945: 635 :2022/03/25(金) 19:23:45 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその七十五



ディルフィルドアウトした戦艦大和、側には同行する千鳥型人型可変機動艇の千鳥とともづるの存在がある。
ディルフィルドアウトすると三隻の乗員達は慌ただしく艦体のチェックを忙しく始める。

その内の大和の艦橋、分かっていた筈だがゲート側の柏木は目の前の光景を見て自分の頬を抓る。
目の前に広がるのは赤い戦神の星のハズ…だがなんか自信が無くなる。


「なあ俺、俺の目の前の火星の筈だよな。」

「ああ間違いないぜ、俺。ティアマト様がソウセイしたがな。」


銀連日本の自分に問いかけるがソウセイという理解し難い言葉がその口から紡がれる。
そんな柏木の目に映るのは蒼く輝く火星、ティアマトの権能により水の星となったが予想以上の水の出現で銀河連合日本では彼らの世界の火星と区別するためにアクア(水の星)と呼ばれる星。
その言葉に同じゲート側のフェルが反応する。


「ソウセイ…デスカ?テラフォーミングではナク?」

「テラフォーミングは惑星を居住可能な環境に改造することデスカラネ。ティアマトサマの行なったのは世を創ると書いて"創世"。
環境改造だけでなく生命を育み生態系そのものも同時に生み出したのデス。マア、気合入れすぎた結果地球の中生代、およそ2億5217万年から6600万年前の地球環境と生物相になってシマッタ訳デスガ…。」

「中生代って…恐竜の時代じゃねえか!?」

「実際恐竜も居マスヨ?」

「マジで!?」

「神というのは凄まじいな…。」


ゲート側と銀連側のフェル同士の話を聞いて驚く白木らだが、その後にプロトケラトプスがウマいだのアンモナイトの浜焼きもいけるだの話になるとえらく食いついて来た。やはり日本人か…。
なお今回のゲート日本側の人員は柏木、白木、大見の同級生トリオに加え藤堂や多川など向こう側でも同じみの面々が派遣されている。
ヤルバーン側はフェルにシエにシャルリ、みんなの解説役ニーラ先生もいる。


「はあ…生まれるまで数十億年掛かった生態系まで構築してしまうとは…ホントの意味で神なんだなあ…。」


ぼそりと呟く多川、その言葉にニーラは疑問をポツリ言う。


「カミサマって何なんでショウ?」

「神様が何か、かあ…。」

「あー、すごい存在って漠然と思ってただけで深く考えたこともねえなあ。」

「ワタシ達の言う創造主とも少し違うみたいデスシ…。」


ゲート側の柏木や白木達、フェル達もその疑問に頭を捻る。
その光景を見てウフフと笑う銀連日本のフェルと柏木。
その二人に神とは何かと問えばその返答。


「尋常ならずすぐれたる徳のありて可畏き物を迦微とは云なり…だな。」

「本居宣長の言葉じゃねえか!?」


銀連の柏木の言葉にそのサヴァンな脳味噌で覚えていた知識て返す白木に銀連のフェルは言う。


「フフフ、でもシラキサン、神サマとはそういうものなのデス。
進んだティエルクマスカの人智の及ばぬ所がある方々、荒ぶれば災禍を振りまき鎮まれば幸を齎す尋常ならざる畏き御方達。
それは天照サマでもティアマトサマでも、救い主のお父サマでも変わらないのデス。
無闇矢鱈と恐怖からの排斥や凄いからと頼り切ってはいけまセンガ…。」

「そうだな…あの方々は崇め奉るべきだが頼り過ぎりゃあの大西洋異聞帯みたいな神の従属物と化す。」

「ソシテ、ワタシ達の世界の畏き方々はそれを望んでマセン。子が自らの足で立ち神々の理にすら抗うこと、考える葦であり続けることを望まれてイマス。」

「神仏を尊びて、神仏を頼らず…か…。」


その時この場に居ないはずの声がする。

946: 635 :2022/03/25(金) 19:24:34 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp


「『毅き仔よ、創世の理に抗え』、汎人類史のティアマトお母さんも同じことを言っていました。」

「マシュサン!?」

「もう動けるのか!?」


その場にいる者達が振り向けばティアマトと一緒にいる見慣れたマシュの姿があった。
全員の反応にニコリと笑うマシュ。


「無論マシュちゃん本人の身体ではありません。ゼルシステムで仮想造成した遠隔型の義体の様なもの、なのです。本人は医務室で眠ったまま意識が義体を操作しているのです。」


尾を揺らすティアマトの後からちょこんと顔を出した電が補足し、そんな技術があるのかとみんなが驚いく。その電の後ろにはシビアが着いて来てたりする。


「本来はシビアさん達、ゼスタールさんの技術なのです。
あの人達は見た目は生身に見えます今のマシュちゃんと同様に仮想造成された仮初の肉体です。
ナーシャ・エンデと呼ばれる場所より意識をカウサと呼ばれる器に移して行動しているのです。」

「シビアっていうとそっちの?」

「肯定である。」


一緒に来ていたシビアも肯定する。


「デモ、ゼスタールという主権体はティエルクマスカでも聞いたことありまセンネ…。」

「確カニナ、ソチラノティエルクマスカニシカナイ加盟国カ?」


ゲート側のフェルとシエの疑問に銀連側の人員はアチャーという顔をする。
その反応にゲート側の皆は疑問顔だ。


「ウン…完全に言い忘れてマシタ…。」

「俺もだよ…フェル…。」

「ドウイウコトダ?」


銀連側の柏木とフェルの会話の内容に問い掛けるシエ。
一つ溜息を吐くと銀連のフェルはシエに言う。


「アノデスネ、シエ…。ガーグデーラのことは分かりますヨネ?」

「当然ダロウ?長キニ渡リ争ッテイル相手ナノダカラ。ソノ正体ハ謎ダガ…。」

「ソレ、ゼスタールサンなのデスヨ。」

「「「ハァっ!?」」」

「デスから、ワタシ達がガーグデーラと呼んでいた存在はゼスタール合議体という主権勢力。シヒアサン達のことナノデス。」


銀連のフェルがそう言いシビアに目配せすると意図を察し、シビアはコクリと頷き仮想造成を解除する。
シビアの仮想造成体、カルバレータがの仮想造成が解除されるとゲート側のフェル達が見知ったものが現れる。


「ドーラコア!!」


シャルリが叫ぶ。
直様、シャルリとシエは粒子ブラスターと近接武器を造成するとフェルとニーラをその背に隠し威嚇する様に険しい顔をしシビアのドーラコア、カウサへ武装を向ける。
フェルも武装を造成しニーラを抱きしめそのニーラも小型の武装を造成し不慣れながら武器を向ける。
シビアが再度身体を仮想造成するが反応は変わらない、見たこともないヤルバーン乗員の姿にポカンとするゲート日本の人員達。
緊張が高まり一触即発となったその時、


「やめんか!」

「ムギュ!?」「オゥ!?」


スパーンッ!というイイ音が艦橋に響き渡る。
音源はシエとシャルリ、その背後には全力でハリセンを振り下ろしたナヨさんの姿があった。


「フェルにニーラやゼスタールの者達がここに居るのはティ連との諸々の問題が解決しておるからに決まっておると少し考えれば分かるでしょう?」

「デスけど…。」

「デスもへったくれもない!ココで武器をゼスタールの者達に向ければこちらとあちらのティ連双方間の問題となりますよ?」


溜息をつきながらゲート側のフェル達を諌めるナヨ、なおシエとシャルリはナヨさんの全力のハリセンでの一撃に頭を抱え暫し悶続けていた。
なおこのことで連合安全保障案件として急ぎ銀連の柏木は銀連のゼスタールにゲート側のティ連とゼスタール間の紛争解決の仲介を依頼、仲介の為に合議体の一つがゲート側ティ連に派遣されることとなった。

947: 635 :2022/03/25(金) 19:25:12 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



「さてそろそろ星に降りても宜しいでしょうか?」

「あ、はい大丈夫です。大和さん、あ、いえ伊邪那美様。」

「どちらでも構いません。降りている状態では思考はほぼ一致していますから。」


艦橋の者達が落ち着いたのを見計らい伊耶那美を降ろしている大和が問うとゲート側の柏木が了承の返事をする。
そこでゲート側のフェルが疑問を言い銀連のフェルが疑問に答える。


「そういえばナゼ一旦この惑星に降りるのデスカ?そのままメイオウセイまで行けば…。」

「向こうの環境に適合出来るか、行く前にこの星に降りてテストするのデス。大丈夫ならそのまま行きマスシ駄目ならそれ相応の処置をする必要がアリマス。」

「エ?私達ナノマシンを投与してマスシ、必要ならシールドを展開スレバ…。」

「イエ、そういうことではなくてデスネ…。」

「あーフェル、実際体験して貰えば理解るだろ?」

「デスネ…。」


二人のフェルの会話に入る柏木の言葉に銀連のフェルは同意の言葉を言う。
疑問を遮られたゲート側のフェルは若干モヤモヤを抱えた表情をする。


「では降下を開始します。」


大和の言葉と共に純白の艦体が火星、アクアの大気圏へと突入を開始しゲート日本の人員の表情が強ばる。
しかし何事もないように大気圏を降りていく大和。


「なんか拍子抜けだな。」

「なんかこうもっと大気との摩擦とか凄いGとか想像してたんだが…。」

「世界ハ違エドティエルクマスカノ技術ナノダコノ程度ナンテコトハナイ。」

「そうさね。このくらい普通、普通。」


拍子抜けするゲート日本の者達に何言ってるんだという様子のナヨ様渾身のハリセンから復帰したシエやシャルリ。
その間も大和は大気圏を通り、雲の層に差し掛かる。
その雲の層、数十秒だろうか少し長く感じる雲を抜けた。
すると、どこまでも青い海と空、そして緑の大地が皆の視界に広がる。


「わぁ…。」

「スゲエ…。」

「これがものの一月前に生まれたとは思えんな…。」


大和は気を利かせ艦橋の壁面に外の光景を透過させる。
皆、雄大な人の手の全く入っていない原初の自然に言葉を奪われる。


「ア、アレは鳥!?」

「随分デカイゾアレハ!!」


ゲート側のフェル達の言葉にゲート日本の者達が振り向けば図鑑などで見慣れた恐竜時代の空を代表するその姿が大和の直ぐ側、手を伸ばせ届きそうな場所を飛ぶ。


「翼竜、本物だ!!」

「ありゃプテラノドンだ!間違いねえ!」


サヴァンな脳な白木が空舞う竜、翼竜プテラノドンの名を叫ぶ。


「まだまだいるぞ!!」

「ウソ…。」

「凄い…。」


空を飛ぶプテラノドン達、気づけば戦艦大和は空を飛ぶプテラノドンの群れの中にいた。
何匹かのプテラノドンは戦艦大和を先導するかの様に飛ぶ。
その姿はまるでゲート側の柏木達の来訪を歓迎しているようで皆は感動しっぱなしだ。

948: 635 :2022/03/25(金) 19:25:51 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp



その時異変は起きた。
ゲート側の柏木の視界がぐにゃりと歪み柏木は膝をついた。


「クッ!?なん…だ…これ…。」

「始まったか…。」

「マアこうなりマスヨネ。」


さもありなんといった感じの銀連日本の柏木とフェルの言葉が遠くに感じられる。
頭が割れそうな程に痛い、腹の奥が吐き戻しそうな程に重く気持ち悪い、平衡感覚も失われ今にも完全に床に伏せてしまいそうだ。
なんとか周りを見回せばゲート側の日本人はおろかヤルバーン乗員たちですら自分と同じ状況、平気なのは銀連日本の者達のみだった。


「一体…何が…?」

「神代の環境に適合出来ていないだけデスヨ。マサトサン。」

「あいよ。」


手足をつき自身の身体をなんとか支えるゲート側の柏木が理解出来ないことを言う銀連のフェル、彼女が夫の名を呼ぶというと彼は靴音を鳴らし伏せている柏木に近づき何かを懐から取り出す。


「魔力酔いや神秘への耐性無し…ま、理由は色々とあるが俺らの世界と同様に神代に近くなった火星の環境に耐えられる身体じゃないってことだ。言っちまえば今のお前さんは海に放り出され塩分を排出出来ず藻掻き苦しむ川魚みたいなもんだ。」

「そ…れは…?」

「ナノマシンの一種だ。これ射ちゃ身体が楽になるからじっとしてろ。」

「ナノマシン…?でも…ティ連のナノマシン射ってるヤルバーンのフェルフェリアさん達は…。」

「ソレはワタシ達イゼイラ人が発見したトーラル文明のものではありません。ワタシ達日本人が継承した文明の遺産。存在そのものを否定されたオリュンポス文明のナノマシン【テオス・クリロノミア】、その劣化コピーデス。」


フェルの言葉の終わりと共に柏木の首にナノマシンが射たれる。
フッと身体が楽になるが同時に意識が遠のいていく。


「目が覚めれば完全に適合してるから暫く寝とけ。」


銀連日本の自分の言葉を最後に柏木の意識は暗闇に落ちた。

949: 635 :2022/03/25(金) 19:26:33 HOST:119-171-250-56.rev.home.ne.jp
以上になります。転載は先程のではなくこちらをお願いします。

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最終更新:2022年04月04日 10:37