ばす男性陣、妻がこの場にいる者は脇腹を抓られたりしてる。
しかし、電の目の色が代わり、玉藻の表情を改め真剣そのものだ。


「確認致しますが…マシュさんの同意は得られているのでしょうね?
もう既に蛭子様の許しも得られ島の工廠は稼働開始。
並びに大和神社、神宮…加え常世神宮始め島の諸社での儀式の準備が始まっております、故に後戻りはできませんわよ?
ティアマト様もエラく乗り気ですし…これで何処ぞの日本総大将の如く【あげませんっ!!】などと言った日には…。」

「勿論なのです!また、マスターさんに会いたいとその為に消えられないと言っているのです!後そのセリフはおウマさんの想像の中だけで本人言ってないのです!!」


電は精一杯主張する。その言葉に半分呆れた様に半分納得した様に溜息を吐く玉藻。


「人ならざるものに成り果ててまで…とは心が強いのか心が弱いのか分かりませんわね…。」

「それを玉藻さんが言っては駄目なのです。降りる為に極限まで自身を削ったのは何処の誰なのです?」

「あらあらこれは一本取られましたわね。愛ゆえに…私自身想い人がおりますのにそこを忘れていましたわ…ご容赦を…。」


そんな言葉を交わす電と玉藻になんのこっちゃという様子のこちら側の面々。
総理が玉藻に尋ねる。


「それでその紙は一体?」

「向こう側の今代の陛下よりの勅許ですわ。マシュ・キリエライト嬢を救うための手立ての…日ノ本で行う以上御許しは必要故に…。」

143: 635 :2022/02/13(日) 09:18:25 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


その玉藻の言葉にざわつく面々。
電が広げた紙には重々しい菊の御紋が押され達筆な文字が墨で書かれている。




「【暁型駆逐艦五番艦ノ建造ヲ許可スル】…!?」




こちら側の柏木は呆然と呟き、玉藻は話を続ける。


「皆様がマシュさん救う手段を考えに考え抜いているところでまさかのまさか…。
フェルさんが自分用に製本までしたなろう小説読んでた姫ちゃんの一言が突破口になるとは思いもよりませんでした…。」

「え?マシュちゃんなろう小説で救われるの…?」


なろう小説と暁型駆逐艦の建造が彼らの頭の中で繋がらない、皆どういうことなのと困惑気味だった。


「『このご本みたいに神様に大丈夫な身体の人達に転生させて貰えればなあ』…これが姫ちゃんの言葉にございます。
多くの魂を乗せられる器を持つ種、そして他の種へと転生させらる御方、両方が我が國にはいらっしゃました…。
後、私達の世界はマシュさんにとって異世界ですし…。正しく神様異世界転生…!!」

「「「「「神様異世界転生!?」」」」」

「正確には異世界に転生ではなく、異世界で転生なのです。」

「現在マシュ・キリエライト嬢は名誉暁型駆逐艦ですわね?そして電ちゃんの魂の双子かつ宣言のみですがティアマト神の子でもある。故に可能なのですわ。」


出来るのかという声に玉藻は是と答える。


「故にマシュさんに生まれ変わって頂きます。日ノ本の大地で建造される艦即ちティアマト様の内より生まれ出るその子供。」






「電ちゃんの妹にして特型の末娘、【暁型駆逐艦五番艦】として……!!」

144: 635 :2022/02/13(日) 09:19:08 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2022年02月13日 13:02