953: ナイ神父Mk-2 :2022/06/01(水) 23:40:19 HOST:p506199-ipngn601akita.akita.ocn.ne.jp
憂鬱スパロボ
46年極東戦線 とある派遣部隊の憂鬱
既に雪解けの筈の時期に積もった新雪をモニターに見ながら、ユージンランツは自身の乗るサザーランドのシートに体を預けながらモニターとレーダーを眺めて待機している。周辺には同じ小隊を構築するサザーランドや小隊長のグロースターが見えており、後方を映すモニターにはギアーデの主力フェルドレス ヴァンナガンドの大部隊と画面を超えて広がる塹壕と機銃陣地である。
母星を失った彼等星歴惑星の軍が何故次元すら超えたウィッチ世界にいるか。
それは言ってしまえば連合への点数稼ぎと言う面が強かった。本来は惑星ごと滅びる道を辿っていた彼等を連合は救助し、各国へと新しい入植地を譲渡したのである。こうした連合の行為に対して借りを作るだけでは国家としての面子が立たないという面もあり、各地の戦線に於いて人員の足りない連合の戦線へと人員を派遣それを対価としていたのである。
とはいえ、貴重な人的資源を失う事は避けたかった事も事実ではあり、本来は革命などで混乱の続く欧州に戦力を置く為に、比較的脅威度の薄い極東戦線へと大戦力を配置し扶桑の戦力などを動かし易くするための配置であったが、何の因果か史実中国におけるカシュガル周辺にネウロイの巣が出現。更に重慶付近に中継基地の役目を持たせたと思われる超大型ネウロイの存在が後に確認された。更にネウロイの巣からは100万を超えると思われる装甲戦力が各方面へと進出を開始。中継基地などからは歩兵タイプと思われる個体が出現し続け、一方面数千万とも言える数のネウロイが出現したのである。
また、出現したネウロイの姿も問題であった。それは、出現したネウロイの姿が嘗て星暦惑星を大混乱に陥れたレギオンに酷似した形態をとって居た事である。それが、問題となり元星歴惑星国家から派遣されていた派遣軍が現地部隊と共に対処に当たる事になったのだ。
『来たぞ!』
中隊長からの通信によって、過去のブリーフィングの言葉を思い出していたユージンは現実へと引き戻された。
外部を映すモニターには、既に広がってくる無数のアインタークスフリーゲを模した超小型ネウロイの群れとその上空に存在する航空戦力型のネウロイの存在を捕らえていた。また、自軍側の上空からは迎撃の為の戦闘機部隊やウィッチを含めた戦力が迎撃の為に飛んでいく姿が見える。間もなくするとそういった姿も、アインタークスフリーゲの群れによって隠され陸空の戦力は分断されると同時に、地上でも先行してきた自走地雷を模した歩兵型とアーマイゼやグラウヴォルフ等が一斉に突撃を開始する。
『全機ケイオス爆雷投擲準備、投擲後は後方の敵主力に対して、近接攻撃を仕掛ける。続け!』
『了解!』
その言葉に従う様にユージンは自機を操作すると、腰部アーマーから筒状の手榴弾を取り出し投擲する。
対軽装甲機体向けの爆雷から放たれた散弾が、次々と歩兵型や先行してきた機体を貫いて行き、前方に展開していた戦力を一掃した。コレを確認した後、KMF中隊は一気に加速して敵陣へと向けて侵攻を開始した。前方に対して火力を集中しつつこちらに対して攻撃を行おうとする側面の敵集団に対しては、予備のケイオス爆雷の投下や手持ちのバズーカの榴弾を打ち込む事で無力化してルートを維持しつつ前進を行うと、レーヴェを模したと思われる大型ネウロイ群が見えてきた。
レーヴェの存在をいち早く確認した隊長機のグロースターは更に加速を開始一気に敵機との距離を詰めると反撃を許さずランスに寄る一撃で敵を貫き撃破する。それに続く様にユージンのサザーランドに続く様に剣や対レーヴェ用のバズーカを装甲の薄い後部へと向けて攻撃を加えていく。
『敵機撃破!』
『よし!このまま部隊指揮官機へ…』
『上空アインタークスフリーゲ群に変化あり!』
「なんだ…アレは…」
954: ナイ神父Mk-2 :2022/06/01(水) 23:40:57 HOST:p506199-ipngn601akita.akita.ocn.ne.jp
僚機のその言葉が示す様に低空を飛んでいたアインタークスフリーゲ達の動きが変わったかと思うとまるで、氷柱の或いは砂時計の砂の様に地上に降りて来たのである。その光景は戦車型が存在する戦線中ほどより、更に後方で起きており周辺一帯からも確認できる物であった。これに対して人類側も坐してみている訳でなく、既に後方から長距離砲やロケット弾攻撃が実行されており、それに倣う様に進出してたKMF部隊も又この蝶の柱達へと攻撃を仕掛ける。しかし
「駄目です!敵の降下収まりません!」
『降下して蝶の群れを超えて新しいレギオン群出現しました!』
『不味いな…中隊はいったん後退…』
『敵のフリーゲの群れ収束します!』
上空から降りてきてまるでブライニクルの如く地上一体へと広がった群れは、まるでパズルの如くその姿を変えていく。そして、見えてきた物は彼等を驚かせるには十分な物であった。
『ちょ、蝶の中から敵超大型機出現!更に10mクラスの人型兵力が出現しました!』
『各機共に迎撃しつつ防衛ラインまで後退しろ!』
『味方からの支援砲撃きます!』
蝶の中から出てきたのは、70mを超える人型に近い見かけを持つ三脚タイプの機体と、大量のパンツァーフンメルを二倍以上に大型化した機体が大量に出現したのである。追加として出現したレギオン群の数と未知の敵と言う状況は前線に食い込んでいたKMF部隊を後退させることになり、それを受けた防衛本部も敵機に対して牽制目的の砲撃を始めた。それに対して出現した大型ネウロイは、顔面と思われる一つ目から拡散式のビームを発射して防空を開始した他、地上のKMF部隊に対しては両腕に備わったビーム砲から砲撃とすら言える威力の射撃を連射する。
それに呼応する様に人型も随時ミサイルランチャーを思わせるパーツから、特攻型の小型ネウロイを射出するとKMF部隊への面制圧攻撃を開始。コレによって前線に出撃してた部隊には少なくない被害が出ており、地上の防衛部隊は厳しい展開を迎える形となっている。この状況はブリタニアから購入した大型砲台や長距離ロケット砲を保有する砲撃陣地に置かれたG-1ベース内の前線司令部にも伝わっていた。
「前線の状況は!?」
「現在、戦線の奥に切り込んでいたKMF部隊が新型戦力出現によって後退して居ます。」
「敵の戦力は…今まで戦っていた敵3集団に加えて後方に6集団が進行中!」
「新型への砲撃の効果は…」
「人型タイプは損害を与えた物の大型3脚機に対しては再生能力に対しては攻撃力が足りない状況です。」
「厄介な…」
司令官がそうぼやいた様に、既に戦力が損耗している先行集団のみであれば十分耐えられるだけの弾薬を用意していたものの、先行集団の二倍近い戦力の出現は当初の偵察等には確認されず想定していたものでは無かった。そうした状況を踏まえれば、最悪の場合前線が突破されて移動の遅い部隊などが孤立する事も有りたのである。このまま行けば前線その物を後退させて旅順要塞の戦力との合流を考え無ければ成らないという事も視野に入り始めて居た。
そんな、半ば諦観が司令部を占拠して居た所に有る通信が入った。それは此方への合流を急いでいたウィッチ世界の精鋭である統合戦闘航空団を有するウィッチ達の他、アフリカ回廊を横断してきた連合の援軍から部隊を先行させるといった知らせであった。
極東戦線を取り巻く戦況は敵味方共に次の段階へと移行したのである。
955: ナイ神父Mk-2 :2022/06/01(水) 23:41:58 HOST:p506199-ipngn601akita.akita.ocn.ne.jp
以上です。WIKIへの転載は自由です。取り敢えず極東戦線での星歴派遣軍の動きとかネウロイ側の新戦力に関してをば…
最終更新:2023年08月27日 16:05