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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその七十八



大和出発よ暫く経ったゲートのこちら側の日本の首都総理官邸。
総理官邸の一室で総理達は会話をしているが疲労感が滲み出ている。
この所、諸外国や名指しで批判された者達への面倒くさい対応に追われているからだ。

そもそも日本政府としては応じるつもりもない。
日本政府も表に出せないとはいえ国内で軍事行動を行なった国や他国民を売り渡すという日本という国家の看板に泥塗る様な者達と何故妥協する必要があるのか。
それに今回のことで今更ながら性根を再確認した。日本人にイゼイラ人の血が流れていると知られればそれを理由に日本を孤立、屈服させる為に動くだろう。
知られていない今でさえ、思い通りにならない日本へ圧力を掛けるためにロシア極東方面への軍の移動や南西諸島の空自のスクランブルの増大し、
各種輸出規制や制裁までちらつかせている。

対しゲート日本は銀連側満州国や銀連ロシアとの平和通商条約の締結交渉を決定、各種輸入先を銀連側へと切り替えようとしている。
同国らからは北方領土や尖閣諸島に関しゲート日本の領土として認めて良いという発言もあると銀連日本より得ている。

また国内各地の鉱山より鉄や各種希少金属含む大規模鉱脈が"再発見"されので中露の制裁や輸出規制の不安を追い風に現在鉱山の再稼働に向け準備が急がれた。
しかし採掘コストの面で中露の輸出価格に太刀打ち出来ず現状再稼働しても利益は出ないことからどちらかと言えば見せ金としての面が大きい、
しかしそれでも国内で賄えるというだけで安心間が違う。

安全保障面では日・銀日、日イ安全保障条約の則り銀連日本が神崎島と共に北と南、
それぞれ空母二隻、戦艦二隻を基幹とする艦隊と対艦ミサイルを搭載可能な戦略支援機(爆撃機)及び戦闘機、陸上部隊の配備を決定。
ゲートイゼイラにおいては同国宇宙艦隊を日本へ派遣を決定、現在銀連側有する冥王星基地まで来ている。
また、新たに自衛隊用ハイクァーンが"災害"用の名目で陸自師団司令部駐屯地、空自の航空団司令部基地、海自旧日本海軍鎮守府基地に設置された。

日本自身も銀連日英共同開発戦闘機の導入や戦車部隊削減を取りやめ74式全て10式に更新。BMD対応艦を打撃護衛艦で置き換えるなど準備を進めている。
しかしならが戦闘機やら各種兵器の無償供与など色々と銀連日本が賄ってくれる状況に素直に喜べない。
技術的な蓄積もそうだし、何より今後装備調達で色々と弊害が出るかもしれない。
また、返済なしの完全な無償供与の理由が財務省が絶対にそれを理由に削減をやらかすからという、何かもう色々と悲しい。

しかもその枠が各種民間向け機材や物資に紛れ込ませた返済不要の政府開発援助という名前にゲート日本政府は遣る瀬無さが募る。
だが、野党やマスコミは銀連日本はゲート日本を後進国と見ていると憤慨することにのみ注力、ODAの名前にのみ注目し中身には全く関心示さなかったのである種成功であった。
また各種機材や物資も経済、技術で相当なゲームチェンジャーと成りうる代物なのであるが彼らの目は節穴であった
兵器の大量無償供与など後から知り、軍国主義の再来と怒り狂うだろうが知ったことではない。

まあ、これだけ準備しても中露は日本と全面戦争はしないだろうというのがゲート日本の大方の見方であった。
それはイゼイラの血を日本人が引きそれが原因で弾圧が起こり得ると判断した日本政府でさえも、だ。
ゲートの向こう側、銀連日本の戦争は既に分断されて世界故に発生した特殊な事例であり遠い世界のことでしかないと皆が考える。
グローバル化で経済的な結びつきが強い現在では国家間同士、しかもG7とBRICsの国々が戦争をすればそれぞれの国家はおろか世界が被る痛手は計り知れない。
この御時世、国家間の前面戦争なぞ起こす国はないし起こしてもデメリットばかり、
全面戦争やWW3が引き起こされるという予想は過去のもの、架空の創作の中でのことと成り果てたというのが彼らの中の真実であった。


「そういえばもうすぐか…。」

257: 635 :2022/04/12(火) 07:18:50 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp


そんな中、副総理がボソリと声を零し、総理がその声に反応する。


「ええもう調査に入っている筈です。問題なければ一両日中に撤去と除去、全て完了するとか。」

「あの人たちに掛かりゃ未曾有の大災害の爪痕…天才が時計の針を早めちまった人類の手に全てを負えない代物の負債も赤子の手を捻る様なものか…。」


二人の会話にその場の全員がある方向を見つめる。
その先では日本という国の在り方、その負の遺産そのものと言うべきものが消し去られようとされている筈だった。
その時備え付けられた内線が鳴り副総理が内戦を取る。


「何だ?」

『ニコラヴェナ大使が来訪されました。』

「…なんか予定入ってたっけ?」

「…いやなかった筈ですが…どういった要件でしょう?」

『あの…なんでも恐竜の引き渡しについてだとか…。』

「「「「はぁ!?」」」」





「こっちは瓦礫で塞がってるわね…。」

「暁、こっちにそれどかそう。」

「しかしまあ見事なまでにホコリまみれやね。」

「まあ、あれから十年くらいだからねえ。」


第六駆逐隊の暁と響、第十七駆逐隊の浦風と谷風は何やら瓦礫の山とホコリまみれの暗闇の中を進む。
途中道を塞ぐ瓦礫も力技で退かしていく。
全員が鎮守府海軍指定の作業衣を纏い三角巾を被り、彼女らの世界で言えばニトベマスクとでも呼ばれそうな布マスクをしている。
それぞれヘッドライトとカメラまで頭に装備している。
まあそれ以外にも装備しているのだがそれはさっきから鳴りっぱなしだ。


「あーもう!さっきからピーピーガーガー煩いのよ!」

「しょうがないじゃろ、暁。一応つけて欲しいって言われたんじゃけぇ。」


自身の身につける機器、ガイガーカウンターがさっきから鳴りっぱなしで苛つくように叫ぶ暁とそれを嗜める浦風。
その光景は谷風や響の頭のカメラを通して他の者も見ていた。




「凄い…ガイガーカウンターが振り切れてる放射線量の中であんな軽装で大丈夫だなんて…。」

「それだけじゃありませんよ。あの子らが退かした瓦礫、本来なら大型の重機でも投入しなければならないようなサイズですよ。」


多くの者が詰めかけた食堂でモニターを見ながらそんな話がそこかしこで聞こえる。
そんな彼らが見つめる先のモニターでは暁達がどんどんと奥へ進む映像が流れる。
そしてある場所で立ち止まる。
そこにも瓦礫が散乱し何かが溶け落ちた様な跡が見える。

258: 635 :2022/04/12(火) 07:20:09 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp


『ここが炉の本体ね…響、浦風、谷風。』

『うん、今から走査ビーム走らせる…』

『了解じゃけぇ。』

『ホイホイっと。』


暁が指示を出すと全員何やら機械を取り出し空間にレーザー光線の様なものを照射する。
その光景をモニターを見る者達は固唾を呑んで見守る。
そうして暫く光を走らせると全員が微妙な顔をする。


『うーんこれは…。』

『正直、ウチらでも、もーのぉ凄い時間掛ければ対応出来るけえ…。』

『しかし…どう考えても…これはねえ…。』

『Хорошоとは行かないね…正直デメテルにやって貰った方が早い…出来れば金剛も連れてくるべきだね。』


対応可能、浦風のその言葉にその場の者達は色めき立ち続く響の言葉に皆が窓に駆け寄り空を見上げる。
その視線の先、福島県双葉町の空、福島第一原子力発電所の上空には柘榴の様な形をした航宙艦、惑星工作艦兼星間物質生産艦でもあるデメテルが浮かぶ。
全員が聞こえなかったが全員が離れたモニターから暁の呟きが漏れる。


『まさか溶融した炉心が色んなもの取り込んだ塊になるの分かってたけど冷却水に使われた被災地近海の海水…それに沈んだモノまでなんて…。
津波で亡くなった人達の嘆き…海色に融けた無念が混じり合い濃縮された核燃料のゴミの塊…しかもなんか一部削り取られた形跡あるってどういうことよ……。』

259: 635 :2022/04/12(火) 07:20:40 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2022年04月19日 11:10