487: ホワイトベアー :2022/03/09(水) 17:36:49 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日本大陸×ワールドウィッチーズ 第9話 シベリアの夏燃えゆ その2

1937年8月30日、航空ネウロイ群と航空部隊が日本海軍第1航空魔導大隊、扶桑陸軍飛行第64戦隊、同飛行第69戦隊と激しい戦闘を行っていた一方で地上でもネウロイは第11軍の撤退により空いた穴から戦線を食い破るべく行動をおこしており、25000を超える乙型(中型ネウロイ)を中心とした部隊が戦線中央に向かい突撃を開始させようとしていた。
しかし、人類側もこれをただ指を加えてみているわけではない。

『マジックより全EACO軍攻撃隊へ。航空優勢を確保した。繰り返す航空優勢を確保した。直ちに攻撃を開始せよ』

ラビット隊により航空優勢の確保が順調に進んでいる中、ここだけでも九一式双発襲撃機と九四式戦略爆撃機、九六式軽爆撃機、92式急降下爆撃機(日本からのレンドリース品)をからなる600機近い攻撃機部隊が12名のウィッチと約120機の九五式戦闘機の護衛の下にネウロイに襲いかかっていた。

日本軍の航空管制機?だったか?から指示が入る。後方からレーダーを通して上空を監視しているようだがどれだけ信じられたものか。ともかく指示がきた以上は攻撃を開始する。

『敵地上型ネウロイには対空戦車型が確認されている。全機注意せよ』

日本人からの無線をBGMに九一式の57mm機関砲や20mm機関砲が火を吹くたびに乙型やそれを改造型であろう対空戦車型の装甲を撃ち抜いていき、ネウロイを撃破する。
九四式戦略爆撃機と九六式軽爆撃機が成形炸薬爆弾を小爆弾としたクラスター爆弾であるタ弾をばらまくことで一帯のネウロイにダメージを与え、92式急降下爆撃機や九五式戦闘機は搭載するロケット弾をネウロイに叩きつける。

ロケット弾でも両種(小型ネウロイ)を倒すのには十分な威力があり、クラスター爆弾たるタ弾の小型爆弾は成形炸薬弾であり、乙種でも十分破壊できる威力を有していた。
空の上にはすでに何の脅威も存在しない。これまでなら悠々と一方的な狩りを楽しめただろう。だが、それは過去の話であった。

ネウロイ側の対空戦車型は砲撃を浴びせるために地上に向かう攻撃機や攻撃を終え、腹を見せる攻撃機に熱烈な対空攻撃を実施する。幸いにしていまだ拙い射撃精度ゆえに単体としての脅威度は決して高くないが、複数で弾幕を張ることによりEACO軍攻撃機部隊の邪魔をしてくるのだ。

「チっ!! 狙いは雑だが数が多い!!。マジック、対空砲が邪魔だ。タ弾で纏めて吹き飛ばしてくれ」

『了解した。第56飛行戦隊が爆撃を開始する注意せよ』

少しすると一度爆撃した後だろう、24機もの扶桑陸軍の最新鋭双発爆撃機である九六式軽爆撃機が分散して対空ネウロイの上空から急降下を掛け5発ずつ計120発の母機を投下する。単発機じゃない。全長19m近い双発の爆撃機が、600 km/h以上の速度で急降下爆撃を仕掛けたのだ。わが祖国ながら扶桑皇国の技術者は頭がおかしいんじゃないか?
ともかく1個の母機に計76発の対ネウロイ用成形炸薬弾頭爆弾が入っているから合わせて9120発の対ネウロイ用成形炸薬弾頭爆弾が対空ネウロイの周辺に降り注ぐ、さすがにこれだけの爆弾を喰らえば再生力の高いネウロイでもおしまいだ。

「対空砲火の沈黙を確認した。対地攻撃を再開する」

キ43戦闘脚のエンジンをフルスロットルにして再び攻撃の為に突入を開始する。いくら主要な対空ネウロイが消滅したと言っても、分散されて配置されている個体までもは撃破しきれない。
まばらな対空攻撃のシャワーをよけながら地上を走る一体の乙種に機首を向け、引き金を引く。
胸にまで響く57mm機関砲の振動が伝わると同時に目標としていたネウロイは消え、後ろを走るネウロイが前を詰めていた。

488: ホワイトベアー :2022/03/09(水) 17:37:19 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
ネウロイ主力の進撃開始と合わせて全戦域においてネウロイの攻勢が始まり、中央シベリア一体で激しい戦闘が繰り広げられていた。

『予備陣地に後退! 急げ!』
『第6歩兵師団、敵、ネウロイ第5派と接触!!猛攻を受けているもよう』
『砲兵でも航空部隊でもいいもっと前方に火力を投射してくれ!!』
『予備の機甲部隊を出せ!このままだと突破される!!』
『弾切れの心配はない。いくらでも砲弾を撃ち込んでやれ!!』
『歩兵第7旅団より司令部へ!! ブロークン・アロー! !繰り返す ブロークン・アロー!!』
『第7装甲ウィッチ旅団前進! ネウロイを押し返せ!』

電波を通してひっきりなし言葉が飛び交い、第11軍司令部の中では、設置された大量の無線機から伝わる部隊を展開中の味方の声で犇ひしめき合っている。
反包囲状態に追い込まれたネウロイであるが、そんな事など気にしないかのように前進を続ける。

「戦況は?」
「控えめにいって良くはありません。」
「実に扶桑人らしい謙虚な表現だ」

第11軍司令官三上宗次中将の問いかけに彼の幕僚長が答える。
戦線中央を担当し、現在進行系でもっとも激しい戦闘を繰り広げている第11軍は本作戦の要であり、それゆえに多くの地上部隊が配備され、航空支援の割り当ても最優先とされていた。
第11軍の前線には大量の105mm高射砲や90mm対戦車砲が配備され、さらに日本で開発され、レンドリースにより扶桑陸軍に供与された28t級駆逐戦車であり、50口径90mm戦車砲を回転式砲塔に収め、最高時速48km/hと高速度を発揮可能とする九二式砲戦車が火力が不足する場所を補うように配置されており、航空支援と合わせてネウロイ主力集団を防ぎきれるはずだった。

しかし、現実というものはいつも想定を上回るものらしい。
これらの対ネウロイ陣地は4度に渡るネウロイの攻撃には耐えれたが、5度目の攻撃で突破を許す事になり、現在は機甲部隊とネウロイの殴り合いに戦況は移っていた。


「弾種魔導APFSDS、目標乙種ネウロイ、撃てぇ!!」

34式重陸戦戦闘脚の105mmライフル砲や、扶桑軍の主力戦車たる九五式中戦車の90mm戦車砲、八四式中戦車の76.5mm戦車砲が型ネウロイに向かい魔導APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)を放っていた。

105mm戦車砲という驚異的な砲火力を有しているこの34式重陸戦戦闘脚は、三菱重工が開発した陸戦重戦闘脚だ。
従来の陸戦戦闘脚もSF小説のパワードスーツの様な見た目が特徴的で、空冷式魔導エンジンであるKMM-145からもたらされる高出力はウィッチ達に120mm戦車砲すら耐えられるシールドを与える。
その極めて高い性能から日本軍のみならず東アジアや東南アジア諸国でも広く採用されているEACO軍の主力陸戦重戦闘脚である。

『無作法な客共が第一防衛線に接敵した。砲兵隊、歓迎パーティーの花火をあげろ』
『空の連中はすでに次の梯団の迎撃に入っている。気にせずパーティーを始めるぞ』

6000を超える重砲達と1000を超えるロケット砲達が迫りくるネウロイの洪水に向け一斉に砲撃を開始した。しばしの時間さのあとネウロイのど真ん中にいくつもの閃光が走り、大地はまるで噴火したかのように隆起、地上からは赤黒い煙が天に向かって伸びていく。その威力は大だ。小型以下のネウロイは爆風で消滅させられ、中型も直撃すればただでは済まない。
まことに重砲というのは戦場の女神である。地上戦においてこれに勝る兵器は人類が宇宙に進出したとしても見つからないだろう。

489: ホワイトベアー :2022/03/09(水) 17:38:06 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
別の場所では対戦車陣地に展開する120mm高射砲がネウロイに向かいその恐るべき火力を十分に発揮する。

「敵が多すぎやしませんかねぇ」
「そりゃあ、敵の主力が攻め込んできているからねェ」

扶桑陸軍戦車第8旅団第84装甲ウィッチ大隊に属する36名の重陸戦ウィッチ達は、34式重陸戦戦闘脚を纏い同旅団の戦車大隊に属する八四式中戦車18両と歩兵4600名、そして増援として送り込まれた第388対戦車大隊に属する九二式砲戦車28両ととともに第11軍の最前線において戦闘を繰り広げてた。
もともと戦車第8旅団が保有する機甲戦力は増援の第388対戦車大隊と合わせて戦車106両、砲戦車48両、装甲ウィッチ36名の計190両、強大な戦力を有していたがたび重なる戦闘でここまで減ってしまった。。

そんな状況でネウロイの砲撃をシールドで防ぎながら主砲の105mm戦車砲で敵を、ネウロイを撃破する姿はまさに守護神と言っても過言ではなく、共に戦う兵士達を勇気づける。

「こんだけのネウロイの浸透を許すなんて日本人や航空隊の連中は何をやっているのよ!!」

1000mを切る前にかたずけようと陸戦ウィッチはもちろん八四式中戦車や九二式駆逐戦車、果てには1/2tトラックに搭載した105mm無反動砲までもが砲撃を繰り返すが、どれだけ撃破しても減った気がしない。それほどまでにネウロイの数が多い。
ネウロイの放った攻撃が戦車を貫通して吹き飛ばす。九五式中戦車ならともかく旧式の八四式中戦車では1000mという距離でも当たり所が悪ければひとたまりもない。

「装甲ウィッチ隊は後方に下がれ!」
「戦車隊、後退! 後退!」

「マジック!こちら第84装甲ウィッチ大隊!敵に圧倒されそうだ。近接航空支援がどうなっている!?」

『もう少しだ。現在フル爆装の攻撃ヘリコプター隊がそちらに向かっている。ETAは1分後だ』

「了解!! レディを待たせた不届き達の到着まで持たせるわ」

砲撃音に紛れながらであるが、空気を切り裂くようなローターの響きが重複して聞こえてくる。
後方に待避した九二式駆逐戦車の支援砲撃の下に近距離戦に以降しようとしたしている中、EACO軍の航空支援機から放たれた対戦車ミサイルが戦車第8旅団の前方に展開する乙種ネウロイに襲い掛かり、ほぼ同時に複数の乙種ネウロイを正確に貫き、一瞬で24体の消滅させる。
その数秒後には32体の乙種ネウロイが同じ運命を辿る。

『ワイルドタイガー隊より第84装甲ウィッチ大隊、待たせたな。』
「遅いですよ。レディを待たせるとのは紳士としていかがなものかと」
『それはすまない。遅れた分は働きで補わせてもらう』

彼女らの上空には日本陸軍の29式回転翼攻撃機やAH-1をモデルに開発された17式回転翼戦闘機といった鋼鉄製の守護天使達が合計48機現れる。
そして、対戦車ミサイルや30mmチェーンガン、20mmガトリング砲を放ち次々とネウロイを撃破していく。

「騎兵隊が到着した。こちらも部隊を再編して反撃を開始せよ!!」

旅団司令部からの指令を受け、第84装甲ウィッチ大隊を中心に戦力の再編を図る。幸いというべきか悩むが戦力が低下していた事から素早く戦力の再編ができ、戦車第8旅団は反撃を開始する。

戦線の後方でも状況が変化していた。予想より激しいネウロイの攻撃に対してEACO軍は嵐作戦に投入していた一部航空戦力と日本軍は本国に待機していたほぼすべての戦略爆撃機をも投入。
史上最大の戦術爆撃を行うことでネウロイの足を鈍らせると同時に作戦を変更し、後方遮断用の戦力として待機させていた日本陸軍第8軍を第11軍の支援に回し、中央戦線の増強をはかる。
完全に機械化された日本軍の展開は素早く、無傷の三個師団を中心とした大軍が第11軍に合流、戦線の持ち直しに成功した。
そして、9月12日、会戦が始まってからちょうど2週間の間、守衛に回っていたEACO軍は三方からの大規模反攻が開始される。

490: ホワイトベアー :2022/03/09(水) 17:44:32 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。
wikiへの転載はOKです。

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最終更新:2022年03月11日 10:44