763: ホワイトベアー :2022/03/12(土) 19:01:29 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日本大陸×ワールドウィッチーズ 第11話 シベリアの夏燃えゆ その4
西暦1937年9月15日 シベリア中北部
嵐作戦開始から3日ほど経つと戦況はEACO軍の絶対的な優位の下に戦闘が進んでいた。
三方から猛攻撃を喰らうネウロイは激しい抵抗を見せるもすでにその規模を会戦前の1/5まその数を減らし、すでに退却を開始しており、EACO軍主力第11軍およびに第8軍をもってこれの追撃戦に移行していた。
また、北方に展開していた第4軍、南方の第8軍も連動して機動力の高い機甲部隊と機械化部隊をもって退却するネウロイの前方に周り混んでおり、EACO軍はネウロイに前後から攻撃を仕掛けてさらにネウロイの数を削っていく。
『こいつはいい! どっちを向いても敵だらけだ!撃てば当たるぞ!』
『第21陸戦ウィッチ大隊前進、敵の戦線突破阻止しろ!』
『阻止砲撃開始!ネウロイの奴らに劣化ウラン弾をたらふく食わしてやれ!』
ネウロイの退却阻止の為にネウロイの後方に展開した扶桑陸軍部隊は、向かってくるネウロイ達に激しい砲火を叩きつける。
八四式戦車の76.2ミリ戦車砲と九二式駆逐戦車の90ミリ戦車砲の激しい砲火はまさに鉄の嵐と言わんばかりのものであり、退却中だったネウロイの前線集団を一瞬にして消し飛ばすか損傷を負わせ足を止めさせた。
たとえ撃破されなくても、修復の為であれ、反撃の為にネウロイが足を止めようものなら、その個体に優先的に砲弾が叩き込まれ撃破されていく。
彼らに配備されていた戦車は八四式中戦車と九二式駆逐戦車、性能的には九五式中戦車に劣る旧式戦車と軽装甲ゆえに防御性能に何のある駆逐戦車であったが、攻撃される前に遠距離から撃破してしまえばいいのだと言わんばかりの攻撃でネウロイを撃破していった。
後方にいるがゆえにこの砲火を凌げたネウロイにも安息の地はない。
『こちらレッド1から上空の支援機へ。前方の敵への近接航空支援を要請する』
『了解した。これより航空支援を開始する』
ブゥルァァァァ!
強烈な音が聞こえたかと思うと土煙が発生。そこにいたいくつもの中型ネウロイが消滅した。
彼らの上空には機首下に30ミリガトリング砲を搭載し、特徴的な見た目をした双発の攻撃機である26式攻撃機が上空を旋回して攻撃コースに再度突入し、ネウロイを消し飛ばす。
それだけではない。森林という視界の悪い戦場ゆえにネウロイ群の両翼に浸透した歩兵と陸戦中戦闘脚を纏った陸戦ウィッチの混成部隊がネウロイの側面から圧力をかけ、ネウロイのただでさえ森林で阻害されているネウロイの衝撃力を削ぎ落し、前方の対戦車陣地に誘導する。
この歩兵部隊には日本から大量に供与された他、扶桑皇国国内でもライセンス生産されている九八式84mm無反動砲が配備されており、これにより魔力のない一般歩兵でも700mという距離から四つ足の戦車型ネウロイを撃破可能としていた。
これが視界のきかない森林で陸戦ウィッチと連携して襲い掛かってくるのだ。ネウロイにとってこれ程厄介なものはないだろう。
そして、彼らはあくまでも足止め役。ネウロイにとっての本当の脅威は背後から襲い掛かろうとしていた。
764: ホワイトベアー :2022/03/12(土) 19:02:13 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
西暦1937年9月15日 シベリア中北部
「追撃戦だ。一匹残らず生きて返すな!」
今会戦での最高責任者である北部方面軍司令官三上宗次中将から今会戦に参加しているEACO軍全軍に向けて放たれた命令は電波を通して時間をおかずに全軍に届いた。
叩けるうちに叩くのは戦争の常だ。
『前方にネウロイ4個中隊中型48体を確認』
『敵は足並みが崩れています。今の内に中型以上のネウロイを重点的に潰していきましょう。』
『目標、前方の中型ネウロイ、中隊行進射、撃て!』
第4軍、第8軍の快速部隊に後方を遮断され、足止めをくらっているネウロイの後方から押し寄せる日本陸軍第8軍の32式戦車自慢の120ミリ滑腔砲から放たれた多目的対戦車榴弾が中型ネウロイの装甲をいとも簡単に打ち破り、戦車部隊に随伴していた陸戦ウィッチ達が装備する32式軽陸戦戦闘脚の76.5ミリライフル砲から放たれた弾が小型ネウロイを一掃していく。
『ウィッチ達にも日本人達にも遅れをとるなぁ!全車攻撃開始!』
別の場所では大隊長の勇ましい命令の下に110両の九五式中戦車で構成された戦車大隊が林で速度が出ないネウロイを後方から射程距離に収め攻撃を開始せんとしている。
「弾種、対戦車榴弾。目標、前方の中型ネウロイ。撃てぇ!」
九五式中戦車はその足を止めることはなく、車長の命令の下に弾薬が砲に装填され、ネウロイに照準を合わせた砲種が引き金が引かれた。
そこかしこで聞こえてくる激しい砲撃音が新たにおこり、スタビライザーにより移動中でも安定している九五式中戦車の52口径90mmライフル砲から発射された対戦車榴弾が吸い込まれるようにネウロイに命中。同砲弾が引き起こしたモンロー効果により装甲を貫徹させ、霧散させられる。
それを確認することはせず車長は次の獲物を探す。幸いにして獲物は大量におり、労せずして次の目標を発見できた。
「8時方向に第二目標・・・距離1500m」
「装填完了!」
「照準よし」
「撃てぇ!」
九五式中戦車の52口径90mmライフル砲が再び火を吹き、必殺の対戦車榴弾が四つ足の戦車型ネウロイに向かって放たれる。 命中、先ほどのネウロイと同様に霧散する。
最新式のステレオ式測定器と弾道計算機により発揮される高い照準精度と訓練を重ねた扶桑皇国陸軍戦車乗りの合わせはネウロイにとって極めて質の悪い組み合わせであり、この戦車だけではなく同大隊に属する戦車たちは次々とネウロイを消滅させていった。
無論、ネウロイも反撃を行ってくる。しかし、距離の問題からネウロイの主砲から放たれた砲弾の大半は九五式中戦車にあたらない。また、命中したとしてもこの時のネウロイの主砲である43口径75mm砲では、八四式中戦車や九二式駆逐戦車はともかくとして史実第二世代主力戦車に相当する強固な鎧を纏う九五式中戦車を撃破するには力不足であった。
「流石は九五式だ。何ともないぜ」
「ゴック程の装甲はないですけど、それでも重装甲ですからね」
今の彼らには装填手と砲手が雑談に興じれる程度には余裕があった。
西暦1937年9月15日 シベリア中北部 上空
「西方より接近するボギーを探知。数は20、30、なお増加中」
「警告無線に応答せず、当方の飛行禁止エリア1αに侵入しました。ボギーをバンディット認定。地上部隊に警報発令します。」
「敵に一番近い部隊は?」
「空中待機中のウィザード、ソーサラーです」
「よし、ウィザードとソーサラーを直ちに迎撃に向かわせろ。」
「12からウォーウルフ上がりました」
「ウダチーヌイから要撃機があがりました。コールサインはクロウ、スピア、ユニコーン」
戦闘エリアの後方、その上空において戦域の空中管制を担っている27式早期警戒管制機、コールサイン マジックはその大力かつ広範囲を対象とするレーダーにより戦場に近づく敵ネウロイを発見、航空管制官の指揮を受け各所との通信で慌ただしくなる。
マジックから指示を受けたウィザード、日本空軍第32戦術戦闘飛行隊とソーサラー、日本空軍第51戦術戦闘飛行隊に属する40機の26式戦闘機はマジックの管制の下に敵、ネウロイの要撃に向かっていた。
765: ホワイトベアー :2022/03/12(土) 19:04:53 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
『こんだけの兵力が必要なんですかね?俺たちだけで十分な気がするがな』
『上が決めた規定だよ。ちなみに俺たちだけじゃなくてウィッチ隊を中心とした援軍が来るそうだ』
日本政府、いや
夢幻会はネウロイを過小評価していなかった。たとえへ原作前のネウロイで合ってもどのような進化を果たすかわからない。ゆえに夢幻会は過剰に備えるのだ。
その考えはこの戦闘の場にも反映されていた。日本軍機は最低1個航空団規模で動かされ、こういった大規模な襲撃の迎撃を担当する場合は2個航空団以上の兵力を動かすように交戦規定をかけていた。
『敵はレシプロ戦闘機相当なのにこんなに兵力を動かすなんて馬鹿らしい規定だ』
- 現場で戦てきた軍人からしたら過剰なように映って不評であったが。
「レーダーコンタクト。ウィザード2、おしゃべりの時間はおしまいのようだ。さっさと落としてエースとして帰還するぞ。全機FOX3 FOX3」
レーダーで敵を捉えたウィザードとソーサラーは26式戦闘機の胴体下に搭載していた撃ち放し能力を有する中距離空対空ミサイルである32式中距離空対空誘導弾を一機当たり4発、計160発のミサイルが発射される。
史実の円相当で1発のお値段2000万円、これだけで史実円相当で約32億円が吹き飛んだのだ。大蔵省の役人か国防総省の予算策定の関係者辺りがこの光景を見たら頭痛と胃痛を同時に感じて発狂することは間違いないだろう。
だが、32式中距離空対空誘導弾はお値段が高いだけの性能は発揮した。
26式戦闘機から発射されたミサイル群は戦闘機型ネウロイと双発爆撃機ネウロイを次々と消滅させていったのだから。ただ1機、明らかに複数発直撃したのに飛行を続ける、戦略爆撃機ほどの大きさを誇る未確認の大型ネウロイを残して。
766: ホワイトベアー :2022/03/12(土) 19:05:30 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。
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最終更新:2022年03月20日 11:57