429: 635 :2022/05/26(木) 07:14:16 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp

銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その一 東部戦線異常なし…な訳ねえだろ!?だらけだ!!



ポーランドとベラルーシの国境の街。
M1エイブラムスを失ったとある米軍戦車部隊。
彼らは日本が寄越した新たな槍、タイプ-10B(10式戦車改)を与えられ、
米陸軍だけでなく、ロシア軍やらポーランドなど東欧諸国の兵やら人外やら異星人やらが雑多に混じった随伴歩兵と共に未だ戦場にあった。

その車内、身体保護の為に防火ツナギの下に日本より提供された繊維型ロボットスーツを着用、
多機能ディスプレイも兼ねたフルフェイスヘルメットを被った戦車長はヘルメットに映る情報を見て唸る。


「防衛線一部突される。化け物パイソン(注1)が一、サソリ(注2)三、その他それより小さいが悪魔やらメックやらエイリアンやら雑多な連中が多数こちらに接近中…か…。」


ここ暫くはこんなことの繰り返しだ。
波の様に押し寄せる神話の怪物やホラー映画のバケモノやSF映画に出てきそうな宇宙生物やら悪役エイリアンのメックぽいのやらを民間人退避完了まで撃退しては後方に下がりまた防衛線を引き直すその繰り返し。
少し前まではメックやら脚の生えた戦車やらバトルフィールドだかメタルギアの様相を呈した戦場で人の皮被った悪魔相手だが人相手に戦争していたのに何故こうなったとため息を吐く。
最近ではその人間そのものを見かけない、
人が乗ってそうな多脚機動戦車の中身も撃破した車両調べても燃え尽きた何らかの制御装置が載ってるだけの無人だっった。
気を取り直し車長は無線に怒鳴りつける。


「システム!近隣のカンムスによる支援砲撃は!?」

『回答、駆逐艦イ級2隻の5インチ砲6門及び軽巡ホ級6インチ砲8門が30秒以内に支援可能。戦艦タ級16インチが360秒で支援可能となります。』

「うし!カンムスに支援要請。化け物パイソンはカンムスに任せサソリはコッチで殺る!!随伴歩兵援護任せた!まずは数減らすぞ砲手、反応弾(徹甲反応榴弾)装填!!」

「徹甲反応榴弾装填!!」


若い砲手の声が車内に響き、彼に操作により主砲に砲弾が装填される。
車長は自動装填装置により減った装填手の存在に少し寂しさを覚えつつ頭を振ると網膜に映る建物の陰から出てきた敵を睨みつける。
反応弾とはなんぞや思うかもしれないが弾頭の中身は粒子反応爆薬、つまるところ粒子ブラスターと同じ攻撃を装甲貫徹と同時にぶち撒けるという凶悪な代物だ。
最近のキャベツ野郎(クラウツ)の化け物やメックモドキ共はシールドなんてSFなシロモノを備え始め、
HEAT(成形炸薬弾)は効果が薄く、APFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)もシールド突破時に衝撃が加わり圧し折れることすらある。
なので応急処置的な方法ではあったが中身を粒子反応爆薬に置き換えた徹甲榴弾なんてシロモノが再び戦場に姿を現すこととなった。


「撃て―――!!」


車長の声と共に主砲が火を吹き多脚戦車が火達磨になる。
それと同時にロボットスーツを着た随伴歩兵による射撃や後方からの迫撃砲による小型の敵の接近を阻止していく。
少々大きいものは対戦車班に配備された対戦車砲(注3)を大地に根を張り放つ木精やら対装甲ライフル(注3)などを担いだ小人ら人外の連中により、
或いは後方の対戦車陣地よりタイプ-01B(01式軽対戦車誘導弾改)、MMPM-2(中距離多目的誘導弾改)といった対戦車ミサイル(注5)が放たれ撃破されていく。
小型種は吹き飛び、車長の乗るもの以外のタイプ-10Bからも放たれた砲撃により多脚戦車は瞬く間に撃破されていく。
しかし一部は火線を掻い潜り悪魔、その姿はガーゴイルとでも言うべき石像の化け物が歩兵に取り付くとその爪牙を以て歩兵の胸を貫く。
しかし次の瞬間には歩兵は光に包まれ消え失せ、他の歩兵攻撃でガーゴイルは粉々に砕かれる。
それらを尽く殺し尽くし民家の陰から押っ取り刀でバカでかいヘビモドキの化け物が姿を現し皆がギョッとするが後方から飛来した深海棲艦の艦砲射撃により出オチで退場させられた。
その光景に兵たちから歓声が湧く。
しかし用心深い戦車長は周囲を警戒するためにハッチから身を乗り出すと次の瞬間。
戦車に取り付いた化け物、弟がやっていた資源採掘船の探索ゲームに出てきそうな人間の遺体の様な化け物と目が合った。


【グァアアア!!】

「!全速後進!クソこいつ離れろ化け物め!!」


戦車長は指示を飛ばし、戦車は化け物を振り落とそうと全速で後進を始めたがその四肢を車体に食い込ませた化け物は中々振り落とせない。
そして戦車は民家へ突っ込み車長の身体がハッチに叩きつけられ放り出される。
放り出された戦車長を狙う化け物であったがそんな上手くいくわけがない。
化け物はその胸を何かに貫かれる。

430: 635 :2022/05/26(木) 07:15:24 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp


「サンキュー、トム!」


戦車長は化け物を貫いた人物に礼を言う。
化け物を貫いた騎兵槍を構え馬に乗った人物が応える様に指を立てるが返答はない。
それもその筈その人物は元より首のない人、いや妖精であったのだから。
その妖精は踵を返すと他の騎兵、歩兵達の元へと首はない馬の首を向ける。
それを見送り戦車長は立ち上がり誇りを払うと自分の乗る戦車へと歩いていく。
近づくと民家に突っ込んだ戦車がキュラキュラと音を立て瓦礫から出てくるが目立った損傷もないので戦車長は安堵し、戦車の車体へ登ると胡座をかき遠くを見つめる。

遠く西の空に幾つもの光の柱が降り注ぐ様が見えた。ティ連航宙艦隊による遅滞戦支援のための対地支援砲撃だろう。
それを見ながら日本からの援助物資の支給品の中に入っていた菊のシンボルのタバコに火を付けた。
戦争が始まり兵士の精神安定の為か煙草の支給が復活したのは犯罪者扱いされ肩身の狭かった愛煙家の戦車長にとっては幸運だった。
そもそもこの状況、戦場で一々副流煙云々を言っている余裕などありはしない。


「戦車長、俺にも一本くれませんか?」

「あん?お前エラい煙草嫌いじゃなかったか?戦争始まる前に副流煙ガー!とか良く言ってたよな。」


戦車長にハッチから出てきた若い砲手が話しかけ戦車長の問にそんな気分なんですと答えた。
それに戦車長は無言で煙草を差し出し火をつけてやる。
年若い砲手は煙草を大きく吸い込む、しかしなれない煙草を吸って大きく咳き込み言わんこっちゃないと戦車長は笑う。
年若い砲手は誰ともなく呟く。


「いつまでこの戦争続くんでしょうね…実際なら敵に殺されてた歩兵も軌道上の船に転送されて生きてるし、敵はファンタジーやSFの連中ですし正直現実感がありません…。」

「さあな…キャベツ野郎の本丸狙った日本の女神サマの攻撃もティ連の対地攻撃も防がれたって話だからまだ終わらんだろうよ。
キャベツ共の後ろに何かいるのかもな…でもな俺ら軍人はあいつらを守る為に、いつかこの場所にこの土地に住んでた戻ってこれるように戦い続けるだけだ。」


砲手の問に答える様に戦車長は言うと眼前の光景を焼き付ける様に見ながら砲手の頭をワシワシと手荒く撫でる。
国も産まれも育ちも違う兵達が手を取り合う、だがそれだけではない。
この大地で生まれ育った人間がいた。太古よりこの大地で暮らしてきた幻想がいた。この大地にやって来た異星人がいた。
皆互いの生存を喜んでいる。そんなものを守る為に自分は戦うのだと一人の兵として戦車長は言う。
戦車長は自分の太腿を叩くと立ち上げり、それを見上げる砲手。


「うし!そろそろ撤退の時間だ。戦線を引き直すために後方へ下がるぞ!!」

「はい「誰か助けてくれ!!」…?」

「あんだ?…あの軍服はポーランド兵か?」


砲手の声を遮る様な声が聞こえそちらを向くと大きく手を振る兵士が一人。
随伴兵のポーランド兵の一人が警戒し近づくがその兵士が知人だと分かると破顔する。


「お前無事だったのか!!ワルシャワ陥落の混乱で行方不明になったからてっきり死んだもんだと思ってたぞ!!」

「ああ、なんとかな…それで…。」


言いにくそうに行方不明だった兵は振り向くと不安気な顔をした人々やドイツの軍服を着た人間がいた。
また、そこには脚が破壊されロボットアームで白旗を振るドイツの多脚型機動戦車が一両となんか直立するヒトデに見える物体も白旗を振る。
あっけにとられながらも全員が一斉に武器を向けるがその瞬間、多脚戦車の影から小さな影が飛び出し兵士達と多脚戦車の間に両手を広げ立ち塞がる。


「ママをいじめないで!!」


そう叫ぶのは幼い少女だった。
兵士達は少女の存在に困惑する。


「ママ…?」


煙草を加えたままの戦車長が少女の言葉を反芻するように呟くと行方不明だったされるポーランド人の兵士が戦車長に話しかける。


「貴方がこの部隊の指揮官ですか?」

「いや特に決まってる訳じゃないがまあ取り纏め役を任されてる。」

431: 635 :2022/05/26(木) 07:16:21 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp


戦車長がそう言うとポーランド兵は見て欲しいものがあると戦車長を促す。
戦車長はポーランド兵に困惑しながらも着いていく。そしてポーランド兵は話す。
首都ワルシャワ陥落の混乱の中で【彼女】らに助けられたと。
ドイツから脱出してきたドイツ軍人やドイツ国民、その全てがまともだったドイツ軍人達がその犠牲と引き換えに脱出させた収容所に取られられていた諸国民らに。
そしてポーランド兵は知ったと言う。今のドイツ上層部と憂国騎士団という存在のナチすら可愛く見える悍ましい実態を。


「ドイツ軍人達はまともでした…が、その家族含むドイツ国民の多くが魔術か超能力か何かは分かりませんが洗脳され軍人達は逆らえないようでした…。」


そしてこの戦場を占める最早人間ですらない存在達、それはそのドイツ国民や諸国民の命を弄びで生み出されているようだと話す。


「その証拠が【彼女】、それも事実の一端でしかないでしょう…。」


それでも凄惨なことに変わりはないと言う。
ポーランド兵が機動戦車に話掛けるとそのハッチが独りでに開き、ポーランド兵は中を覗くように促す。
恐る恐る中を覗き込む戦車長、その中にはやはり誰もおらず制御装置があるが。
その制御装置を見て戦車長は引き攣る。ガラス管が置かれているがその中身は…。


「これは…人の脳味噌じゃねえか!?」

「人の脳髄がこの戦車の制御を行っているんです。その他ロボット兵器の類は全て…そしてこの脳髄の持ち主は…ドイツ国民であの少女の母親です…。」




注1化け物パイソン:リヴァイタ型ヂラール、この時はまだドイツ側ヂラールの存在は感知されず似た何かと思われていた

注2サソリ:多脚型機動戦車、形は攻殻機動隊のHAW-206似

注3対戦車砲:リニアレールガン、原作銀河連合日本でサイドカーと呼ばれるものに似ている

注4対装甲ライフル:ヤル研謹製ハネルコンモドキ

注5対戦車ミサイル:支援されているミサイルはほとんどが日本製で粒子反応爆薬弾頭に改良されている

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以上になります。転載はご自由にどうぞ。
アメリカ軍人が外道の証拠見つけるというありがちな展開。

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最終更新:2022年06月12日 18:54