6: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 00:02:04 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日本大陸×ワールドウィッチーズ 第12話 シベリアの夏燃えゆ 終
西暦1937年9月15日 シベリア中北部 上空
26式戦闘機から発射された100発以上の32式中距離空対空誘導弾はレーダーの誘導の下に次々とネウロイを消滅させていく。
インターセプトからわずか数分で200を超える増援の航空ネウロイはその数を半分以下にまで落ち込むことになる。
『残存する敵機は60機、うち大型機が1機存在している。注意せよ』
「OK。各機一気に高度をとって一撃離脱を仕掛けるぞ。」
ウィザード1の号令を受け、26式戦闘機たちはその大出力エンジンを盛大にふかして上昇を開始。ネウロイたちの上空に達すると一気に降下を仕掛ける。
敵は低速での格闘戦を得意とした機体である。対して、26式戦闘機は軽量化された機体と2基の大出力を発揮可能なターボファンエンジンを搭載する事で高い格闘戦能力を有し、高性能なアビオニクスを搭載する事で中距離空対空誘導弾の運用能力を有することで遠近の空対空戦闘でも高い能力を発揮可能とする日本空軍が敵航空機を圧倒し、航空優勢を超えた航空支配を獲得する為に開発した制空戦闘機だ。
敵の得意とする戦法にわざわざ付き合う必要もない。彼らは圧倒的な加速力と速度の違いを武器に一撃離脱でネウロイを撃破していくつもりであった。
「ウィザード1、エンゲージ。ガンズ!」
『ウィザード6、ガンズ、ガンズ』
右翼の付根前縁にある20mmバルカン砲が火を吹き、小型ネウロイを撃破していく。
この時、迎撃部隊であるウィザード、ソーサラー両隊はまずは護衛機を片づけることを優先した。爆撃機型の迎撃は最後でも十分だと判断したのだ。
例え有視界戦闘であったとしても日本空軍の戦闘能力は圧倒的だ。敵の存在に気が付いたネウロイ側も急ぎ散開し、上空から襲い掛かってきた26式戦闘機の迎撃を行おうとしたが、性能差が激しすぎた。何せ護衛の戦闘機型ネウロイの最高速度でも26式戦闘機の失速速度以下だ。ただただ一方的になぶられ、機関砲や短距離ミサイルの餌食になっていく。
『ソーサラー6、FOX2 FOX2』
『ソーサラー5、FOX2 FOX2』
護衛機の数が急速に減った事で獲物が減ったソーサラー隊は大型ネウロイに攻撃を仕掛ける。大型ネウロイ自身も迎撃のために激しい弾幕を展開するが、これを悠々と回避し、短距離誘導弾を発射する。
4発の短距離誘導弾自体もネウロイの弾幕網を突破しながらネウロイの機首に向かい飛翔していき、ネウロイに命中していく。今までのネウロイならこれでジ・エンドだったのだが、今、彼らの目の前にいる大型ネウロイは今までのネウロイと違いこれを平然と耐えていた。
『ちっ、あの新型今までのネウロイより防弾性能が向上していやがる』
『ソーサラー隊、一気に飽和攻撃をしかけるぞ』
すでに中距離空対空誘導弾は打ち切っており、この場にいる戦闘機が搭載しているのは短距離誘導弾でしかない。そして短距離誘導弾がソーサラー隊所属機から一発ずつ計20発の短距離ミサイルが放たれる。
ソーサラー隊により全方位から放たれた20発のミサイルが大型ネウロイの機首に向かい飛翔していく。ネウロイはこれを防ごうと激しい弾幕を展開していくが、ミサイルはそれらを余裕で突破し、ネウロイの体を吹き飛ばしていく。
ダメージを追った影響でスピードが著しく低下するがネウロイいまだ空にあった。
『おいおい、こんだけミサイルをぶち込んでもピンピンしているのかよ』
『見てみろ。ミサイルの傷を自己再生してやがる』
『自己再生だって?そんなのありかよ』
敵のチートじみた能力に対空戦闘に従事している26式戦闘機の無線が慌ただしくなる。
さすがに空中飛行中での自己修復とかされた場合の対応なんて、この時の日本軍パイロットでも知る由もない情報だ。
『マジックよりウィザード、ソーサラー各機へ。作戦本部から指令がきた。全機遅滞に努めろ。繰り返す、全機遅滞に努めろ』
「どういうことだ!?」
『現在、増援としてウォーウルフがそちらに向かっている。彼女らにそいつを対処させるようにとの本部からの命令だ』
「了解し。だが、あれを倒してしまってもいいのだろう」
『少佐、あくまで任務は足止めだぞ』
7: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 00:03:05 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
ウィザード1の返答にマジックは突っ込む。
確かに中距離空対空誘導弾はすでになく、短距離空対空誘導弾と機関砲しか装備がない状態で異常な回復力をもつネウロイに挑むのは危険かもしれない。
だが、それがどうした。彼の手元には依然として最強クラスの戦闘機である26式戦闘機が40機も存在している。撃墜するのを諦める理由など存在しなかった。
「マジック、状況にかわりはないか?」
『先ほど話した通りだ。新型のネウロイは速度、攻撃は今まで通りだが異常な回復能力を有し、戦闘機隊の攻撃を無効化している』
海軍第1航空魔導大隊を率いてインターセプトに急行している北郷少佐は戦況を確認するためにマジックと通信を開くが、彼から返ってきた応えは先ほどと同様の、ネウロイ側が新たに投入してきた新型の大型ネウロイは異常な回復力を武器に戦闘機部隊の迎撃を受けながらも侵攻を継続しているといった内容であった。
『回復するとかチートじゃないですか。何か弱点でもないものですかね』
『それについてだが、先ほどウィザード1がネウロイの胴体機首した付近の装甲を吹き飛ばしたら赤い宝石を発見したと報告してきた。作戦本部からはそこを重点的に破壊せよとのことだ』
ウォーウルフ2の何気ないボヤキに対してマジックが返してくる。そういう事はもっと早くいって欲しかった。
『戦闘機部隊もやるもんですね』
『ただ後方でミサイルを撃つだけが得意じゃなかったのか』
基本的に日本空軍の戦闘機部隊は後方からミサイルを撃つだけで、有視界戦闘を行わない。これは基本、ミサイルでの優秀な中距離空対空誘導弾のおかげで有視界戦闘などする必要がないからで、決して有視界戦闘能力に劣るわけではないのだ。
「おしゃべりの時間はそこまでだ。そろそろ、戦闘空域に突入する。」
ーー了解
36名のウィッチたちもこの戦場に突入していく。
『遅かったな』
「いい女は男を待たすのさ。」
この時のネウロイにとって不幸だったのは、すでにコアの位置を築かれていたことであった。
煙を吐いていたネウロイの機首に向かい攻撃が集中するネウロイは機首の方面に火力を集中していくがウィッチ隊のはるシールドはそれらを平然と弾いていき、逆に機首付近に20mm機関砲を集中的に発射していく。
装甲は機関砲弾があたることで次々と削られていき、最終的には真っ赤な宝石のようなもの、ネウロイのコアがその姿を表した。
「貰った!!」
ウォーウルフ1は引き金をひくと同時にそう発した。
ウォーウルフ1、北郷少佐が放った20ミリ機関砲弾はネウロイのコアを貫き完全に破壊。コアを失ったネウロイはその姿を霧散させる。
西暦1937年9月15日 扶桑皇国 ヤクーツク EACO軍吹雪作戦司令部
戦場の遥か後方、扶桑皇国陸軍北部方面軍司令部も兼ねるヤクーツク統合基地の戦闘指揮所では本作戦の最高責任者である三上宗次中将大将が戦況が表示されているモニターを眺めていた。
ここに移される情報はすべて早期警戒管制機や高高度戦略偵察機から送られてきた情報をリアルタイムで反映しており、はるか後方にいても全体の状況が手に取るように分かる。
「第11軍は阻止防衛線の第4・第8軍と合流、残党狩りに移行中」
「西部から侵攻していたネウロイ航空群の撃破を確認。」
オペレーター達から上げられる報告は全て吹雪作戦の成功を知らせていた。
敵地上部隊はすでに部隊として消滅しており、航空作戦でも先の大型の消滅をもって前線戦でネウロイの撤退開始が確認されている。
「勝ったな」
そう声が出てしまう。それもしょうがないだろ。この会戦での勝利により扶桑皇国を脅かす最大規模の脅威が消滅したのだ。
無論、これですべての戦争が終わるわけではない。イルクーツク方面にはいまだ中規模のネウロイ群とオラーシャ軍の戦闘は続いており、ネウロイの脅威はいまだ消滅していないのだから
それでも前線で、そして後方で戦ってきた兵士たち将校たちは一時の勝利に祝杯を上げ、勝利の美酒の味を楽しんでいる。
8: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 00:03:37 HOST:115-179-80-59.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。
wikiへの転載はOKです。
最終更新:2022年03月20日 12:02