251: 弥次郎 :2022/04/18(月) 21:51:19 HOST:softbank126041244105.bbtec.net
憂鬱SRW アポカリプス 星暦恒星戦役編SS「流星の夜に」
彼らは、季節外れの流星群と共に現れた。
それは、古の書物をなぞるがごとく、今ある世界の終わりを告げるものだった。
宇宙怪獣との戦争---生存競争において最も重要なことの一つは、縦深を確保することにある、
即ち、長距離ワープによる奇襲のリスクを避けるために本土たる地球、そして太陽系までの距離を稼ぎ、防衛線を張るのだ。
宇宙怪獣は知性がない。ほとんど本能的な反射で行動する。故に、遠くの敵より近くの敵を優先する傾向にある。
相手の勢力圏に接近するというリスクと引き換えに、後方の安全を確保できる。
故にこそ、太陽系に酷似し、ハビタブルゾーンの存在する星暦恒星系に防衛線を引くことは非常に理にかなっていた。
ただし、理にかなっているからと言って、納得できる事態に直面するとは限らなかった。
- 地球連合 ユーラシア連邦 戦士研究家 ユージン・カジワラ 著書『星暦恒星戦役』にて
嗚呼、全く。予想は外れておいてほしいと思っていた。
しかし、無情にもそれは現実だった。かの世界がこの時空に存在する可能性は決して0ではなかったのだから。
とはいえ、誰が好き好んであの世界の、あの白豚と顔を突き合わせたがるだろうか?
同じところに落ちないためにも、それに対しては相対しなくてはならない。
あの深淵を覗き込んだ時、こちらもまた深淵に覗き込まれているのだから。
我が父シャルル・ジ・ブリタニアの掲げた覇権主義、そしてブリタニア至上主義は力を根源とするものであった。
世界は平等でも平和でもなく、弱肉強食の争いの世界であると。
それに則り、その覇権的政策---弱い他者を虐げ、隷属させる覇道的な政策を打ち出した。
だが、あくまでもそこには人としての序列が存在していた。ブリタニア人が頂点に立ち、その他の国はナンバーズとして下に置かれる。
ナンバーズと揶揄され、差別されることあれども、有能なものは登用され、名誉ブリタニア人としての地位を与えられることもあった。
だからこそ、そこで見たものは、そんな他国から忌避された国是の元動いていた私さえも、絶句させるものであった。
- 地球連合軍 星暦恒星系派遣群 星暦惑星地上方面軍 司令官 コーネリア・リ・ブリタニア少将
今になって、ルルーシュが多くの日本人を味方につけて反逆を起こせたことの意味を、真に理解できた。
- 同上。サンマグノリア共和国戦線への視察時において。
その日、初めてレギオン以外の声を聴いた。
遠くから、人の声が降ってきた。
- サンマグノリア共和国 86区在住 コードネーム『アンダーテイカー』 シンエイ・ノウゼン少尉
252: 弥次郎 :2022/04/18(月) 21:52:00 HOST:softbank126041244105.bbtec.net
- 星暦恒星系 第3惑星 衛星軌道上 地球連合軍星暦恒星系派遣群 星暦惑星地上方面軍司令基地 ソレスタルビーイング級コロニー型外宇宙航行母艦
C.E.77に始まったアポカリプス---幾多の勢力による地球圏への一斉侵攻。
その戦いは、何も地球圏だけで起こっていたわけではない。
何しろ、侵略者の中にはスケールが大きすぎて、地球圏に入られるだけでも本土たる地球に直接害を及ぼせる侵略者も存在したためである。
それに対して地球連合が行ったのは、外地---すなわち太陽系外に防衛線を敷き、その侵略者を本土から遠いところで迎撃するというものであった。
その為に、各戦線ではいくつもの惑星系や恒星系などを拠点として大軍が展開し、宇宙怪獣らの襲来に備えていた。
そして、偵察艦隊の発見したこの86号恒星系---のちに星暦恒星系と呼ばれる太陽系に酷似した恒星系もその舞台の一つとなった。
偵察艦隊によりハビタブルゾーンの惑星と判断され、また、地上において知的生命体と思しき活動が確認されたのも、この惑星への介入を後押しした。
何しろ侵略者の中でも宇宙怪獣は殊更に生命体に対して攻撃的に行動を行う。ハビタブルゾーンの惑星というのはその宇宙怪獣の活動の目安となりうるものなのだ。
とどめとなったのは、光学衛星による地表面の観測の結果であった。
即ち、人---ホモ・サピエンスとほぼほぼ外見の特徴が重なる生命体がいることが確認されたのだ。
さらに衛星によるスキャンや観測によれば、この惑星は地球と酷似した地形と特徴を備えており、そこから文明が存在すると判断されたのだ。
さらにこの惑星において確認されたのは、人類とそれに対して攻撃性をあらわにしている勢力の存在であった。
生体反応が見られない、機械によって構成された勢力。それが、人類の生存圏に対して日夜攻撃を繰り返しているのだ。
人類側も戦力を投入して迎撃し、自らの勢力圏に入れないようにかなり苦心しているのが窺えた。
地球連合は、この機械の軍団が生命体に対して敵対的な行動を行う勢力と推測。
これに抵抗している人類に対して接触を行うことが検討され、地球連合理事会により承認された。
これが人為的なモノか、はたまた外から現れた敵対勢力であるかは未だ判然としないところがあるが、それでもこのまま静観はよろしくない。
少なくとも、宇宙怪獣の活動がありうるエリアで、尚且つ人に近い生命体がいるならば、この惑星もあっけなく破壊される可能性もある。
そういった事情から、偵察艦隊の後に派遣された第86号恒星系派遣艦隊、のちの星暦恒星系派遣艦隊はいよいよを以て介入を行うことになったのであった。
母艦の一つであるソレスタルビーイング級コロニー型外宇宙航行母艦「ファントムビーイング」は、その腹の中から、多数の艦艇を吐き出していた。
自力での大気圏突入と離脱能力、そして推定される重力下においても飛行可能な全域航空艦艇を中心とした派遣艦隊だ。
確認された人類の勢力に護衛付きの外交使節を載せた艦艇がそれぞれ向かい、接触を図る予定となっている。
確認されている言語や語法などについては目下の所分析中であるが、おおむね地球と酷似していることが判明している。
後はうまくコミュニケーションが行くことを祈るしかないだろう。そのためにNTやイノベイターと呼ばれる能力者たちも含まれているので勝算はある。
そして、既定の時間が訪れ、艦隊は一斉に大気圏突入を開始した。
恐らく地上から見た場合、とてつもない数の流星群となっていることであろう。大質量の物体が一斉に突入したのだからなおの事目立つだろう。
水天の涙の降り注ぐこの惑星は、一体どのような惑星であるのか。期待と、不安と、そして使命を以て、地球から訪れた来訪者たちは降り立とうとしていた。
それは、この惑星の未来を大きく揺るがす、とてつもない大きな流れの始まりとなる出来事。
のちに恒星系を含むこの惑星が滅びるまで、ほんの少しと迫った時の出来事であった。
253: 弥次郎 :2022/04/18(月) 21:52:49 HOST:softbank126041244105.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
とりあえずプロローグを書き始めました。
2,3話でかるーく片付け、本編に入ろうと考えております。
本編は大きく分けて二つ。
原作の前、接触が行われた後。
原作開始後から惑星を放棄して新天地を求めるエクソダスのあたりまでを予定しています。
あくまでも予定は未定なのですがね…
最終更新:2023年07月09日 21:17