630: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:01:23 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
無幻世界に置ける第二次世界大戦 ~二つの【正義】、二つの【悪党】、一つの【結果】~
「劣等人種と言う事すら烏滸がましい猿共を【駆除】するのに、何を躊躇う理由が有るか!」
「「「否!否!否!我等栄えある白人種は!世界を有るべき姿に戻す正義の使徒なり!!」」」
「ならば我らは戦い抜こう!壊れた世界に我らの正義を、誇り高き白人の未来を示さん!!」
「「「万歳!万歳!
アメリカ万歳!オーストラリア万歳!南アフリカ万歳!白人の未来に栄光あれ!!」」」
――――敗勢に有る中で暴発し暴走する、白豪主義者や白人至上主義者達。自らが唱え続けていた『正義の戦い』を完全に否定して行く戦局の流れのストレスの捌け口は、各所で捕らえられた日本軍の捕虜や脱出出来なかった民間の日本人に向けられた。
「Versager! Versager! Sie ist ohne Ehre! Sie ist ohne Ehre!」(敗北者が!負け犬が! 恥知らず!恥知らず共が!!)
――――オーストラリア等で発生した日本軍捕虜や日本の民間人に対する虐待や虐殺、またフランス内での自国民への虐殺や焦土作戦、更にその行為を公に流してもおらず、まともに非難も起きない米国に対する総統閣下の第一声
「彼の国は、今戦争にて完全に滅ぼすべきである。そうしなければ、恐らく半世紀、一世紀の後の我らの子、孫の時代、己の所業をすべて忘れて敗北の敵討ち等と言う妄言を大義として、また戦争を始める事だろう」
「……あの、横須賀奇襲攻撃の様に、ですな」
――――大英帝国某所にて交わされた、とある要人達の会話。最早利益等と言った次元では無い、イギリス人の魂や名誉も含めた生存の為の戦争に成り果てたが為に、今後更に情け容赦無く
アメリカを根底から抹殺する案を練られて行く。
「
アメリカは……本気で日本を……この国を、日ノ本の民を滅ぼすつもりのようだな」
「は……」
「この戦争は……どうなれば、終わる?」
「……日本が消滅するか、
アメリカを滅ぼすか。……その、どちらかでしょう」
「……あっそう」
――――御前会議にて交わされたとされる、天皇陛下と閣僚達の言葉。
アメリカ内部の事が良く分かっていない日本では、動機は全く分からないが、兎にも角にも
アメリカが天地天命を賭して日本を滅ぼしに来ていると認識していた。そしてそれは、日本国民全体の認識でも有った。
631: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:02:05 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「今すぐこの馬鹿共を射殺しろ!オーストラリアの馬鹿共も今すぐひっ捕らえて此処に引きずり出せ!査問会議?そんな訳が無いだろう軍法会議だ!!」
「隊長、オーストラリア政府と本国から抗議と銃殺刑の中止命令が……」
「んな事俺の知った事か!!俺はあくまで敵軍と戦う為に来たんだ!間違っても民間人や捕虜をなぶり殺しにする為に来たんじゃない!」
「ですが隊長、【過大な量刑】に処すと士気に影響を及ぼすと本国が懸念を……」
「過大!過大だと!?この戦争犯罪に対する射殺の何処が【過大な量刑】と言うのだ?!第一捕虜を甚振るしか出来ん軍令違反者を軍に居残らせる方が、よっぽど士気以前に軍律に影響が出るわ!これ以上本国が邪魔建てするならば、俺自身の手であの馬鹿者共を全員射殺してくれる!!」
――――太平洋戦線やイベリア戦線にて時々見受けられた、戦争犯罪を犯した兵士を厳正に処罰しようとする真っ当な指揮官や常識的な司令部と、【正義の戦争が穢れる】と目先の僅かな支持率や票を気にしてそれを妨害する
アメリカ本国との暗闘模様。
本国からの命令が【届かなかった】アメリカ軍部隊では綱紀粛正で比較的マシになるも、敗勢によるモラルハザードによって元の木阿弥に成るケースも多かった。
「隊長…ここも駄目です。殺られています」
「踏み台無しに天井で首吊り自殺、後ろ手に縛った拳銃自殺、洗面所一杯の毒液に顔面を突っ込んだ服毒自殺、逃げ込んだ瞬間に爆沈する戦艦。そして今度は、車に圧し潰されての圧死……誰にでも分かるさ、明らかに普通じゃ無い他殺ですな」
「偽装工作にしてもいい加減、殺るにしても手間が掛けられている……全く訳が分からんぜ。余りにも不自然過ぎる所が多過ぎる」
「……偵察班からの通信です。……暴徒が集中的に目標の居る館を襲撃して居ます。家屋が完全に炎上しており……救出は、不可能だ……と」
「……一体……何が、どうなっているんだ?このフランスで……何が蠢いているんだ……?」
――――『フランス共和国の要人捕縛』と言う特殊指令を受けた、後に世界の特殊部隊の始祖的存在となる、イギリスの特別編成チーム。隠蔽の為に『WIND STAR』と仮のタグ付けされた彼らは奮闘するも、彼らのみならず、世界の誰もが知らぬ不気味な【怪物】の暗躍により、その苦労が果たされる事は無かった。
632: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:03:36 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「何故我がソ連が、こんな事になってしまうのだ……」
「大体カエル野郎と新大陸の拝金主義者のせい」
「あの疫病神共が!」
「おいおい、それは問題発言に抵触しかねんぞ。俺以外の政治士官の前で言うなよ、庇えるには限度が有る」
「おっと、これは失敬、政治士官殿。ハッハッハ……はぁ……」
――――『国際連合側最大にして唯一の被害者』とされたソ連では、ポーランド領から撤退してソ連領内での本土決戦に移行するに当たり、根本的に『やる必要のない戦争に巻き込まれた』と言う気分が少しずつ伝播し始めており、首都陥落と言う衝撃こそ必要とするも、独裁国家では異例とも言える早期の講和に繋がる根源となった。
【醜悪なる人の業】…イベリア半島での攻勢失敗と敗退、そして珊瑚海海戦での想定外の惨敗は、
アメリカ市民の心へ大き過ぎる衝撃を与えた。
無論アメリカ政府としては徹底した情報統制を行い、脚色された都合の良い『戦果発表』をしたのだが、間をおかずにアメリカ全土にぶちまけられた『ボロボロにされ、真珠湾へ三隻しか戻ってこなかったユナイテッド・ステーツ級戦艦』『突撃してきたスペイン兵に算を乱して追い散らされるアメリカ兵』『V字に轟沈する各海域それぞれのアメリカ船舶』『フィリピン軍と言う名の元アメリカ兵』の写真とフィリピンの独立宣言並びに対米宣戦布告、そしてこれまでにアメリカが喪失した戦力情報によって、アメリカ国内は悪い方向で喧騒に包まれる事になった。
アメリカ政府は『敵スパイと裏切者による陰謀と情報工作』と称して犯人捜しと事態収拾に躍起になったが、結局この機密情報をばら撒いた犯人は発見できず、そして軽率に『スパイ』『裏切者』の単語を出した事が、この後のアメリカ内部に置いて、移民国家としては決してやっては成らなかった愚行を加速させてしまうのだった。
因みに後世での情報公開では、散々短絡的な無茶苦茶のやり通しで
アメリカに煮え湯を腹一杯に飲まされ続けた英国諜報部門が、その存在意義と存在証明に賭けて
アメリカに対する情報拡散工作を仕掛け、その拡散された『真実』を知ったとあるジャーナリストが、正しきジャーナリズム精神に則り『本当の情報』の拡散を助長した結果だった、とされている。ただ、如何に世界に冠たる英国諜報網であっても、そして『正しきジャーナリズム精神』を発揮したジャーナリストでも、
アメリカ国内へ大量に、且つアメリカ政府に気付かれない間に既成事実的に拡散を完了させるのは至難の業で有る為に、陰謀論であったり後世の検証ではこの情報拡散に、この頃には既にアメリカ合衆国を事実上見限っていたとされたユダヤ系資本が全面協力していたとされるのが半ば定説になっているが、21世紀に至ってもシオン連邦共和国は真偽を明らかにせず無言を保っている。シオン連邦としては、この件に関しては『真実と言うだけで国家に対する巨大な損害を与えるのが許されるのか』と言う、連鎖波及が果てしなく面倒な事になるのが目に見えている議論をしたくないだけかも知れないが。
閑話休題、情報統制にて政府から発表される景気の良い『戦果発表』とは掛け離れた、生々しいアメリカ軍の敗退写真を知ったアメリカ市民は、それはもう大騒動になった。アメリカ政府の発表を素直に受け取ったアメリカ人も居ない訳では無かったが、元々自国の連邦政府に対して何かしらの不信感が有るのがアメリカ合衆国と言うお国柄でも有った事や、既に十万人以上相当のアメリカ兵が戦死や負傷による後送が行われており、アメリカ政府の楽勝模様とかけ離れていた状況が、水面下で静かに伝播していた為に、この『真実』と言う爆弾で燻っていたモノが爆発したのであった。緘口令が敷かれては居たし、戦傷病による退役兵には何らかの監視の目が付いて居たりしたのだが、人の口に戸が立てられる訳も無かった。
633: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:05:52 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
多数の市民がうねりを上げて政府に対して何事かを問い質し、そしてその市民たちの不信感は大統領支持率に直結して10%以上も急落した。戦時中で有る為に大規模デモや暴動こそ起きはしなかったが、それでもホワイトハウスへの精神的圧迫が強まった事には変わりなかった。一応大統領中間選挙では、今回の敗報が突き付けられる以前に行われ、現政権の支持率が高止まりしていた為順当に勝利していたが、それに対する反動も有った。『大統領は嘘を吐いて選挙に勝利した』、と言う具合に。そして実務能力は良く分からない、演説と扇動の才は優れたアジテーター大統領は、そうであるが故に即物的な解決を行った。開戦直前から『敵性民族』として問答無用の財産没収、強制収容を行っていた日系人に対して、全ての市民の不安と不満、或いは恐怖の矛先を向けさせるように。
戦後、
アメリカ全土の壮絶な内乱。そして日英共同開発の原子爆弾の投下によって、漸くの形で終戦させることが出来た後、
アメリカ本土に乗り込んで来た日英軍は、事前に様々な形で知られていた日系人強制収容所等を片っ端から捜索するも、踏み込んだ収容所全てで日系人の生存は一切確認されなかった上に、内紛であったり、関係者が罪を逃れる為や情報隠蔽の為に書類を焼き払ったり紛失した事も有り、その全容は21世紀に入っても解明され切っていない。2003年6月10日に、日英独ら三ヵ国共同での戦争犯罪調査の合同チームが、発掘された書類や生き残りの関係者らの証言を元に捜索した結果、市街地の真下に意図的に数百人規模の日系人を『埋め立てた』地下収容所の存在が発見される等、余りにも一方的かつ理不尽な、謂れのない罪に問われ、一方的に罪人として断罪され、自らの全てを奪われた末に、安らかな眠りに就く事を許されず、終らぬ悪夢に囚われている人々は、未だ多く存在して居る。
【『無垢』なる正義】…
アメリカ本土にて壮絶な惨劇が始まりつつある中、此処イベリア半島やオーストラリアでも様々な悲劇が引き起こされていた。全てはアランフェス王宮攻略とニューギニア島への救援に失敗し、総崩れの敗北を喫した
アメリカ兵の衝撃が発端となった。
夢想的な『アメリカ人の正義』が『現実』によって叩き潰された瞬間と言い換えても良いだろう。
虚飾に満ちた敵味方のベールが取り払われた後に残された、一方的に粉砕され、惨めに追い散らされたアメリカ軍は撤退して可能な限り立て直しを図ったが、イベリア半島では兵器の供与と航空支援、そしてイギリス本国軍人の指導で飛躍的に戦闘力を向上させたスペイン・ポルトガルレジスタンスによる息を吐かせない、断続的な襲撃。オーストラリアでは、イギリス本国の要請を受けるがままに、ニュージーランド軍と共に戦略爆撃が決行され、次々と灰塵に帰して行くオーストラリア各地のインフラ。
そして喧伝されたフィリピン軍所属の旧
アメリカ兵と言う情報爆弾が、練兵も中途半端に戦地に送り込まれたアメリカン・ボーイズたちのモラルハザードを簡単に誘発した。
敗勢に有るストレスを、様々な形で捕虜とした日本兵であったり、抵抗の手段に乏しい民間人にぶつけ出したアメリカン・ボーイズとその腰巾着ことオーストラリア人らに対し、何とか体制を整え直そうとした将官たちの激怒を買った。国際法違反云々と言うのも有るが、最前線では敵軍の爆撃や砲撃に震えつつ持ち堪えようとしている兵士が多数居ながらも、後方に逃げ散って来たり、また最前線に未だ出て行った事のない『臆病者』が、『尋問』だか『スパイ摘発』だか『物資調達』だかと称して、捕虜になった敵兵、特に日本兵に対して、尋問とは名ばかりの拷問で弄んだ末に射殺する行為が多数発生し、同じ白人種且つ完全に味方の国であったオーストラリアと南アフリカでは兎も角、敵地であるイベリア半島ではレジスタンスが多数発生している事も有って、スペイン人やポルトガル人ら完全な民間人に対して
執拗に接触や連行、暴力を用いた『スパイ容疑者の捜索』を行い、また実質価値が紙屑程度のドル札や、果ては軍票なる物にて民間人の酒類や食糧等を強奪して行く等、何とも彼らの語る『正義』のお里が知れる有様であった。
634: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:07:41 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
一方真っ当な倫理観や常識を持った現地の高級将校らは当然、この軍律違反の連中を軍法会議にて裁き、それこそ公開銃殺刑すら視野に入れていたのだが、丁度この頃
アメリカ本土では『真実』がばら撒かれて支持率が急低下して居た事情も有り、徹底した綱紀粛正を行おうとする現地軍に強硬に介入し、軍法会議どころか査問会議すらも開催する事すら妨害されると言う、幾多の暴挙を繰り返すアメリカン・ボーイズとその取り巻き(白豪・白人主義者ら)が事実上無罪放免にされると言う有様に転化した。
その後、この事を知ったイギリス人曰く『ホワイトハウスに住むアメリカ人の精神年齢は幼児にすら劣る』『夢の国に居続けたピーターパンの末路』等と評したり、スペイン人、ポルトガル人が修羅の顔に変貌し、日本人は余りにも理解し難い悪夢と絶望に卒倒していた。
無論、捕虜への虐待であったり、民間人への誤爆等による攻撃は、アメリカ軍のみの専売特許と言う訳でも無く、何ならば後世に『正義』と世界史にも記された国際連盟軍側でも、多かれ少なかれ発生しているし、一部では隠蔽された事も事実では有る。だがアメリカ軍側と決定的に違うのは、少なくとも国際連盟軍側ではこう言った軍律違反の兵には、発覚すれば基本的に処罰されるし、余りにも言い訳等の出来ない戦争犯罪であった場合は公開銃殺刑も行われる等、戦争犯罪に対する姿勢の見せ方は決定的に違っていた。
因みにソ連の場合は、元々開戦してからポーランド人がドイツやイタリア等の安全圏に多数が避難して居た事に加えて、何よりも恐ろしい同志スターリン書記長の命令にて、開戦初期は一気呵成にポーランド並びにドイツの撃破を目論み、余計な手間の掛かる虐殺等を行わせなかった事や、ドイツ・ポーランド軍の反撃で撤退する時も一々捕えていた捕虜を殺害して居る暇が有る訳も無く、そこら辺の家屋に放置して行ったりしていた為、戦場になった町や村らの建物の損害、ポーランド内の食糧庫の接収、そして追撃を遅らせる為に道路等に地雷をばら撒いた程度の、不運に巻き込まれた者を除けば、戦争では良くある程度の被害が主流だった。
想定外の強制参戦による進撃の遅延、突発的な開戦に焦る独裁者の命令による絶対命令、その他多数の必然と偶然が織り交ざった結果論であるが、独裁国家である筈の共産国家が、しかも歴史的に暴力的な進出を全くと言っていい程厭わないロシア人が『正しき戦争』を行っていると言うのは、何とも不思議な話である。
635: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:09:09 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【姿無き怪物】…イベリア半島で国際連盟軍が一気呵成の反撃を決行している頃。イギリス本国陸軍は、欧州大返しでポーランドへ向かって行ったドイツ軍の後を引き継いで、フランスの制圧任務に就いていた。
今大戦を引き起こした一国に対して、降伏を宣言させる為である。数値上の軍事力はマジノ線ごとドイツ軍によって削り切られており、産業地帯であるフランス北東部も既に陥落して居る為に、常識的に考えれば後は誰か国務大臣級、出来れば政府首班に降伏文書に調印させれば、戦争は終結に向かわせられる筈であった。
それが文明国の流儀で有る為である。無論のこと、これまでの経緯から降伏に反発する、衝動的で頑固なフランス人が多数跋扈する事は目に見えていたが、政府の命令にて軍に降伏を命ずれば、後は適当に湧き上がって来た自称レジスタンスを刈れば良いだけの話であった。軍とは、命令が無ければ永遠に戦い続ける生き物で有る為に。
だがそのイギリスの目論見は、政府関係者が揃いも揃って首都パリを見捨てて逃げ出し、軍の高官は降伏せず地方に撤退して行ったところまでは予想出来ていたが、その後イギリス軍が確保する前に次々と暴徒に襲撃されたり、自殺に見せかけた他殺体で発見される事で、想定外の破綻を余儀なくされた。ドイツ軍を相手取って、要塞砲と連携した機動戦で一時互角に張り合ったド・ゴール将軍や、首都パリの防戦で奮闘し、捲土重来を願って断腸の思いで一時退却したペタン将軍と言った、フランス軍の数少ない良将は、何故かフランス人の暴徒が押し寄せて、各々が撤退して居た宮殿にて応戦中に次々と大火災と大爆発で行方不明者リスト入りし、
パリ等の大都市の市長らのような、イギリスがその気になれば傀儡政権の首班にでも捩じ込めそうな地位の人間は、どう言う訳かイギリス人が所在地に踏み込んだ時には自殺に見せかけた他殺体で次々発見されると言う、明らかに作為的な物を感じさせる有様が続いていた。
極めつけは、フランス政府の要人が国外脱出の為に乗り込んだとされる戦艦リシュリューが、その乗り込んだ直後に原因不明の爆発を起こし、フランス政府要人が纏めて爆死した事だった。
この事は、先行して要人確保の任務に従事していたイギリス軍特殊部隊が、確保する直前のその目で目撃して居た事から、後に『墓場からの種明かし』がされるまでミリタリー、若しくはオカルトミステリーの一つとなっていた。尚この特殊部隊は、この『種明かし』での記述で曰く、要人殺害やフランスのエッフェル塔等の遺産破壊に多大なる『戦果』を挙げた下手人と偶然の至近距離でのニアミスをしており、この事を『生涯の中で数少ない危険』だったと、何処か面白可笑しい雰囲気を漂わせながら記述されている。その為、当時生存していたこの特殊部隊に所属していた老人は、あの徒労の山の犯人の行動に怒り心頭に達して数十年ぶりの家の外にまで轟く怒りの咆哮と共に勢いよく立ち上がり、そして見事にギックリ腰にて暫し寝込む羽目になっていた。
636: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:10:28 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
結局、イギリスが確保出来たフランス人は、それこそ箸にも棒にも掛からぬ役者不足にも程の有る、名も知られぬ田舎の集落か村の長程度であり、しかも田舎特有の情報不足も有って全く持ってイギリスに非協力的かつ反抗的と言う有様であり、近代国家としての『儀式』である降伏文書への署名をさせる人間は、まともに確保出来る事が無かった。長年世界各地に進出し、影響圏下や植民地化、または統治下に置いたりしたイギリスでも、まさか自国の眼前に有る欧州地域でこんな事になるとは全く予想外であり、彼の灰汁の強い顔立ちの、当時のイギリス宰相ですらも、後世に多数残っている普段の皮肉の切れ味もナマクラになった感想を出すだけだった事から、イギリス上層部の内心の程が何となく察せられるだろう。最終的に、法的にフランスと言う存在は、第二次世界大戦の終結を以て完全に消滅したと言う事にされ、ソ連を叩きのめして帰って来たドイツ軍やポーランド軍、各地でいぶし銀の活躍をしたイタリア軍、国際連盟軍枠で遠くやって来たオスマン帝国軍と日本軍、そして彼らを統括する司令官役にまた就任する事になったイギリス軍が、かなりの期間に渡ってフランス領の跡地と残骸の統治兼修復をする羽目になる。
戦後の『取り分』に置いて、イギリス領となった旧フランス領が数百年ぶりに復活したり、ドイツやイタリアは長年続く領土問題を根本から解決する事が出来、そしてオスマン帝国と日本は手伝い戦感覚ながらに国際的評価を上げる事が出来たが、関係各国は揃って『どうしてこうなった?』『こんな土地もう要らない』等と言う言葉を公文書にすら含めて各所で発言して居た事から、どれだけの不良債権問題となっていたかは、言わずとも分かる事だろう。リシュリュー級戦艦の『ジャンバール』が、入渠していたドック内で弾薬庫誘爆、爆散した事で工廠の設備が壊滅して居たり、フランスワインの原木も何もかも焦土と化して居たり、美術館に貯蔵されていた世界に誇る歴史的芸術品が全て灰塵に帰して居たり、各地の土壌に深刻な化学兵器による汚染と地雷の無差別散布がマッピング無しでばら撒かれて居たりと、最早良い所が何処に有るのかも分からない有様であったのだから。
637: 陣龍 :2022/06/08(水) 19:13:44 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) と言う事で、これから追い込まれて行く
アメリカの内部事情とフランス爆死の情景で御座る
|д゚) この世界に置いては、所謂カティンの森事件は起きていません、正直捕虜虐殺する暇有ったら早よ撤退しろ、って状況でしたし
|д゚) しかしまぁ、フランス絶対抹消マンの活躍と策動がホントに英霊と言うか化け物クラスである。此奴何なんだホント
最終更新:2022年06月12日 19:58