743: 冷石 :2022/03/12(土) 17:28:59 HOST:p0390840-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp


    ゲート 夢幻会の憂鬱


  昭和世界 東京都某所

「30億を5年養うだけの食料援助…」
「全身義体に換装した人員が5000人以上…」

会談の報告を聞いた夢幻会の一同は放心状態になった、一部には宮下あきらの漫画のように泡をふいている者もいる。

「ほ、本当にそんなことが可能なのか?」
「いざ食料受け取りの時に『やっぱり無理でした』じゃすまないんだぞ」

「はい、会談の最後の詰めの交渉の時に現在の在庫量今後一週間で生産できる余剰食糧から集積輸送までのタイムスケジュールまでが示されました
これが資料です」

「た、確かにこれならば30億人に食料を分配できるだろう、しかし向こうとこちらとでは季節が違うのかね」

「いえ、あちらもこちらと同じ季節でした」

「し、しかしそうなると収穫の時期と北半球も南半球もずれているはず、その辺はどうなのだね」

「は、はい、それが令和日本では…」

「令和日本では(ゴクリ)」

「大量の被災者のいる災害における食糧や貧困層の食料は工場で生産できるとのことです」

「な、なにぃ~」


「それは本当なのか?」

「は、はい間違いなく、機密に触れない範囲で映像も見せてもらいました
一粒の千粒の麦ができ、10グラムの肉片から1キログラムの肉ができるとのことです」

「こ、こっちは臣民を飢えさせないために四苦八苦して食料を輸入しているのに」
「数十億人を養うだけの食料を一週間で…」

「あちらの為政者に対して殺意がわきましたよ」

「俺もだ、辻さん、だがそれだけの食料を出してあちらさんに何のメリットがあるんだ」

「そうですよ、無償の善意なんて気味が悪いだけですよ」

「はア、それが、今現在令和日本に対するヘイトがこちらの主要国では高いので
それではこちらの世界との商売に差し支える、少しでもヘイトを0に近づけたいとのことでした」

「むむむ、一理はあるが、それだけでこれだけの大盤振る舞いをするだろうか」

「はぁ、それなんですが」

「何かね、いってみたまえ」

「はい、それでは、これは相手の次官でなくその通訳がこちらの通訳に行ったことらしいですが
総理大臣のええかっこしいだろうとのことです」

「つまりは、令和日本の総理の人気取りでこれだけの食料を無償で…
ふふふ、ここまで相手の尻の毛までむしり取りたいと思ったのは初めてですよ…」

「つ、辻。気持ちはわからんでもないがまあおちつけ、な」

「そうですね、まずは落ち着かないと、ふふふ」

(全然落ち着いてないよ)

辻から漏れる黒いオーラにビビりつつも嶋田は

「取引と言っても下手に門戸は開けられないぞ、あちらとの技術格差を思うと冗談じゃなくこちらの産業が崩壊しかねない」

「その辺は大丈夫だそうです、あちらさんもその辺はわきまえていてそちらの産業に影響を与えない程度の衣類や
動植物、散逸した稀覯本などをメインに扱いたいそうです」

「それならば確かにこちらの産業に影響も少ないだろう
こちらも文化財などを送れば収支バランスもとれて、アヘン戦争みたいなことにならないだろう」

「特地の利権も基本は昭和平成に任せるとのことです
ゲート一本に支えられた利権をもらってもうまみはない
むしろこちらの世界の宇宙開発にリソースを使いたいと言ってました」

「なんというか冷静な判断もできるみたいですね。
なんというか国内の財界や強硬派にあおられて特地の権益をせしめようとでも考えているかと思いましたよ」

「うん、だからむしって怒りを買うのはやめとけ」

「わかりましたよ、まあ敵対的な態度を取らない限りいいパートナーとして過ごします」

そんな辻におののきつつも夢幻会の夜はふけていった。

744: 冷石 :2022/03/12(土) 17:33:07 HOST:p0390840-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp
アップしました、うーん原作キャラが全く出てこない^^;
次回はイタリカ攻防戦を予定してますので原作キャラを出します。

なんか令和日本驚異の科学力で夢幻会のライフを削るのが楽しく…
おや何やら玄関をたたく音が。

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感想ご意見お待ちしております、冷石でした

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最終更新:2022年03月21日 10:10