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日本大陸×ワールドウィッチーズ 第10話 シベリアの夏燃えゆ3

1937年9月 シベリア北部第12仮説前線航空基地、日本海軍第1航空魔導大隊の一時的な拠点として機能しているこの基地の会議室には第1航空魔導大隊所属のウィッチ達が集まっていた。皆、すでに20を超えている女性たちであり、他国のように未成年の少女の姿は見えない。

「総員傾注!」

その声と同時にそれまで席に座っていた全員が起立し、その後大隊長の北郷少佐が入室する。
会議室に備え付けられている大スクリーンが戦域と戦況を示した。

「楽にしてくれ・・・攻撃目標は敵の主力集団だ。これより我々、EACO軍は総力をもって反撃を開始する。」

彼女の言葉はこの場にいた全員が望んでいたことだった。
8月末に行われた一大空戦の後、日本本国の強い意向とやらで、彼女らの任務は仲間が、年下の少女たちが戦闘を繰り広げている中で予備戦力としての上空待機とアリバイ工作であろう小規模のネウロイとの戦闘のみであったのだ。

「敵も総力を集めて決死の抵抗をしてくるだろう。例の新型も確認されている注意しろ」

知ったことか。最後に勝つのは我々だ。
我々こそ最強なのだ。

「我々、第1航空魔導大隊の任務は地上部隊より先行、航空優勢を確保してやることだ。喜べ淑女諸君。明日から作戦が終わるまでネウロイの食べ放題だ。他の部隊に遠慮なんてするな全てを食いあげてやれ。私からは以上だ」


1937年9月12日、予備戦力である第8軍が合流したことでネウロイの猛攻撃を受けていた第11軍は戦線を維持し続けており、
第11軍を攻撃していたネウロイ主力部隊の猛攻撃はついに息切れを見せ、攻撃が低調化。万を超えるネウロイ主力集団を三方から半包囲したEACO軍はついに反撃作戦である《吹雪作戦》を開始した。

『主力第11軍前進を開始、敵と砲火を交わらせつつあり!』
『こちら北方第4軍、敵と接触。戦闘が始まりつつある』
『我々、歩兵第7旅団は予定通り144高地の攻略を目指す』
『旅団前へ一気にファーストダウンだ!』
『突撃、突撃、弾幕を突き破れ!』
『攻撃開始!! 敵を突破せよ!!』
『最終弾着・・・・今!!』
『ネウロイどもめ! 今日こそ引導を渡してやる!!』
『クソ! きりがない!』
『第502戦車大隊応答せよ!繰り返す、第502戦車大隊応答せよ! 誰かいないのか!?』
『第140陸戦ウィッチ大隊通信途絶!』

すでに攻守は入れ替わっており、前線では機甲戦力を前面に出してEACO軍が総攻撃を仕掛け、それを凌ぐネウロイと言った様相を見せている。
多少の損害を受けつつも潤沢なまでの砲撃支援と航空支援を受けられるEACO軍は状況を優勢に進めていく。
中型ネウロイや小型ネウロイも必死に抵抗を行うが、EACO軍の後方に陣取る重砲が次々と大地ごとネウロイを吹き飛ばしていき、ヘリコプター隊や攻撃機からなる近接航空支援部隊の上空援護を受けた戦車や駆逐戦車、陸戦ウィッチなどを中心とした地上部隊の進撃を止めることができず、EACO軍は次々と戦線を前進させていたのだ。

ネウロイ側も航空優勢を確保するために航空型ネウロイを大量に投入、地上のみならずシベリアの空でも激しい戦闘がおきていた。当然、その戦闘には当然、日本海軍第1航空魔導大隊の姿もあった。

『ウォーウルフ1、グッキル。これで本日6機目ですね』
「ありがとうマジック」

541: ホワイトベアー :2022/03/10(木) 15:53:48 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
戦域全体で合計四桁を超える航空機と航空ウィッチ、ネウロイがぶつかり合う戦場においても日本海軍第1航空魔導大隊の活躍は素晴らしいものだった。
敵ネウロイの届かない上空からの一撃離脱はネウロイにとって極めて凶悪なものである。その速度はネウロイを上回るのでろくに後ろにつけないし、彼女らは徹底して低速域での格闘戦を避けていた。仮にネウロイが後ろを取ったとしても圧倒的な加速性と上昇力を武器に射線から逃げてしまうのだ。

『楽勝ですねウォーウルフ1。これなら昼時には終わりそうだ』
『油断は行けませんわよウォーウルフ2』
『これは油断じゃない。余裕というんだウォーウルフ3』

ウォーウルフ2が敵を撃破しながらそう話す。
敵は従来の複葉機型ではなく全てが新型の単葉戦闘機型で構成されていたが、すでに新型ネウロイの性能も把握している。初見なら厳しかったかもしれないが、今の彼女らの敵ではない。
すでに新型ネウロイを100機以上も叩き落している。それも隊員の誰1人として欠かさずだ。

『マジックからウォーウルフ隊へ。11時の方向に敵の第三派を確認した。当空域を担当している扶桑皇国陸軍飛行第69戦隊、第184戦隊、第187戦隊だけでは手が足りない、至急迎撃に当たれ』
「ウォーウルフ了解。お前ら行くぞ」

獲物を求めて戦争の狼たちは次の戦域まで空を駆ける。

日本の航空ウィッチが一撃離脱を多用する一方で一部例外こそ存在するが扶桑皇国の航空ウィッチは格闘戦を重視する。それは扶桑皇国陸軍飛行第69戦隊のウィッチ達にも当てはまることであった。

「後ろをとった」

ホワイトラビット1はホワイトラビット2を追い回していた新型ネウロイの後ろを取り、ホ5 20mm機関砲の引き金を引く。
発射速度毎分750溌の発射速度で放たれた弾がネウロイにあたり、次々と当たりネウロイを粉砕する。

「チッ!!」

次の瞬間、撃破した機体の両機だったのだろうネウロイが彼女の後ろを取る。

「舐めるな!」

敵の攻撃シールドで防ぎながらキ43のエンジンを全力でふかしスピードを上げ、敵が乗ってきたところで捻り込みを仕掛けて敵の後ろに周りホ5の砲弾を浴びせる。

『すみません。助かりました』

「大丈夫大丈夫」

エレメントを組みなおして飛行に戻る

「それで状況は?」
『問題ありません。まだ飛べます』
「わかった。なら付いてきて。片っ端から狩るわ」
「ホワイトラビット2了解。」

二人のウィッチが空を駆ける。未だにネウロイは多く、それを相手どるウィッチや戦闘機も多い。

『メーデーメーデー、敵に後ろを付かれた!振り切れない!誰でもいい助けて』

1人のウィッチが敵に後ろを取られて追い回されていた

「ホワイトラビット6、合図をしたら左に切り返せ」
『りょ。了解』

いったん上昇して高度をとりる

「いまだ!」

ホワイトラビット6がきりかえすと同時に敵に突っ込み引き金を引き叩き落とす。

『助か・・・』
「ホワイトラビット6!」

別の敵が上から放ってきた攻撃に貫かれ、ホワイトラビット6が堕ちた。ここは戦場、油断すればどんなに優れた高性能機に乗ろうが、どれだけの練度を誇ろうが簡単に死ぬ。

542: ホワイトベアー :2022/03/10(木) 15:54:21 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
「ホワイトラビット2、後ろをとられた援護をお願い」
『了解。』

ホワイトラビット6を落とした敵が後ろについてくるがこれをホワイトラビット2が撃破する。

ちっ、本当に数が多い。

「ホワイトラビット5、エレメントが堕ちた貴女はホワイトラビット11とエレメントを構築しなさい」
『りょ、了解しました!』

すぐにホワイトラビット6のエレメントだったホワイトラビット5に指示を出す。部下の死を悲しむのは生きて基地に帰れた自分の務めであり、権利である。今の自分の務めではない。今の私の務めは生きている部下たちを生き延びさせ、任務を果たすことにある。

戦闘機型ネウロイと互角以上に戦える九六式戦闘機や九一式戦闘機の支援があり、全体的に有利な戦況にあると言っても、この空には一瞬たりとも気を抜ける場所など存在しないのだから。

『敵、新たな増援が来ます!!』

『スピア隊 FOX3』
『メイジ隊 FOX3』

もう無理だ。そう覚悟した瞬間、インカムから男性の声が聞こえてくる。
次の瞬間、敵の増援として送り込まれていたネウロイ達がほぼ一瞬で吹き飛び、消滅していった。
電波を通してインカムが援軍の到来を教えてくれたのだ。

『ウォーウルフリーダーから扶桑軍機へ。ここは私たちが引き続ぐ、諸君らは基地に帰投し補給を受けろ。』

「ホワイトラビット1からウォーウルフ1へ感謝します!。全機再編、最寄りの基地へ向かいます」

ーー了解。
部隊全員から返事が返ってくるが、その声は会戦前から幾分か減ってしまっていた。

543: ホワイトベアー :2022/03/10(木) 15:54:53 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。
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最終更新:2022年03月11日 10:45