35: モントゴメリー :2022/06/18(土) 17:19:02 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——アメリカ海軍 BC-1 「アラスカ」級偵察戦艦——

基準排水量:39,000t
全長:275m
全幅(水線):33m
機関:4軸推進 定格20万馬力
最大速力:35ノット(公称)
兵装(就役時)
45口径16インチ3連装砲2基6門
38口径5インチ連装砲4基8門
       同単装砲6基6門
28mm機関砲4連装20基80挺
搭載機:約60機

同型艦:「アラスカ」「ハワイ」(開戦時)

【概要】
アメリカ合衆国海軍の艦艇。
「偵察戦艦」などと呼称されているが、実態は「航空戦艦」である。
ある意味で合衆国の「歪さ」の象徴であり、「軍事は政治に隷属する」という原則の具体例である。
然りながら、合衆国海軍空母マフィアの「意地の結晶」であることも確かであり、合衆国海軍が運用した『航空母艦』では最大級の艦である。
「中途半端」と敵はもちろん味方からも揶揄されたが、その性能を十全に活用し珊瑚海海戦からカリフォルニア沖海戦まで太平洋艦隊が戦ったほぼ全ての主要海戦に参加し
合衆国海軍の意地と誇りを歴史に刻み付けた武勲艦である。

【計画】
「アラスカ」級を語るには、まずホワイトハウスに『撃沈』された幻の艦について説明しなければならない。
1930年代末期、アメリカ海軍では新型航空母艦の設計が進められていた。
「ヨークタウン」級の建造・運用で蓄積したノウハウを結集したその艦は、基準排水量約2万7000トンほどの大きさとなりあらゆる面で「ヨークタウン」級を凌駕する優れた空母になるはずであった。
海軍主流派の大艦巨砲主義者たちの妨害を跳ね除けつつ、数年にわたり稟議書を提出し続けた結果、ようやく1隻分の予算が可決され建造の準備が進められた。
しかし、新型空母が進水することは無かった。
きっかけはアラスカ・ハワイ両準州の住民たちからの嘆願であった。

——すでに、合衆国の州名は全て戦艦に採用されております。我々は『準』州ではございますが、何卒我らの故郷にも戦艦名という誉をお与え下さい。

準州であるため票田としての効果はほぼないが、いいアピールにはなるとホワイトハウスは快諾、議会も追認した。
臨時予算が組まれることになったが、その際空母の建造予算がキャンセルされ戦艦建造へ流用されることになった。
数年の苦労が水の泡になった空母マフィアたちの悲憤慷慨は想像に余りあるが、設計者はただ一人冷静にホワイトハウスに要望を提出した。

  • 建造予算を圧縮するため、『既に準備できている資材と技術』を転用する
  • この新「戦艦」を用いて『新しい概念』の実証試験をしたい

これに対しホワイトハウスは特に考えることもなく了承した。
こうして「アメリカ海軍空母マフィアの意地」と後年評される航空戦艦…否、「偵察戦艦(Scout battleship)」建造への道は開かれた。

36: モントゴメリー :2022/06/18(土) 17:19:44 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
主砲にはMk.6 16インチ45口径砲を採用した。
これは既存品であり、かつ上位互換であるMk.7 16インチ50口径砲が実用化されたおり在庫に余裕があったためである。
これによりある程度のコスト削減に成功したが、「砲戦能力などこの程度で十分」という設計者の真意も隠れている。
実際、最初はもっと古いMk.6 14インチ50口径砲を採用してさらに重量とコストを削減しようとしたが、流石に却下された。
これを3連装2基にまとめ、艦前部に背負い式に配置している。
その後方から飛行甲板があり艦尾まで続いている。
飛行甲板の長さは約200mと、この規模の艦としては非常に短い。
(「ヨークタウン」級航空母艦で約250m)
しかし、護衛空母はもちろん「インデペンデンス」級や「サモア」級軽空母よりは長く、新世代の重量級艦載機にも何とか対応できた。
後述する速力と合わせ、これが「アラスカ」級が最後まで戦い続けられた理由である。
艦橋は航空母艦と同じアイランド型であり、右舷側中央に設置されている。
これでは視認距離が短いため、「籠マスト」を別途設置すべきという意見が出たが
「索敵と弾着観測は艦載機を活用する」
として退けられた。
ここにも「航空機運用能力最優先」の隠れた設計思想が見てとれる。
艦載機の定数は約60機。「ヨークタウン」級の2/3以下である。
もし当初の計画通り完全な空母として建造されていたら100機は確実に超えていただろう。
しかし、設計者は2隻合わせれば120機だから当初の予定より多いよ、と乾いた笑みを浮かべながらつぶやいたという。
装甲は「戦艦部分」、すなわち主砲塔と弾薬庫部分は対16インチ防御を施されている。
実際にこの艦で戦う乗組員たちのことを考えると、流石に設計者もここで手を抜くことはできなかった。
また「空母部分」の舷側防御についても、日英海軍の装甲空母並みの防御力(対8インチ)は備えている
最高速力は公称35ノットであるが、実際には34ノット程度が限界である。
それでも「世界最速の戦艦」の看板に偽りはないが。
これほどの健脚を有しているのは飛行甲板の短さを合成風力で補うためと同時に「議会対策」である。
操縦性も良好でありその速力と合わせて
「まるで駆逐艦に乗っているようだ」
という感想を抱く乗組員もいた。

37: モントゴメリー :2022/06/18(土) 17:20:30 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【戦歴】
一番艦の「アラスカ」が就役した際、その姿を見た議員やホワイトハウス要人は激怒…する以前に困惑した。
…なんだこの「キメラ」は、と。
しかし設計者はどこ吹く風で事前に彼らに提示した条件には合致していると主張した。
実際、その条件からは逸脱していないので彼らも強くは異議を唱えられなかった。
さらに、設計者は彼らを懐柔する「ストーリー」もしっかり用意していたのだ。

——アラスカ・ハワイは「準」州である。故に、「本格的な」戦艦には不適当だ。正式に州へ格上げされた際に改めて建造すればいい。

これで議員や要人は納得した。散々かき乱しておいても、彼らには海軍の主力艦とは「そう程度」のものなのだ。
一方、元凶であるアラスカ・ハワイの有力者たちは流石に一筋縄ではいかなかったがそちらにも「二の矢」が用意してあった。

——本艦は「世界最速の」戦艦である。どこに出しても恥ずかしいものではない。

これによりどうにかそちらの方も納得させられたので、少なくとも政治的問題は突破できた。
これに対して軍事的問題——用兵側からの反応はどうであったか。
…実は「ほぼ無関心か消極的容認」であった。
主流派である大艦巨砲主義者たちは純粋に「戦艦(より正確には16インチ砲)が増えた」ことを喜んだ。
確かに規模の割には火力不足であるし見た目も締まらないが、元々計画に無かった艦であるためそこまで嫌悪感を抱かなかったのである。
予算についても議会が組んだ臨時予算で過半を賄えた彼らの懐は痛まなかった。
…新型空母がキャンセルされたことなど「どうでも良かった」のである。
結局、空母マフィアという「少数派」以外は全員得をしたのである。

「アラスカ」級は1・2番艦ともに太平洋艦隊に配属された。
しかし、戦艦をまとめた主力艦隊ではなく「レキシントン」級巡洋戦艦と同じ偵察・遊撃艦隊である。
珊瑚海海戦ではそれが幸いした。
この海戦では、日本海軍航空隊は「ユナイテッド・ステーツ」級率いる主力艦隊に攻撃を集中したためその他の艦隊は軽微な損害で切り抜けたのである。
(そこまで思い切った戦力集中を行わなければ、「ユナイテッド・ステーツ」級を撃沈できない)
続く夜戦では主力艦隊を逃がすために殿を務め、その速力を十全に活用し戦場を駆け回った。
突撃を仕掛けてきた巡洋艦戦隊を返り討ちにし、逆に日本海軍戦艦戦隊に殴り込みをかけ足並みを乱した。
「レキシントン」級が次々と撃破される中、「アラスカ」級の装甲は最後まで艦の戦闘力を維持し続けたのである。
その韋駄天ぶりは退却時にも生かされ、最後に戦場を離脱したのは「アラスカ」級である。
ハワイに帰還した「アラスカ」級の評価は一変していた。
「中途半端なキメラ」から「新時代に適応した戦艦」と。
しかし、これは功罪併せ持つものであった。
海戦の結果復権した良識派が「航空戦力の強化」するため、かつて却下された大型空母を建造しようとした際に政府が認めなかったのである。
政府が指示した「強化案」は「偵察戦艦の増強」であったのだ。
「アラスカ」級3・4番艦と改アラスカ級である「キアサージ」級偵察戦艦が生まれた経緯はこのようなものだった。
…「補助戦力」として軽巡洋艦改装の「インデペンデンス」級・重巡洋艦改装の「サモア」級軽空母及び商船改造護衛空母の建造は認められたのがせめてもの慰めである。

珊瑚海海戦で受けた傷の癒した「アラスカ」級はハワイ沖海戦に参加。
ギリギリで生産が間に合ったカーチスF14C戦闘機を満載し——————。

38: モントゴメリー :2022/06/18(土) 17:21:02 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。

陣龍氏と影真似氏がアメリカ海軍、特に空母マフィアをイジメるので救済策を用意しました。
イメージとしては蒼龍計画時のG6号パターンですね。
(もしくは航空巡洋艦ヴァージョンの大淀)

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最終更新:2022年06月23日 22:32