924: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 15:12:35 HOST:sp1-72-9-116.msc.spmode.ne.jp
日米枢軸ルート 現代編 「廃棄物処理」
西暦20█ █年█ █月█ █日 大日本帝国帝都東京
日本唯一の自動人形メーカーであるIOPのCEOであり、日本を代表する財閥の1つであるIOPグループの総帥でもある伊藤 司は、自らの半生を思い出しながらIOP本社にある自身の執務室で1人静かに自らの椅子に座っていた。
自分の父と同様に前世の自分と同位体に転生した彼は、前世では力不足から諦めてしまった自分の夢を叶えるため、工学系の道を進み、大学卒業後は祖父や父、そしてその仲間たちと力を合わせて共に事業を拡大させ、軍縮や日米同時多発テロなどの困難の中でも事業を軌道に乗せ、IOPを日本有数の財閥にまで成長させた。
家庭でも高校生時代に出逢った妻と現代でも珍しい恋愛結婚をし、子宝にも恵まれるなど平穏かつ豊かで人並みに幸せな人生を送っていた。
だが、そんな彼の平穏な日々はつい一昨日、親友であり恩師とも言える人物から知らされた情報により唐突に終焉を迎えてしまう。
彼は他の
夢幻会会員と同様に日米同時多発テロ以降、多くの苦労をもって再建された平穏な日常を護る為の労を惜しまない。だからこそ、1人執務室にいた。
「正純君、こちらに連絡を入れたという事は何かわかったのか?」
苦い顔をしながら画面に向かってそう言うと、執務机の上にあった画面には大柄でかなり厳つい風貌の男性、帝国軍軍人にして、現在ではIOP系列の民間軍事会社であるGK警備社長である本多 正純が映っていた。
『はい。総帥からお借りした404によって、放棄されていたものですが奴らのアジトだった施設を発見。これの確保に成功しました』
「結果は?」
『・・・施設には生存する関係者はおらず、関係性の薄い職員および児童のみでしたので事情聴取しても大した情報はえられないとの事でした。そのため、残っていた各種データから判断した結果ではありますが、・・・黒との事です』
「そうか・・・、わかった。直ちに増援部隊を送って施設の保全を行ってくれ。こちらから追加で指示を出した場合を除いて、警察であろうと施設には一歩たりとも近づかせるな。当然、第一級戦闘装備の使用を許可する」
『すでにアンカレッジ支社より即応待機中させていた1個中隊を空中展開させております。』
手が早い事だな。追加で何かわかり次第すぐに連絡をくれ。
伊藤はそう言い終わると、本多との通信を切った。そして、自分のズボンのポケットに入れていた《飛ばし携帯》を手に取り、それを使って別の場所に電話をかける。
「私だ。・・・・ああ、確かに黒との事だ。施設はこちらで抑えている。・・・もちろんだ。そちらの権限を使って無茶をしたから、さすがに内務省や司法省もこちらの動きを訝しんではいるだろうが、そちらの支援もあって未だに詳細までは掴んでいないだろう。
- ああ、分かっている。こちらで得た情報は随時そちらと共有する。すでに本多君から情報が来ているだろう?
- そう何度も念押しをしなくても大丈夫だ。私達は民間企業だ。そこらへんはわきまえているよ。それに内務省や司法省と全面戦争は勘弁したいしな。
- 何?次回のモバマスイベントのプロダクション上位者報酬はしまむーだと・・・? それは本当か?
- わかった。有力な情報に感謝する。こちらもプロダクションメンバーの仕事を調整しよう。・・・では次は会合で」
925: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 15:13:37 HOST:sp1-72-9-116.msc.spmode.ne.jp
西暦20█ █年█ █月█ █日 大日本帝国領アラスカ県 █████市 郊外
大日本帝国唯一の北アメリカ大陸領土であり、北米大陸でも有数の規模を誇る自治体であるアラスカ県。その県都であるアンカレッジ市街から濃厚な葉緑に覆われた山道を車で2時間弱ほど進んだ中に、森林を切り開いて作られた広大な施設が存在していた。
その施設は表向きは厚生省児童家庭局の管轄する社会福祉法人の1つ、いわゆる児童養護施設であり、実際に多くの児童たちが生活しているとされていたが、塀で囲われ、複数の警備ロボットが塀の上を巡回しているなど物々しさを隠そうともしておらず、その異質さを放っている。
施設へと至る道には、道路照明灯は存在せず、僅かな防犯灯が照らす光しか存在しない儚いまでに漆黒に取り込まれており、自動車等のエンジン音が遠くからでもわかるほどの静寂が一帯を支配していた。
そして、その道から外れ、外灯の光すら届かず完全に漆黒の闇が支配する森林の中に蠢く影が複数。
『――こちらセイバー、アーチャーとともに目標地点αに到着。ダミー部隊もθに展開完了。情報通り外壁には警備ロボットが巡回中よ』
『――マスター、こちらでも確認したわ。米Secret scope社製の民生用警備ロボットSQ-11ね。それはこちらで排除するからそれまで待機。《鷹》と《鼠》の展開準備を進めておいて』
『――ランサー、了解(コピー)。』
彼女らは声を発さず、電子の上でのやり取りを続けていく。
『ーールーラーからランサー、そっちの状況は?』
『ーーこちらランサー。目標付近にダミーの展開を完了!マスターからの指示があればすぐに動けるよ!』
『――上々。それじゃあ、仕掛けるわよ』
ルーラーと呼ばれた少女が電子上でそう言い切るや否や、塀を動いていた警備ロボットが全て一時的に停止。その後、すぐに再起動した。
『――ルーラーよりセイバー。警備ロボットのシステムと監視カメラは掌握したわ。《鷹》と《鼠》の展開を開始して』
『ーーセイバー、了解(コピー)。ところで、これはもっと早く投入してもよかっんじゃない』
セイバーから応答が入ると同時に、彼女らが展開している場所から複数の鳥のようなものが幅いていった。
『事故の可能性は最低限度まで下げて欲しいとの上からのオーダーよ。それと《鷹》と《鼠》の操縦権と情報はこっちに回して』
『わかっているわよ。すでにそちらにまわしたわ』
そう返答がくるや否や、空を飛ぶ《鷹》や《鷹》から施設内部に空中投入された《鼠》から送信される映像データや指向性超音波、赤外線スキャンによって得られたデータがデバイスに送り込まれ、それが網膜投影システムを通してルーラーの視覚に投影されていく。
それからしばらく動きはなく、時間だけが過ぎていった。
『――ルーラーより各位。情報は各位のデバイスに送ったから確認して。』
その通信と共に3人の視覚には《鷹》と《鼠》が収集した情報が、ルーラーと同様に網膜投影システムを通じて各員にも送られてた。
『――セイバー、確認したわよ』
『――アーチャー、同じく確認したよ』
『――ランサー、確認したよ!』
『――ルーラーより各位。送った情報を確認したからわかっていると思うけど、施設の構造および警備は事前情報と大きく違いないわ。作戦に変更なし、遠坂分隊は施設内に突入して警備室を抑えて。交戦規定に変更はないから気を付けてね』
『――了解(コピー)』
電子の上での通信は途切れる。
「そういうことだから、行くわよアーチャー」
「えぇ~。行かなきゃダメ?」
小声の声が聞こえたと思うと、それまで森林の一部だった場所が動き出し、偽装服に身を包み、次世代型戦闘光学照準器(ACOG)と消音機、さらにマスターキーを装備する10式自動小銃を構えた一人の少女があられ、隣の草原、よく見ると同様に偽装服に身を包んでいる小柄な少女に一蹴り入れる。
「目は覚めたかしら。覚めたならダミーに火を入れて突入するわよ」
「わかったよ。だから、ライフルのセーフティを解除しようとしないで」
926: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 15:14:34 HOST:sp1-72-9-116.msc.spmode.ne.jp
そう言っていつもの漫才を終えると、さらに八体の人形たちが姿勢を下げながらも立ち上がり、静かに、だが素早く塀にむかい走り出す。塀までたどり着くと、半数が塀を背にしてバレーのアンダーハンドパスをするように手を組み、前に突き出した。そして、残りの半数は手助けを受け塀の上に手で掴み、顔だけをだして周囲を素早く施設内を見回す。敵の目が無いことを確認すると、そのままよじ登り、残りの半数の人形が塀を上る手助けをおこない、全隊員が施設内に侵入した。
『__セイバー、アーチャー、お客さんよ身を隠して』
《鷹》と《鼠》を使い、空地双方から戦域を監視しているマスターからの通信が入るや否や、彼女たちは遮蔽物に身を隠し、じっと静かに身を隠す。すると、非武装の少年と少女が監視カメラを気にしながらこそこそと身を隠しながら彼女達の目の前を横切っていく。
『__どうやら夜のラブロマンスって感じだけど、どうする?』
セイバーはルーラーに彼らをどうするか確認する。
『__こちらでも確認したわ。ここら辺一帯の通信手段は断っているし、武装もしていないし問題はないでしょう。一応、念の為に《鼠》を一体監視に付けるけるから、貴女達はそのまま警備室の確保を急いで』
少年少女たちが完全に横切ると、その方向とは反対方向に人形たちは走り出す。
その後はこれといったトラブルに遭遇することはなく、遠坂分隊は目標の警備室がある施設まで到着。セイバーは物陰に隠れながら自身が操作するダミー人形、独自の疑似人格を持たずホスト機が遠隔で指揮を飛ばす方式の自動人形、を突入口付近に接近させ、扉に掛かる電子ロックを解除する。
『__施設内の警備システムも停止させているけど、さすがに巡回している警備員とかまではどうしようもにあから頑張ってね』
突入する寸前にマスターから通信が入る。そして、その言葉が終わるのを合図にするかのように十体の自動人形が施設内部に突入した。すでに消灯時間を過ぎて数時間以上がたっている施設内部は最低限の淡い照明しか存在せず、その雰囲気はまるで深夜の学校のようなどこか不気味な空気であった。
「ここからは時間との勝負よ。」
そう眠そうに目をこするアーチャーにいいながら、セイバーは銃を構え、自身の神経を研ぎ澄まし、全方位を警戒しながら目標である警備室を目指して、アーチャーとともに進んでいく。
警備室まであと一歩というところで異変に気がついたセイバーが言った。
「止まって」
分隊を構成する人形は直ちに停止し、階段の壁にその身を隠す。
「__♪」
おそらく施設の当直だった人間であろう。前方からはライトをもった人間が夜の巡回中なのか鼻歌を歌いながら彼女たちのいる階段に近づいてきていた。
処理するか・・・
セイバーは一瞬の間に近づいてくる人間の殺害までを視野いれて対応を検討するも、交戦規定もあり、結局は気絶に留めて置くことにした。
『__セイバー、処理する?』
アーチャーから通信が入る。どうやら、彼女もまた近づいてくる人間の対処を考えていたようだ。
『__私たちは自由に発砲する権限があるけど、警備員以外の非武装の人間を殺してしまったら厄介な事になるわ。ここは優しく気絶させるよ。』
それから十数秒後、下の階に降りようと階段にさしかかった職員はセイバーにより優しくない締め技をくらい、その意識を落とす。
『__うぁ~目覚めは最悪だろうなぁ』
アーチャーの無駄口を聞き流しながらセイバーは落とした職員の手を後ろに回し、両手の親指をバンドで拘束して放置する。少なくとも、この時点で職員は頭痛を感じながら最悪の目覚めを向かえるだろう。
警備室前に到着した彼女らであるが、当然ながら警備室に入る扉には鍵が掛かっていた。
927: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 15:16:14 HOST:sp1-72-9-116.msc.spmode.ne.jp
しかし、予算の問題で軍にすら導入されていないIOPの最新鋭システムを全乗せした自動人形のハッキングに耐えられるだけの強度を高々民生品の電子ロックが備えているはずがない、そう思いハッキングを仕掛けたセイバーであった。
だが、どういう訳か、警備室の電子ロックは民間に流れているものではなく、本来なら軍や情報機関などの高いセキュリティーが施されなければならない官庁にのみ供給されているものと同じクラスセキュリティー高度が施されていた。
IOPの最新の技術がふんだんに使用された最高クラスの素体を使用しているがゆえに、ハッキング自体は難なく可能であるが、当然、いくら警備室とはいっても児童養護施設にはこんなたいそうな電磁ロックは必要ないし、そもそも特別な許可がないと団体には供給されない代物である。とてもではないが一介の社会福祉法人ごときが用意できるものではない。
セイバーは相変わらず厄介な仕事にあてられる自分の悪運の強さを電脳の中で愚痴りながら電子ロックに対してのハッキングを完了させ、突入準備が完了するや否や一秒も持たずにロックが解除される。
ロックの解除にあわせて扉を勢いよく開き、ダミー人形を次々と室内に突入させる。室内は3人の警備員がおり、セイバーにとって都合の良いことに彼らのうち一人は見回りの為だろうか、腰のホルスターに拳銃を装備してた。
セイバーと彼女の指揮下のダミー人形は彼らに向けて銃口を向け、人差し指をトリガーに添えた状態一瞬動きを止める。そして、セイバーはあまり声を出さず、されどしっかりと相手に伝わる程度の大きさで言葉を出す。
「手を頭に載せて腹ばいになれ!!」
3人の警備員のうち、椅子に座り監視カメラを見ていた二人は何が起きているのかを認識できないのだろう。どこか啞然とした表情で硬直するが、不幸なことに経験が豊富だったのだろう。拳銃を装備し、見回りに出ようとしていた中年ぐらいの警備員は即座に、緊急ボタンであろう何かしらのボタンを押そうと動き出そうとする。
しかし、その動きは瞬時にセイバーに把握され、その男性に銃口を向けていたダミー人形に指示を出す。ダミー人形は動き出した男性の頭部に照準を据えたまま、受信した指示のとおり引き金を引いた。
パンッ!!__引き金を引いた瞬間、10式自動小銃の銃口から一線の弾丸が放たれる。消音器が本来なら発せられる爆発音を完璧に抑え、機関部からの甲高い金属音と弾丸が空気を切り裂きく音が部屋の中に鳴り響く。
銃口から放たれた弾丸は引き込まれるように、運動力学に従い男性の頭に向かい突き進み、命中。圧倒的な威力を誇る7.62mm×51mm弾が命中したことにより、動き出した男性の頭部からとても鮮やかとは言えない、どす黒い赤色が床の上にぶちまけられ、男性は慣性の法則に従うように倒れ、2度と動き出すことはなかった。
その光景は、それまで何がおきているか理解できなかった残り二人の警備員の脳に現実を突きつけるには十分なものであった、彼らの呆けたような一気に恐怖一色となり、顔色は真っ青になり、表情に変わる。
警備員の顔色の変化を認識しながら、セイバーは人を殺害したことに何の感情も感じさせない、声でもう一度同じ言葉を発する。
「声を出さず、手を頭に載せて腹ばいになれ」
その言葉はアラスカの冷気をまとったように感じられ、警備員達はそれ以上抵抗らしい抵抗を見せずに口と目を塞がれた状態でセイバーらに拘束され、遺体に至ってはそのまま部屋の隅にかたずけられる。
『__セイバーよりルーラー。警備室は抑えたわよ。被害は0、ただ警備員一名を射殺せざるを得なかったわ。一応、これで施設の警備は完全に沈黙したけど、目標βも私たちで抑える?』
『__警備員なら依頼主もそこまで強く言わないでしょうから問題はないわ。私とランサーは目標θを抑えて、そこから目標βに向かうからそこで合流しましょう。ただし、アーチャーは予備戦力も兼ねて警備室で待機』
『__了解』
『__わかったよ』
「それじゃあ、私は行くからしっかりと守りなさいよ」
928: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 15:16:51 HOST:sp1-72-9-116.msc.spmode.ne.jp
通信が終わるやセイバーはアーチャーにそう言い部屋を出る。施設の警備を完全に掌握したが、掌握前と同様に、いやそれ以上の警戒心を心に抱き続け、銃の構えを解かず、周囲への警戒を続けながら目標β、施設内の特別棟に向い足音を立てずに音を殺しながら駆け出す。幸い、すでに丑三つ時ということや子供たちの生活スペースを避けた事、さらに監視カメラにより施設を監視するアーチャーからの誘導もあって、施設にいる子供達や施設職員と鉢合わせするようなトラブルもなく、目標まで到着する。
いくらかの回り道を強いられたといっても、直接むかったセイバーに対して別の目標を制圧してかえdらくるルーラーとランサーがくるまでしばらく掛かり、その間、彼女と彼女が指揮するダミー人形たちは暗闇の中、息を殺して待機する。
「遅かったわね」
ルーラーに対して皮肉気な微笑みをみせながらそう軽口を叩く。彼女との付き合いも長いし、無駄だとはわかっているが、それでも私のメンタルに従いいつもの通り行ういつもの事だ。
「あら、よく待てたわね。いい子いい子してあげましょうか?」
ランサーとともに合流したルーラーもこちらに対して皮肉を返してくる。
「軽口を返せる元気があるなら大丈夫そうね。それで、成果は?」
「どうやら夜逃げしたみたいでね、最低限必要な資料しか確保できなかったわ。」
これじゃあ、追加の報奨金は貰えないわね
ルーラは内心を悟らせない不気味な笑顔を浮かべながらそう気軽に言う。
苛立たしい。
「それじゃあ、御開帳♪」
まるでイベントの開始を告げるかのような軽く明るい声色のマスターの声が聴覚センサーからセイバーのAIに届いたのとほぼ同時にルーラーにより執務室の電子ロック、民間には流通しておらず、軍や情報組織、一部の官庁などでセキュリティー レベル3以上の情報を扱う部署しか手に入れられないレベルの強度を誇るもの、が解除され、先頭のダミー人形が静かに扉を空け、武装した少女達は銃を構え室内に突入していく。
「ワオ♪、調べがいがありそうね」
扉を開けてそうそう、楽しそうなマスターの声が聞こえてくる。
929: ホワイトベアー :2022/03/14(月) 15:17:46 HOST:sp1-72-9-116.msc.spmode.ne.jp
以上、小ネタである廃棄物処理前篇をおくらせて頂きました。
wikiへの転載はOKです。
最終更新:2022年03月20日 12:51