201: ホワイトベアー :2022/03/15(火) 21:32:05 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日本大陸×ワールドウィッチーズ 第13話 祝杯と

西暦1937年9月15日 大日本帝国 帝都東京

「何とか勝てたか・・・」

「敵第2梯団を殲滅、第1梯団はズタボロで衝撃力はない。一応、これで一気に満州が抜かれることはなくなりました」

EACO軍総司令官として大陸に派遣されている東条に変わり、陸軍の代表として出席していた杉山が資料を読んでいた榊首相の発言に応える。

「戦果も大、通常兵器の効果は大きいですね」

「遠距離からの対ネウロイ空対空誘導弾による攻撃で中型までならこれで喰えるからな」

「ウィッチの負担もだいぶ軽くできていますし、通常兵器のさらなる開発と強化は進めていきましょう」

今回の戦闘では魔力が込められた弾頭を使用する対ネウロイ用空対空誘導弾が大きく活躍し、依然として通常兵力でもネウロイに大きくダメージを与えられる事が証明されていた。

「しかし、思った以上に被害がデカいな」

「ネウロイの規模が大規模だったことと、ネウロイの回復能力を過小評価しすぎたことが原因と陸軍は見ております。ただ、それでも被害の大半は扶桑軍の歩兵と旧式戦車等なので問題はないかと」

「扶桑皇国の損害回復能力は大丈夫なのか?」

「すでに予備役の招集を開始している以上、兵士の数は問題ないだろう。問題は装備の補充能力だが・・・扶桑皇国は単独でも一年で戦車を1500両ほど生産できるんだ。大丈夫だと考えていいだろう。最悪、EACOMSMAPを利用してでも装備を集めることになるだろうしな」

「それよりも頭が痛いのは我軍の損害だよ。扶桑軍の損害は良いとしてもうちの損害は大問題だ。死者行方不明者27名、重軽傷者365名も出ている以上、またぞろ議会とマスコミが荒れることになるぞ」

先の会戦でEACO軍が負った被害は死者・行方不明者が約8000名、戦傷者2万名弱、戦車等装甲戦闘車両約800両、航空機約600機と夢幻会が当初考えていたものよりも遥かに大規模なものであった。
しかし、今会戦で夢幻会が投入した戦力は84万名近い大部隊であり、さらに撃破したネウロイは四つ足の戦車型だけでも2万を超え、これに航空型や小型ネウロイを合わせれば七桁に達する戦果を上げていたことからこの程度の損害は誤差の範囲で済ませられたが。
だが、日本人の被害はそうは言えない。ただでさえ今回の派兵に日本の世論は否定的なのだ。以下に夢幻会が日本の政治経済に支配的な影響力を有していようとも、いや支配的な影響力を有しているからこそ世論を無視する事はできなかった。

「議会工作は良いとして、問題はマスコミですね」

「ああ、奴ら史実より遥かにずる賢い。露骨な嘘をつかず、下手な切り取りはせずに世論に大きな影響を与えてやがる。今回はいいが、最悪の場合第二次ネウロイ大戦での欧州派兵が困難になるぞ」

「マスコミが邪魔だ・・・。だが、法にも倫理的にも問題がない状態で手を出すと良くない前例を残すことになる・・・」

「短期的に解決するのは難しい。ひとまずは参戦意欲を高めるプロパガンダを多めに出すしかないだろう」

「この辺は広報の連中に任せるしかないか・・・」

日本政府の行動を縛っている要因はマスコミと日本国民の世論であるが、これを短期的に解決する手段は存在しない。いや、存在自体はするのだが、後々の事を考えると彼らが信奉する民主主義と表現の自由に禍根を残すことは確定的であり、幸か不幸かはわからないが、今の彼らはそれを選択するほど追い詰められてはいなかった。

「国内のマスコミや議会対策も必要ですが、それよりも弾薬の問題の方が深刻です」

「弾薬ですか? 一応、戦時体制に入っていますし、補正予算も組んであります。何か問題でもありましたか?」

202: ホワイトベアー :2022/03/15(火) 21:32:44 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
「ミサイル、特に空対空ミサイルの消費量が尋常ではありません。現在はどうにかなっておりますが、今後の事も考えると現在予定されている供給量の倍は必要です」

「・・・倍ですか」

空軍から参加している将校の言葉に辻の顔が引きつる。

現在予定されているミサイル供給量でさえ、戦時用に潤沢な補正予算を組んで整備したものだ。それの2倍?いくら予算がかかるかわかったものではない。

「最低でも倍です。コア持ちが出てきた以上、我々の長射程ミサイルでは打撃力にかける状態です。それを補うには数で圧倒するしかありません」

「陸軍も同様です。戦場で使用される対戦車誘導弾の数が想定より多い。」

「もう少しミサイルの消費量を減らす事はできないんですか? 辻さんじゃないですが、予算だって無限にあるわけではないんですよ」

「26式戦闘機や28式汎用戦闘機の戦闘能力なら撃墜される可能性は低いでしょうし、もう少し有視界戦闘を重視してもいいのでは?」

ミサイルというのは精密機器の集合体であり、当然、その値段は高い。いくら日本の国力が桁違いであったとしても、さらなるミサイルの増産体制の整備は大きな負担であり、国家財政を預かる者たちからは不評がでる。

「我々は将兵達の命を預かっているんだ。彼らを日本以外、異国の地で死なせるリスクを最小限にするために出来る限りのことはしておきたい」

「ネウロイという未知の脅威と生存をかけた戦争をやっているんだ。リスクは最小限に抑えたい。戦闘機やパイロットの命がミサイルの増産コストより安いと言われればそれまでだがな」

陸空軍からの言葉に文民達は口ををつぐまざるを得ない。
何せ相手は未知の人類の敵であるネウロイだ。確かにアニメでは派閥のようなものがある事を匂わせる描写こそあったが、それでも情け容赦なく、交渉もできない明白な人類の敵であることに変わりない。
ネウロイがどれほどのスピードで、どれだけ進化するかがわからない以上、彼らと戦う軍部が万全をきしておきたいと考えるのは当然の心理であり、そのために、さらなる予算を欲している。

「軍の言い分ももっともだ。ここはさらに予算を組むべきだろう。下手に予算を節約して敗北した方が問題が多い」

榊首相が軍部に援護射撃をする。
ここで下手にケチって大陸が陥落したら最終的に余計に予算がかかることになる。

そう考えている政治家や文民も多くおり、その代表格が榊首相を中心とした一回目の転生者達である。
彼らは辻や嶋田などの昭和の世界から二度目の転生を果たしたグループとは違い20、20年代から転生を果たしていた。それ故にモルガンモドキやブレイブウィッチーズでのビックリドッキリネウロイの存在を知っており、軍部の増強に賛同的であった。

辻らもそれはわかっている。だが、誰の反対もなく過度に軍事費を投じ続ければ待っているのは財政破綻である。そんな役回りではあるが、いずれかは誰かが待ったをかけなければならない。

「通常兵器の増強もそうですが、航空魔導部隊のテコ入れはどうなっていますか?」

一服を挟んだあと、魔導兵促成訓練プログラム作成以降もなんやかんや魔導部隊関係の仕事を任され、もはや海軍ではなく魔導兵部隊の代表となりつつある嶋田が質問を上げる。

「それならすでに新型戦闘脚の開発は順調に進んでおるぞ!」

嶋田の質問に航空機と言えばこの企業とも言える倉崎重工代表である倉崎重蔵は豪快に言う。

「まじか・・・」
「ウッソだろ」
「ドウシテコウナッタ」
「・・・開発予算が高騰していると思ったらこう言うことでしたか・・・」

あの辻までもが唖然としていた。
彼から渡された新型戦闘脚のスペック見た参加者達は別の意味で顔を引きつらせる。あの辻までもが唖然としていた。

203: ホワイトベアー :2022/03/15(火) 21:33:57 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
そこに書かれていたスペックは明らかに既存の戦闘脚をぶっちぎる性能であり、わかりやすく言ってしまえば嶋田達ニ回目転生者と山本や村中、尾崎など昭和世界からの一回目転生者達の前世である昭和世界で日本が対米決戦兵器として開発したジェット戦闘機、四式艦上戦闘機〘疾風〙の戦闘脚版と言っても過言ではない性能が記されていたのだ。これで唖然としない人間はいないだろう。

「やはり、我社とノースランド・ダグラス社の送るはじめてのジェット戦闘脚だからこれぐらいなければな」

この場でただ一人、当事者であった倉崎重蔵氏以外は。

「それで、これはいつ頃投入できるのでか?」

一番再起動が早かったのは嶋田であった。彼からしたら、この兵器は自分の教え子たちの生存確率を飛躍的に上がるのだ。気にならないはずがない。

「今のまま開発が順調に進めば早ければ1942年末頃に42式として、遅くとも1943年半ば頃には43式戦闘脚として実戦配備まで行けるだろう」

彼の言葉に会合は歓喜に湧く。しかし、嶋田はどこかの微妙な顔持ちであった。

「あと5~6年ですか・・・先は長いですね」

一応、嶋田の教え子たちは卒業したものでも年齢制限から未だに防空部隊として本国に待機している。しかしそれも何時までそうだかわかったものではない。嶋田としては早期に強力な戦闘脚の配備は重要な問題であった。

「ただのジェット戦闘機の開発程度ならもっと早く行けるんだが、何分、魔導学等の未知の学問もあるからな・・・」

「わかっています。ですが、何卒よろしくお願いします」

嶋田は教え子たちを、本来なら軍人が、大人が守るべき少女たちを戦場に送らずに済むことを望みながら頭を下げる。


西暦1937年9月18日 扶桑皇国 新京

扶桑皇国首都新京にある新京城、その会議室で開かれる御前会議は扶桑皇国軍の最高意思決定機関であり、通常では極めて張り詰めた空気がその場を支配するが、現在の空気は今までの会議よりも遥かに緩い空気が流れていた。

「我軍は怪異を退治することができた訳か」

「そのとおりでございます。すでにネウロイの主力集団はその姿を消滅させ、現在皇軍は日本軍と協力して残党の相当を開始しております。」

「すでに残党も大規模なものは排除を完了。少数のネウロイを撃破するためにウィッチや軍将兵は奮闘をしております」

対怪異戦では扶桑皇国軍始まって以来の大勝利である。これをなした軍部はその戦意を高めており、一部からはシベリアへの逆侵攻を唱え始めるほどにその鼻息を荒くしていた。
当然のことながらそれを心配するものも多い。その筆頭は全軍の最高司令官代理である扶桑皇国首相であった。

「参謀総長、参謀本部の中では直ぐに反攻作戦に移るべきだとする意見も根強いようだが?それは事実か?」

「現実を知らない一部の自称参謀や参謀気取りの阿呆が言っていることですな。心配無用です。EACO軍司令部からの許可がない状態で部隊を動かせば処罰される事はわかっているはずです。」

参謀本部総長が首相の質問に答える。
東アジア協力機構は第一次ネウロイ大戦のシベリア戦線での日中扶の連携の取れなさがその設立理由である。当然、EACO軍が編成された場合の部隊の指揮系統などはしっかりと整備されており、扶桑皇国部隊でもEACO軍の指揮系統に置かれれば扶桑皇国に部隊の指揮権が存在しなくなる。

204: ホワイトベアー :2022/03/15(火) 21:35:11 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
そして、現在の扶桑皇国軍と中華帝国軍は首都防衛部隊等の一部部隊を除いてEACO軍の隷下に置かれていた。
もっとも、独断専行からの既成事実化をしようとする馬鹿はどこにでもいるものだが・・・

「・・・景気の良いことを言っている阿呆が多いようだが、軍は今回の被害にはどのような対応を考えているのかね」

軍部がネウロイ恐るるに足らずとなりつつあると言う頭の痛い問題を突きつけられた扶桑皇国首相は眉間を揉みながら質問を続ける。

「装甲戦闘車両等の重装備は予備役として保管していた八四式中戦車等の旧式装備で補充します。また、ウィッチは訓練兵の中で戦闘に耐えられる者を戦時任官する事で補充します」

軍部の提案はそれほどおかしいものではなかったが、それでは不足だと考えている人間も多い。特に日本が接敵したという自己修復可能な大型ネウロイの情報は文民達の不安を煽っていた。

何せ爆撃能力は不明だが高高度を飛行でき、高速で、なおかつ高い自己再生能力を持っているのだ。今回は3体のみであり、さらに日本軍が防空を担当していたから早期に発見することができ、全個体を撃破することができたが、今後もそうだとは言い切れない。最悪の場合は高硬度から皇都である新京を爆撃される恐れもあるのだ。

「例え戦力を回復させたとしても、それは旧来の戦力だろ?日本軍が接敵した新型のネウロイに対抗可能なのかね? 」

「それに関して現在、新型戦闘脚と戦闘機の開発を急ピッチで推し進めております。今しばらく時間をいただけたのなら、解決するかと」

陸軍航空本部本部長がそういうがこれに外務大臣が喧嘩腰に反論を言う。

「今しばらく?我々が新戦力を欲しているのは今なのだよ!このままでは首都の防空すらEACO軍、いや日本軍に任せなければならなくなるのだぞ!」

「ですが、新型機の開発には莫大な時間がかかるものです。それを短時間でやれば実戦でどんな事故がおこるかわかったものではありません」

売り言葉に買言葉、開始前の穏やかな空気は早々に立ち消え、いつも以上に張り詰めた空気が場を支配していた。

「それならば、この際日本の戦闘脚を全面的に採用してはどうかな。あれならば高硬度での性能とコスト、それに信頼性が保証されておるだろう」

「馬鹿な!自主国防の為に主要戦闘兵装は国産のものを採用する。これは皇国の国防方針の大前提ではないか!何より運用思想が異なる機体を配備したとしてどれだけの効果が期待できるというんだ!」

「陸軍は出来ない言い訳ばかり上手くなっていくな!前世紀の国防方針に囚われた結果、首都の防空まで他国軍に依存するようなら本末転倒だろうが!」

陸軍航空本部本部長と外務大臣の言い争いはヒートアップをしながら続いていく。
どちらの言い分も間違いではない。
陸軍航空本部長の言うとおり、差が大きいほど機種転換には時間がかかるもの。低速域での格闘戦を重視している扶桑皇国の航空ウィッチに、中高速域での一撃離脱を重視する日本のストライカーユニットを与えたとしても以下ほどの効果が見込めるのかと聞かれれば微妙なものである。
むしろ、日本の36式戦闘脚を自在に操れる飛行第64戦隊のレッドイーグル、ホワイトアロー、イエローアローの3個中隊が異常なのだ。

だが、外務大臣の発言ももっともなものである。自国の国防、それも首都の防空すらも他国に依存する国家などもはや列強と言えないであろう。
列強扶桑の外交ステータスを保つためには最低限でも自国であの大型ネウロイに対抗できる手段を持たなければならない。そのために必要な能力と信頼性のある日本製の武器を採用するべしと言うのも当然の話だ。

双方の意見に共に理があるからこそ厄介なものであり、いつの間にか罵り合いの一歩手前までいき、双方の言い争いは文民と軍部の対立に発展しかけていた。

「双方ともそこまでだ。お主らの言い分はよくわかった。」

会議室に設置されている玉座に座り、それまで黙って会議の成り行きを見ていた男、扶桑皇国の事実上の君主である大君(たいくん)にして関白、豊臣秀正はただの罵り合いに発展しかけていた言い争いを黙らせる。

205: ホワイトベアー :2022/03/15(火) 21:35:48 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
「航空本部長、お主の言い分も確かだが、今は臣民を護る事が何よりも重要なことだ。外国産の兵器だろうと使えるなら採用しろ。取れる手段を全てとれ。
外務大臣も言い分は正しい。だが、余は忠臣同士の言い争いなど見たくない。それに、余と余の民を護るべく職務に励む者を貶すような発言はやめてもらおう」

「了解いたしました」
「申し訳ございません」

大君の介入により今回の言い争いは最小限の対立で済むことになる。だが、これは本来なら国家が一丸となって戦うべき戦争であっても、いまだに扶桑皇国が一丸となりきれていない証明でもあり、豊臣秀正は頭痛を感じざるを得なかった。


西暦1937年9月18日 大日本帝国 南扶桑 漢城空軍基地

日本本土で夢幻会会合のメンバーがささやかながら祝杯を上げている一方で、漢城にあるEACO軍総司令部の会議室では今後の方針を決める会議が開かれていた。

「やはり、シベリアへの侵攻は厳しいか」

「はい。そもそも、扶桑皇国軍は内線戦略に基づいた軍備計画ゆえに遠征能力が乏しい、中華帝国は論外です。仮に攻勢をかけたとしても我々の支援がなければ3日と補給が持たないでしょう」

EACO軍最高司令官である東条の呟きに参謀長が答える。
敵の第1・第2梯団を叩きのめした今、EACO軍は絶好の反撃のチャンスを手に入れていた。
現状のネウロイは確認できる限りでは存在せず、対してEACO軍には総勢100個師団を超える大兵力を抱えている。今、総攻撃をかければ脆弱なネウロイの抵抗を撃滅してシベリア一帯を奪還できると言う意見が扶桑皇国軍を中心に巻き起こりつつあったのだ。
そして、この意見に先の会戦で果たした役割が小さかった中華帝国も賛同。2カ国は日本政府とEACO軍総司令部に攻勢を打診していた。

「そして、補給の起点がシベリア鉄道一本になるため攻めれば攻めるほど補給線の脆弱性が増すという訳か」

「はい。ですのでここは無理な攻勢には移らず、国境地帯の防備を固める事を優先するべきです。幸いにして扶桑皇国国内でしたらまず間違いなく補給が途切れる心配はありません」

仮にシベリアに侵攻をかけたとしても先日のような規模で大攻勢をかけられたら退却するしかなくなる。いや有効な撤退手段がシベリア鉄道しかなくなるのだ。最悪の場合は撤退すらままならく浸透を許して全滅しかねない。
そのリスクを犯して手に入るメリットはオラーシャの国土を解放したと言う名誉だけだ。
そんなものに何の価値もない。まずは足元を固めるべきである。日本軍の秀才たちが出した答えは極めて堅実なものであった。

考えを纏めるためか、東条は握っていたペンの先でコツコツと机を叩く。

「ネウロイの動きは?」

「戦術・戦略偵察機、早期警戒管制機、地上早期警戒管制機を用いた偵察結果では未だに動きはありません」

会議の途中に一人の大佐が焦った様相で情報幕僚にメモを渡す。そのメモを確認した幕僚の顔は見る見る青くなっていき、驚愕した表情で声を出した。

「大将、欧州方面からウラルに侵攻をかけていたオラーシャ軍主力がネウロイの総攻撃を受けたようです。ネウロイの規模等詳しい情報は入っておりませんが、オラーシャ軍主力は壊滅的打撃を受け、ウラル山脈西に撤退を開始したと」

その報告は会議室の空気を一変させるには十分であった。

「やられた!そういうことか!ネウロイ共め。後顧の憂いを断つことを優先したのか!」

「もしかしたら、東アジアの防御力の高さから目標を欧州に変えたのかもしれません。ですが閣下、どちらにしろ急ぎ国境の護りを固めるべきかと」

「わかっている。ひとまず第35軍、第48軍を北部戦線に第28軍を西部戦線に増援として送り出せ」

「了解」

先程までとは比べ物にならないほど会議室内が慌ただしくなる。

「諸君、奴らが東進を選んだ場合は我々はもう一度、ネウロイと鉄風雷火を共にしなければならないようだ。」

206: ホワイトベアー :2022/03/15(火) 21:36:43 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。
まさに一難去ってまた一難、ネウロイの行動は止まらない
wikiへの転載はOKです

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最終更新:2022年03月20日 12:26