61: 弥次郎 :2022/04/01(金) 20:44:56 HOST:softbank060146116013.bbtec.net

憂鬱SRW ファンタジールートSS「ゴート・ドールは踊らない」証言録



「……もう一度聞く、フラワー。一体、何が、あの国で、あったのだ?」

  • エネラン戦略要塞でマロニーらのやらかしの報告を受けたリーゼロッテ、怒りのあまりあふれ出る魔力で要塞全体をぐらつかせる。





「(放送禁止用語)、(自主規制)(中略)(見せられないよ!)(検閲済み)!
 ブリテン島だったものにしてやる……!これだからあの島の勢力はいけ好かないんだ!」
「おやめください!」
「流石にそれはまずいです、リーゼロッテ様!」
「誰か応援を!ご乱心だ!」

  • 格納庫に突っ走り、自分のMPF「ハーロット」を動かそうとするリーゼロッテを止める「ティル・ナ・ローグ」メンバー。




「悪い冗談だと言ってくれ……」
「……リーゼロッテ大佐」
「……嘘だと言ってくれ、なんで、なぜ、こんな、こんな……」
「リーゼロッテ様、こちらに……申し訳ありません、ショックが大きすぎますので、少し……」
「そうしたほうがよさそうだ……見ていて、気分がいいものじゃない」

  • ウォーロック開発や改造に使われ、残骸となったMPFやその証拠となる資料を前に、崩れ落ちるリーゼロッテ。






「私の、私の子供だぞ!私の、私が心血を注ぎ、私の持てるものを与え、私が命を吹き込んだ子供が!
 勝手な思惑でバラバラにされ、訳の分からん兵器に組み込まれ、挙句に味方を襲って死傷者を出した!
 誰がそうしろと願った!?誰がそう扱えと言った!?あの子らが望まないことを、何故強要した!」
「わ、私は上からの命令で……」
「戦場で散るならばまだいい…それも定めだ…しょうがないことだ。
 だが、あの子らは人を守るためのものだ。そのためにこそ生まれた。私が生んだ。そうあれかしと。
 それも伝えたはずだ。貴様らに……だが、実際はどうだ!?戦後でもないのに人に牙をむいた!?暴走した!?そうさせたのは貴様らだ!」
「…………ゆ、許して……ゆるして……」
「……この、私の子供の、子供だったものの、それの遺骸以下の何かを見せられて、許せるとでも!?」

  • 解体され、部品を抜き出され、形をほぼ失ったMPFを横において、ブリタニアのやらかした研究者らを前にリーゼロッテ。彼女の「子」は悲惨な目に遭っていた。





「……頭痛が痛い」
「ああ。まさかここまで大規模にやるとは……」
「リーゼロッテ大佐がぶちぎれるのもわかりますよ。せっかくのアイガイオンが損害を受け、ギュゲスが撃墜とは……」
「こっち(C.E.世界)でも戦いが起きていて、補充などに余裕があるわけでもないのに……」
「現地の部隊には徹底した追及を行うように伝えてください。なあなあで済ませるわけにはいきません」
「当然ですよ。我々の面子も、あちらの世界の国々の面子も、悉く潰したのですから」

  • 夢幻会の会話。アポカリプスの最中でもF世界への援助を続けていたが、決して楽ではない中でのやらかしに、流石に憤りを隠せなかった。





「つまり……特定の誰かやグループではなく、国家の全体が無意識で連動して動いたことで、これだけのことをしでかしたと?」
「はい、メモリースキャニング解析や尋問などでも『核』となるような存在はいませんでした。
 いくつかの組織や個人が協力し合うことはあっても、そのつながりは非常に断片的で、とても組織と呼べる規模ではありません。
 結束としても決して強くない、単なる個人のつながりや伝手などで結ばれ、非常にもろいものでつながっているだけでした」
「しかし、それ故に誰もが何となく、無意識化に誘導されるような形で、少しずつ行動を積み重ねた……」
「反ウィッチや反連合、あるいは同じ学校の同期や先輩後輩、同じ企業や派閥のつながり……見えないつながりか」
「誰も状況をコントロールしていないからこそ、誰もが何となくうまくいく、見逃されていると考えてしまう。
 その結果に何が待ち受けるかも全く理解できないままに。もっとわかりやすく言えば、いわゆる経済的恐慌や風説に流される集団心理に似ています」
「……なるほど。これに似たようなのを聞いたことがあるな」

  • ブリタニア国内の調査についての報告にて。集団的な、あるいは社会的な心理の誘導が働いたとの仮説が持ち上がる。

62: 弥次郎 :2022/04/01(金) 20:45:36 HOST:softbank060146116013.bbtec.net

「本質的にはタイガーマスク運動とか二郎ラーメンの拡散とか、そんな感じよな」
「あるいは笑い男かね?」
「もっと単純に言えば、赤信号みんなで渡れば怖くない、か」
「なんとなくで始まったフランス革命とかも近いんじゃないか?」
「いずれにしてもろくでもない……」

  • ブリタニア国内の調査についての報告を受けて、夢幻会メンバーの雑談。



「しかし困ったことになったな…」
「ええ。表にしては、ブリタニアへの、ひいてはストパン世界への援助を行う動きが世論に批判されるかも」
「かといって、いつまでも隠しておくこともできない。そして世論に押されて迂闊に支援を止めれば、欧州が陥落しかねない」
「実際問題、根っこが深すぎるし対策などが打たれるまで、支援を行っても底が抜けた容器に水を入れるようなものですしね。
 今回のようなことがもう一回でも起こってしまったら、歯止めが効きません」
「ブリタニアが誠意を見せるかどうか、その一点だな」
「ただでさえ戦時の中で、支援の手をあちらに送っていますからね。
 そんな連中など支援せずにこちらの世界に集中しろと世論に言われたら……多少はともかく、否定しきれない」

  • 同じく夢幻会の会合にて。ブリタニアをはじめとしたストパン世界への支援の継続にさえ支障をきたしかねない事態に、民主制故の苦しみを味わうことに。




「株価暴落、為替レートが……おまけに金融が……」
「フリーフォールだー……あっはっはっはー……」
「各国に預けていた資産が凍結……あぁ……胃が痛い……ッ!」

  • ブリタニアの株式市場や金融市場の光景。ストパン各国だけでなく連合の逆鱗に触れたこともあり、一か国だけ大恐慌も顔負けの事態に。



「対MS特技兵?」
「巨大なミサイルを背負ったPSで18mクラスの巨人や付随する兵器や歩兵と戦うだけの簡単なお仕事です。
 あとは強化外骨格を装備して、市街戦などをやってもらうことになるかと。
 そうですね……概要はこちらにあります」
「……こんな兵士が必要なのですか?」
「連合も無尽蔵に戦力を用意できませんからね。
 それに高等過ぎる戦力を与えることができるほど、懲罰兵を信用できるわけでもありません」
「訓練させれば…」
「訓練をさせても無人機より弱いですからね。グレードを下げますと生身の歩兵となりますが?」
「……せめて役に立つ方向でお願いします」

  • ブリタニアの担当者と連合の担当者の会話。とことん信頼が無いことや戦力的事情から、懲罰兵は対MS特技兵や損耗率の高い歩兵や通常兵科に回されることに。



「なぜ夫は連行されたのですか…?それに、この通知書は一体……!?」
「マダム、貴方の夫は良き兵士でした。ですが、国家規模の組織的犯罪に加担したことにより、懲罰兵となりました」
「は、犯罪……?それに懲罰って……」
「はい。軍機につき詳細はお伝え出来ませんが、最前線送りとなりました」
「そんな……子供はまだ小さいのに!」
「……事情はお察しします。ですが、それだけのことをしたのです。
 即座に銃殺刑とならなかっただけ、まだ優しい裁きを下されたのです」
「なんで……どうして……夫は、帰ってこれますよね!?」
「……」
「答えて、答えてください……!どうして……!」

  • 軍の窓口にて。懲罰兵故に、遺族への恩給なども限定され、場合によっては0とされることもあった。そのため、少なくはない悲劇が起こることに。



「本日の着任した人員へのマーキング、完了しました」
「少し待て……こちらでも確認した。
 この手の督戦システムなんてのはやりたくはないんだがな……」
「まあ、脱走されても困りますしね」

  • アフリカ戦線にて。懲罰兵は脱走などを防止するため、ナノマシンの埋め込みによる行動管理や追跡などが可能なように処置を受けた。

63: 弥次郎 :2022/04/01(金) 20:46:09 HOST:softbank060146116013.bbtec.net


「北も南も敵でいっぱい。かろうじて通じているアフリカ大陸横断回廊が欧州の命綱、か」
「新連邦も北米連合も、かなり勢力を広げたがっているようだし…まったく、楽ができん」
「兵器の数は何とかなっても、人の数がな……」
「ああ、だからブリタニアの歩兵を……」
「捨てる神あれば拾う神ありとは言いたくはないがね」

  • ブリタニアからの懲罰兵を受け入れる現地連合軍での会話。生産できないこともないが、人間の頭数が欲されていた。




「人身御供にウィッチの候補生を送る、か……」
「教育終了後は、統合戦闘航空団への優先配備が認めるとのことですが?」
「生き残れば、連合の技術や戦術を学んだウィッチとしてブリタニアに原隊復帰。
 最終的には収支としてプラスにはなる話だ、フラワー。だが、償いにはしてやらんでもないな」
「……そうでしょうか?戦後を見越してのこととも取れますが」
「疑いだせばきりがない。そこは甘んじて受け入れるしかあるまい。
 それに反ウィッチの派閥がどれほど生き残っているかもわからんブリタニア本土よりかは確実であろうしな」
「まさか…」
「未熟なウィッチを殺すのに、大人の側はいくらでも手段がある。
 原因不明なウィッチの集団死が起こっていないのが奇跡だと思っているくらいだ」

  • のちの「ゴート・ドール」となるウィッチ候補生の受け入れにあたって、リーゼロッテとフラワーの会話。





「まったくもー…いつになったら帰ってきてくれるんですかーリーゼロッテ大佐ー!」

  • オーバーロード作戦にリーゼロッテが参加する間の暫定のはずだった広原実、1944年を超えてなおシティシスの指揮を執ることに。






「宮藤が転属……?」
「501での戦果は聞いている。
 だが、彼女は……色々と複雑な立場にある。坂本少佐としては納得はしにくいだろうが、飲んでくれ」
「一体どこに宮藤を連れていくつもりですか?」
「君も知っているだろうが、大西洋上の拠点『エネラン戦略要塞』、そこの『ティル・ナ・ローグ』に配属予定だ」
「ですが、彼女は……」
「死亡したかに思われた彼女の父がそこにいるとしても、かい?」
「えっ……」

  • 芳佳を501へと引っ張り込んだ坂本に連合から通達される、芳香の転属命令。入れ違いだった状態がようやく解消されることに。




「えっ……?」
「だから、君の父上である宮藤一郎博士は生きている。
 現在、大西洋上の『エネラン戦略要塞』にいるんだ」
「え、だって、死亡通知が来て……それで……」
「それが誤りだった。アフリカで事故に遭って、一度は行方不明となったが、発見されている」
「えっ……じゃあ、私、なんで501に……」
「発見されて保護されていざ連絡を取ってみたら、君はすでに501に配属されて欧州で転戦していたからね……。
 一先ず、君の父上と話をしてもらった方がいいかな。はい、電話」

  • 芳佳にも通達される父親の消息。斯くして、彼女は取るものとりあえずエネラン戦略要塞に向かうことに。

64: 弥次郎 :2022/04/01(金) 20:46:48 HOST:softbank060146116013.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
こんなことが第一期とSSの間にありましたよって感じです。
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最終更新:2023年11月03日 10:33