445: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:23:13 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
第8話 シベリアの夏燃えゆ その1

イルクーツクにおいて激しい戦闘が行われている一方で、ネウロイはユーラシア北部でもその進撃を強めており、こちらではオラーシャ軍が少数しかいなかった事から早々に扶桑皇国国境まで到着してしまっていた。

幸い、第一梯団の半分は航空攻撃により吹き飛んでおり、その残ったネウロイたちの主力はイルクーツクの攻略にかかっていた。それでも400を超える中型ネウロイを中心とした部隊がシベリア北部の国境を突破し、扶桑皇国の防衛線に襲い掛かる。

「主砲、撃てぇぇ!!」

車長の命令を下に九五式中戦車の誇る52口径90mm戦車砲から2キロ中型ネウロイに向かいAPCBC(風帽付被帽徹甲弾)が放たれる。そして、オラーシャ軍のBT-7では歯が立たなかった中型ネウロイの装甲を一発で貫徹し、ネウロイを撃破した。
この攻撃に驚いたのか中型ネウロイから攻撃が飛んでくる。しかし、それらの砲撃は遠距離であることや彼らが足を止めずに攻撃を行っている事もあいまって命中する事はまれであり、例え命中したとしても80mm、傾斜も含めれば140mm近い九五式中戦車の装甲を貫徹できず、はじかれる。

この戦車だけではない。この地域に配備されている九五式中戦車は、全車がその威力を十分に発揮していた。

しかし、ネウロイ達は恐れという感情を知らないのだろう。扶桑陸軍の攻撃により次々と同胞が撃破されているのに一切の躊躇なく前進を続ける。
扶桑陸軍の防衛線まで1000mに達すると対ネウロイ用の地雷原に突入、さらにこの位置になると52口径76.2mm戦車砲を主砲として搭載する八四式中戦車も砲撃を開始しており、地雷原と砲撃によりその数を減らしていく。

また、空からは扶桑皇国軍の主力襲撃機である九一式双発襲撃機が援護の為に到着、機首の57ミリ機関砲や両翼の20mm機関砲をネウロイに向けて放つ。

約100両近い戦車部隊と100機の襲撃機による攻撃はさすがのネウロイでも厳しいものであり、半数ほどのネウロイが撃破された段階で撤退を開始、以後、オラーシャ・扶桑皇国国境上ではこうした国境の戦いと呼ばれる小競り合いが続いていくと事になる。
そしてそして1937年8月26日、いまだにオラーシャ軍が死守するイルクーツクの攻略を諦めたのか、ネウロイ側は約26個師団相当の数を有する第2梯団をイルクーツクではなく史実サラ共和国方面のシベリア北部に転換させた。
この行動は早期警戒管制機や偵察機により即座にEACO軍司令部に伝わる。EACO軍総司令官に任じられた東条英機大将は作戦図を見ながら、ネウロイ軍の意図を考えていた。

「ネウロイ共め、航空機の分散を狙って北部での戦線を拡大させるつもりだな。だが、敵の戦力の分散は我々の好機でもあるか」

今EACO軍が最も恐れている事はイルクーツクを攻略したネウロイの大軍がモンゴルを超え中国本国を襲撃する事であった
この時のモンゴルの防衛線は、内線戦略を国防方針に据えているがゆえに国内のインフラが異常なほど整っている扶桑皇国本土と違い、碌なインフラが無いことから防衛線の構築が遅れており、国境沿いの山岳部に展開している第一防衛線こそ強力な防衛線を構築できているがそれを突破されると中国本国まで一気に突破されかねなかった。
そうなってしまえば、EACO軍はシベリア方面と中華本国に兵を割かなければならず、その負担の増大は考えたくないほどである。

446: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:24:41 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
「将軍、ここは我々もネウロイたちの動きに合わせ北部への兵力増強を行うべきです。幸いにして航空優勢は我々が握っており数の劣勢を補うことは十分にできます」

「扶桑皇国の長年のインフラ整備により補給も問題ないです。何よりモンゴルを突破される可能性を減らせるなら航空機の分散というリスクも十分に許容できます」

「扶桑皇国側も国境防衛の強化を要請してきております。外交的にも叩くべきです」

「敵の機甲戦力の中核である乙型(中型ネウロイ)は扶桑皇国側の八四式中戦車でも相手にできることがわかっております。例え数に勝ろうが十分圧倒できます」

彼の幕僚たちも自分たちの優勢を信じ、ネウロイ第二梯団の挑発に応えて決戦を主張する。
無論、リスクもある。ネウロイの目的は北部への派兵を誘うことでバイカル周辺のEACO軍の戦力を減らし、第三梯団をもって一気にイルクーツクはもちろんウランウデ等を陥落させる事かもしれない。

「・・・わかった。部隊を送り込もう」

しばしの逡巡の後、東条は部隊を送り込むことを決め、増援部隊の編成を幕僚たちに指示する。

北部には8個歩兵師団と4個戦車旅団を中核とした地上部隊と3個航空師団、航空ウィッチ1個飛行戦隊を中心とした航空部隊を主軸とする北部方面軍が展開していた。
EACO軍司令部は、これに増援としては扶桑陸軍1個機甲軍(2個戦車師団、2個歩兵師団)と第2個航空軍(8個航空師団)、2個魔導航空軍(4個航空ウィッチ師団)、日本陸軍1個軍(1個機甲師団、2個歩兵師団)、1個航空師団、1個航空魔導大隊(扶桑陸軍の飛行戦隊に相当)、中華帝国軍1個軍(機甲師団1個、歩兵師団3個、4個装甲魔導旅団)を送りむ。
これにより、北部に展開するEACO軍の戦力は地上兵力が3個機甲師団、12個歩兵師団、4個戦車旅団、4個陸戦ウィッチ旅団、航空戦力は12個航空師団、4個航空ウィッチ師団、2個航空ウィッチ大隊に達する。
総兵力は60万、航空ウィッチ約650名、陸戦ウィッチ8200名という一大兵力が東部に布陣した

さらに日本は北部の増強で不足する航空戦力を補うべく東南アジア諸国の空軍部隊をバイカル方面に展開させる。この時派兵された総勢8個航空師団であり、練度はともかくとして数と装備の質では引き抜かれる扶桑皇国軍航空隊に引けをとらない。

航空部隊同様に北部に引き抜かれるウィッチ部隊の穴を埋めるために日本本土からは新たに4個航空魔導大隊144名の航空魔導兵を中核とする空軍第1航空魔導師団の増派が行われ、東南アジア各国のウィッチ部隊もバイカル方面に送り込むなど魔導部隊の増強も行われていく。


そして、1937年8月24日、オラーシャ帝国クラスノヤルスク地方エコンダ近郊においてエコンダ会戦と呼ばれる一大決戦が幕を上げた。

会戦の序曲は当然の事ながら航空優勢の確保を目的とした日本空軍戦闘機部隊による長距離ミサイル攻撃から始まった。
36機の26式戦闘機と72機のから放たれた計216発の対ネウロイ用空対空中距離魔導誘導弾は戦闘機型ネウロイを一方的に叩き落とし、その後は扶桑皇国陸軍航空隊の九四式戦闘機と航空ウィッチ隊が突入、敗残兵を狩るがごとく隊列が乱れに乱れたネウロイ側を一方的に叩き落としていく。

447: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:26:26 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
『射撃訓練を思い出すな』
『貴女が一番苦手だった科目でしたわね。ウォーウルフ2』
『HAHAHAそんな昔のことは忘れたぜ。なんなら撃墜数で勝負するか?ウォーウルフ3?』
『でしたら撃墜数が少ない方がPXのデザートを奢りという事ですかね』
『乗った。どうです少佐も一緒に参加しませんか?』

「ウォーウルフ2、ウォーウルフ3、余裕があることはいいことだが、あまり油断するなよ。」

ネウロイ側に新型であろう、新種の戦闘機型ネウロイを12.7mm機関銃で叩き落としながら、北部方面軍に送り込まれた大日本帝国海軍第1航空魔導大隊大隊長である北郷章香少佐は部下達をたしなめる。

『申し訳ありません。少佐』
『申し訳ございません少佐』

敬愛する上官の言葉に部下たちは素直に謝罪する。

あらかた戦闘機型ネウロイが片付いた後、扶桑皇国軍の九一式双発襲撃機を中心にした部隊が突撃を開始し、空から一方的な攻撃を加えるはずであった。
しかし、突如として地上から火箭が上がり、攻撃を加えようとしていた九一式双発襲撃機にいくつもの弾があたる。

『3番機が落ちたぞ!!』
『対空戦車型がいる全機注意しろ!!』
『6番機もやられた!!』
『こちら11番機、被弾した。一度基地に帰還する!!』

無線が一気に騒がしくなる。いくつかの攻撃機が撃墜され、その倍の機体が被弾を受けた。
レーダー統制もない射撃ゆえに十分に警戒していたら避けられた時代であったが、今までの経験から慢心していた扶桑軍は思わぬ奇襲を許してしまう。
明らかに制空権を失われることを前提とした様な大量の対空戦車型の存在はネウロイに知能があるのではないかという不気味な妄想を膨らませるには十分なものであった。

「キルゾーンに入ったぞ。全部隊に通達。ディナーに火をともせ」
「撃って撃って撃ちまくれ!! 弾薬を残した腰抜け野郎は国籍はく奪だ!!」
「自分のナニを扱くより素早くぶち込め!! 扶桑陸軍砲兵隊の火力を見せつけろ!!」

それでも大勢は変わらない。本来なら砲兵を信奉するのはオラーシャ軍の専売特許であるはずであったが、現在ではそのお株はEACO軍に奪われてしまったかのように、ネウロイが砲兵隊のキルゾーンにはいるや否や大は28㎝列車砲から小は75mm榴弾砲まで、扶桑軍と日本軍の火砲が次々と火を吹きネウロイたちを吹き飛ばしていく。
人間同士の戦闘ならこの段階でチェックメイトであろう。しかし、相手はネウロイ。その極めて高い再生能力の高さを武器に、少なくない固体がEACO軍の航空機と砲撃が織りなす猛攻撃を突破していく。
幸いにして第一波として襲撃してきたネウロイたちは対ネウロイ用地雷原や九五式中戦車、八四式中戦車、54口径90mm対戦車砲、55口径100mm高射砲、76.2mm陸戦ウィッチ砲、105mm陸戦ウィッチ砲などによる激しい対ネウロイ用弾頭の嵐に撃滅することに成功する。
しかし、EACO軍も無傷だったわけではなく、地雷原を全損したほか、対戦車砲部隊を2個大隊損失してしまった。


「やはり、火砲と航空攻撃のみでは撃退は無理か・・・。」

比較的後方であるヤクーツクにある北部方面軍司令部では、扶桑皇国軍北部方面軍司令官である大沢義三郎中将は日本軍の設営した作戦本部にて送られてくる映像やデータを下に戦況を分析する
彼としてはリスクの大きい地上部隊同士の殴り合いはせず、砲兵隊と航空隊で決着をつけたかったが、やはりそうはいかせて貰えないようだ。

448: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:28:12 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
それでも現状はEACO軍側が圧倒的に有利であった。数でこそ26個師団規模のネウロイに対して、こちらは予備兵力である日本軍第8軍を除いて全兵力を前線に投入しているが16個師団と不利だが、装備の質はこちらが上で制空権を握っていることから航空支援を一方的に受けることができる。
何より優位なのは敵は我々の事を偵察するのは不可能だが、こちらは航空偵察で相手の動きを手に取るようにわかるのだ。

ここまで優位にあって負けるはずがない。この時の大沢はそのように考えてしまう。

「当初の予定より順調に経過しておりますが、第二段階への移行を早めますか?」

幕僚の1人が問いかけに来る。

「・・・いや当初の予定通り中央を支える第11軍を撤退を装って後方にさげてハンニバルごっごに興じよう」
「了解しました」

8月30日、北部方面軍の司令は即座に符丁を通して第11軍司令部および第11軍隷下の各部隊に伝達された。
『第12中隊から前線司令部、負傷者多数!!至急増援を』
『第332砲兵連隊すでに弾が切れかかっている。退却の許可か補給をくれ』
『第45装甲車中隊、敵部隊と接敵、撃破すれども損害大、退却を要請する』
『航空支援、何やってやがるもっと前方に火力を投射しろ』

そうするとそれまで以上に無線は悲痛なものが増えていった。どうやらすでに前線はかなりきっぱくしているようだ()。
これはいかん、このままではぼうえせんはほうかいしてしまう。
第11軍司令部は全軍を後退させる事を決定した。

司令部の命令を受け最前線で最も激しいネウロイの攻撃を受けていた扶桑陸軍第11軍は撤退を開始する。

『いつもながら司令部の無茶ぶりしかいわないな』
『額面上で物事を考えるから現場の苦労を忘れてしまうんでしょうね』
『それにしても地上には随分とだいこんが多いみたいですね。笑いをこらえるのに苦労しましたよ』
『『違いない!!』』

ハハハ、笑い声が無線を占める。
第11軍の後退完了まで殿を務めることになった大日本帝国海軍第1航空魔導大隊は同様に地獄の一等地に送り込まれた扶桑皇国陸軍飛行第64戦隊、扶桑皇国陸軍飛行第69戦隊とともにシベリアの空を飛んでいた。
彼女らの任務は退却を支援する為に飛んできた攻撃機部隊を護ることと、逆にネウロイの爆撃機型から味方地上部隊を護ることであった。

任務内容は極めて難しい。味方の援護が限られる殿戦なんて本来なら死んで来いというものだ。それでも彼女らの表情は明るい。
この場にいる全ウィッチ、すなわち108名全員が最低でも2桁のネウロイを撃破しているエースたちであり、自分たちの実力に絶対的な実力を誇るがゆえに。

彼女らにとってこの困難な任務は平時の国境哨戒となんら変わりない任務であった。


さっそく、第11軍の異変に気が付いたネウロイたちが動き出した。手始めとして200機近い戦闘機型ネウロイと40機近い爆撃機型ネウロイを第11軍へと差し向けてくる。
本来ならこういったときに長距離ミサイルを発射して第一撃を加える日本空軍戦闘機部隊は、決戦の初めに長距離対空ミサイルを全部発射した後に第二梯団への爆撃を実施。その後兵装と燃料補充の為にRTBしてしまっていた。すでに基地からは離陸している用だが間に合うかは微妙である。

一応、その間カバーに入ってくれていた12機の28式汎用戦闘機から計76発の対ネウロイ用中距離空対空魔導誘導弾が放たれるがそれでも数は相手の方が上である。

『マジックより全ウィッチ隊へ。爆撃機型は現在退却中の第11軍にとって大きな脅威となる。また、戦闘機型は言わずもがなだ。直ちに迎撃を開始せよ。繰り返す全ウィッチ隊は迎撃を開始せよ』

『戦闘機型は私たちと水兵さんがやるから64戦隊は爆撃機をおねがいします』

飛行第69戦隊第1中隊隊長兼同戦隊戦闘隊長を務めるホワイトラビット1の提案を受ける

449: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:29:08 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
後方の管制機からGOサインが入るとウィッチ隊は待ってましたとばかりに、彼女らがもっとも得意とする上空からの一撃離脱をもってネウロイたちに喰らいつく。あとは陣形が乱れスピードで劣るネウロイを翻弄しながら平らげる。
それだけであった、それだけのはずであった。
新型だろうか?見たことのない形をした単葉機型ネウロイがいくらか見える。

『貰った!!』

ウォーウルフ4が新型機の後ろに周り、狙いを定める。

「ウォーウルフ4回避!!」
『はえぇ? ハワぁ 後ろにつかれた!?』

油断はしていなかった。だが、先ほどまでウォーウルフ4に追い回されていた機体が何故か背後におり、ウォーウルフ4に射撃を加えていた。
ウォーウルフ4はシールドでそれを受けながしつつ、何とか振り切ろうと全力で機動をとるが、恐ろしい事にネウロイ側の戦闘機はそれに付いてくる。
『ウォーウルフ3からウォーウルフ4へ。貸し1つですわよ』

幸い、彼女のエレメントであるウォーウルフ3がカバーをいれた事で事なきを得たが・・・。


『こちらホワイトラビット12!!後ろをつかれた援護を!!』
『ネウロイの新型!?なんて運動性よ!!』
『捉えた!! エッ⁉ いなくなった?』
『後ろだ!!ウォーウルフ14』
『ウォーウルフ14が被弾した。』

ウォーウルフ4だけではない。他にも何人かが格闘戦を挑んだのか後方に回られていた。
確かに日本製の36式戦闘脚は中高高速性での性能を重視した戦闘脚であり、こうした低速時での格闘戦をあまり重視はしていない。それでも、それはあくまでも他と比べて優れていないというだけであり、扶桑皇国製の戦闘脚以外の同年代の戦闘脚よりかは優れているとされている。
それに追いついてこれるなんて。ネウロイの厄介な新型を出してくれたものだ

ウォーウルフ14の後ろにいたネウロイの上空から12.7mm重機関銃を叩き込みながら降下をかける。ガラスの割れた様な甲高い音が聞こえてきた。

「ウォーウルフ14、損害は?」
『ユニット・武器共に無事、右ユニットにかすった程度です。まだまだいけます』
「わかった、だがウォーウルフ15とのエレメントは崩すなよ」
『了解です』

幸いにしてペイントが削がれた程度の損傷であったのでそのまま戦闘を続行させる。

450: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:31:24 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
『何やってんのよホワイトラビット12。ウォーウルフ12、ホワイトラビット12のカバーにはいるわよ』
『落ち着きなさい。運動性は凄いけど火力は従来型と変わらない。シールドで十分防げるわ』
『後ろを取られたら取り返すだけだ。オラ!! 落ちやがれ』

一瞬のざわめきが無線から聞こえてくるが、すでに何度も実戦を体験した人間ばかりだ。私が口を出す間もなくすぐに落ち着きを取り戻していた。

「各機、敵の中にできる奴らがいる。油断せず、エレメントを崩さずに戦え。それと格闘戦は絶対に挑むなよ」

ーー了解、
無線からは部隊員全員の声が聞こえてくる。さっと確認した限りでは猛何人か後ろをとられていたようだが、どうやら両機が助けたようだ。良かった。まだ撃墜された奴はいない。
ミサイルで撃破されたのか、もともと数が少なかったのかわからないが幸運な事に大半のネウロイは従来型であり、戦局自体は優位に進んでいく。

『レッドイーグルからマジックならびにウォーウルフ、各ラビット隊へ、護衛機が邪魔で爆撃機体に手をだせませんわ。護衛機を早く引っぺがしてください』

『こちらマジック、了解した。ブルーラビット隊は第799航空師団とともに攻撃機部隊の護衛に付いている。ウォーウルフ、少佐、頼めますか?』

「ウォーウルフ了解した。それと、私にも為口でいいぞ。みんな、もうひと仕事だ」

『マジックよりレッドイーグルへ。ウォーウルフ隊が援護に回る。ホワイト、イエロー両ラビット隊は航空優勢の確保に専念せよ。』

すでに新型機は全て霧散させ、残る敵もあらかた平らげた頃、マジックから連絡が入り新しい命令が下る。
なんてことはない、いつもの人助けの依頼だった。
爆撃機型の付近に向かうと新型ネウロイが護衛機としてついていた。
それも先ほどと比べ物にならない数、50機近くと先ほどとは比べ物にならない。

『申し訳ありませんわ。ウォーウルフ1、敵の護衛が存外優秀でいまだに爆撃機型は半分しか叩けておりません』
「むしろ、あいつらを相手にしながら半分を叩いたんだ。もっと誇っていいと思うぞ」
『ありがとうございます。』
「以後は戦闘機型はこちらで対応する。貴隊は爆撃機型の迎撃に集中してくれ」
『彼方達を疑う訳ではないですが数が足りませんわ。うちのイエローアロー隊も貸し出します』
「・・・すまない」

先ほど戦ってみてわかったことだが新型戦闘機型ネウロイの運動性の高さは確かに脅威である。だが逆に言えばそれ以外で脅威となるものはなかった。ならば低速度での格闘戦に付き合わずに一撃離脱を多用すれば有利に立てるはずだ。

「各機、教練通りにエレメントでの一撃離脱でいくぞ。下手に色気をだして格闘戦なんて挑むなよ」

日本空海軍航空ウィッチ隊の戦術の基本はエレメント単位での一撃離脱、危険な格闘戦は避けるべき戦術であった。

いままではネウロイ側の航空戦力があまりに貧弱すぎたので格闘戦の練習やデータ取り、扶桑皇国陸軍側と戦術を合わせる事もかねて低速度での格闘戦が戦闘の中心であったが、危険だとわかれば戦術を切り替えるのは当然である。

二丁の12.7mm機関銃を構え、北郷は獰猛な絵がを浮かべ口を開く

先ほどの用にはいかんぞ。ネウロイの諸君。

451: ホワイトベアー :2022/03/08(火) 18:32:32 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。
wikiへの転載はOKです。

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最終更新:2022年03月11日 10:42