29: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:19:02 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
漆黒世界if  異聞帯 非人類繁栄界2022

世界観は漆黒世界のアメリカ合衆国(通称米合)が何の因果か2022年まで生き残ってしまった世界。

イギリスは滅び、日本は疲弊し、欧州やアフリカは牧場や実験場と化した世界である。


〇発端
日本にて大災害発生。

関東及び東北一帯にて超巨大地震が発生(首都直下型地震+東日本大震災)
これにより発生した津波により、当時東北の造船所にて新型艦の就航式に出ていた首相及び幾人かの閣僚や軍高官が行方不明となる。

この津波は太平洋側の東北地方及び関東、東海地域を直撃。
特に東北地方と関東地方で大きな津波が襲来しており、海に面した街々以外にも太平洋側に寄港していた艦隊の多くが被害を受ける。

東京近郊でも相応の高さの津波が襲来し、海側を中心に大きな被害を受ける。

また地震や津波と前後するように九州、中国、近畿、北陸を横断する形の超大型台風襲来。
各地で地震の被害があった山や堤防が大雨により決壊。
各地で山崩れや洪水が発生し、西日本においても大きな被害が出る。

地震、津波、台風が追えた後に最後の追い込みをかけるように富士山が噴火。
近隣に溶岩流及び火山灰が降り注ぎ関東一帯の交通網が完全に破綻をきたす。

幸い富士山の噴火は想定よりも小規模であり、日本という国に完全にとどめを刺すほどではなかったが、それでも当時の地震や津波、台風でインフラ網がボロボロだった日本への追い打ちとしては致命的であり、国家崩壊こそどうにか踏みとどまれたが、対外行動を起こすことは実質不可能となってしまった。

後に全日本大災害と呼ばれたこの連続した災害は日本に長らく癒えぬ大きな傷を残し、そして米合が躍進する切っ掛けを与えてしまうこととなる。



〇始まり
まずもって説明するのが、この世界線の漆黒米こと米合は本来の米合よりも少々危機感が強かったという相違点がある。

国内の要塞建築を大分減らし、その分を爆撃機や潜水艦と言った対外向けの戦力に割り振っていた。
そして元の世界では幻で終わっていた対英、対日攻撃計画を真面目に計画していたというのが最大の違いと言える。

日本が実質行動不能になったのを見た米合は対日方面の戦力の全てを北米及び大西洋方面へ転換。

そのまま北米における攻勢を囮として欧州の友邦と足を並べる形で大英帝国本土への奇襲作戦を敢行した。

北大西洋から米合軍、ドーバーからベルギー軍。そして念願であった仏本土を無視する形でヌーベルフランスまでもが全戦力を以て奇襲を行ったこの作戦は見事成功してしまい、漆黒同盟軍の大部隊がブリテン島へと橋頭保を築かせてしまうこととなる。

初手の潜入工作員や大型爆撃機、砲撃潜水艦、潜水母艦などによる化学兵器を用いた無差別攻撃及び人類連合側の重要人物の暗殺による混乱はイギリスの初動を遅らせることに成功しており、この初動の遅れが後の欧州の運命を決定づけてしまうこととなる。

ロンドンを始めとする各地の大都市が毒ガスにより死の街となりながらも、現地の英軍や民兵は果敢に抵抗を続け、少なくない数の民間人と王室、政府関係者を北欧経由で国外へ脱出させることに成功した。

しかし戦局を覆すことはできず、ブリテン島の多くをガスなどで汚染しながらも、1年に渡り抵抗を続け、そして終局した。

30: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:19:38 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
〇欧州
イギリス本土が突然の奇襲と無差別的な毒ガス攻撃に合っている頃、欧州の大陸方面ではソ連とバルカン連邦が侵攻を開始していた。

これにはそれぞれドイツとポーランドがソ連を、ドナウ連邦とイタリアがバルカン連邦を相手にすることとなった。
ベルギー本土に関してはオランダ、アフリカからやってくるヌーベルフランスについてはスペインとポルトガルが担当している。

独ソ戦方面に関しては一般的な戦争と言えたが、しかしそれ以外に関しては全く違っていた。
英本土同様に突然の奇襲にあった人類連合側の国々は、同様に毒ガスを使った無差別攻撃を受けていた。
ある程度事前対応をしていたとはいえ、いきなりの奇襲により全く全てが無事だったわけではなく、相応の被害が出ていた。

そしてこのため苦戦しながらも各地の人類軍側はある程度は抵抗できていたのだが、英本土の多くを片付けた漆黒同盟側の部隊がフランスへ上陸しなおし、オランダとスペインを撃破した点から大きく戦況が変わる。
米合を始めとするブリテン派遣軍は英本土に残されていた高性能兵器の多くを鹵獲し、これを戦線に投入。
オランダ軍とスペイン軍を撃破したというのが真相である。

この時点で現地の人類軍側はこれ以上の真っ当な抵抗は不可能と判断し、軍と民間人の国外脱出へと目的を切り替え始めることとなる。

この際奇妙だったのが独ソもしくはポ・ソの間であり、人類軍側が逃亡を決意してからは自然停戦状態となっている。

これはソ連が暗黒同盟側の鬼畜の勢いに味方ながら危機感を覚えたための停戦というのが後の時代に判明している。

ソ連は表向きは戦争を続行しながらも欧州からやってくる民間人の多くをシベリア鉄道もしくは船舶によってアジアへ輸送し、後の欧州亡命政府連合の設立を陰ながら手助けていた。

特に暗黒同盟側の攻勢が強まるとともに逃げ遅れた現地民を守るために現地政府の半ば承諾を得てポーランドやドナウ連邦のチェコスロバキア地域などを保証占領し、ベルギーやバルカン連邦の暴虐から現地の人々を守るまでしている。

しかしソ連による陰ながらの援護がありながらも日英製の高性能兵器を鹵獲した米合軍を中心とする漆黒同盟軍側に主力足る日英を欠ける人類同盟軍側は押し込まれていき、最終的にはソ連が保証占領した一部東欧と、安全保障の観点からソ連に頭を下げて傘下に下った北欧諸国を除いた欧州全体が漆黒同盟の制圧下となってしまう。

なおこの際ドイツに集まった残存人類軍は最後の戦いだと言わんばかりにバルカン連邦主力へ突撃。
これを正面突破し、バルカン半島を駄通する形でオスマントルコ方面への脱出に成功している。
後にロンメルの陣中突破と言われる撤退劇であった。



〇北米
欧州戦と同時並行で北米戦も行われていた。
最もこちらは半ば陽動も兼ねての攻勢であったが、米合による奇襲的攻撃及び潜入諜報員による現地人類連合側重要人物の暗殺及び暗殺未遂などにより多かれ少なかれ混乱に見舞われていたカナダ、米連合国、メキシコは米合軍の前線突破を許してしまう。

元の世界よりも要塞数を大きく減らし、通常戦力に予算と人材を割り振っていたこの世界の米合軍の突破力が大きかったの前線突破を許した理由の一つであろう。

何より最大の理由が本国が大災害の連続で連絡がつかなくなったことに動揺した西海岸の日本軍の初動が遅れたことと、半ば偶然による米合工作員による現地日本軍最高司令官の暗殺成功による一時的な指揮系統の混乱が大きかった。

本来ならばすぐさま次席指揮官への指揮権が移るのだが、突然の米合軍の奇襲と無差別に使われる毒ガス、そして何より本国との突然の音信不通による混乱が重なったことによって初動が大きく遅れしまうという致命的なミスに繋がってしまった。

この結果日本軍が動き出す頃にはカナダは首都のオタワが陥落しており、メキシコや米連に関しても国内の奥深くへ米合軍の侵入を許してしまっていた。

何より欧州にて英本土陥落。他欧州諸国の既に陥落するか苦戦中であり、南米方面においてもブラジル連邦が奇襲を成功させ主導権を握っている状況は日本に大きな衝撃をもたらした。

しかし政府機能の多くが未だ麻痺しており、多くの民間人が被災で苦しみ、太平洋方面の艦隊、航空戦力の多くが被害を被っている中で日本は大々的な援軍を送るなど不可能であった。

しかし座して待つわけもいかず、日本は被災前に製造していた原爆30発全てと全国に残存する航空機全ての北米派遣を決定する。



31: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:20:21 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
〇ハラキリ式国防術
既にカナダの東半分が陥落し、米連も国土の過半が制圧され、メキシコも南北で国土が分断され、戦場は西海岸へ移り始めていた北米戦線において、遅まきながらも日本からの援軍が到着。

米本土の対空網の前では本領を発揮できない爆撃隊では原爆攻撃に成功する可能性は低いと判断した日本軍は現地の残存部隊や各政府の了承の下で非常の作戦を決行することとなる。

それは現在戦闘中の各地の都市部へ米合軍をひきつけ、これらへ爆撃機もしくは列車砲にて原爆攻撃を敢行するというものであった。

後にハラキリ式国防術と呼ばれたこの原子爆弾の防衛運用は当時の米合侵攻軍の勢いを砕くことに成功。

代わりにカナダ、米連、メキシコ、西海岸などにおいて甚大なる放射能汚染を発生させ、強制的に米合とそれ以外の地域に汚染地域と呼ばれる自然休戦ラインが構築されることとなる。

この汚染地域は2022年現在になっても所々で汚染が残っており、当時どれほど原爆が集中運用されたかを物語っている。


北米における米合軍の侵攻が止まったのを見た日本は派遣した部隊を再編し、同じような攻撃を受けている南米方面へ派遣。
ブラジルにジリジリ押される中米連邦やコロンビア連邦の救援に成功している。

しかしキューバなどのカリブ海諸国や元々国力の低かったガイアナ・スリナム連合などは救援が間に合わず、米合軍もしくはブラジル軍に制圧されるなど、南米方面でも手痛い結果に終わった。


そして流石の日本軍も本国が半ば半壊している状況ではこれ以上の援軍を派遣する体力はなく、欧州及びアフリカの過半は米合勢こと漆黒同盟の手に落ちることとなる。

そして日本は以降100年近い漆黒同盟との熱戦(冷戦にあらず)を繰り広げることとなる。



〇その後

戦後…という言葉は適切ではない。これら一連の戦いが終わった後でも日本率いる人類連合と米合率いる漆黒同盟は正式な停戦をしていないのだから。

それ故にその後とする。
第一次人類戦役と名付けられた一連の戦いは米合に欧州とアフリカという新しい市場をもたらした。

ヌーベルフランスは仏本土に復帰し、おまけでポルトガルを獲得。バルカン連邦は憎きドナウ連邦の過半を勢力下に収めた。
ベルギーはオランダを取り込み、英本土ことブリテン島は米合により直接統治された。

戦後になりアイルランドやデンマーク、スイスといった当時の戦いに参加しなかった国々は仕方なく米合勢力こと漆黒同盟の傘下へ下ることとなる。

これらと別の動きを見せたのはスカンジナビア半島の北欧三カ国であり、彼等はソ連の下へ走り、その保護下となった。
人でない何かに下るよりもまだ共産主義者の方がマシだと考えたからである。
当のソ連も戦役の最中に既に人類連合側へ利する行為を行っていたため、これを歓迎した。

32: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:21:03 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
戦役中に北米で見せた日本の原子爆弾の威力を危惧した米合政府は政府機能をブリテン島へと移動させ、旧ロンドン地域に新しい首都を建てた。
ニューロンドンDCと名付けられたそれは、汚染された土地を捕虜とした英国人を大量に動員し、無理矢理除染させ、埋め立てさせられた土地に作られた。

この際ろくな装備を持たせられなかった英国人が汚染や病気、怪我などで大量に死亡しているのだが、彼らの死体は汚染されているとされ流石の米合すらも流用する気になれず、焼かれた後は適当土地へと雑に埋められることとなった。

一説には100万もの人々の死体がニューロンドンの下に埋まっていると言われているが、未だに詳しい数は判明していない。
何よりこのニューロンドンも第二次人類戦役において人類連合側の核弾道ミサイルにより吹き飛んでしまったため、今では詳しい調査もできないからだ。


話を戻して首都を移転させた米合は英本土や独本土から接収した資料を材料としながらも原爆開発を開始。

日本の協力により原子力研究が進んでいた両国の資料は皮肉にも米合の原爆研究を恐るべき速度で進ませる要因となってしまった。

米合はこうして恐るべき速度で原爆開発に成功したわけだが、それは日本の開発したものと比べ未熟で、特に威力調節に不安を残していた。
しかし米合は威力が高い分はいいだろうという拙い認識で運用を開始。
威力調節が雑で投下した爆撃機にも影響が出る可能性が高く、更には放射能対策も未熟のため運用人員に多大な放射能汚染を引き起こすなど、かなり雑な出来上がりであったが、この雑な可否ラインも米合製原爆実用化が速かった要員の一つと言われている。

そして史実でも米ソで左程問題視されていなかった問題を米合が問題視するはずもなかったとのも当然と言える。

投射手段は英独などから鹵獲した高性能な爆撃機や潜水艦とした。
日本のテコ入れにより技術が進んでいたことが仇となってしまった要因その二である。

他にも英独から接収した様々な知見や資料、技術は元より技術研究においては奇形的ながらも強い爆発力を持っていた米合のおいて非常に重要な資料とされ、瞬く間にこれらを取り込んだ米合は日本と言わずとも当時の英独に勝るとも劣らない兵器を生み出す始める要因となっていく。


これ以外にも米合という国は抜け目なかった。
日本が原爆の集中運用体制を既に構築しているということを北米戦で認知した米合政府は政府機能こそブリテンのニューロンドンへ移していたが、工業や軍事などは別の地域へ移し、機能を一極集中しないように気を使い始めたのだ。

工業はブリテン島に移しながらもフランスやベルギー、バルカン半島、ブラジルといった各地へも積極的に増設させていき、新たにグリーランドやアイスランドにも工業を移転させ、戦略爆撃の的になりにくいよう分散させた。

軍事機能に関してはアイスランドにこそ本部機能を移したが、世界各地に似たような機能を持つ基地を建設。
一つが吹き飛ばされても、すぐさま他の基地が本部機能を引き継ぐ体制を構築した。

政府関係に関しては必ず受け継ぎ上位の閣僚は必ず1~2人は常に首都を離れて、別の都市もしくは専用の大型航空機や艦船に登場し、いざという時に政府が消滅しても問題なく受け継ぎが出来るような体制へと変更していた。

これらの分散体制は後の第二次人類戦役において功を奏し、ニューロンドンが人類連合の核で吹き飛んでもすぐさま新たな大統領が誕生し、問題なく戦争続行を可能としている。

これらの工業、軍事、産業の分散体制においても北米、カリブ海からグリーランド、アイスランドを通りブリテン島に至り、欧州全土とアフリカの過半を有する巨大な経済圏を持った米合だからこそ押し通せた力業と言える。

そして米合の弱点であった備品式経済の限界点においても、広大な経済領域と資源、そして新たな備品供給源が出来たため本来ならあり得ない延命がなされていくこととなる。

何より戦勝からか自らの省みる余裕を得た当時の米合政府や経済界関係者たちが、この備品式経済の将来的な欠点を見つけてしまい、ひと悶着起きた後で根本的な解決を行うための研究を始めさせてしまうこととなる。
この研究こそが後の未来で人類連合を苦しめる米合の人造人間研究である。

このように本来ならこれ以上の飛翔をせずに滅されるはずだった存在は、何の因果か新たな世界を得て、より大きく羽ばたいてしまった。
その結果が100年近く続く天狗道とも修羅道とも取れる、より深い漆黒…深淵とでも言うべき世界である。

33: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:21:38 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
〇牧場
戦役後の欧州においてスペイン、イタリア、ドイツなどは漆黒同盟のどこの国も幾らかの領土は奪えど、本土全てを取り込むことはしなかった。

これはまだこれらの土地に置いて民間人主体の激しい抵抗が続いているためというのもあったが、米合はこれに新しい価値を見出した。

つまりは牧場。人間牧場ならぬ備品牧場である。
抵抗的ならば無理に押さえつけず、好きに増えてくれればいい。増えた後に収穫して我々が出荷すればいいのだから。

当時の米合関係者はそう語ったという。

そしてそのことを知らない西独伊本土に残った人々は健気にも抵抗を続けていき、数を増やし、その度にマンハンター、もしくは漆黒同盟の正規軍、もしくは狩りを楽しみたい金持ちなどによって狙われ続けていくこととなる。

ご丁寧にも定期的にレジスタンスたちが奪いやすいように各種物資をわざと設置するなどして、彼らが腹と士気を減らさないようにしながら。
デンマークやソ連領ポーランド、もしくは地中海からのレジスタンス支援の物資密輸ルートもわざと穴をあけて彼らの腹を満たし続けるという徹底ぶりである。

このわざとレジスタンスを見逃し、牧場としている米合の思惑は人類連合側には中々悟られておらず、彼らが欧州牧場の存在に気付いたのは第三次人類戦役時であった。

欧州の半分を使って行う人間牧場などという余りにも現実離れした巨大な陰謀は、さしもの人類連合も、その考えに至り確信するのに時間がかかってしまった。

こうして欧州牧場及び自然発生するアフリカという二つの巨大な備品供給源を手に入れた米合式経済はすさまじい勢いで周りだし、戦後復興と合わせ各地に避難用もしくは分散用の工場や都市、またはシェルターや軍事基地を建設していった。


他の漆黒同盟の国々についても触れよう。

ヌーベルフランスは本土への復帰を果たした。そして米合の支援を受けながらも急速な復興を果たすこととなる。
しかし、その復興に役立ったのが備品の大量運用であった。

備品で土地を耕し、備品で道を整備し、備品で建物を建て、備品の兵隊でゴロツキどもを一掃した。

フランスは意図せずとも米合と同じ備品ありきの経済、生活へとその姿を変えられてしまったのである。
当のフランス人の意識からしても備品に関しては奴隷程度の認識であり、役立つ召使程度にしか思われなかった。
もしくはまだ召使いされるだけ漆黒同盟の中ではマシな扱いだったかもしれない。

またフランス国内では表向きゴロツキは一掃されはしたが、パリを中心に開かれていたブラックマーケット市場そのものは受け継いでいた。

政府公認となり、むしろ表立って堂々と活動できるようになったブラックマーケットは近隣の牧場から収穫してきた新規備品やアフリカで狩ってきた備品などの売買や、従来通り南米や北米から連れてこられたものもいる。
更には遥々中東のオスマンや更にはどうやったかアジアからも連れてきた商品に、更には一部でソ連地域から連れてこられた公然にできない商品まで世界中から物が集まる大規模マーケットと化した。

その姿はまさに現代の奴隷一。フランスの備品マーケットに来れば必ず欲しい備品に巡り合えるというのは当時の漆黒同盟内で有名な話であった。

米合の支援、備品という新しい召使、そして公営化し取り込んだブラックマーケットを三本の軸としながらフランスは見事な復活を遂げた。

しかしそれは一度滅ぶ前のフランスとは似ても似つかぬ存在であったが…

34: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:22:38 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
バルカン連邦についても話をしよう。
元々憎しみありきで団結し、戦っていた彼等はドナウ連邦を下した後は同国にて凄まじい虐殺の嵐が吹き荒れた。

朝起きたら適当に殺し、昼を食べたら腹ごなしに殺し、夜寝る前に殺す。
余りにも日常的に現地の人間を殺すせいで、流石の米合すら勿体ないと眉をひそめた。

暴虐の嵐が吹き荒れる中で現地の人々は周辺へと逃げた。
レジスタンスが活動を続けるというイタリアやドイツ。
ソ連領土となったポーランドやチェコスロバキア。中には死ぬよりはマシだとわざと米合のマンハンターに捕まりにいった人物までいる。

それほどまでにバルカン連邦の振りまく死は過激であった。
そうして数年が過ぎ、旧ドナウ連邦地域から殆ど人口がいなくなった後には落ち着きだし、同地域へと徐々に入植を開始した。

以降ドナウ地域を掃除し終えたバルカン連邦はある程度落ち着きを取りも出したが、しかし今度は反対側のオスマン帝国へと敵意を振りまくようになっていく。

彼等は憎しみから事を発した国であるために。憎しみ以外の原動力を知らないのだ。


最後にベルギーであるが、彼らは特に酷かった。
今朝の占いの結果が悪かったから取りあえず備品の腕を切り落とそう。食べた料理に当たった腹いせで現地人を殴る蹴る引き裂く。何か今日はそういう気分だから捕虜を肉食動物に食わす。
何なら射撃占いとか言い出して撃ち殺した相手の死にざまで今日の運勢を占いだすなんてことまでやり始めた。

米合のような合理性も、バルカンのような憎しみも、フランスのような傲慢もなく。
ただ当たり前の日常の一コマとして現地の人間たちを消費し始めた。

これには流石に米合やフランスすら顔を顰めて苦言を呈した。流石に物を大事にしなさすぎると。
苦言を言われたベルギーはなら仕方ないと欧州においてはこのような行為をやめた。
代わりにアフリカの植民地でやり始めた。これには流石の米仏も呆れたが、結局ベルギーの悪癖を矯正することはできなかった。

2022年においてクローン備品が実用化され、殆どそちらへ取って代われた現在においても天然備品がある程度必要とされているのは、大凡このベルギーの悪癖によって消費されているためと言われている。



〇北米
北米においては米合が根幹機能を欧州や各地に移転させ始めたため、本拠地という意味での機能は低下した。

しかし以前から永遠と投資され続けた土地としての価値は残っており、専ら北米における人類連合への最前線及び北米、南米におけるマンハントの中心地として栄えていくこととなる。

むしろその機能に特化されていったことにより、残っている周辺諸国にとっては厄介さが増したと言えよう。
通常は空から海から南米や中米、カナダに侵入してくるのだが、中には汚染地域を打破してやってくる根性座った奴までいるのだから溜まったもんじゃない。

対して日本こと人類連合側は大きく後退してしまった。
米連全土、メキシコ北部、西海岸南部地域の一部、カナダの東半分の国境付近や重要都市付近は日本が集中投下した原爆により放射能汚染されてしまった。

このため国境ラインが大きく後退してしまい、新しい警戒線を引かなければならないなど再編に四苦八苦していた。

なおこの汚染が残る汚染ラインであるが、十数年後に幾らか放射能値が薄まるのだが、第二次人類戦役、そして第三次人類戦役においても日米双方の核が投下され、再び汚染されるなどして2022年現在でも放射能値が安全域まで下がる様子を見せていない。

ある種人類かそうでないかを隔てるラインとなっているのが、これら汚染ラインであった。

35: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:23:40 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
〇日本
戦役後の日本は非常に苦しんでいた。
度重なる大災害の傷跡もそうだが、大事な戦いの時に盟友たちをろくに助けられなかったことにである。
端的に言って非常に後悔していた。

そうであるが故に米合との再戦に意気軒高であり、アジアやオセアニアに避難してきた盟友たちへの支援は惜しまなかった。

イギリス政府が非難してきたオセアニアへは緑化と工業化を進め、他にソ連やオスマン経由で送られてきた欧州諸国の人々には中華湾岸部を日本直々に一掃し、彼等への土地として与えた。

中華は元々米合に味方しているような連中ばっかだったので、土地を奪うという点では日本は容赦なかったのである。
何より住む場所を失った戦友たちのために一刻も早く替えとなる住処を作らねばと張り切っていたとも言える。

国内の復興と並列して中華地域の平定を進めていき、それと同時に祖国を失った人々に土地を与えた。

こうして中華の湾岸地域一帯は欧州からやってきた亡命政権や避難民により代わりとなる国々が作られ、そこを一時の宿とするようになっていった。

最も今後数十年この仮宿で過ごし続けることになるなど、当人たちも日本すらも想像していなかったが。


こうして盟友たちへの支援と国内の復興を続けて十数年。
かつてよりも逞しく復興した日本は機が熟したと改めて決意…殺意を固めた。
第二次人類戦役の勃発である。今度は日本が戦端を切る戦であった。


〇人類戦役

人類戦役と言えば幾度も起きている。

日本が大災害により身動き取れないのをいいことに米合が仕掛けてきた1940年代の第一次人類戦役。

復活を果たした日本から仕掛けた1960年代の第二次人類戦役。

迎撃技術の進歩で弾道弾が半ば意味を無くし、通常戦力同士の激突に回帰した1980年代のだいさんじ人類戦役。

クローン備品兵やパワードスーツなどが投入されたことで有名な1990年代の第四次人類戦役。

そして第一次以来最大規模で勃発した2010年代の第五次人類戦役。

2022年までに計5度起きた人類戦役はどれもがこれと言った決着がつかず、両者共にいたずらに傷を増やし、それを補うために医療技術に始まり、ナノマシン技術やクローン兵や無人機と言った代用技術の開発が進むといった正とも負とも言えないスパイラルを繰り返していた。


米合が欧州とアフリカを制した第一次人類戦役。

日本が撃ちこんだ核によりニューロンドンを吹き飛ばしたはいいが、以前から進めていた分散体制によりしぶとく米合が生き残りやがった第二次人類戦役。

欧州牧場が明るみに出て、佐世保と大阪が米合工作員の核で吹き飛んだ第三次人類戦役。

度重なる戦争と消耗により両勢力の国力が疲弊し、それを補うために開発されたクローン兵士や無人兵器、更にはパワードスーツなど最新鋭技術が多く投入された第四次人類戦役。

そして決着をつけるべく起きたが、結局決着を付けられなかった第五次人類戦役。


どれもが総力戦であり、決定打を得られずに終わった戦い。
化け物を倒そうとすれば化け物となるかの如く、人類連合側も戦争が日常風景となっており、既に非人類に怯えずに済む平和な時代など過去の彼方へ忘れ去ってしまった時代。

この世界において平和とは既におとぎ話の中の存在なのかもしれない。

36: トゥ!ヘァ! :2022/07/15(金) 18:24:34 HOST:FL1-220-144-100-182.kng.mesh.ad.jp
投下終了

取りあえず頑丈書き程度だったネタをある程度まとめてみました。

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最終更新:2022年07月29日 08:59