721: モントゴメリー :2022/06/11(土) 20:35:08 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
日本連合ネタ——日常戦線、異常なし③——「異常なし…いや、あり?」

新年早々「彼」は外回りである。
昨年落札した案件について東京消防庁へ向かうことになった。
神田駅で銀座線に乗り日本橋へ。
日本橋で東西線に乗り換え竹橋駅で降りる。
実際に行った人ならわかると思うが、東京消防庁は竹橋駅出口の目の前である。
既に幾度も通っている経路、「彼」は何も疑問に思うこともなく階段を上る。
…しかし、出口から見えた風景は「彼」の記憶にある1ヶ月前のそれと大きく異なっていた。
ここは千代田区。「皇居のお堀」の目の前なのである。
『占領軍』が何の備えもしていないなんてことはあり得なかった。
朝に見たのとは違う「ロボット」が衛兵の様に並んで周囲を警戒している。
流石に戦車はいなかったが明らかに軍用とわかる車両も多数いる。

————階段を上ったらそこは異世界でした。ネット小説にありそうなタイトルだ

数秒機能停止した「彼」は再起動に成功し、己の仕事を果たすために足を動かす。
いつも通り東京消防庁のゲートを通り……

「止まりなさい!!」

『少女の声で』誰何が響く。「彼」はまたシャットダウンしそうになるが咄嗟に両手を上げる。
前方——ゲートの中から軍服姿のヒトが迫る。軍人にしては小柄だな、という感想を抱いた「彼」は心臓が強いのかはたまた危機感に乏しいのか。

「ここは東京消防庁です。現在ここは我々『日本連合』の管理下にあります。身分を証明できる書類の提示とここへ来た理由を述べてください」

どう見ても10代の少女にしか見えない「占領軍の兵士」は、一分の隙もない完璧な「プロ」の所作で「彼」を尋問する。
「彼」は社員証と運転免許証を出し、消防庁よりご依頼の工事について契約書の受領に参りました、先方にも事前連絡してあります、と必死に訴える。
「兵士」は端末を操作し(おそらく通信機だろう)、一分ほど沈黙した後に
「確認が取れました。現在、来庁者への対応は正面玄関のみとなります。そちらへお回りください」

地下鉄で来庁する者はほぼ例外なく勘違いするのだが、地下鉄出口目の前のゲートは「車両出入口」であり裏口扱いなのである。
「彼」は「兵士」の言葉に逆らうことなく正面玄関へ回る。
そこでも誰何された(また少女だった)が、連絡が行っていたようで問題なく通過でき担当者と面会することができた。
大変ですねと担当者に問うと、ここはまだマシでしょう。警視庁や防衛省はもっとすごいことになっているそうです、と返された。
そんな『雑談』を交えつつ、「彼」は用向きを済ませる。
この案件における「彼」の出番はここまであり、後は現場技術者たちに引き継がれる。
肩の荷が下りた「彼」は心穏やかに帰路に就く。
最早「兵士」たちや周囲の景色を疑問に思う事も無く――。

722: モントゴメリー :2022/06/11(土) 20:35:39 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
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今月もう一人辞める(合計三人)ことになったので、電車に乗りながら現実逃避に考えた大陸連合ネタでございます(人事並感)。

やっぱり政府施設でも民間人が多く来るところは威圧感を下げるために日米枢軸世界の「お嬢さん」方が配備されていると思います。

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最終更新:2022年06月12日 19:26