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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその七十九
『まあ、私達のハイクァーンでやってもいいけど…。』
「そうですか。私が直接環境改善と共に手を下しした方が早いと。」
『まあそれだけじゃないけどね。』
「と言いますと?」
ギリシャ神殿を模した空間、惑星工作艦デメテルの艦橋の座席に座るデメテル。
ヘスティアと同様女神であり艦娘でもあるという些かというかエラく複雑な状況にあるデメテルは響と会話を交わす。
惑星改造、テラフォーミングとも呼ばれるそれ、機神(オリジナル)であればあり得ない筈の機能であるが惑星工作艦として建造されていた器の機能としてデメテルは有していた。
無論ティアマトの権能程圧倒的な代物ではないが某惑星環境海洋プラント艦のお株を奪う程度の機能は有している。
加え元来の権能である星間物質生産と組み合わせば原子炉の解体と周辺の除染など容易い。
『燃料デブリだけど…嘆きや無念に満ちたヒトの魂…海色に融けたソレまで飲み込んでる。しかも格納容器が封と壺の役目果たして濃縮されてる…。』
「蠱毒…対馬で使われたというアレの様に…ですか…?」
デメテルの言葉に頷く響。
『それだけじゃない一号機から三号機までデブリのある全ての炉から明らかに誰かの手で一部が持ち去られている。
総重量千トンの全体からすれば大した量じゃないけどそれでも数トンから十数トン、人間に持ち出せる量じゃない。』
「ですが言ってはなんですが好ましくない方々でしたら重機や人を投入してもおかしくないのでは?」
『私達もその可能性は考えた。日本を滅ぼすことに生きがい感じてる日本人の恥共ならやりかねないからね。
持ち出せばそれこそ日本という国の犯した人類への罪とか訳の分からない罪状出して外患誘致のネタにする程度はやってのけるだろうしね。だけどそれだけは絶対にない。』
響は断言する。
『炉内は線量が人が即死し機械が故障する量な上に当時そんな作業可能なロボットなんて存在しない。格納容器も外部から破壊された形跡はない。
そしてこっちの方が重要だけどこの塊の持つある種の呪い…なのかな?これは日本人、特に当時の政権や近い者達に劇薬になり得る。
あいつらが原発がこうなったそもそもの原因だしね。持ち出そうとすれば即死して取り込まれる。幸いなことにそんな不純物(ゴミ)は混ざってがないようだけど…。』
「では誰が…いえ、冥王星基地で目撃されたと言う…?」
『可能性としては高いね。アレならやりかねない。国外に流して兵器に加工する程度のことはやりそうだ…。』
「雁字搦めにされ嘆きに満ちた人の子らの魂を兵器に…加工…?」
『デメテル?』
「なんという惨いことを…。」
デメテルの只ならぬ雰囲気に響は声を掛ける。
響は画面越しにも何かの圧を感じ冷や汗を流す、それは怒りの神威。
母であり豊穣神でもあるデメテルからすればそれは許せぬ行為、子は母より生まれ大地(母)や海(母)に帰り再び生まれるのが自然の摂理。
それを兵器として消費しようとは断じて容認出来ない。
怒気を垂れ流すデメテルの膝の上から抗議の声が上がる。
「デメテルかか様いい加減怒気を治めるのじゃ…ちと圧が強い…。」
「あらあらごめんなさい。【ペルセポネ】。」
『ふぅ…やっぱりデメテルにとって対州はペルセポネなんだね…。』
「まあ…妾も色々偶然の産物とはいえ習合された上に【ペルセポネ】の記憶もあるので間違いではないのじゃが…。」
抗議の声を上げたのは【ペルセポネ】と呼ばれた狐耳の少女、デメテルの膝の上に座った対州要塞姫であった。
まあ、どうしてこうなったかといえばそもそもペルセポネの一件が要因である。
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始まりは欧州大戦終結とかゴタゴタが片付いた後のことであった。
デメテルの力を借りるに当たり約束したペルセポネの件で柏木が伊耶那美命が交渉役として柏木を引き連れ、
アケロン川やレテ川超えてギリシャの冥府下りまでハデスに話しつけに行き同意を勝ち取って来たことにある。
この男の持つ一回死んで蘇ったという概念が対馬でもキーになったように冥界に対して耐性を持っているから伊耶那美命が連れて行ったとはいえそこまで至れた。
創造主兼八百万(予定)・突撃バカに新たなる神話(マイソロジー)が追加された瞬間であった。
まあこれで普通に現世にペルセポネが降りれば問題なかった。器も完成し器にペルセポネが降りる所で問題が発生したのだ。
ハデスは好き過ぎて地上から攫った上に自分の下から完全に去らない様に冥界の食物を嫁さんに盛った御仁である。
分霊とはいえ嫁さんが自分の所から離れるの許容出来るのか?
いや無理である、何やらかしたかと言えば降りる直前で全力介入し器を破壊したのだ。
そこに居た者達は皆唖然とし、デメテルは娘の名を叫び悲鳴を上げた。
そしてハデスは介入に力を使い果たしそのまま退去、後には降りるべき器を破壊されたペルセポネの分霊が残された訳であるが、問題が発生した。
その場に居合わせたペルセポネに近い存在(もの)に引き寄せられ習合してしまったのだ。
さて彼女、ペルセポネの持つ神性であるが冥界神及び豊穣神であり、大女神である地母神の子である。
まあ全くの偶然であるがその場に丁度居たのである該当する存在が、母は大地にして原初の大女神たる伊耶那美命にティアマトであり、稲荷神として豊穣神たる神性を持つ。
そして母の一人伊耶那美命は冥界神であり、死者への報いを司り自身も死者である存在、つまりは対州要塞姫である。
『ホント、アレは完全に合体事故だったね…。』
「しかし、まあ妾もよくもペルセポネと合体して双方の人格や容姿が変に合わさった様な変化をしなかったものじゃ…事故自体がメガテンでありそうな内容だったしのぉ…。」
あの時の騒動を思い出し遠い目をする響と対州要塞姫、対してデメテルはあの時の騒動やそれ以前の神話の時代のハデス行いへの怒りを思い出し再び怒気を垂流していたりする。
そのデメテルを置いといて響と対州要塞姫は話を続ける。
「デメテルかか様はアレもあるのじゃろ?大量の魂を夜海へ渡す、つまりは輪廻に戻す為。かか様は大地の女神、大地には異界への門も幾つも存在するからのぉ。」
『ついでに言えば君の存在も不可欠だよ対州、大量の魂を送るならば冥界神とかの力添えがあると安心だしね。出来れば伊耶那美や常世の主である蛭子神がいいけど彼女達は今向こう側、今こっちにいる中じゃ最も位の高いケルヌンノスはケルト。消去法で申し訳ないけど記紀神話系の冥界神は君しかいない。』
「後はあれじゃな…デブリだけではない。天照かか様も連れてくるべきじゃろ?」
『理解るかい?』
「妾は本来対馬における死者への報いが本義じゃぞ?感じるとも、この大地に薄く弱いが大きく広がるモノを。
生きるもの…いや、こんな状況に自分達を追いやった者を恨むタールの様に黒く澱んだ犠牲者の怨嗟と穢の場、差し詰め祟り場とでも言うべきものの存在を…な。
多分津波とともにばら撒かれたのじゃろう…出来れば天照かか様とデメテルかか様以外にもう一押し、この土地の産土神辺りが欲しい所なのじゃが…。」
『そう都合よくは「ありますよ。」デメテル、本当かい?』
デメテルの声に二人が向けばいつの間にか怒気は収まりその手には一本の【苗木】が握られていた。
「この子は私が預かっていましたが、いい加減人の側で世を見做そいたいでしょうから…。」
412: 635 :2022/04/16(土) 00:25:06 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
次回、大神降ろし(予定)。
最終更新:2022年04月19日 11:14