213: 635 :2022/05/14(土) 22:11:21 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようですその八十二



産まれたままの姿で膝を抱え眠りについたマシュは揺蕩う、淡く黄金に輝く琥珀の夢の中を。
母のお腹で世に出ること待つ赤子の様に、母の腕の中で眠る子供の様に


夢を見た…あの時と同じ多分電お姉さんと誰かの記憶…だけど今度は失うばかりの夢じゃない…。
あの終わってしまった物語(異聞)のIF(もしも)じゃないと理解ってる…でもあの物語の続きと錯覚する…。

もう一つの妖精國と成ったもう一つの神秘の島のその行く末、人と神と妖精が手を取り合うという物語(ユメ)。





「君達は頭の血まで吸血しないと足りないのかね?他者の血と同化せねば生き残れないとはなんと軟弱で哀れな化け物共か…」

「化け物共よく聞き給え。私は人間だよ。吸血鬼になる必要などないッ…!
私は私の意志がある限り、例え蛭子神の夢見る幻想たる妖精が私の全てだとしても、きっと巨大な人類の意識体の末端が私の全てだったとしても、私は"人間"だ。
人間は魂の、心の、意志の生き物だ。失せろッ!!化け物共!!」


人外と成り果ててもなお人間であろうとするヒト。



「…いいえ…私はそれでも…もう一度立ちます…。」

「そしてお二人の誇れる子供もありたいから…心の弱さなどで、こんな理由で終われはしません!!」


叩きのめされても唯の人であるのに尚立ち上がろうとする人の女王。



「愛を以て抗おうとする者、愛を以て護ろうとする者を愚弄する者達よ…良く聞きなさい…頭が高いと言ったのよ!!」


歌姫の願いそして愛を以て絶望に抗う人々を愛するが故に人類の庇護へと回った美の女神



【行くよ!アルトリア、ネルソン!!】

【ウム!アルビオンよ心得た!アルトリア…ソラを駆けるぞ…!!】

「ええ!何度でも、何度だってこの黄昏の空と大地を護りましょう…例え私達がかつてのブリテンの残滓だとして…!!」


何度叩き落とされようとも終末竜に抗った白き竜(アルビオン)と大海の巨竜(ネルソン)、そして赤き竜(ペンドラゴン)。



「クッ…!だ、大丈夫です。鹿島は必ず、必ず…!希望は…カグヤは…ブリテンまで送り届けますとも…!!」


その身が欠けてもなお天翔ける船を呪いから護り抜いた練習巡洋艦。



「機ちょう!!はち時の方こうにかげあり…!!」

「妖精の娘っ子、でかした!!」

「機長連れてきて正解で…!?あれが祭神!?」


あの國と違い互いが互いを助け合う人である妖精と人と幻想の妖精達。



「全砲励起ッ!…Rohn全十二門及びEx-caliburⅠ型及びⅡ型に祓除術式展開!!…祓い給え清め給え…祭神よ鎮まり給え…!!全砲門、Fire!!」


血を吐き身を削り楽園の名を冠する要塞全てを操り絶望(ケルヌンノス)に相対するブリテンの戦艦にしてブリテンの女神。



「自衛隊特科、神崎島陸軍砲、兵英陸軍砲兵、米陸軍及び海兵隊砲兵、残存欧州各国砲兵部隊…配置完了!」

「飛行可能な妖精と残存観測機、陸の観測手観測開始!データリンク喪失に付き口頭でデータを送れ!!」

「Rohnの全システムを手動操作に変更!照準ケルヌンノス中央部、総員同時弾着を狙うぞ!
トリガーのタイミングをウォースパイトに一任!…全砲門、撃ち方始めェーッ!」


幻想を武器に災厄にその腕のみで抗う人間達。

214: 635 :2022/05/14(土) 22:12:29 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp



「足りない…ケルヌンノスを救う為の力が…ならば…。聞こえているんでしょう?力を貸しなさい…!
フランスを愛し守る者を救うのが貴女の使命ならば…たとえ異なる世界、人でなき者であろうとも…。
人々の想いを束ね祭神を救う為に…『Notre commandant』!!」


フランスの大地と人々を愛した祭神を救わんとする戦艦。



「トネリコ…いやモルガン!!電に必要なもの届けに来たぜ!これ、ソードバレルⅡって言うんだろ?」


あの時と同じ様に必要なものを届けた糸紡ぎの妖精。



そして…



「照準は私達に任せなさい!残りの全駆逐艦はソードバレル運用の支援に回って!!」

「ハラショー!みんな、120cm斥力砲というバケモノ砲だけどそこは帝国海軍駆逐艦根性で固定、照準調整だ!!車曳の意地を見せるんだ!!」

「電!苦しんでるあの神様達も全員纏めて助けてあげなさい!」

「ソードバレル砲身励起、弾頭装填…斥力出力最大…!ブリテンの人々の想いと祈りを込めた剣よ!
穢れという穢れを吹き祓う風に、罪という罪を流し禊ぐ雨になるのです!!行っけええええ!!」







宵闇に覆われた常世神宮の神域の社の一つ日本大国魂大神の社、その扉より月光の様な琥珀色の柔らかな光が漏れ出す。
その中ではティアマトは空中を揺蕩う、その腕の中の琥珀色の輝きを愛おしげに抱きしめながらその長い銀の髪と白い衣をふわりと靡かせて。
胎児のいるお腹をさする母の様に、眠る子供抱いた母の様に。

その琥珀色の輝きの中には膝を抱え胎児の様に眠りにつく少女の姿が浮かぶ。
それを床から見上げながらトトロット、糸紡ぎの妖精は嬉しそうに楽しそうに傍らにいる人物に話しかける。


「なあなあマカリオス、アデーレ、キリシュタリア。女神になったマシュには、艦娘になったマシュにはどんな服装が似合うと思う?
アマテラスみたいな巫の装束?ティアマトみたいな上代の衣?それとも浜風みたいなセーラー服かなそれともやっぱり姉妹の電と同じ暁型のかな?」

「女性の格好なんか俺に聞くな。」

「ふむ…まあどちらにしても似合うのではないかな?強いて言うならば電くんと同じ方がいいのでは?」

「マシュさん本人の好みが重要ではないですか?」

「うーんそうかあ…。」


そんなことを四人が話せしていると社へと電と大和が入ってくる。大和はその手に小さなくちくいきゅうを抱いて。


「皆さんお揃いですか?」

「…いらっしゃるみたいですね。」


電と大和がそういうと同じく全員いるかと同じく問う様にくちくいきゅうも鳴く。


「どうかしたのか?」

「皆さんにお伝えすることがありまして、蛭子様がおっしゃるには、『ざわざわ』…と、来られたみたいなのです。」


電がそう言いかけると外が俄に騒がしくなる。


「誰が来たんだ?」

「皆さんも良く知る方々です。」


そういうと社の扉から幾人か入ってくる。
その一人にトトロットは気づく。


「トネリコじゃん。お前も座礁したの?」

「トトロット!?ネルソンとやらの記憶を見て知ってましたが朝のひばりの声と共に消えた筈では…。」


トトロットの懐かしい人が姿を現したかと思えば。

215: 635 :2022/05/14(土) 22:13:14 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp


「武蔵!?」

「マカリオスにアデーレ!!貴方達、異聞帯と一緒に…。」

「武蔵さん!?あの時カオス神を相手にして…。」


大機神に挑み消え去った筈のマカリオスとアデーレの知人。


「ふむ…君たちが座礁する可能性もあったな…。」

「キリシュタリア!貴方何故ここに!?」

「というかその身体…なんか機械になってない!?」

「ふむふむ興味深いねえ。ちょっと調べさせて貰えないかな?」


キリシュタリアとも縁深い元祖カルデアの頭脳達、皆驚き騒ぐ。
そんなわちゃわちゃと騒がしい者達を見る電と大和そしてくちくいきゅうの姿をした存在。
その瞬間ピシリという音が響全員が上を見上げ、ダ・ヴィンチとロマニはその存在に気づく。


「ティアマト!?」

「何故ここに…しかも肉体を持って…まさか神霊ではない本物のティアマト!?」


二人の脳裏にあのウルクの惨状が思い浮かぶ。
そして獣がここにいるという事実に戦慄、戦闘体制を取るがキリシュタリアに止められる。


「二人ともあのティアマトは汎人類史のビーストではない…この世界の神話通り殺され世界の土台となった純粋に神であるティアマトだ。
数年前のある事件が原因で祟り神として復活、日本によって鎮められ八百万百の一柱となって今に至るがね…。」

「何なの?その超展開…。」

「え?どうやったらティアマトを鎮められ『ピシリ…ピシリ…』、!?」


罅が入った様な音が大きくなりそして…ガラスが割れる様な音と共に宙に浮かぶ琥珀色の光が砕け散る。
琥珀色の輝きが社の中に舞い散る。それは何処までも何処までも幻想的で…その光景に全員が呆然とする。

ティアマトが己の社の床に降りたその傍ら、その琥珀色に降る輝きの中をティアマトの娘たる生まれ変わったその瞳を閉じて彼女が舞い降りる。
『実』姉と同じ特型駆逐艦の証にして海軍の証たる特Ⅲ型のセーラー服を纏い、胸元の襟にはⅢの一文字が輝く。
背には特Ⅲ型の煙突と主機を模した艤装を背負い、腰には三連装魚雷発射管そして肩には径三年式12.7cm砲。

だが一番違うのはその頭部と臀部。
銀の髪の間からは豊穣を示すティアマトにも似た角が生え、臀部には同様に龍蛇の如き尾をしならせる。


「マ…シュ…?」


イゼイラ過ごした彼女、この世界の彼女を知らぬ誰かが彼女の名の一つを呆然と呟く。
彼女はその紫水晶の様な瞳をゆっくりと開き、その唇が言葉を紡ぐ。


「夢を…もう一つのブリテンの長い長い夢をみていました…。」





机に向かいやんごとなき方は毛筆を滑らせ墨で和紙に文字を書いていく。
やんごとなき方の住処の書斎、銀河連合日本の柏木は机に向かうやんごとなき方に声を掛ける。
その間も毛筆が止まることはない。


「陛下…母であるティアマト神より頼まれていた名付けは…?」

「済んでいる。」


その言葉と共に筆がピタリと止まり、やんごとなき方は深い息を吐く。
柏木はそれを横目に和紙に書かれた字を目に入れると息を飲む。


「ッ!この名は…。」

「彼の娘は色彩、七色を束ねた無色透明…ならばその名しかあるまい…かつて海軍で使われていたという由緒もある。
行方不明で失われたして忌避されて来たが…ここは畝傍も辿り着いた常世の島。
ならばその名とてこの島に辿り着きもう一度産まれても良いだろう…なあ柏木?」






彼女の紫の瞳が完全に開き切るとハッと気づいた様に周囲を見渡す。
そしてもう会えないと思っていた見知った人々を瞳に映すと目をパチクリさせてはにかむ。


「マシュ・キリエライト…またの名を特型駆逐艦二十五番艦、暁型五番艦『霓』只今戻りました!」

216: 635 :2022/05/14(土) 22:19:15 HOST:119-171-248-237.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。

駆逐艦『霓』

2020年に進水した最後の大日本帝国海軍艦艇にして特型駆逐艦の末妹。その名は虹の異字、古代には虹はは竜であり雌雄があるとされ霓は雌の竜である。
雷型駆逐艦にその名が存在し、雷電とは姉妹艦であった。

これにて次回より現在と並行しBOB、欧州大戦編を始めようと思います。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2022年05月22日 21:59