107: モントゴメリー :2022/07/18(月) 16:15:37 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援SS——MiG-13戦闘機——
全長:8.18 m
全幅:9.50 m
全高:3.70 m
翼面積:15.00 m2
空虚重量:3,028 kg
最大離陸重量:3,931 kg
最大速度:825 km/h
エンジン:クリーモフ VK-107R 液冷V型12気筒 1,650 hp 1基
ハルシチョフニコスVRDK モータージェットエンジン 推力600 kg 1基
航続距離:1,818 km
実用上昇限度:11,900 m
上昇力:1,086 m/分
武装:20mm機関砲 3門
乗員:1名
【概要】
MiG-13はソ連で開発された戦闘機であり、ジェットエンジン黎明期に見られたレシプロ・ジェット混合動力機の一つである。
扱いが難しく欠点も多い機体であるが、その性能は本物であり戦争初期から末期までソ連の空を守り抜いた傑作機である。
【開発】
本機の開発は1940年に遡る。
この年にイタリアのカプロニ社がカプロニ・カンピーニN・1の初飛行に成功した。
イタリアはこれを「世界初のジェットエンジン搭載航空機」であると世界に喧伝し、世界に衝撃を与えた。
(ただし、カプロニ社が使用したエンジンはモータージェットエンジンであり、ガスタービン式ジェットエンジンではなかったが。もっと言うとドイツのHe178が1939年に初飛行に成功している)
特にソ連はこのエンジンを搭載した高速爆撃機が防空網を突破し戦略爆撃を仕掛けてくることを危惧し、各設計局に高速迎撃機の設計を指示した。
それと並行し、当時関係が深くなっていたアメリカ合衆国に技術協力を依頼したところ、カーチス社を始めとして合衆国内に残っていたほぼ全てのメーカーから技術者が派遣されてきた。
予想を遥かに上回る支援に現場は狂喜し、クレムリンは首をかしげたが何のことは無い。
合衆国では航空軽視の傾向が年々激しくなる一方であり予算も右肩下がり。
そんな中で他人(ソ連)の財布を使って研究開発できる機会を各メーカーが見逃さなかっただけである。
(合衆国政府もほぼ無関心だった)
理由はどうあれ、集まったこの頭脳たちの力が無ければ本機は開戦までに完成しなかっただろうというのは衆目の一致するところである。
108: モントゴメリー :2022/07/18(月) 16:16:10 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【性能】
本機の最大の特徴はエンジンである。
クリーモフVK-107R 液冷エンジンも最新鋭であるが、要はハルシチョフニコスVRDK モータージェットエンジンである。
まず、モータージェットエンジンとは、レシプロエンジンの回転力で空気圧縮機を作動させ、圧縮された空気燃料を噴射し爆発力を得る。
プロペラの推進力とこの爆発力の推進力により航空機を高速で飛行させるのである。
ジェットエンジンの始祖に当たる技術であるが、空気の圧縮をレシプロエンジンの回転力に頼るためガスタービン式ジェットエンジンと比較して爆発力が格段に落ちるのが欠点である。
しかし、ガスタービン式ジェットエンジンの開発は難航しており短期間で実用化することは不可能であった。
それに、「格段に落ちる」と言ってもレシプロエンジン搭載機と比較すればかなりの高速性能を期待できた。
よってこの混合動力形式が採用されたのである。
試験の結果、VRDKを作動させたときの速力は825km/hを記録。関係者を安堵させた。
しかし、VRDKはまだ未熟なエンジンであり、高速回転ブレードの材質や回転軸の耐用時間、燃焼装置の不具合などの問題点があった。
その最大のものは稼働時間の短さであり、約20分しか持たなかった。
しかし、なにをしでかすか分からないフランスや段々狂気の度合いを増していく
アメリカを鑑みてソ連上層部は本機を制式採用、量産を指示した。
この決断がソ連を救う事になる。
【運用】
開戦からポーランド侵攻作戦の間は本機は投入されなかった。
これはまだ制式採用から日が無く数が揃わなかったことと、複雑な機構が占領地の粗悪な飛行場で通用するか確信が持てなかったからである。
本機のデビューは国境防衛戦、いわゆる「スターリン・ライン攻防戦」である。
約300機の本機は侵攻してくるドイツ空軍を迎撃。
主に対戦闘機戦闘を担った本機の活躍は凄まじく、ドイツ軍は電撃戦の前提である「航空優勢の確保」に失敗。
短期で防衛線を突破するという目論見は崩れた。
特に全パイロットが女性で構成された第586戦闘機航空連隊の活躍は伝説的であり、「魔女の箒」という本機につけられた異名の由来となっている。
「スターリン・ライン」が約3か月にも渡ってドイツ軍の侵攻を押しとどめられたのは、本機の功績に頼る所大である。
特に、一時的な航空優勢を利用して決行された「カツコフ支隊」によるドイツ軍兵站拠点破壊作戦は本機の存在無くしてはあり得なかったであろう。
【総括】
「確かにあの子は気難しいおてんば娘でした。でも、私たちの信頼を裏切ったことは一度もありません」
戦後、あの戦争を生き残った「魔女」リディア・リトヴァクは本機を回想しこのような言葉を残した。
これ以上に本機を語るに相応しい言葉はないであろう。
また、本機のデータは大型飛行艇を用いた決死の長距離飛行で合衆国にも共有され、戦争後半に花開くことになるのは読者諸兄の知る所であろう。
109: モントゴメリー :2022/07/18(月) 16:19:06 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
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あの夜夢枕に立った同志スターリンよりご依頼のモノ。ようやく用意出来ました。
陣龍氏並びに影真似氏、遅くなり申し訳ございません。
(納品書と見積書はそちらに送っておきます)
元ネタはまんまMiG-13ですね。
アメリカ技術者の支援によって3年早く完成させました。
(あと、平時だから史実より余裕がある)
最終更新:2022年07月29日 08:22