472: 194 :2022/05/27(金) 08:00:31 HOST:ai126213181139.77.access-internet.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?その63 人工衛星の墓場にて
戦娘達が急ぎポイント・ネモへと駆け付けようとしているその頃、過激派を乗せた潜水艦・ヴィクトリーもポイント・ネモへと到達しようとしていた。
彼等の想いはただ一つ。蒼空邪軍を地球上から殲滅し、この地球を救う。家族や大切な人達を殺された自分達こそが成し遂げるべき事。
後からやって来た並行世界の連中や小娘達に、自分達が為すべき事を横取り等させない。
攻撃地点へと向かうヴィクトリー。その艦内で、最高指導者であるジョナソン・アルコーン中将は、物思いに耽っていた。
ジョナソン・アルコーン(以下ジョナソン)「・・・レミリア、アイリス。・・・もう少しだ。もう少しでお前達の敵を討ち、人類を救う事が出来る。・・・もう少しなんだ!」
死んだ家族のたった一つの形見。一枚の家族写真を見つめながら、そう呟くジョナソン。
家族を目の前で失ったあの日、かつての自分は死んだ。妻と娘を同時に失った悲しみ。そして、家族を無残な形で殺した憎むべき異能生命体への底無しの憎しみ。
奴等をこの地球上から、一匹残らず殲滅する。そうする事で家族の敵を討ち、人類を救う。その事だけを糧に、今日まで生きながらえて来た。
それこそが、人類を救うただ一つの道。そして・・・自分が再び前を向く事が出来る、たった一つの方法だと信じて。その為なら、例え地獄に落ちても構いやしない。そう誓って、職務に邁進してきた。
だが・・・後からしゃしゃり出て来た並行世界の連中と、忌々しい小娘共。奴等が戦場に立つようになってから、状況が激変してしまった。
人類最後の希望と信じられてきたオペレーション・ジャッジメントは、戦局の推移と共に計画の縮小を繰り返し、遂には無期延期と言う名の計画中止へと追いやられた。
我々がどの様な思いと覚悟を持った上で、この計画の完遂を目指して来たと思っている!!状況が改善した途端、「無用の長物」「狂気の産物」と掌返しで非難し、計画を抹殺するとは!!
私は認めない・・・家族の敵討ちと人類の救済。その二つを、後から出てきた連中に奪い取られてたまるか!
もしそいつ等にその二つを奪われたら・・・自分がしてきた事が全て無駄になる!!自分が自分であり続ける事が、出来なくなってしまう!!
もしそうなったら・・・自分はただ生きているだけの、血と肉の塊となって果ててしまう。そんな事は・・・・・絶対に認めない!!
473: 194 :2022/05/27(金) 08:01:02 HOST:ai126213181139.77.access-internet.ne.jp
そう固く誓うジョナソン。
勿論、理屈では分かっていた。オペレーション・ジャッジメントは諸刃の剣だ。仮に攻撃に成功しても、人類その物の生存が困難となるのは目に見えていた。
だからこそ、それ以上の汚染を広げる事無く、そればかりか除染すら出来てしまう並行世界の技術力と、通常兵器ではまず逆立ちしても敵わない驚異的な戦闘力を持つ戦娘の存在は、この世界にとって福音であると。
実際その二つが合わさった結果、核を使用していないにも関わらず蒼空邪軍が急速に追い詰められており、今や地球上の八割の地域を奪還した。そう遠くない日に地球上から追い出されるだろう。
だが、だからと言って何もしないまま終わる等、断じて認められない!家族の仇をこの手で討たないまま終わる等、断じて認められない!
- 今回の攻撃が成功すれば、南極は壊滅的な打撃を受けて地球の気候が激変するだろう。犠牲者も、どれ程の数が出るかは分からない。
だがそれでも、50億の人間は救う事が出来る。並行世界の支援があるならば、確実に守れるのだ。ワームホールを破壊出来るかは未知数だが、最低でも使用不可能には出来る。
そうなれば、こちらのゲートを破壊しようとした様に、連中を立ち枯れさせる事も出来る。後は兵士の犠牲を出す事無く、残りの蒼空邪軍共を殲滅出来るだろう。
無論、非難されるのは承知の上だ。地獄行きは確定だろう。レミリアとアイリスにも、再会する事は出来まい。
それでも・・・それでも、この攻撃計画だけは絶対にやり遂げる。人類を救う為に。自分が自分であり続ける為に。
航海員「中将!攻撃地点へと到達しました!」
ジョナソン「・・・分かった、直ぐに其方に向かう。・・・あの小娘共の妨害が有るのは確実だ。警戒を怠るな!」
航海員「ハッ!」
物思いをやめ、CICへと向かうジョナソン。既に賽は投げられているのだ。今更引き返す事は出来ない。
そう思い、改めて覚悟を決める。攻撃の瞬間は、間もなく訪れようとしていた。
474: 194 :2022/05/27(金) 08:01:32 HOST:ai126213181139.77.access-internet.ne.jp
一方、デロニカの搭乗してポイント・ネモへと向かう戦娘部隊。皆表情は固い。
無理もない。これまでは蒼空邪軍を相手に戦い続けてきた。憎むべき敵である一方、狂ったナノマシンの犠牲者でもある存在。鹵獲を通じて、かなりの数の蒼空戦娘とも一緒に戦う様になってきた。
トラー・ゲルトナーさえ倒せば、この悲劇の戦いは終わる。そう信じて、任務に邁進してきた。
だがここに来て、同じ人類が暴走をしだしたのだ。しかも、放置しようものなら億単位の犠牲者を出しかねない攻撃を目論んでいる。
ここまでの戦いで既に数億もの人類が死んだというのに、まだ犠牲を欲しているのか。しかも、死ななくていい人間達を犠牲にしようとは。
余りにも愚かで理解不可能な行動に、戦娘達は胸を痛める。何の為の戦いなのか。何故、この非常時に同じ人類同士が殺し合いをしないといけないのか。
いずれにせよ、この暴走を止めねばならない。無意味な犠牲者を出さない為にも。
いちご「レイ、間もなく作戦空域だよ」
レイ「うん・・・。ねぇ、いちごちゃん」
いちご「・・・何?」
レイ「・・・今回の戦い、一体何の為の戦いなんだろ・・・」
いちご「レイ・・・」
レイ「・・・どうして、こんな非道な行為を平然と行おうとするの?余りにも、馬鹿馬鹿し過ぎるよ・・・」
いちご「・・・レイ、その気持ちはよく分かるよ。でも、だからこそ止めないと。出さなくていい犠牲者を、出さない為にも」
レイ「・・・そうだね。絶対に食い止めよう!」
迷いを振り切り、改めて決意を固める。
その直後だった。デロニカのオペレーターからヴィクトリーを発見したとの知らせが入った。
急ぎ出撃、該当海域へ急行するレイ達。先行したぴいがソノブイをばら撒き、敵の詳細な位置を割り出す。
だが、相手の方が一歩速かった。複数のSLBMを次々射出。最初の数発が早くも海面から飛び出そうとしている。
二つの退く事の出来ない意思が、ポイント・ネモにてぶつかり合うのだった。
475: 194 :2022/05/27(金) 08:02:03 HOST:ai126213181139.77.access-internet.ne.jp
以上です。両者の内心を中心にした描写と、戦闘開始の号砲と相成りました。
どちら側にも言い分があり、それ故に歩み寄りが不可能。本当に、書いてて何とも言えない思いに駆られました。
戦闘シーンですが、最初のSLBMは事実上の囮で、680㎜レールキャノンによる長距離核砲撃が本命となっています。その辺は、元ネタのぱk・・・ゲフンゲフン、オマージュとして外せないので。
次回はこの戦闘の結末と、過激派&ヴィクトリーの最後となります。お楽しみに。
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最終更新:2022年06月12日 18:10