s803 :SARU携帯:2012/02/23(木) 01:48:52
電波を受信した


『嗚呼! 大韓帝國禁軍の勇姿』

大韓帝國禁軍
 禁軍本営
   禁士隊(大隊、本営直属)
  禁衛団
   白骨隊(大隊)
   猛虎隊(大隊)
   千里馬隊(中隊、騎兵)
  戦車聯隊
   聯隊本部(指揮型甲申戦車2両)
   第一戦車隊(甲申戦車4両)
   第二~第四戦車隊(壬午戦車4両)
  段列その他

――1944年某日 大韓帝國、漢城郊外

大韓帝國(以下、韓國)陸軍は日露戦争以後、独立国家として軍備の近代化を営々と続けていたが、昨年、日米戦争及び継続戦争が日本の戦勝で終結した事を受け、勅命により“同盟国”に相応しい部隊の編成に取り掛かっていた。
そして今日、一部未完結とは言えその成果を皇帝陛下や“同盟国”要人の居並ぶ閲兵式で見せる事となったのである!

太極旗が翻る閲兵台では皇帝を護る禁士隊将兵と禁軍幹部が緊張しつつ満面の笑み――後世の言葉でいう『ドヤ顔』をしていた。
これから閲兵を受ける禁軍の実働戦力である禁衛団は全員が両班の禁士隊と異なり殆どが平民出身者で構成されているが、千里馬精神で猛訓練に勤しんで来ただけに(日本以外の)近隣諸勢力の匪賊に毛が生えた程度の軍隊には決して見劣りしないと考えられていた。

紫地に銀糸で五弁の桔梗が縫い込まれた禁軍旗を先頭に大隊縦列が足音も高く現れた。
*1
一糸乱れぬ調子でグースステップを決める白骨隊――第一大隊の兵士達は詰襟式である事を除けばまるっきり某国親衛隊じみた黒装束に身を包んでいた。閲兵台へ差し掛かった時、右手を斜め前方へ突き出すのではないかと見ている方がどぎまぎした程だ。
続いて現れた猛虎隊――第二大隊は歩調こそ取れている物の、縦列毎に右へ左へユラユラフラフラしているのが丸分かりで、白骨隊への総ツッコミ視線にさえドヤ顔を崩さなかった禁軍幹部には焦りの表情が浮かび上がっていた。
*2
歩兵の後に千里馬隊――騎兵中隊が堂々たる姿で入場する。先進国では今や偵察にすら使われるかどうかという騎兵も見栄えが良いので儀仗用にはまだまだ使える“兵科”である。
場が俄かにどよめく。見ると一頭の葦毛馬が威風堂々と闊歩している――“五本脚”で。
韓國側関係者は一様に顔を引きつらせつつも『真打ちはこれから』という態度を崩さなかった。

804 :SARU携帯:2012/02/23(木) 01:51:29
これは招待を受けた側も同様の見解だった。何しろ韓國軍初の“機械化”部隊、それも“国産”戦車で編成された物がお目見えするのだ。ポーランドで奮戦した豆戦車に毛の生えた様な、恐らくは一号戦車くらいの代物だろうが……

俄かに舞い上がった土埃の中から発動機の騒音だけが響き渡る。真四角い車体と長い砲身を突き出した影が見えると感嘆の声が空気を震わせた。
*3
不思議な事にもうすぐ入場するにも関わらず駆動音が聞こえて来ない。覆帯の起てるあのキュラキュラという音が、だ。
黄塵を突き破って姿を表したのは――

「「……」」

直方体の車体に砲身長だけは長い機関砲を搭載した円盤型の砲塔が載った六輪の装甲車だった。
「我が国が独力で開発した甲申戦車(カプシンチョンジャ)です」
禁軍幹部が優越感丸出しで紹介したのは、どう見ても大型トラックに大仰な鉄の箱を被せただけにしか見えない代物だった。前の欧州大戦で急場凌ぎに作った装甲トラックの様な物が甲申、つまり昭和十九年制式だと言うのだ。
よく見ると車体はリベット打ちで装甲板ではなく只の厚い鉄板、頭数もたったの四両である。これが禁軍戦車聯隊第一戦車隊の全てなのだ。
「ま、まだ編成が完結しておりませんので……第二戦車隊以降は旧式車両を訓練用に回しております」
甲申“戦車”の後から一回り小さな装甲車形の山車が車輪の間から何本もの脚を見せながら現れた。
「壬午戦車(イモチョンジャ)です」

因みに壬午とは昭和十七年の干支である。

ちゃんちゃん

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最終更新:2012年02月24日 22:11

*1 おいおい何処の義勇SSだよ?

*2 まあ、こんなもんか

*3 意外と大きい……二号戦車並か?