51: モントゴメリー :2022/07/16(土) 21:36:26 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
仏帝連合ネタ試案——「賑やかな休日」——
フランス連邦共和国 エリゼ宮
マリー・マフタンは毎朝6時に起床する。これはFFR陸軍の起床時間である。
無論、現役ではない彼女には関係ない(それ以前に将官には適用されない)のであるが、「我らが指揮官」麾下の一兵士であることには変わらないという認識がその習慣を継続させている。
——アナイス姉さまのように『反抗期』になってしまおうか。
…しかし、今日のような休日の朝はその決意も揺らぐようである。
数秒ほど悪魔の囁きに心を奪われそうになるが、意を決して彼女は体を起こす。
悪い子になってしまっては「お母さま」を悲しませてしまう。それはできない、絶対に。
すでに(いつものように)待機していたメイドたちが入室してきて身支度を手伝う。
着替えたマリーがまず向かうのは庭園の一角。
そこに設けられた射撃場に立ち、拳銃を構え、撃つ。
朝の空気を銃声がかき回していく。
弾倉一つ分を撃ち終え、的たちを確認する。
50m先に置いた的全ての中心に穴が「3つ」ずつあいている。それも、直径8cmの円内に集中している。
現役の時の様にはいかないか、とマリーはため息をついた。現役時代ならば5cmの円に集中できていたのだから。
52: モントゴメリー :2022/07/16(土) 21:36:59 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
シャワーで汗と硝煙を落とした後は朝食である。
普段ならばバゲットとカフェオレで済ますところだが、今日は休日。
少し贅沢にパン・オ・ショコラ とショコラショーだ。
ショコラの甘味を堪能しつつ、マリーは今日の予定を想起する。
大統領ともなると、休日とはいえ完全に自由になることはないのだ。
いっそ、何かとんでもないことでも起きないかしら、とマリーが児戯めいたことを考えていた時、扉が開き補佐官たちが入って来た。
「マリー様、お食事中に申し訳ございません」
「急ぎ『指揮所』へお越しください」
「…今日の私はお休みよ?指揮権は委ねてあるわ」
マリーはやや不機嫌に返すが、副官たちは意に介さずに続ける。
「緊急事態です。詳細は『指揮所』でご説明いたしますので、とにかくおいで下さい」
「マリー様の陣頭指揮でなければ混乱が増すばかりです」
「一体何事?OCUが宣戦布告でもしてきたの?」
マリーは自分でもあり得ないと思っていることを口にする。
仮にOCUが宣戦布告してくるならば、我々の諜報部門がその兆候を見逃すはずがない。
それに、本当に宣戦布告してきたならば既にここパリ近郊の空港や駐屯地にも砲弾が降り注いでいることだろう。
しかし、現実は彼女の想像の遥か上を行っていた。
「…マルセイユ沖の領海ギリギリに謎の物体が出現しました」
「それも縦・横約300mという巨大なものです。『門』のような形であり、薄く発光していると」
マリー・マフタンの休日は吹き飛んだ。
他ならぬ彼女が夢想した「とんでもないこと」によって——。
53: モントゴメリー :2022/07/16(土) 21:38:43 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
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米帝連合ならぬ「仏帝」連合。
誰も書いてくれないから私が先陣を切ったぞオラァァン!!
後に続く皆さんに期待します。
(特に日仏世界の弥次郎お父様)
最終更新:2022年07月29日 09:07