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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行十四冊目



side二藤部



「しかしまあホテル周りはスゲエ人数だな…日本人やオランダ人だけじゃくティ連人もエラい来てるな。」

「ええ…あのリシュリューと同じ女神である戦艦【陸奥】とイゼイラの創造主であるナヨクァラグヤ陛下一目でも見ようと集まってきているのでしょう。」


私は佐世保の蘭帝系列のホテルを目指し政府公用車で隣に座る三島さんとそんな会話を交わしながら車より外を見回せば人人人…人の海。
私人として参加する全軍合同文化祭や官民総合文化大祭でしか見られない様な光景が広がる。


「ナヨクァラグヤ陛下はイゼイラ始めティ連各国で信奉されている希望の創造主…そして戦艦【陸奥】は…。」

「復讐の女神、その誕生の切っ掛けにして片割れの妹。そして一部となっても姉と最後まで共に戦い抜いた武勲艦として人気の高い艦ですからね…。」


戦艦陸奥、その悲劇性、英雄性故に擬人化遊戯(ゲーム)などでもその人気が色褪せることはない菊の紋を戴く軍艦。
ましてやその艦が敷島型に匹敵する規模の艦として布哇に帰還したのが知られたのだ。
政府が公式発表行っていないのに布哇沖に現れた巨大戦艦が陸奥であることは既に帝国臣民ならば誰もが知る所だ。
決定的な決めては元乗員が陸奥だと断言したことが大きいとか。


「しかしこの歳になって創作の人物、いや…並行宇宙のとはいえ帝国の武勲艦の意志と会談するとは人生とはわからんもんだぜ。」

「それは私もですよ。平安宇宙戦争やヤルバーンの襲来で慣れてた思っていたのに…。」

「ま、こんな衝撃的なことそんなにある訳はねえって。」

「そうだといいんですけどねえ…。」


そんな話をしながら私と三島さんを乗せた車とサイヴァル、マリヘイル連両議長を乗せたトランスポーターはホテルの正面玄関に滑り込んだ。




「ファーダ、こちらデス。」


フェルフェリアさんに案内をされて私達はホテルの廊下を歩きその光景を外務省の白木さんが手に持った携帯端末で撮影、記録していく。
ちらりとサイヴァル議長らを見ればとても緊張している。
違う世界のとはいえナヨクァラグヤ陛下と直接相対するとはそれだけのことなのだろう。
あの陸奥と会うと私達も相当緊張しているのだ。
ましてやイゼイラ全土で信奉されてるのだから如何程のものか。

私達の姿は私と三島さんは準礼装のシュトレーゼマン(ディレクターズスーツ)をサイヴァル議長とマリヘイル議長は日本における準礼装に当たる小規模な式典で着る様な装いをしている。
初めは礼装をとの声もあったのだがフェルフェリアさんを通し公式な会談でないのでそこまで畏まらなくても良いという申し出が先方よりあったからだ。
しかし相手はイゼイラ最高位ともいえる創造主に加え日本におけるの軍艦の女神の最高位に近い戦艦長門の姉妹艦、流石に略礼装(平服)などという無礼な真似が出来る筈もない。
故に妥協点として準礼装となったのだが…先方が畏まらなくてもよいと言ってはいるがどうしても失礼でないかと不安になってしまう。


「創造主ナヨクァラグヤ、創造主ムツ。ファーダニトベ達をお連れシマシタ。」


私がそんなことを考えているとホテルの最上階の貴賓室の扉をフェルフェリアさんがノックしていた。
ナヨクァラグヤ陛下、戦艦陸奥の二人を正式に創造主、女神として国賓並の待遇として扱う。
これは事前に政府としてティ連とも決めたいたことだ。
並行宇宙の出来事を外に出せる筈もなく、何処で誰が見ているか分からないが故の決定であったが、自分達の心情としても唯人として扱える訳もなかった。

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『どうぞ。』

「失礼致しマス。」


中から返事がありフェルフェリアさんがドアを開く。
外からの眩しい日の光が目に入り一瞬目がくらむ。


「準礼装…まあそうなっちゃうわよね…。」

「陸奥や彼の者達からすれば妾達は唯人ではなく創造主、故に準礼装で済んだと思うべきでしょう。」


ため息と共に吐かれた言葉とそれを諫める声。
光に目が慣れればイゼイラ人の少女を抱いた擬人化遊戯で良く見る姿をした女性、戦艦陸奥。
そしてティ連首脳部とのゼル会談でその姿を初めて見たイゼイラ最後の女帝ナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサの姿があった。





sideサイヴァル


創造主ナヨクァラグヤとケラーニトベが談笑している、その光景を横目に私は創造主ムツと会話を交わす。
政治的なことなど一切なく他愛も無く互いの世界のことを話すだけだ。
これは創造主ナヨクァラグヤと同じ並行宇宙から来たケラーエストレェルがフリンゼを通してこちらに要請してきたことである。
曰くこちらの政治的なことに出来るだけ巻き込まない欲しいとのことだ。巻き込まれればそれだけ帰還しにくくなるからと。
だが、一緒にやって来たフランス連邦共和国の創造主リシュリューは完全に政治的に巻き込まれてはいるがどうにかなるらしい。


「そうこちらではイゼイラは瑞雲を飛ばしていないの…。」

「すみません、創造主ムツ。ズイウーンとは一体?」

「瑞雲は私達の世界の貴方達が初めて日本の…発達過程文明の技術で一から自分達だけで全てを製造し貴方達自身の手で飛ばした航空機よ。」


設計は随分昔で電子機器なんて載っていないし製造にも使ってないけどと創造主ムツは笑う。
イゼイラ人のみの力でフィブニー効果を使った発達過程文明…それもシステムの補助などない正しく発達過程の乗り物を製造し飛ばす。
創造主ムツのその言葉を聞き向こうのイゼイラを羨ましくも感じながらも話を続ける。
途中マリヘイルと代わり、先代エルバイラの話へとなった。


「それでこちらの先代エルバイラにご挨拶に伺った際に…。」

「あら、こちらの先代の陛下はまだ御存命なの?」

「どいうことでしょう?寿命は我々にこそ劣りますがニホン人の寿命からすれば十二分に先代エルバイラの御年齢は十分生存可能な年齢だと思われますが…。」

「あらあら、そこら辺も違うのね。技術の違いかしら?」


聞いて驚いたが創造主ムツの宇宙の日本人の寿命はこちらよりも短く先代エルバイラは二十数周期前に次の因果へと旅立たれたという。
だが次の言葉で混乱する。


「まあ現在では島でライフワークの研究などをなされて、日本本土へも研究のため訪れられたりしているんだけどね。」

「あの…創造主ムツ、先代エルバイラはお亡くなりにならあれているのですよね?」

「ええ、そうよ?」

「それで現在は研究をなされニホンへも度々訪れられている…。」

「それがどうしたの?」


何を言っているんだという様子の創造主ムツに対し私は混乱の最中にあった。
隣でマリヘイルも目を白黒させている。


「えー…マリヘイル。創造主ムツの宇宙の先代エルバイラは次の因果へ旅立たれているんだよね?」

「ええその筈です。そして現在では研究をしながらニホンも訪れられている…。」

「だけど亡くなられて…。「アアアア―――!?」!?、フリンゼ!?」


その時フリンゼの絶叫が貴賓室に木霊した。
創造主ナヨがフリンゼに話掛ける。


「フェルや一体何が…?」

「ア、アノ…ワタシ先代エルバイラサマと御連絡交換してマシテ。」

「それがどうかしたのですか…?」

「コレを…。」

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そう言ってフリンゼは創造主ナヨに何か見せる…いやあれは確かニホンの情報携帯端末か…?
フリンゼの見せるそれを見て目を擦り、もう一度見てまた目を擦るという行動を繰り返し貴賓室の天井を見上げる。
ワタシの目の前の創造主ムツもフリンゼの見せる情報端末を覗き込み納得した表情をする。


「まあ、あの方だったらやっちゃうわね…。」


そこへ貴賓室の扉が勢いよく開けられニホン政府関係者と思われる人物が駆け込んで来る。
知人なのかケラーニトベが話しかける。


「どうなさったんですか牧野さん…?」

「二藤部総理、陛下が陛下が…!!」


そう言うと何か書かれた紙らしきものを見せ、それを見たケラーニトベが倒れた。
そして混乱する私達。


「ケ、ケラーニトベ!?」

「ファーダニトベ!?」


介抱するフリンゼと慌てる私達であったが今度がケラーミシマが紙を覗き込み吹き出す。


「えーと『ちょっと戦艦金剛の所行ってくる』?…ブッ!?どういうこった!?」

「ア、今度はマサトサンからデス…『先代の陛下来たんだけどどういうコト!?』…。」

「「「「………。」」」」


重々しい空気が貴賓室に流れた。


「…ア、今度は先代エルバイラからデス…。」

「フェルや…今度は…?」

「『柏木が戦艦金剛が自らの艦体から造った壇ノ浦のっぽい剣貰った』…。」

「「「「………。(パタリ)三島さん!?」」」」


今度はケラーミシマが倒れた…。


「金剛や…。」

「金剛、何やってるかしら…。」


混乱する貴賓室の中二人の創造主の呆れた声だけが良く聞こえた。

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以上になります。転載はご自由にどうぞ

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最終更新:2022年05月10日 09:49