464: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:42:09 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
無幻世界に置ける第二次世界大戦 ~歴史の転換点 ヴィスワ川決戦・珊瑚海海戦・アランフェス王宮防衛戦~
『通信時間を送付せよ』
『1月6日』
――――ドイツ軍と総司令部にて行われた、反撃命令を伝える秘匿通信。パリ占拠後フランスに拘束されていた部隊をイギリス本国軍に引き継ぐ事で生まれた予備戦力を大旋回させる、ドイツ軍史上有数の大勝負であった。
【完全に包囲されている……救援は……】
【ドイツ軍の反撃が熾烈で、しかもポーランド人の抵抗や妨害も続いている……】
【ジャガイモ野郎、一体どんな手品を使いやがった……】
【直ちに撤退命令を要請する、このままでは全軍降伏するしかない……】
――――戦闘後に回収された、ソ連兵や政治士官の手記、一部通信記録の内容。後世テンプレートに描かれる【横暴・無能・乱暴の悪役政治士官】とは違い、部隊の相談役や後方との連絡役等を務める【良き士官】も多かった。
「US級が……US級が、ジャップの、それも航空機如きに沈められる等と……!」
『敵雷撃機多数!た、多数が向かっています!!』
「……これが、【報い】と言うものだと、言うのか。そう仰せられるのか、神よ」
――――ニューギニア島に逆上陸し
アメリカ・オーストラリア軍を叩き出しに来た日本軍を攻撃する為に出撃した米海軍。
基地航空隊と空母艦載機隊多数による集中飽和攻撃にて史上初の『戦闘航海中の戦艦を航空攻撃にて喪失』すると言う大損害を被り、救援作戦も失敗した。
「被弾機が意外と多いな……」
「アメ公、副砲代わりに両用砲を多数搭載して居やがったからな。こっちの機体が速過ぎたりしたのか、有効射が想定より少なかったが」
「もっと頑丈で速い新型機が欲しいですね。後、アメ公の射程外からぶっ放せるロケット弾のお化け見たいなのとか。撃った後は自分で勝手に命中してくれるのなら最高です」
「確かにそう言うのが有ったら楽になりそうだな。一応上申しておくか」
「そんなの出来たら俺達飛行機飛ばして撃って帰るだけの簡単な仕事ばっかりになっちまうなオイ」
「良い事じゃ無いですか、仲間が撃墜されずに済むんですから」
―――― 一方史上初の偉業を成し遂げた艦載機隊や基地航空隊の日本軍パイロットたちだったが、彼らの関心は敵戦艦撃沈よりも敵艦隊の対空砲火の方が、自らの今後に関わる為によっぽど強かった。これらの戦訓や報告は、後に史上初の誘導爆弾や対艦ミサイル、艦載ジェット機等として結実する。
「連中に『歴史的遺産の保護』と言う考えは無いのか!?」
「そんな頭があの連中に有る訳無いだろ!能天気に正義正義言ってる身体だけデカい馬鹿餓鬼どもだぞ!!」
「アランフェス王宮を背にして防衛戦とか色んな意味で冗談じゃねぇ!市街地やサンパスクアルの教会と修道院は無事なのか!?
あそこには俺の家族が逃げ込んでいるんだぞ!!」
――――侵攻して来たアメリカ軍に対し、首都マドリードを眼前に捉える様な地域のアランフエスのムニシピオ(基礎自治体)で徹底抗戦するスペイン・現地義勇兵連合軍。日本の古都・京都や奈良に勝るとも劣らない歴史と遺産を持つ街は、近代兵器がまき散らす惨禍により次々と傷付き、一部は破壊されて行った。
「これより我らは、第二次レコンギスタ作戦を実行する」
「此処に居る我々は、民族、国家、所属、経歴……それら全てを異とする。しかし……我々は、守るべきものが一体何であるのかを知る、真に勇気ある兵士達であると、心から信ずる」
「イベリア半島に平穏を!侵略者達に鉄鎚を!総員、作戦を開始せよ!!」
――――増援に来たイギリス本国軍、東部から派遣されたイタリア軍、遠く極東より来援したフィリピン(旧アメリカ)軍、一部余剰戦力を回して来たオスマン帝国軍、祖国奪還に振える現地スペイン軍による、対アメリカ軍反攻作戦。きしくも南太平洋海戦、ヴィスワ川包囲戦と同時期に行われたこの反攻作戦にて、アメリカ陸軍は大打撃を被る事になる。
465: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:43:56 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【大反撃】…中印国境の山岳地帯で壮絶かつ世界情勢に全く影響を与えない、凄惨で濃密だが一メートル単位の動きすら少ない戦闘が始まろうとしていた頃。欧州の東西、そしてニューギニア島沖合の南太平洋にて、これまでの国際連合側の景気の良い攻勢を一気にフルブレーキを掛ける決戦が勃発した。既に軍隊が壊滅し崩壊状態にまで落ちぶれつつあるフランスの事を除けば、日英独を主軸とする国際連合と米ソを大本とした国際連合の戦闘は、この時までは通商破壊や小規模の海戦、遅滞戦闘が主であり、所謂『決戦』と呼ぶに足る規模の戦いは、最序盤のマジノ線突破作戦と、参加兵力だけを見た横須賀奇襲攻撃の二つのみであった。
最初からドイツを滅ぼす気満々であったフランスとそれに対抗した準備を整えていたドイツは兎も角、それ以外の全列強は基本的に戦争をする気は元々無く、日英とそれに付随する中小国(西・葡・蘭等)は愚か戦争を吹っ掛ける形となった米ソすらも準備不足だった。
その為に、相互の陣営、特に日英が兵力の動員や増強に一定の規模を達成したのが、この頃であった為にこの三つの決戦が起きたとも言える。
そしてこの三つの決戦に置いて一つ特徴的だったのは、日本から急速に溢れ出て来るようになった大量の航空機が、日本で緊急成立した『同盟国緊急支援法案』に基づいてイギリスやドイツ、イタリア。後にスペイン、ポーランド等に送り込まれ出した事だろう。
陸戦兵器に関してはドイツ戦車が優秀な事と輸送に時間が掛かる為に見送られたが、日本機共通の長大な航続力を活用した航空輸送は、同盟国であった英独も驚くほどの勢いであり、また開戦により対日情報網が壊滅か消滅していたソ連やアメリカの想像の埒外にもあった。
今戦争に置いて、文字通りの主力兵器として君臨する事となった航空機。日本のみならず列強各国でも自国開発で国産機を導入、配備を進めていたが、自助努力に加えて同盟国間での技術交換と共同開発で急速に発展させた国際連盟側や、陸空にリソースを全面的に集中させ無理を推した開発を行ったソ連に対して、大恐慌から続いた戦前からの経済政策の失敗や水上艦艇に注力し過ぎたリソース配分を戦争開始後も暫く継続して居たアメリカは、自らが時代遅れの軍隊に成り下がった事を、この決戦によってようやく思い知る事となった。
【ヴィスワ川逆包囲戦】…まともな戦争準備も整っていないし政治的にも今の所やる気は無かったと言うのにフランスのせいで世界大戦に巻き込まれ、序でに過去国外追放したトロツキスト連中の策動のせいで先んじて侵攻する羽目に有ったソ連は、常備兵を用いたベルリン進撃が想定以上、否想定通りに遅々として進んでいない状況に、ソ連の国家首班であるスターリンを筆頭に焦っていた。ソ連に最大級の災厄を齎したフランスは、口ほどにも無くマジノ線をドイツ軍に突破され、国内すべてを破壊する焦土作戦で対抗している筈が次々と各地の統制を失い国家その物が崩壊して行っていると言う信じられない程に馬鹿げた有様で有る事が、現地のソ連のフランス駐在武官や外交官が現地の暴動を起こしたフランス市民から車両を多数【接収】し、便乗した他国中立国らの外交官や武官らと共に冒険活劇の如きフランス縦断逃亡劇を繰り広げた末スイスに脱出した事で凡そが伝わっており、ドイツ軍のフランス攻略部隊が、フランスと言う泥沼に足を取られている間に早期にポーランドを完全制圧してドイツ本国へ雪崩れ込まなければならない事が明白に分かっていた。
尚この逃亡劇は後にソ連映画にて反仏主軸・共産プロパガンダ風味のドキュメンタリー兼アクション映画として製作され、日本等でも『ソ連映画の本気』等と言われて相応に人気を博した結構な名作になっている。特に燃え盛り破却され、全てが暴徒と共に砕け散って行く『元』フランス首都パリの描写は、後世アクション映画等の派手な舞台装置を演出する者を志す人間に取っては必見と言われる出来栄えである。
466: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:46:24 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
とは言え、如何に遅々としていてもそこは陸軍大国であるソ連軍。地の利を生かして戦うドイツ・ポーランド連合軍を確実に撃退・撃破し、過去ソ連創設期に行われたポーランドとの戦争で屈辱を味わったヴィスワ川まで到達し、そしてポーランド首都ワルシャワに撤退したドイツ・ポーランド軍を包囲する事に成功する。欧州市民一般から『東方の蛮族』等と蔑まれ恐れられるロシア兵では有るが、進撃途上の邪魔になる陣地や敵兵の籠る建物こそ容赦無く破壊するも、その他の無用な略奪や虐殺等は基本的に行わなかった為の成果であった。
早急にポーランドとドイツを撃破し手仕舞いしたいソ連指導部が、余計な時間の浪費に繋がる略奪や破壊を避ける様にと言う強い指令、それを訓練の行き届いた常備兵と政治士官が遵守した事がこの結果に繋がっており、後にロシア兵に対する欧州市民の一般評を一部変える事になった。勿論ソ連指導部の命令に反する『無能な裏切者』は、大規模軍隊と言う様々な人間の塊である以上政治士官や兵士、将校等に皆無では無かったが、大概が『善良なるロシア人』により他部隊や上位の政治士官、将校に密告され、シベリア送りか現地裁判で処刑されたりしている。
一方ワルシャワに閉じ込められる形となったドイツ・ポーランド軍だが、追い込まれている為に士気や戦力が低迷しているかと言われればそうでも無く、世界で最も早く戦争状態に入った為に戦時生産の回転が加速しているドイツ産業界が大量に吐き出す各種兵器や物資が、マジノ線突破以降半ば自壊する様に戦力を衰退させているフランス戦線に見切りをつけ、途中から対ポーランドへ集中的に送り込まれていた事により、ワルシャワ周辺には大量の武器弾薬、戦車や航空機が兵士と共に屯していた。そして秘匿通信にて、フランス戦線に拘束されていたドイツ軍部隊がイギリス本国軍と交代し、昼夜を問わない列車輸送にて大返しをして来ている事が伝わった事、そして前回ソ連軍をこのヴィスワ川の攻防戦でポーランド軍とポーランド軍に属した元ドイツ系軍人が撃退して勝利したと言う縁起の良い過去も有り、ソ連側が想定していたより士気や抵抗力は落ちていなかった。
寧ろもう撤退できない場所に追い込まれて奮起しているのが現実であった。
また、ドイツ・ポーランド軍の士気が落ちていない理由のもう一つが、ソ連側が碌な前準備も無しに侵攻してきたせいで、ワルシャワに到達したは良い物の、補給線が伸びてしまっていた為に物資の備蓄や集積が追い付いていない事が、偵察と諜報、通信傍受の結果判明して居た事だった。ロシア伝統の戦略で、鉄道の路線幅が欧州規格と違う事が最大の要因であり、食糧に関してはポーランド国内の食糧集積所や保管庫を【接収(略奪)】する事で多少は賄えたが、武器弾薬に関してはソ連国内から運搬するより他無く、ソ連が保有する自動車やトラックの量では溢れ出る程に最前線へ物資を持ち込む事は厳しかった。無論ソ連の工場は革新的新世代の戦車であるT-34と同じようにトラックを多数吐き出しており、また戦間期にアメリカが経済対策、後に対日牽制の一環として多数の工作機械やトラック等を輸出して居た事からアメリカ製の自動貨車も優れた稼働率で活躍していたが、足りない物は足りなかった。ソ連軍がワルシャワを包囲したのも、実の所一気呵成に圧し潰すだけの物資が不足して停滞せざる負えなかったからであった。
暫しの間ワルシャワを包囲したまま間誤付くも、敵よりも何よりも恐ろしい同志スターリンの大喝と手配により、前線部隊が動ける最低限の物資を集積したソ連軍がワルシャワへ攻勢を仕掛けた直後、ソ連に三つの凶報が飛び込んでくる。
一つは、『未回収のイタリア』問題解決のために対独同盟した結果、ソ連と同じく世界大戦に巻き込まれたイタリア軍の対ポーランド派兵。とは言え此方は元々イタリア軍は弱体であると言うイメージが有る事や、ポーランドだけでなくスペインにも派兵している事がイタリア自身の宣伝外交で分かっていた為、派遣されるにしてもお付き合い程度の質量の軍勢だろうと予測され、大して重要視されなかった。それよりも重大であった二つ目の凶報が、オスマントルコ帝国の対ソ宣戦並びにバクー油田への爆撃だった。バクー油田に関しては、事前にソ連が念の為としてそれなりに対空砲を中心とした防空部隊が存在して居た事や、オスマン軍の爆撃隊がそこまで大規模かつ精密に爆撃して来なかった事から実害は少なかったが、国家の再編が終了し『瀕死の病人』から蘇ったオスマン帝国が敵になるのは頭の痛い話だった。
少なくとも二線級かつ少数の兵力であしらえる程に弱くは無いのだから。
467: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:49:00 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
そしてソ連、とりわけワルシャワを包囲して居たソ連軍に特大の凶報となった三つ目の知らせは、フランスから欧州大返しして来たドイツ軍が、ソ連の予想より早く現着し、ワルシャワに籠っていたドイツ・ポーランド軍と共に奇襲的に攻撃を仕掛けてきたことだった。ソ連側の予想より早くワルシャワに到達出来た主な要因は、ゲルマン民族特有とも言える規則規律重視姿勢を無視したとも言える、途中の貨車や客車を全て待避線に退かさせた上での鉄道のノンストップ片道運輸によるものであった。
このドイツ人らしからぬ、規則を無視した危険な軍事行動を行ったのは長い付き合いになる日本人の影響が有ったとの不確かな説も有るが、兎に角この無茶な行軍を達成させた事は、ソ連にとって不運にもワルシャワに攻撃を仕掛けて中途半端に踏み込んだ頃合いだった事も有り、取り返しのつかない致命傷となった。
事態を把握したスターリンが断腸の思いで『一時撤退』する事を命令した頃には、ワルシャワに取り付いていた攻略部隊と予備部隊がドイツ軍により分断される二重包囲の形となり、しかも当座の燃料弾薬は優先して調達したが、その代償として整備部品や医薬品、食糧は後回しにされた結果、包囲下に置かれたワルシャワ攻略部隊の継戦力は急速に萎びて行った。ソ連軍伝統の悪癖と言うか限界とも言うべきか、正面兵力を重視する為に整備等の後方部隊に関しては部隊規模に対し余り多くない事が見受けられており、後に本土決戦となった戦争中盤以降ではある程度改善されていたが、この時期はそうでは無かった。
その為に健常者と稼働している戦車や車両に燃料や弾薬をかき集め、士卒を中心とするまともに動けない負傷者は一定の交戦後に降伏する様に密かに言い含めて、身軽になったワルシャワ攻略部隊と包囲網の外に居る増援部隊とで脱出作戦を決行。独波連合ワルシャワ防衛部隊の追撃と包囲しているドイツ軍の奮戦、そして存在を軽視していたイタリア軍が自国産に加えて日本機を装備した空軍部隊で攻撃して予想外の損害を出すも、中核部隊を中心としたワルシャワ攻略部隊の約35パーセントが脱出に成功。残された65パーセントは再度閉じられた包囲網の中で抗戦と降伏を続け、戦力価値を喪失した。
数字で見れば間違い無く独波連合軍の大勝利で有るのだが、ソ連軍の背骨と言える将官は全員空路か陸路で脱出しており、また佐官クラスや練度の高い兵卒も相応に脱出している事から、人的資源が豊富なソ連軍への打撃は目減りしていると、ドイツ側は想定していた。実際には訓練された常備兵を多数喪失した事で相当にソ連軍の受けた打撃は大きかったが、ドイツ軍やポーランド軍からして見れば無限に思える動員で多数の中央アジア兵らを突っ込ませてくるソ連軍の脅威は変化無いと体感していた。その為、この『大勝利』に大いに喜んだ総統閣下に躊躇も容赦も無くドイツ軍の分析結果を突き付け、戦勝の喜びそのままにソ連軍を侮った演説内容を考えていた総統閣下を思いっ切り凹ませ、数日後に行われた演説内容が『勝って兜の緒を締めよ』と言える、かなり抑制的な演説になっていた。
しかし権限的には戦時下と言うのも相まって独裁者並の存在でありながら、何ともコミカルに愛嬌まで感じさせる特異な人間である。
468: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:50:00 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【珊瑚海海戦】…日本海軍の容赦の無い通商破壊作戦により、多数の輸送艦や護衛駆逐艦を喪失しながらもオーストラリアに各種兵器を注ぎ込む、正しく【出血しながらの輸血】を続けていたアメリカであったが、オーストラリアが農業国で有る事や過去日系資本が資源開発にて幾らかの石油や鉱物資源を発見していた事から、食糧や燃料は早々に見切り、武器弾薬と一部工作機械に重点を置いた輸送へ切り替えた事が功を奏し、一定度の集積が出来ていた。そして最低限度、オーストラリアが後方基地として機能し始めたが早いか、今戦争に置けるアメリカ軍最大の疫病神と言われたホワイトハウスより早期侵攻を命令される。これは本来の【予定】であればとっくにニューギニア島どころかジャワ島を過ぎて孤立していたフィリピンを制圧し、そしてフィリピンを押っ取り刀で占領しに来た日本艦隊をアメリカ海軍による艦隊決戦で叩き潰して戦勝パレードに洒落込むと言う計画であったのだが、実際にはその前段階にして開戦初頭の、横須賀奇襲攻撃と同じく侵攻の先兵であったジャワ島派遣米合軍10万が、すぐさま対応に出た日本軍によって孤立、殲滅された上に、そもそも『大した被害は出る事は無い』と、前大戦でのドイツ戦にて通商破壊の損害を余り受けなかった事から来る楽観視とは裏腹に次々輸送船が撃沈されて【予定】が遅れに遅れていた反動だった。つまりは我慢の限界と言う訳である。
オーストラリア軍とアメリカ軍の合同軍がニューギニア島に足跡を記した時、対する日本軍は既にニューギニア島沿岸内部での基地化と2000メートル級滑走路を二本持つ飛行場設立を実行していた。元々先の『大戦』にて、ドイツ領ニューギニアを南洋諸島領として日本が得ていた事に加えて、大体米軍魚雷信管問題のお陰で、米海軍による通商破壊がまともに機能して居ない間に一気に輸送作戦を成功させていた事や、日本の工業力や技術力発展によってアメリカ側の予想以上に日本軍の機械化が進んでおり、過半が自作である大量の土木工作機械を用いた設営隊、そして敵兵が居ない為にこき使われた手隙の兵士達の尽力による結果であった。
とは言え、日本本土から見てニューギニア島は余りにも、物心両面で遠すぎた。加えて先の『大戦』後のニューギニア島を巡ってオーストラリアが異様なまでに反発し、英本国の一喝で一旦は引き下がるも、その後は国際的常識を無視して日本勢力圏に度々踏み入り、新領土となったニューギニア島へ向かう日本船舶へ臨検未遂や異常接近等の嫌がらせをオーストリア人が一方的に行う係争地と化した事から、増々民心も政府もニューギニア島開発の意欲は低空飛行をし続け、日本軍が改めてニューギニア島に踏み入った時は、素人目で見て見ると港湾施設と言う名の多少は整備された【入り江と掘っ立て小屋と物見やぐらと木の桟橋】程度にしか見えない、民間船舶の緊急時の避難場所程度と言う最低限度の開発に留まっていた為、輸送作戦その物は問題無くとも揚陸や運搬に関してはかなりの苦労を伴う羽目になっていた。日本陸軍が遠隔地への陸軍部隊の揚陸を想定して研究、開発されていたあきつ丸の様な、後の強襲揚陸艦であったり、現場の兵士から『はしけ』等と言われた戦車揚陸艇、また変わった所ではプレハブ建築による簡易施設らの研究、生産、開発が加速したのは、このニューギニア島への輸送で苦労したのが理由なのは明白であった。
469: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:52:12 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
そうしてようやく、日本軍とアメリカ・オーストラリア軍による戦闘がニューギニア島にて始まったのであるが、概ね日本側が優位に戦い、米豪軍は悪戯に損害を重ね続けた。既に拠点を構築し、後背地を確保して堅実に進む日本軍と、後方施設の建築もそこそこにホワイトハウスや白豪主義の熱に浮かされるオーストラリア人に急かされるがまま不本意な攻勢を仕掛けた米豪軍と言う差も有ったが、日米軍双方で大きな原因とされたのがオーストラリア兵の練度不足だった。実質面で独立国家であったオーストラリアであったが、そもそも英連邦の統治領であった事や広大な農業の第一次産業を主体とした産業構造等も相まって、将官級の質量は今一つ程度であった。本来は英本国から派遣された将官や佐官らがそのオーストラリア兵を率いる事で、その不足する点を補う筈だったのだが、オーストリア人の一方的かつ突然の反逆によって、当たり前だが英本国からの派遣は無くなった。
その為代わりの後釜にアメリカ軍が参入したりしたのだが、元々アメリカ軍とオーストラリア軍が共同戦線を張る事は全く考えられていなかったし、加えて同じ英語圏とは言えアメリカ英語とイギリス(オーストラリア)英語の微妙なニュアンスの違いも有って、歯車がかみ合う事例は少なかった。開戦直後にジャワ島に派遣された軍が撤退も出来ずに殲滅された為、アメリカ軍やオーストラリア軍が戦訓を獲得する機会が無かったのも、大きな要因の一つであった。
一方の日本軍だが、米合側が新鋭兵器として持ち込んだM4 シャーマン戦車を遥かに超越する、後に改良を重ねて主力戦車にまで昇華した完全な場違い戦車足る二式戦車を例に見る様に兵器面でも敵軍より優位だったが、それよりも良く話題に上げられたのは、台湾兵とりわけ高沙兵と呼ばれた兵士達の強者っぷりだった。
日本が戦争(満州戦役)に突入した世情に反応して激烈な志願兵運動が巻き起こり、それに政府が動かされて徴兵されたと言えば、カウボーイ気分が抜け落ちないままスペイン等に派兵されたアメリカンボーイズを連想させるが、日本の台湾兵は彼の者とは違い真面目に訓練された兵士達であり、また熱病に浮かされた様なアメリカンボーイズ兵とは違う、日本帝国に属する者と言う誇りを胸に掲げたモラル(規律)に優れた戦士たちでもあった。
植民地からの兵士と言う事で、台湾兵が前線に合流した時には、如何に当時としては人種差別観が薄い日本人とは言え色々な蟠りが有ったりしたが、台湾兵が過酷な南方の環境を物ともせずに力戦敢闘する活躍と実力を見せた事で急速に関係や偏見は改善された。後に優秀な台湾兵部隊を、軍団の基幹師団として戦功を挙げている近衛第一師団と、日清・日露戦争、そして第一次世界大戦から続く勇名高らかな第四師団が所属を巡って奪い合いの喧嘩になっただの、最前線で兵を率いていた牟田口中将(当時、最終階級大将)が『最前線は台湾兵を求む、それこそが最大の補給である』とうっかり放言して、切り抜きされたその言葉だけを見て【輜重軽視】と後世誤解されて的外れ批判されてしまっただの、真偽諸々織り交ざった戦場伝説が今でも残っているのは有名である。
『貧弱愚昧な
アジアの猿のハンティング』のつもりが、想像とは桁違いの砲火力と銃弾の豪雨によって、戦い慣れていない事も有って堪え切れず混乱、壊乱して行く米豪兵を、必死に押し留め継戦続行させようとするアメリカ軍将官や佐官、また経験の深いアメリカ兵。そして勇者も弱者も纏めて擲弾筒や爆撃、機関銃で吹き飛ばし、時には夜陰とジャングルに乗じた銃剣突撃による奇襲で粉砕して進撃する日本軍。軍制改革により、今では持つ将校も少なくなった日本刀式の軍刀が、夜陰の銃剣突撃にて切り捨てられつつも生き残った米豪兵の恐怖の象徴となった頃。
とうとう橋頭堡に追い込まれて悲鳴を上げた米豪軍を救援する為に送り込まれたアメリカ艦隊と日本連合艦隊との海戦が、この太平洋戦線のターニングポイントとなった。
470: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:54:13 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
戦時経済が回転し始めたアメリカ本国から吐き出されるようになった戦時標準船のリバティー級輸送艦と、リソースを戦艦に注ぎ過ぎた弊害で、使えはするが性能がいまいちなソナーが詰め込まれた護衛駆逐艦で編成された輸送船団の間接護衛として出撃したのは、当時世界最大最強とアメリカが自負し、世界に喧伝していた【ユナイテッド・ステーツ級】戦艦六隻と、大艦巨砲主義が跋扈するアメリカ海軍の中では不当に地位の低い【ヨークタウン級】正規空母二隻(一隻損傷後退)を中核とした大艦隊である。
ハワイ諸島から軍楽隊の演奏高らかに出撃し、その多くがアメリカが誇る巨大戦艦により無様に沈められる日本艦の姿を確信し喜悦に浸っていたが、珊瑚海に入って半ばに、感覚的には唐突に始まった日本機動艦隊による空襲によって、その慢心は見事に打ち砕かれた。
世界初の一から建造された空母にして最初で最後の実戦参加となった空母【鳳翔】や、黎明期の試行錯誤の結果、後世では『まな板』、当時の航空兵からは『高下駄』等と呼ばれたフルフラット式空母【龍驤】ら、後世の基準では軽空母級の古参艦から新鋭艦として国民からの知名度も高い【翔鶴型】、更には就役して間もない最新鋭の装甲空母【大鳳型】に至るまで、兎に角日本がこの時保有して居た全ての空母と、ニューギニア島に少し強引に送り込んだ四発多用途爆撃機【銀河(陸軍名・連山)】の全てを動員した、戦史史上初の航空飽和攻撃によって、『アメリカの誇り』は、建造時には全く想定されて居なかった『敵』によって見るも無残に袋叩きにされ、可能な限り奮戦した正規空母二隻と共に、敢え無く水底へと【ユナイテッド・ステーツ級】の二隻が最期の停泊を迎える事となった。
機種更新が中途で有る為に旧世代機と最新鋭機が混ざった混沌さだったが、どちらにしてもアメリカ側に取っては想定外の性能を発揮する機体ばかりであり、いずれにしても結果は変わらなかっただろうと結論付ける戦史家が殆どである。アメリカ側に取って不幸中の幸いと慰めになったのは、航空機に続く二の矢として襲い掛かって来た、日本海軍の水上艦部隊によって沈められていく損傷艦を多数見捨てる形で【ユナイテッド・ステーツ級】戦艦の内三隻がなんとか這う這うの体で本国に帰投する事に成功し、また一隻は船底を航空魚雷で穴だらけに、艦上構造物を多数破壊されつつもオーストラリアに逃げ込めたことだろうか。
正し此方の方は、当のオーストラリアには修理能力が無い為に、事実上の喪失と同義ではあるのだが。
皮肉な事に今珊瑚海海戦に置いて、世界最古の空母【鳳翔】の艦載機隊による二度の攻撃が、世界最新鋭の巨大戦艦【ユナイテッド・ステーツ】を完全に撃沈せしめる始まりにしてトドメとなった事が世間を騒がせたが、日英独が率いる国際連盟と、アメリカが形式上の盟主を務める国際連合の騒ぎ具合の質と規模は全く違っていた。
対ソ連戦で忙しいドイツは何時もの総統閣下による興奮した称賛の演説と、航空飽和攻撃と言う新時代の戦術の威力を知って色々な意味で溜息を吐くドイツ海軍と言う程度の反応で、少なくとも軍部や政治サイドが過剰に大騒ぎする事は無く、アメリカ海軍の威信が見事に打ち砕かれた事にイギリスは大いに絶賛した後、日本海軍が示した戦訓を元に自らの海軍の一部お色直しや正規空母の建造加速と言う位の反応に終始したが、国際連合、と言うよりアメリカの反応は文字通りの大激震だった。大言壮語の大統領演説で『必ず勝利をつかみ取って来るだろう』と送り出した結果が、ニューギニア島に上陸した陸軍部隊への救援も出来ず、それどころか取り付く事も出来ず、そしてあで華やかな艦隊決戦ではなく航空機によって粉砕されたのである。そしてこの敗戦の直後に、フィリピンが独立宣言して現地アメリカ軍が離反した事等が大々的に報じられた事によって、アメリカ内部では責任の擦り付け合いや政治闘争による一時的混乱へと、暫く無駄で無意味かつ不毛な時間を浪費する事になる。
471: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:56:23 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【アランフェス王宮防衛戦】…欧州東部と南太平洋の珊瑚海で大規模な決戦が巻き起ころうとしている時、此処スペインでも反攻の時が来ていた。より正確に言えば、最早引き下がれない所まで押し込められてしまった、と言うべきであろうか。スペイン人が戦禍に立ち上がって義勇兵としてアメリカ兵と戦いだした事で、ただでさえ民間人保護が不十分なアメリカ軍が更に義勇兵と見做した民間人も巻き込んだ戦闘に躊躇無くなった事に加え、皮肉にもようやくイベリア半島へイギリス軍とフィリピン軍の皮を被ったアメリカ兵を中心とした援軍が多数到着した事が、スペイン軍や政府の力量を完全に超えた状況にまで追い込んでいった。本土決戦でありながらも、スペイン軍がスペイン戦線全体の指揮を事実上イギリス軍へ依願したのも、余りにも複雑化し過ぎた状況に手が付けられないと白旗を上げてしまったからだった。
後世無責任な政治評論家等を名乗る人間が本土決戦で有りながら指揮権を放棄したようなこの事を批判したりしているが、ならば軍制も装備も言葉も違う軍隊を、しかも自国より格上の列強の国家を相手取って、内戦で疲弊して居る所に列強と本土決戦している中堅国が、一体どうやれば関係各位を納得させて率いられるのかの答えを知りたいモノである。
現地スペイン軍とスペイン人義勇兵、半分居るのかどうなのか忘れられやすいポルトガル人部隊、極東から送り込まれたフィリピン軍の皮を被った旧アメリカ軍、航空部隊を中心にやって来たイタリアとオスマン帝国、そして彼らを率いる総司令官の立場に祀り上げられたイギリス軍。よくよく考えたら多国籍軍にしても意味の分からない組み合わせの急造連合軍であったが、主に戦線全体の指揮を執ったイギリス軍の将官と各軍間の情報を繋げた通信兵たちの疲弊と苦労を代償として、イベリア半島中央部に位置するアランフェス王宮近辺にてアメリカ軍の進撃を停滞させる事に成功する。これは最前線で踏ん張っていたスペイン軍に対し、国際連盟軍の旗印を掲げたイギリス陸軍らが増援として加勢した事も有るが、アメリカ軍の後方の補給線を、スペイン人レジスタンスが国際連盟軍から武器弾薬、情報等の支援を多数受け取った事や、イギリス軍人を教官や指揮官とした事で効率的に攻撃する事に成功し始めていた事と、年単位で大暴れし続け、大西洋の厄災等とまで言われたドイツ海軍の潜水艦による通商破壊が、米兵の最前線にまで送られる物資が止まり始めた結果でもあった。要は攻勢限界と言う事である。
世界遺産級であり、また内戦でも破壊されなかった、キリスト教としても欧州文化圏としても貴重な歴史のある建築物複数に度々砲弾や銃弾が突き刺さって炸裂し、一部では崩壊状態になる有様に、敬虔なキリスト教徒や歴史好きが大体卒倒して居るのを横目に、アメリカ陸軍航空隊とイギリス・旧アメリカ・イタリア・オスマン空軍による航空戦が発生し、そして『鳥なき島の蝙蝠』で好き勝手していたアメリカ軍機は、国際連盟軍によって一蹴された。
アメリカ側の使用する戦闘機は、戦間期に開発されたカーチス社のP-36系統のP-40 ウォーホークが主力と言うか最新鋭機で有ったのに対し、国際連盟軍側は日本から送られて来た、P-40より格上の零戦や隼が使われて居たり、またイギリス空軍が投入して来たスピットファイアとその後継機(候補)のホーカー テンペストと言う様に、彼我の機材の差が大きかった事に加え、予算配分の関係でアメリカ側の航空部隊の規模が列強諸国の中では小さく、戦時で規模拡大しても核となる組織がこじんまりとしていたせいで、戦争中のアメリカ軍航空部隊は延々と戦力不足に喘ぐ羽目になっていた。戦争中で最も戦力が充実していた時期でコレなのだから、現場での奮戦は兎も角としても、この後の展開がどうなるかは自明の理だろう。
472: 陣龍 :2022/06/03(金) 18:58:36 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
そして空の傘が一気に剥がされたアメリカ陸軍にも厄災は爆弾と銃弾と言う形で降り注いだ。
大英帝国が誇る当時世界最大最強の戦略爆撃機であるランカスターが、スペイン人が断腸の思いで指定した、一応比較的貴重な遺産等の無い区画を、陸上部隊が追い込み漁の要領で追い込んだアメリカ兵を物資諸共丸ごと絨毯爆撃し、その一方で、ドイツ空軍のJu87 スツーカの様な高性能の急降下爆撃機は、この時不幸にも発生して居た、所謂『英国面』の発露によって何とも低性能であったり、中途半端に爆撃と空戦両方にリソースを割り振って両方とも失格レベルのヘンテコ機であったり、つまりは開発失敗して居た為に全面使用されていた日本海軍の艦上爆撃機 彗星によるピンポイント爆撃にて、市街地や陣地、塹壕に籠るアメリカ兵や米軍戦車を的確に吹き飛ばしていった。日本から送られて来た彗星艦爆は、日本軍の開発の性質上機動力に優れ、また今戦争で大量に生産、採用されていたマウザー20㎜機関砲が搭載されていた事も有り、対地襲撃から敵機の迎撃までこなせる一種の万能機で有った事も有り、後にイギリスのメンツにかけて開発された艦上爆撃機が、彗星にほれ込んでいた一部の現場の航空兵が『今更乗り換える位なら自分はこの機体と共に散る』とまで言い切って機種転換を拒否し、終戦まで彗星に乗り続けていた航空兵も少なからず居たと言う。これは自国製兵器への不信と言うより、ただ単に英国人特有の妙な頑固さと拘りが出ただけと言われ、現に自国製新型艦爆へ機種転換している航空兵の方が多数派だったりする。
航空機が出現し、そしてその性能が急速に上昇していった近代戦に置いて致命的失点となるアメリカ軍の制空権の喪失に合わせて、国際連盟軍は反転攻勢を開始。イギリスから各種武装を供与された事で一気に戦力強化に成功して報復の意気高らかなスペイン軍を先鋒に、空は兎も角陸の『英国面』では大成功した、現代まで続く英国戦車伝統にして世界でも唯一である、史上初の搭載された戦車内特別紅茶関連セット以外は日本の二式戦車とほぼ同等の性能であるセンチュリオン戦車でアメリカ陸軍のM4を一方的に蹴散らし、そして日英の軍装に身を包んだ自称フィリピン軍が側面を突いた事で、今までの苦戦は一体何だったのかととあるスペイン兵が思わずぼやいたように、思ったより簡単にアメリカ軍は撤退、そして敗走していった。今までの執着していた攻勢に対して余りにも簡単に引いて行った為に罠を疑い、全体指揮を執っていた英国軍が追撃戦に対し慎重になった事で、航空攻撃を除くアメリカ軍への追撃が中途半端になってしまうと言う、戦争では良くある誤認とミスが有ったが、一先ずアメリカ軍の苛烈な攻勢を撃退した事は、国際連盟軍に取って戦略的に大きな勝利となった。
アランフェス王宮の建物は兎も角、良く整備されていた筈の庭園が塹壕として使われて掘り返された復旧工事が計画される中、スペイン人の戦禍や悲運はまだまだ続くのだが、少しだけ希望の灯は見え始めていた。
だが、この国際連盟軍による一気呵成の大反攻の始まりとなった三か所の戦闘の結果によるショックが、今世界大戦に巻き込まれたも同然であり、尚且つ本土決戦間近と言う事であらゆる意味でそれどころでは無いソ連は兎も角、オーストラリアと南アフリカそしてアメリカに置いては、今戦争を引き起こした根源的原因であった【人種差別】と複合反応を引き起こしてしまい、イギリスがアメリカの士気低下を狙い伝統の世界的宣伝力を用いて敗北の状況をばら撒いた事で更に加速し、人間にとって最も浅ましい行為とされる『私刑』『迫害』が、戦時下と言う特殊状況も相まって一気に過酷になっていった。
突発的な開戦でオーストラリア国内に取り残された日本人の民間人や領事館員、外交官らが、その殆どが奇跡的幸運で、日英軍から空輸された武器で蜂起したアボリジニに保護された極々僅かな人数を除いて、全員遺髪すら残さずに【存在不明】となっていたり、後に西海岸全域を領有する事になったシオン連邦共和国所属の、
ハッキリ言えば平均的白人思想持ちのユダヤ系兵士が、アメリカ中央部の僻地に在った日系人強制収容所を【占領】した時には、皆揃って極端な反差別主義者に転向したり、キリスト教の牧師になり一生を祈りに捧げる人生を選んだり、中には終戦後に自害した者達が続出した程の衝撃を齎した【惨い】有様であったりしたように、戦後『人間の浅ましさ、惨たらしさ、救いようの無さ。それら全てを煮詰めた、神をも恐れぬ悪魔の所業その物』と、戦後のニューヨーク戦時司法裁判にて英国人裁判官が断言した【悪夢】が始まる時は、もう少しであった。
473: 陣龍 :2022/06/03(金) 19:03:04 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 三行要約、東部戦線ドイツ側やや優勢で第二ラウンド突入、太平洋戦線鳳翔神が大艦巨砲主義の歴史とアメリカの威信を粉砕す、スペイン遺産の一部がアメリカ兵と共にサヨナラバイバイ
|д゚) 子の次は戦争中に行われた戦争犯罪とフランス消滅模様が出て来ると思いますが何時も通り白紙見たいな感じです(
|д゚) 取り合えずフランス滅殺させた諸悪の根源と入れ違いとニアミスする、降伏文書調印させる仏高官確保任務の英特殊部隊模様が出るかも(適当)
最終更新:2022年06月12日 19:42