419: モントゴメリー :2022/03/04(金) 00:12:38 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
ソミュア CP.1

全長:3.0m
全幅:1.65m
全高:1.75m
重量:3.7t
動力:ガソリンエンジン(120馬力)
武装:Brandt 65 mm LR Gun-mortar
   13.2㎜多連装機銃
最高速度:90km/h
装甲:最大20㎜(鋼板+グラスファイバー系複合装甲)
乗員:2名

概要
フランス連邦共和国(FFR)が開発した戦闘車両。
OCU陣営が開発した重PSへの対抗策である。
入り組んだ市街地でも運用可能な大きさの車体に重PSを破壊し得る火力と重PSを圧倒する機動力。
そして重PSからの攻撃に耐え得る防御力を備えた、正に現代によみがえった『Tankette(豆戦車)』である。


背景
OCU陣営(正確に言えば大日本帝国単独)が世に送り出した「士魂号」に世界は震撼した。
小銃弾を意に介さない装甲を持ち、荒野を一般歩兵以上の俊敏さで踏破する。さらに重機関銃を突撃銃が如く扱う火力。
もはや歩兵の装備品ではなく人間型装甲車と言うべきこの「ドラム缶」が世界各国に与えた衝撃は如何ばかりであったか。
敢えて例えるならばド級戦艦のそれに匹敵するであろう。

特にFFRが受けた衝撃は凄まじかった。
この時期のFFRは戦後から続く停滞期(「暗黒の30年」)をようやく抜け出し高度経済成長に移行しつつあった。
我々はついに成し遂げた、世界の一等国に返り咲いたのだ!!OCUに追いつくことも夢ではない……。
そう自信を付けつつあったところにこの「ドラム・ショック」である。
当時のFFR市民にとってすれば「上げて落とされた」としか言いようがない。
———やはり我々では彼らに勝てないのか。
政府首脳部にすらそのような諦観が広がって行った。しかし……。

否!
我々は諦めない。ここで諦めるわけにはいかない!!

実務を司る若者たちにはそのような空気は皆無であった。
彼らにとって諦めるということは国民の負託に背くことであり、『夜明け』を信じそれを見届けることなく『転属』した戦友たちへの裏切りであり、「元帥」や「提督」たち先人への冒涜である。
そして何より、『Notre Commandant(我らが指揮官)』への反逆行為に等しい。
それだけは、それだけはやってはいけない。
『Notre Commandant』を失望させることはFFRの民として絶対にしてはならないのである。
たとえ那由他の彼方であろうとも、そこの可能性があるならば我ら『全てに勝る母』の子供たちの辞書には「諦める」という単語は存在しないのである。
——余談であるが、FFRの最大にして絶対の特徴である「戦艦リシュリューに対する崇敬・忠誠」はこの時代より具現化し始めた。
戦後第一世代が社会の中堅層に上り、第二世代も成人しつつあったのがこの時分であったからだ。
このようにして急速に立ち直ったFFRでは各分野を結集して「士魂号」対策を協議した。
そして、検討していく中で「ドラム缶」の弱点が朧気ながらに見え始めた。
まず「不整地突破能力」
FFRでもPSの開発は進められていたからある程度は予想できる。
あの性能を獲得するためには相当な重量が必要であると。そして、それは二足歩行には重すぎる。
つまり泥濘地などでは機動力は大幅に落ちる。そこを突けば撃破は容易だ。
次にコスト。
OCUの公式発表では全ての歩兵が「士魂号」を装備するわけではないようだ。
こちらもある程度予測できる。おそらく「士魂号」1機あたりのコストは主力戦車1両に匹敵するであろう。
(実際にはもう少し低かったが)
彼らであってもそんな代物で歩兵部隊を統一することなど不可能だ。
これらから、FFRが取るべき対抗策が導きだされた。

「攻防性能は互角以上、かつ機動力で凌駕するカウンターパートを用意」するのである。

別にPSを倒すのにPSを用いる必要はない。PSの最大の長所、「汎用性」を捨てるのならば選択肢は広がる。
このようにして「Char de patrouille(斥侯戦車)」 CPの開発が開始された。

420: モントゴメリー :2022/03/04(金) 00:13:15 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
開発
開発に際して提示された要目は以下の通りである。

  • 車体寸法は市街地戦を考慮し可能な限り小型とすること。
  • 車体重量は4トン以下であること。可能ならば3トン以下が望ましい。
  • 武装は「士魂号」を仮想敵とする。
  • 装甲車体正面と砲塔は対20㎜機関砲を目標とする。
  • 機動力は最高速度と共に加速を重視すべし

これは概ね、以前検討された「歩兵直協用小型戦車」の要目を踏襲している。
開発メーカーについてはソミュア社に白羽の矢が立った。
戦車設計において真っ先に名が上がるメーカーはルノー社であるが、こちらはこの時新型主力戦車(後のビヨット主力戦車)の開発に全力をあげていた。
では装甲車メーカーの雄ボナール社はというと、こちらも装甲車の更新に手一杯であった。
1980年代初頭のこの時期は、「暗黒の30年」の夜が明けた直後であり、各装備の更新が一斉に開始された時期でもあったのだ。
そこで、ルノー社と並ぶ伝統を持ちながら、第二次世界大戦以降戦車開発から離れていた——制式採用は逃したが、試作は継続している——ソミュア社が指定されたのである。
以下に各要素を詳細を述べる。

武装
主砲にはBrandt 65 mm LR Gun-mortarを採用した。
これは後装式の迫撃砲であり、通常の迫撃砲のように曲射弾道で発射することも、カノン砲のように水平弾道で発射することも可能な砲である。
もちろん、成形炸薬弾を使用することもができる。
射程は最大で約4000mであるが、本車両の任務を考えるとこの能力が活かされることはあまりないであろう。
この砲が採用された理由はその軽さである。約80㎏という重量は、かつてルノーFTに搭載された37㎜砲よりも軽量だ。
ただし、初速が遅い(約250m/s)ので原案想定の歩兵直協任務はともかく、対PS用には少々使い難い面もある。
されど軽PSならば至近弾で十分効果が見込め、重PSでも携帯式対戦車ロケットより高速であるため「弾道を見て回避」は困難である。
副武装として13.2㎜多連装機銃を車体後部に配置している。これは(前方以外の)射角が広く仰角も確保しているため、高所にいる敵や敵航空機にも対応できる。

防御力
砲塔全周及び車体正面の装甲厚は20㎜である。
これは主力戦車にも採用された特殊装甲であり、細かい穴が開けられた硬度の異なる鋼板が3層に重ねられている。
その強度は均質圧延鋼板に換算して60~80㎜であり、20㎜機関砲の直撃にも抗堪し得る。
さらに本車両にはこれに加えて新開発のガラス繊維を鋼板の間に挿入している。
これにより、携帯式対戦車ロケットの直撃にも耐えられる(可能性がある)。
正面以外の車体装甲は10㎜であり、至近距離から放たれる6.5㎜短小弾(アリサカ・クルツ)を想定している。
本来は7.92㎜モーゼル弾対応の装甲が望ましいが、重量増加が許容範囲を超えると予想されたためこの厚さに収まった。
(コストの関係で、こちらに特殊装甲を採用することは不可能である)

機動力
駆動部に装軌式を採用している点は通常の戦車と変わりない。しかし、本車両の特色として履帯が前後で分割されている。
そして前部を回転させることにより、一般自動車のような旋回も可能である。
当然、通常の装軌式車両のような信地旋回や超信地旋回にも対応している。
各履帯部には四輪駆動車のように駆動力が伝達されている。これにより4つの内最大2つが破壊されたとしても走行が可能である。
これら駆動部と(重量比で)大馬力エンジン(120馬力)を組み合わせることにより、最高速度は90km/hと装軌式車両としては世界最高レベルのものを獲得した。
ただしこれは二義的なものであり、本車両が真に追求したのは加速性能である。
市街地で敵重PSの先手を取るためには何よりもそれが必要なのである。

421: モントゴメリー :2022/03/04(金) 00:15:07 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
取り敢えず以上です。
ウィキ掲載は自由です。

FFR流「ドラム缶」への回答でございます。

説明についてはあすの帰宅後でご容赦を。
あと、今回は急造なので後日加筆・修正するかもしれません。

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最終更新:2022年03月11日 11:13