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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行十二冊目



アインビルside


戦艦リシュリューの停泊する夜の帳の降りたサセボの埠頭。
ファーダリシュリューはファーダジャンスールを従え、その埠頭戦艦リシュリューへと続くタラップの前で戦闘服を纏い腕を組みピンと背筋を伸ばし立っている。
その後ろにはロボットスーツ…彼ら風に言うならばrobe(ドレス)やarmure(鎧)と表するべきか…しかし艦内戦闘も考慮しているのか中々にスマートである。
まあ兎に角それを纏うリシュリュー艦長始め戦艦リシュリュー臨時陸戦隊の者達が何かあればファーダを守らんと控えている。
だが戦力差考えるとファーダが守っている形になる。
しかし何故この様な時間に外に出ているのかと言えば、


「彼女は来ますかな…。」

「来るわ必ず、だって長く接しているあの子(戦艦リシュリュー)が言ったのよ?」

「ああ確かに…我らが指揮官がそうおしゃったのならばその通りでしょう…。」


艦長の呟きに答えるファーダ。
ファーダがあの子と戦艦リシュリューの艦魂を表したのにも驚くことなく同意する。
既にファーダと彼らFFRの奉じる女神は別人であると説明した…まあ若干嘘も混ぜてあるがそこは方便として許して頂きたい所だ。
我らが住む神崎島がある種霧の向こうとも言えるのだから。


「ああ…まさか陸からではなく空から来るとはね…。」


ファーダが空を見上げると全員が視線を上げ固まり中には祈りだす者も出る始末。
それでもしっかりと銃を構える辺り軍人としての練度の高さを物語る。


「おお…我らが指揮官よ…。」「Notre commandant…我らFFRを守り給え」


フヨフヨと浮かぶ空飛ぶ円盤、それを見て艦長は叫ぶ。


「レーダー見張員はどうしていた!!ここまで、戦艦リシュリューの直上まで接近を許すとは…!!」

「艦長しょうがないわ…多分探知偽装してたのだから…いえ光学・電磁・空間・質量的にに完全なアクティブステルスと言った方がわかりやすいかしら?」

「なんと…!ティ連の艦船や機動兵器の調査から保有するだろう技術としてFFR科学陣より理論上という但し書きですが提言されていましたが…実際にこうして見るとは…。」


さも脅威だという感じの艦長、どちらかと言うと実際に触られないのに推察したFFR驚異の科学力に私はびっくりである。
電磁波や光学的な探知偽装くらいは近い将来というか既に実戦配備してもおかしくないのではないか?
この世界と我々の世界の技術の差には驚かされる。

まあ兎に角その円盤、いやフォーラを見る。
旭日旗ではなく日章旗が描かれていることから恐らくは日本政府専用機系の機体であろうから非武装であろう。


「あの機体は非武装の軍以外の日本政府機関の機体でしょう。あまり心配することはないかと。」

「そうね。ぱっと見(走査)たけど武装は存在しないわね。」


ファーダの言葉に銃を下ろす軍人達、その時フォーラから光の柱が伸びると幾人かが姿を現した。
その内の一人がファーダを呼びその下へと駆け寄る。

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「Notre commandant!!」


軍人たちは再度銃を構えるがファーダはそれを静止し、体当たりの様に突っ込んでくるその人物をその腕で抱きとめる。
そしてその人物はファーダの背中に手を回し抱きつくとその腕の中でわんわんと泣き出した。
その光景に銃を降ろす軍人達であったが彼らの表情には困惑の度合いが大きい。


「あらあら…あの子の言う通り甘えん坊さんね…マリー…。」

「だ、代行!?」


ファーダの腕の中で泣きじゃくる人物…それはマリー・マフタンFFR大統領であった。
普段の姿からは想像できないマリー・マフタンの姿に狼狽える艦長。
その姿を見て何やらFFR軍人達はボソボソと話をしているので耳を傾けてみる。


「(あの女傑ですら子供の扱い…現世の方ではないとはいえやはり我らが指揮官…!!)」

「(ああ、あの大統領ですら幼子の様になってしまうバブみ…やはり全てに勝る我らが母…!!)」

「(Notre commandantの尊みが溢れておられる………しゅき………!!)」


何なのだ……これは?どうすれば良いのだ……?(ティルクマスカ銀河猫状態)






ファーダマリーらFFR首脳陣に続きファーダ柏木がフォーラから降りてきた。


「いやあまさかあの智謀大統領がこんなになるとは…ね…。」


頭を掻くファーダ、どういうことかと尋ねるとファーダの下に大統領が突撃してきたらしい。


『私達をNotre commandantの下へ今直ぐに送ってほしい…!!』


それはもう見事な頭の垂れ方だったそうであるが何か非常事態でも戦艦リシュリューの方で起きたのかとフォーラを飛ばしてきたそうだ。


「我々に一報入れて転移装置使えば良かったのでは?」

「あ…!」


その手があったかと零すファーダ、思いつかない程大統領らは鬼気迫る表情だったのだろう。
そしてファーダリシュリューの方へ視線を向けるが…ある種修羅場になっていた。


「どういうことなのです…Notre commandant…!我らを…FFR国民を残して霧の向こうに帰られるとは…!」

「いや…だから…あのね?マリー、お話を聞いて頂戴…ああもう泣かない泣かない。ほら、鼻水も拭いて…。」


只々泣きじゃくりいやいやと首を振りファーダの話に聞く耳を持たないマリー・マフタン。
対し泣きじゃくる彼女をあやしながらも天を仰ぎ遠い目をするファーダリシュリュー。
その光景は何処からどう見ても駄々っ子な娘とそれに困ってしまった母親にしか見えなかった。


「…ああ、もうどうしたらいいのよ…!!」


ファーダの声が夜のサセボに響いた。

122: 635 :2022/02/12(土) 16:13:33 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
短いですが以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2022年04月04日 10:35