538: ホワイトベアー :2022/03/27(日) 18:41:06 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
日本大陸×ワールドウィッチーズ バトル・オブ・ブリタニア その3

「キル ネウロイ キル ネウロイ キル ネウロイ 任務を首尾良く遂行するならば、ネウロイどもを殺す事ができる」

ーーリベリオン海軍第16任務部隊司令官 ウィリアム・ハルゼー中将の激励より



大西洋洋上を太陽の光の下に東に進んでいく巨大な船団、日本海軍大西洋艦隊とリベリオン海軍大西洋艦隊を総ざらいして編成された世界最大の艦隊である第一連合艦隊はついにブリタニア、いやドーバー海峡をその攻撃範囲内に収めた。

『こちら、大鳳航空管制センター。ロジャー1 聞こえているか?』

『こちらロジャー1、乾度良好。問題ない』

大鳳における航空機運用を司る管制センターからの鮮明な声で通信の確認が行われたのでこれに応える。
戦闘機の前では甲板作業員がカタパルトの最終チェックを行っていた。

『機体状況を報告せよ』

『オールグリーン』

『よし。ロジャー1は発艦を許可する。ロジャー2はロジャー1に続いて発艦』

『ロジャー1、了解。発艦する』

大日本帝国海軍の誇る最強クラスの超音速可変要撃戦闘機である20式艦上戦闘機40型が短距離空対空誘導弾2発、中距離地対空誘導弾6発というフル武装状態で大鳳のカタパルトの助けを受けて空に上がっていく。

『ロジャー1離陸、ロジャー2、射出中』

『ロジャー3、4発艦準備完了、いつでも行けます』

『了解した。管制センターよりロジャー3発艦を許可する、ロジャー4はロジャー3の後に発艦しろ』

『ロジャー5、6もすぐに出すぞ!急げ急げ!』

『カタパルトを休ませるな!』

サイドエレベーターが格納庫から戦闘機を甲板に上げていき、ジェット・ブラスト・ディフレクターの後ろには次に上げる戦闘機が待機して発艦が完了次第すぐに発艦シークエンスを開始できるように準備している。飛行甲板に2基、アングルド・デッキに2基設置されているカタパルトは休むことなく左右交互に航空機を空に上げていた。
大鳳だけではない。大艦隊の中心に配置されている日本海軍の航空母艦の甲板では忙しなく航空機や甲板要員が動き回っており、同様に管制塔と甲板要員の誘導と蒸気式カタパルトの助けを受けて轟音と共に鋼鉄の鳥たちや、幼さを残しつつ精悍さを浮かばせる少女達が次々と飛び立っていた。

「てめえら、いよいよ実戦だ。俺たちの力をジャップや化け物どもに見せつけてやれ!」
「よし行け、VF-6 1番機から発艦開始!!」
「了解。これより発艦を開始する!」

リベリオン海軍も同様だ。リベリオン海軍第61任務部隊旗艦であるエンタープライズを初めとしたリベリオン合衆国海軍の量産型空母である28隻のヨークタウン級航空母艦、その飛行甲板では、リベリオン海軍の最新鋭艦上戦闘脚であるF8F3ベアキャットを纏った少女たちが巨大な魔法カタパルトの助けを受けて空へと飛び立っていき、それに続いてジェット機ではなく旧来のプロペラ式の艦上戦闘機であるF8F4ベアキャットが次々と発艦していく。

F8F4はリベリオン海軍の主力艦上戦闘機であるF8Fに対してエンジンの換装による巡航速度の向上、短距離空対空ミサイルの運用能力の付与などの改修が施された機体であり、旧来のプロペラ式でありながら侮れない戦闘能力を有している。そして、それを操るは精強なるリベリオン海軍のパイロットたち。決して舞台の主役には成れぬが、主演女優たちをより輝かせる名脇役として少女たちの横に立つことができるだろう。少なくとも、この場にいる人間はそう確信していた。


「第1派攻撃隊、全機の発艦が完了しました。到着予定時間、我が軍戦闘機部隊が約40分後、リベリオン海軍航空部隊および我が軍航空魔導部隊が165分後」

第1派攻撃隊としてドーバー海峡に送り込まれる部隊はジェット戦闘機が16個攻撃飛行隊192機、F8F4は42個戦闘飛行隊756機、航空ウィッチは9個中隊108名という数だけ見れば大戦力である。だが、数的主力を担うリベリオン海軍戦闘機部隊の到着までは2時間半以上かかってしまう。

オペレーターからの報告に、大鳳の艦隊指揮所にて指揮をとる山本五十六大将は静かに前方のスクリーンを見るのみであった。

539: ホワイトベアー :2022/03/27(日) 18:41:43 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
ドーバー海峡

『ホーク3、合図と同時に右に切り返せ』

ホーク3、ケファラスに後ろを取られているF-38を救うために、別のF-38がケファラスの後ろをつく。

『了解』

『3.2.1今!』

合図と同時にホーク3が切り返し、それに釣られて切り返そうとしたケファラスに向かって、その後ろにいたF-38が機銃を放つ。
機銃は胴体からエンジン部分に相当する場所に線を描くように命中し、ネウロイはその姿を霧散させる。

ロンドンから南に150km離れたドーバー海峡の空域ではMig-17によく似たジェット戦闘機型ネウロイ、ケファラスとF-38、P-10の激戦が続いていた。
先手こそ中距離空対空ミサイルを有する人類側が取れたものの、さすがに1発ずつしか誘導できないSARH方式のAIM-1Hでは500機という数を削り切れる訳もなく、すでに戦闘は有視界戦闘、すなわち格闘戦に移行していた。

『アップル2FOX2 FOX2』

ある場所ではケファラスをヘッドオンした戦闘機がレーザーを回避しながら短距離空対空ミサイルを放ち、ネウロイが爆散する。

『右エンジンに被弾した。推力低下、脱出する』

また別の場所ではネウロイによるレーザー攻撃で戦闘機が落とされる。
双方ともに3桁という数を投入した超音速戦闘機と超音速戦闘機のぶつかり合い
ネウロイであれ人類であれ、どこを見てもジェット機が飛び交い、それ以外の機体は目に入らない。
史実と呼ばれる世界では決しておきなかった性能と技量、そして運。その全てが求められるジェット戦闘機同士の大規模な格闘戦。それが行われるこの狭い空にはジェット以外のものが飛ぶ余地など存在しない。
転生者がこの光景を見たらこう言うだろう。まるで円卓のようだと。

しかし、それは航空ウィッチ達に仕事が無いことを意味しているのではない。彼女たちは彼女たちで戦闘機部隊の迎撃網を突破してきた中型ネウロイの迎撃という仕事があり、戦闘機部隊と同様の、いやある意味それ以上の激戦を繰り広げている。

それでもネウロイの進撃を完全に止めることはできず、ついにネウロイは人類の最終防衛ラインに接触してしまう。


「敵ネウロイ、数40、射程距離に入りました!」

「対空攻撃開始!くそ、空軍の連中め、突破を許しやがったな!出し惜しみは無しだ全力で撃ち落とせ!」

モニターを見つめていた監視員の報告を受けた第7高射砲兵連隊第4高射大隊大隊長はただちに向かってくるネウロイに対しての迎撃を命令する。
国連軍やブリタニア軍は航空戦力のみでネウロイを抑え込めるとは思っておらず、ネウロイの集結が確認されるや否やドーバ海峡に集められるだけの高射部隊をかき集めて展開させていた。
そんな部隊の1つがこの第7高射砲兵連隊第4高射大隊である。

大隊長からの迎撃命令が発令された事で、最終防衛ライン、すなわちドーバー海峡沿岸部に展開した国連軍地上SAM部隊の射程距離に侵入したネウロイに向かって、空を睨む3連装発射機から次々と9式中距離地対空誘導弾3型が放たれていく。
放たれたミサイルはイルミネーターの誘導を受けてネウロイに向かい進んでいき、ネウロイに命中した。しかし、中型ネウロイを中心としているがゆえにミサイル攻撃の効果は薄く、撃破数は少ない

「全弾命中!されど未だ30の目標が依然として接近中!」

「チッ、コア持ちか!攻撃の手を緩めるな。それとHQに航空ウィッチ部隊の救援を要請しろ」

無駄とはわかってはいたが少しでもネウロイを足止めするために地上のSAM発射装置からはミサイルが発射され続けており、さらに短距離地対空ミサイルやブリタニア陸軍の高射砲部隊もその砲口を空に上げつつあった。

「HQから航空ウィッチ部隊の展開まで30分はかかると言う事です」

中型ネウロイの上空到達まで約5分、航空ウィッチ部隊の到達まで約30分。
HQと連絡とっていた士官から報告は彼らにとって絶望的ともいえるものであった。

「クソッタレ。地上のl高射部隊だけでネウロイの対処をしろと? ロンドンを強襲されるぞ」

隊長は憤懣やる方ない表情で机に拳を振り下ろす。

「一応、スピットファイアが上空援護に入る様ですが」

「時間稼ぎにもならねえよ」

いくら近代化改修が施されたスピットファイアと言っても、大量のレーザーを発射可能でコアを持ち、自己再生可能な中型ネウロイを相手にするにはブリタニア人から見ても些か能力がが足りない。

接近するスピットファイアとネウロイをレーダーで交互に確認しながらそういうしかなかった。

540: ホワイトベアー :2022/03/27(日) 18:45:55 HOST:222-229-56-17.tokyo.fdn.vectant.ne.jp
以上になります。wikiへの転載はOKです
本来なら前中後の三話で終わらす予定でしたが、
後が思ったより長くなったので分割して送らせていただきます。

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最終更新:2022年04月04日 13:16