230: 陣龍 :2022/06/21(火) 16:36:54 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
日蘭世界 FFR(Federation of France Republic(フランス連邦共和国))競馬界の失墜と再興記
FFR。第二次世界大戦後の墜落から、フランス唯一の勝者とも言われる戦艦リシュリューを信仰の対象とした団結により、
その国力は【プレイヤー】として日蘭の背中を視界に捉えかねない程に、国家再建を遂げた。だが、光ある処影有り。
【信仰】によって行われた、精神的な一種の『総力戦』は、必然的に【必要でない】と見做されたモノに対して至極冷淡になるのが、
国家や民族問わずの常であった。このFFRの場合は、競馬であった。
【衰退の暗黒期】
彼我の戦力差の大きさから短期間で軍事的抵抗は収束するも、その代わりにやけに親中的だった
アメリカに引き摺られる形で
フランス本土に兵士として連れて来るも、一欠けらも役に立たないばかりかフランス国内を匪賊として荒らしまわったエストシナ義勇兵、
そして終戦後に発生した内戦擬きのクーデター騒動は、農業生産や工業生産と言った国家の基礎体力に加えて、
フランス競馬界にも大きな打撃を与えた。オランダ軍や武装親衛隊、更には武装を与えられたフランス兵との戦闘からは逃げ、
徹底して強力な敵軍の居ない地方をエストシナ兵が襲撃、略奪、放火、その他諸々の戦争犯罪を撃ち殺される直前まで
やり抜いていた結果だった。一部の牧場では、襲撃して来た少人数のエストシナ兵を牧場の馬たちが蹴り飛ばし、
複数が踏み潰した事で馬たちへの被害が殆ど無かった所も有ったが、そんな場所は希少種だった。
そうして国内の争乱が時間を掛けて収まり、フランス人らの『戦後』が始まると、フランス競馬界は自らの仕事の為にレースや
牧場経営の再建を再び行い出したが、俄かに戦艦リシュリューの信仰化と国力再建の方向へフランス全体が向かい出した事で、
歯車が狂いだした。産業革命以後、機械化の進歩により馬の居場所は産業にも軍事にも無くなり、
必然的に競馬も【金持ち達の遊戯】と見做されるようになった。それだけで有れば日蘭陣営に敗戦した敗戦国でも有るイギリスの様に、
規模等が多少は縮小されても維持、発展に向かう事も有っただろう。
だがこの時のフランスは、敗戦と国内の荒廃に対する心理的衝撃の反動により、戦艦リシュリューの女神化と日蘭に追い付く為の
産業発展や兵員の技量向上の為に極度に過酷な軍事訓練に全力を投じると言う、極端な方向に突き進む
FFR気質の発端を思わせる世情が支配して居た。アフリカ領の開発等が行われ出した初期頃は兎も角、
時間が経つに連れて『役に立たない競馬』に対する、フランス人一般の視線や支持は年々冷たくなっていった。
フランス競馬界は勿論宣伝等で如何にか打開しようと画策したが、それ以上にフランス人が他所から見れば
妄信的とも言われる程にリシュリュー信仰を加速させていた事も有って、余り上手く行かなかった。
そしてフランス競馬界への支持の低下は必然的に、フランス競馬界に回る金が少なくなり、
必然的にフランス競走馬の能力低下を余儀なくされた。
231: 陣龍 :2022/06/21(火) 16:39:02 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【『逃亡者』、『怪鳥』、『日本総大将』】
『暗黒期』とも言われた、フランスの国力衰退事情から持ち直し、その事にリシュリュー信仰に染まり切った者が
増えたフランス人が歓喜し始めた頃。過去の遺産で如何にか支えられていたフランス競馬界は、
危機的状況を迎えていた。自国開催の凱旋門賞でもライバルに有るイギリス、ドイツ、オランダの競走馬に後れを取る事が頻発し、
フランス馬が国外でのG1レースに掲示板入りしても勝利する事は珍しいと言われる程になっていた。
フランス人の殆どがリシュリュー信仰と日蘭を追いかけた国力再興に熱中する余り、
過去世界に優越する程の強豪を誇ったフランス競馬は、この頃には全盛期からは見る影も無く零落していた。
フランス人の誰も彼もフランス競馬よりも軍事や工業に目を向け続けていたのだから、当たり前の話であったが。
加えて、この時フランス競馬に更なる逆風となっていたのが、リシュリュー信仰や富国強兵をお題目に『不要なる無駄を削減せよ』と
表立って主張する勢力が勃興し始めていた事だった。別に私服を肥やそうとしている訳でも、権勢欲に飲まれている訳でもない
愛国的なフランス人たちであったが、後世からは【不純物】と見做されている事が多い。それだけ、言動が極端過ぎた。
本来何かしらテコ入れするべき状況のフランス競馬界に対して、これまでの支援不足を棚上げして不甲斐なさを吊し上げ、
『結果を出さぬ者に出すモノは無い』と言っていたように。
そうした中で、フランス競馬界最大の衝撃にして廃滅の危機となったのが、遠く極東の日本から来た【異次元の逃亡者】の凱旋門賞挑戦だった。
天皇賞秋にて、後にトーセンジョーダンがレコード記録更新するまで『静寂の壁』等と称されたレコード記録を打ち立てた後、
フランス馬が落ち込んでも欧州馬の強豪が多数集う凱旋門賞に挑戦すると発表された時、フランス競馬界は最大にして最後のチャンスだと確信した。
国力、軍事、技術その他では相変わらずの日蘭に対する後追いに終始している事に対し、例え競馬と言う場であっても日本に勝てる事を見せれば、
不遇の扱いが続いていたフランス競馬に再興のチャンスが来ると、そう考えられた。その為に、
当時のフランス競馬界は全力を尽くして【異次元の逃亡者】を迎え撃つ為のフランス馬の育成や、財布を逆さにする覚悟で国内や欧州に宣伝し、
フランス競馬の復活を印象付ける為のステージにしようと画策した。だが完全に追い詰められた賭博師の心理状態であった
フランス競馬界の重鎮たちは、肝心要の【異次元の逃亡者】の事に関しては、余裕が無さ過ぎた事も有って調査が不足していた。
もしこの【異次元の逃亡者】の事をもう少し、額面以上の事を知って居たら、対応も変わっていたのかも知れない。
日本からの刺客が一頭、その他フランス馬やドイツ、イギリス馬が犇めく中始まった凱旋門賞にて、遠く欧州まで観戦に来た日本人や、
初めてその目で日本馬を見た欧州人達は、【異次元の逃亡者】の異名の意味をまざまざと見せつけるレース展開に、
一方は歓喜の大興奮を、もう一方は衝撃と絶望に呑み込まれていた。スタート直後から先頭に立ち続け、
そして文字通り『影をも踏ませぬ逃亡劇』『歴史を叩き壊した更新5秒のレコード記録』によって、フランス競馬界の賭けは完全に失敗した。
今凱旋門賞のレースを支配して居たのは紛れも無く日本から来た【異次元の逃亡者】であって、その他欧州馬は須らく『添え華』に過ぎなかった。
加えて、傷口に塩を塗り込む様に、今凱旋門賞に置いてフランス馬の最高着は7位と掲示板を外した有様。
フランス競馬界の凋落を見せつけただけのレースになってしまったのだった。
挙句、今凱旋門賞の有様を見た【不純物】達は嵩に懸かってフランス競馬を責め立て、競馬に向ける予算や国力を全て技術革新や
工業力増勢に回す事を目論み、それを公言するようにまでなり、フランス競馬界も無論全力で抵抗や抗議をしたのであったが、
久方ぶりに『欧州最強』と称するまでに強さを見せたフランス馬が、【異次元の逃亡者】に続けとばかりに
凱旋門賞に乗り込んで来た日本の【怪鳥】によって、クビ差ながらに逃げ切られて二着に沈み、
そしてリベンジの為に乗り込んで行ったジャパンカップでは【日本総大将】の前に大敗して余計に反論の糸口が見失われると言う、
最早やる事成す事全てが悪い方向に転がり続けていた。
232: 陣龍 :2022/06/21(火) 16:40:28 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【再臨】
悪夢の中でのたうち回るフランス競馬界に転機が訪れたのは、現FFR大統領にしてフランス最強の女傑等とも揶揄された
女性の登場であった。フランス競馬界や当人が黙して語らない為に予想や推測の領域を脱し得ないが、
各種証言からこの頃には信仰が逝き過ぎて害悪に成りつつあった『不純物』達が一斉に閑職に追われたり早期退職して行ってからは、
フランス競馬界に降りる予算は適正値に戻った。当然、これまでの負の財産によってフランス競馬のレベルは相当低下していたが、
少なくとも口喧しい無知無能の外野の声が消滅した事は、様々な意味で仕事がし易くなった。またこの頃には、
女神信仰はフランス全土に浸透し切っていてどうしようもないが、その代わり国土開発がおおよそ進行して行った事によって、
フランス人の心理に幾らかの余裕が出て来ていたのも、追い風になった。
抑圧されたモノが消滅した為か、そして今まで不運や不幸の連鎖の雨が続いた反動か、これまで零落、凋落したと見られていた
フランス競馬界は、立て続けに多数のG1馬、レコード更新馬を排出する様になる。馬にもポスターを貼って崇めさせようとする様な
女神信仰は兎も角新進気鋭の若手騎手の躍進も有り、今までの停滞が詐術だったかの様な活躍は、世界の競馬界に大いなる衝撃を以て
受け入れられた。日本のネット界でも『とうとう競馬界ですら女神化現象が勃発した』等と変に畏れられたりしたと言う。
フランス競馬界の完全復活を印象付けたのは、やはり凱旋門賞であった。フランス語で【家族】を意味する名を授けられたフランス馬は、
日本から送り込まれた【日本近代競馬の結晶】と、世界最高峰のマッチレースと言われた激闘を展開した。他欧州馬を完全に置き去りにした、
最終直線での抜きつ抜かれつ、差し差されつの決闘は、衛星放送によってリアルタイム配信され、
競馬番組としては異例の高視聴率を日本で叩き出した中での決着を見せた。その後の掲示板に点灯された着順は、
【異次元の逃亡者】の時の凱旋門賞と立場を交換した悲喜交々、そして拍手喝采の最高の決着であった。
233: 陣龍 :2022/06/21(火) 16:44:14 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) と言う事で以上になり申した。実際フランスが日蘭に追い付く為にはどっかしら切り詰める必要が有るでしょうし
(でないとあんな勢いで追い付かない)
|д゚) 何処斬り詰められるか、と言うか等閑視しそうかとなったら、国内争乱で色々打撃受けてそうな競馬界が浮かんだ次第
|д゚) まぁ完全崩壊する程にフランス人も潔い訳が無いので、ギリギリの線で踏ん張りに踏ん張って、そうして復活する流れになりました
|д゚) フランス競馬界の凋落の象徴となった日本馬の挑戦が復活の象徴ともなる。こう言うのって割と良い感じな気がするけどどうでしょか
最終更新:2022年06月23日 22:44